ただのカラス・・ではないカラス

ここにあげた写真は、市内でも県内でもなく、群馬県で撮影した写真です。

田んぼのカラスはよく見る光景ですが・・

冬の田んぼに群れるカラスというと、特段珍しくもなんともないのですが、じつは、神奈川県内ではあまり見られない種類が写っています。
これは、ミヤマガラスという冬鳥のカラスなのです。

嘴が細めで、銀灰色に光るのが特徴です

県内では通常、ハシブトガラスが住宅地などに多く、可燃ゴミを荒らしたりして社会問題にもなっています。上の写真のような農耕地など開けた場所にはハシボソガラスが多いのですが、両種はどちらの環境でも生息しているので、どちらも馴染みのカラスです。
ミヤマガラスは北関東などでは冬になると見られ、数十羽の群れが広い水田地帯などに飛来するのですが、神奈川県まではあまりやってきません。
そして、ミヤマガラスの大きな群れがいるときは、注意深く探すと中に小さなカラスが混じっていることがあります。

ミヤマガラス(左)とコクマルガラス(右)

ミヤマガラスは、ハシボソガラスより一回り小さいのですが、さらに小さなカラスです。これは、コクマルガラスと言います。

コクマルガラス(暗色型)

このカラスの羽色は不思議なことに、暗色型と淡色型があり、どちらもミヤマガラスの群れの中に混じっていることがあります。上の個体は暗色型です。淡色型は白やグレーが混じり、シンプルながらかわいらしい姿をしています。県内でも記録はありますが、とても珍しい鳥です。相模原市内では、2000年と2004年に記録があるだけです。同じ関東地方なのに、鳥類相にはずいぶんと違いがありますね。

カテゴリー: 生きもの・地形・地質 | タグ: , | ただのカラス・・ではないカラス はコメントを受け付けていません

カワラノギクのタネ

博物館で栽培している相模川産のカワラノギクが今、結実しています。

カワラノギクの綿帽子(タネ)

昨年の台風19号による大水で、市内緑区にある保全圃場の一部が流失しました。

台風による大水で流されたカワラノギク保全地(昨年12月撮影)

そこで、博物館で育てている株のタネを播いたり、栽培して発芽した株を移植しようと考えています。
タネはこんな形です。冠毛(かんもう)と呼ばれる綿毛はまばらで毛足も短いので、タンポポのように空中に浮かぶことはありません。
河原の丸石の隙間に引っかかるための毛ではないかと言われています。

カワラノギクのタネ

大水が出た後の河原は、栄養分がたっぷりあります。きっと今年から来年にかけて、立派な株に成長してくれるはずです。
ところで、カワラノギクは開花すると枯れてしまいます。
でも博物館では冬越しの株がいくつもあります。

カワラノギクのロゼット

タンポポの葉のように、地面近くの低いところに葉を広げて冬越しする葉のことをロゼットと言いますが、カワラノギクのロゼットは、地上茎が少し伸びて地面に着かない独特の形態です。
これは、ゴロゴロと丸石が敷き詰められた河原では当然の形で、石の隙間から発芽して伸びるためです。また、暑い時期には直射日光で焼けた石の表面に当たらない工夫とも言われています。「河原」と名の付く植物ならではの工夫ですね。

カテゴリー: 生きもの・地形・地質 | タグ: , , | カワラノギクのタネ はコメントを受け付けていません

新年、開館しています!

明けましておめでとうございます。相模原市立博物館は昨日、1月4日から通常開館しています。
新年らしい鳥の写真でご挨拶・・

ジョウビタキ(オス)

住宅地などにも普通に見られる冬の鳥で、紋付き姿が凜々しいジョウビタキ(オス)です。
そして、おめでたい雰囲気の赤い鳥、ベニマシコ。こちらは市内では相模川のヨシ原や、林道沿いの明るい林縁などで見られます。

ベニマシコ(オス)

もう1種、翼の緑光沢が美しいタゲリ。こちらは相模川沿いの水田などに少数が飛来します。それにしても、立ち姿がとってもキュートですね。

タゲリ

博物館は本日1月5日、学習資料展の展示室内でチャレンジ体験コーナーを開催しています。
明日月曜日は休館となります。
本年も相模原市立博物館をよろしくお願いします。

