シマシマのしっぽが写っています・・

博物館周辺の樹林地にしかけてあるセンサーカメラ(赤外線感知式自動撮影カメラ)を随時チェックしています。哺乳類や鳥類の生息状況や、季節的な出現状況の変化を見るためなのですが、12月13日の撮影映像に写っていたのは・・。

センサーカメラに写ったアライグマ

シマシマのしっぽが特徴の特定外来生物、アライグマです。以前、一度だけチラッと写ったことがありましたが、今回は堂々とカメラの前でポーズを決めています。
写っているのは、最近ではこの1回だけなので、タヌキやアナグマ、ハクビシンのようにこの樹林に定着しているわけではなさそうですが、油断はできません。今後、撮影頻度が高まることがないか、用心深くチェックしていきたいと思います。

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ヤマガラの貯食

先週の写真ですが、博物館周辺の樹林地で、エゴノキにヤマガラが来ていました。種子をくわえて、なにやら行ったり来たり忙しそうです。

エゴノキの種子をくわえたヤマガラ

エゴノキの果皮(かひ)にはエゴサポニンという有毒成分が含まれているため、ほかの鳥はまず食べません。そのため、初秋に果実が熟してから、そのまま長く枝についていることがあり、ヤマガラは余裕をもってそういう木を訪れます。
ヤマガラはエゴノキの、熟して割れた果実から種子を取り出します。それを、とまりやすい横枝に運び、足で押さえてくちばしでつつきます。

両足でおさえてエゴノキの種子をつつき割る

そうして、中の胚乳(はいにゅう)を取り出して食べるのですが、結構な数の種子をその場で食べずに、樹皮の割れ目