カテゴリー: おしらせ, 今日の博物館, 生きもの・地形・地質 | タグ: , | 新年、開館しています! はコメントを受け付けていません

メガネドヨウグモ

今から1週間ほど前、街路樹に張られたクモの網を見つけました。

朝見かけたクモの網


形状から推測すると、どうやらアシナガグモ科の一種の網のようです。汚れや傷みがないので、張ってからそれほど時間は経っていないでしょう。
年末のこの寒い時期に果たしてどんなクモが張ったのか気になりましたが、周囲を探しても見つかりません。
その後、この前を通るたびに気にしていたのですが、昨日の夕方、ようやく網の真ん中で昆虫を捕食しているところを捕まえました。
メガネドヨウグモ(幼体)です。

メガネドヨウグモ(幼体)


川の近くでよく見かける種なのですが、近縁の他種に比べてさほど水辺に依存していないのか、博物館周辺にも時々出没します(近くに川はありません)。

隠れている時のスタイルがこれ。

隠れているときは脚を伸ばしています。頭胸部の斑紋に注目。

脚を思い切り伸ばして細い隙間に入ってしまうので、なかなか見つかりません。
ちょっと面白い名前の由来は、頭胸部にある黒い模様の中にある丸い斑紋を眼鏡に例えたものです。残念ながらこの個体の斑紋はあまり眼鏡という感じがしませんが、なんとなく人の顔っぽくも見えるのでそう的外れでもないかな、とも思います。納得感が薄くて申し訳ないのですが、恐らく幼体なので模様のつき方が多少違うのではないかと思います。大目にみてやってください。いずれにしても他種と見分ける特徴的なポイントなので、覚えやすいのはうれしいかぎりです。

さて、撮影が終わったこの個体は、元いた場所に戻します。
無事年を越して、成体になったら、どんな斑紋をしているのか改めて確認したいものです。

カテゴリー: 生きもの・地形・地質 | タグ: , , , , | メガネドヨウグモ はコメントを受け付けていません

今年の開館日は明日、12月27日までです!

今年も残すところ1週間を切りました。
博物館の開館は明日12月27日が最終日です。12月28日~1月3日まで年末年始休館となります。
来年もこんな感じで・・

ミサゴです!

せーの!

ランディング!

勢いよく新年から飛び立ちたいと思います!
新年は1月4日からの開館となります。来年も相模原市立博物館をよろしくお願いします。

カテゴリー: おしらせ, 生きもの・地形・地質 | タグ: , | 今年の開館日は明日、12月27日までです! はコメントを受け付けていません

オシドリの色

市内で冬鳥の調査をした12月23日、調査中にオシドリが飛び立つところを撮影しました。
拡大してみて、改めてオスの色の艶(あで)やかさに感嘆してしまいます。

オシドリのオス

いくつの色が重なり合っているのか、数えることすら無駄に思えるほど、複雑な色合いをしています。
一方、地味と言われるメスですが、それはオスと比べてのこと。「地味」で片付けてしまうのはもったいない、美しさがあります。

オシドリのメス

かわいらしい眼の縁取りや翼下面の渋いコントラスト、脇の鱗模様など見どころ十分です。
ところで冬はペア形成の季節。オスの美しい羽根はメスへアピールするための勝負服と言えるものなのです。

カテゴリー: 生きもの・地形・地質 | タグ: , | オシドリの色 はコメントを受け付けていません

「火山灰を顕微鏡で見てみよう」を開催しました

12月22日に「火山灰を顕微鏡で見てみよう」を開催しました。

地層から採集した火山灰を中心に、日本各地の火山灰を顕微鏡で観察できるイベントです。22種類の火山灰を用意しました。

参加された方がプレパラートを自由に選んで観察します。メモを取りながら全ての火山灰を観察された方もいます。

火山灰中の鉱物の洗い出し作業も体験もできました。洗い出した鉱物は、お土産として、お持ち帰りできます。

例年に比べて参加者は少なかったのですが、時間をかけてゆっくりとご覧になった方が多かったようです。

今年も、相模原地質研究会や弥栄高校サイエンス部など、ボランティアの方々にご協力いただきました。ありがとうございました。

カテゴリー: 報告, 生きもの・地形・地質 | タグ: | 「火山灰を顕微鏡で見てみよう」を開催しました はコメントを受け付けていません

生きものミニサロン実施しました! 自然の材料だけでクリスマスリースをつくろう!

12月21日(土)、毎月恒例の生きものミニサロンを実施しました。今月は第四土曜日の28日が年末年始休館に入ってしまうため、第三土曜日に実施です。
でもちょうどクリスマス前なので、今年もクリスマスリースづくりを行いました。

野外で採集したいろいろな素材を用意しました

自然の材料だけで作る、をテーマにして、台はクズのつる、装飾素材はイイギリ、ガマズミ、ノイバラ、ヘクソカズラ、マンリョウ、カラスウリ、リュウキュウスズメウリなどの果実、そしてユリノキの花柄、まつぼっくりなど・・植物調査会のみなさんが集めてくれたすばらしい素材ばかり!
みなさん思い思いの装飾をしていきます。

好きな大きさで、自由な飾り付け

ハリエンジュの枝にみなさんの作品を飾ってみました。

みなさんの作品を集めてみました!

豪華です!

落葉後のハリエンジュが豪華になりました!

曇り空で少し寒い中でのミニサロンでしたが、みんなで楽しくリース作りができました。

カテゴリー: 今日の博物館, 生きもの・地形・地質 | タグ: , | 生きものミニサロン実施しました! 自然の材料だけでクリスマスリースをつくろう! はコメントを受け付けていません

今月の生きものミニサロンは、明日(12/21)です!

毎月恒例の「生きものミニサロン」は、第4土曜日の開催ですが、今月は12月28日から博物館が年末年始休に入ってしまうため、第3土曜日の明日、21日に実施します!

自然素材だけで作られたリースです

テーマはお楽しみですが・・(バレバレですね)。
12時から、お申し込み不要、参加無料ですのでぜひお気軽にご参加ください。

カテゴリー: おしらせ, 生きもの・地形・地質 | タグ: | 今月の生きものミニサロンは、明日(12/21)です! はコメントを受け付けていません

ジョロウグモもそろそろ終わり

「クモの寿命はどれくらい?」ときかれる事があります。
多くのクモは1年以内にそのライフサイクルを終えます。簡単に言うと1年。ただ、年2回発生する(年2化といいます)種類もいますし、ジグモやトタテグモ、アシダカグモなどは5−6年以上生きるようです。
博物館周辺でよく見かけるジョロウグモは、関東地方では5月下旬ごろに孵化し、10〜11月に成熟・交接して卵を生み、冬には死んでしまうので年1化。個体の寿命は1年ありません。最近は暖冬のせいか、稀に年を越す個体もいるようですが、それは例外です。

中途半端に張られたジョロウグモの網

上は、1週間ほど前に見かけたジョロウグモの網です。
ヨコ糸が周辺部にしか張られておらす、きれいな形をしているのは半面だけです。
これは、今日見かけた個体。

脚が3本欠損したジョロウグモ

脚が3本も欠損していて、痛々しい姿です。他のメスと争った結果でしょうか。
以前はジョロウグモをたくさん見かけたこの近辺でも、これ以外には1個体しか見かけませんでした。そろそろジョロウグモの出現期も終わりです。

こちらは、同じく今日みかけたのは、ゴミグモの幼体です。

ゴミグモ 幼体

夏に卵から出て、幼体のまま冬を越します。
すっかり寒くなってきたというのに、元気に網を張り、ゴミを貼り付けて作ったリボンの中に身を隠しています。このクモは来年の初夏には成体になります。

冬になると、生き物のシーズンが終わっていくように思えてしまうのですが、種類ごとにそれぞれのやり方でライフサイクルを回しています。

カテゴリー: 未分類, 生きもの・地形・地質 | タグ: , , , , | ジョロウグモもそろそろ終わり はコメントを受け付けていません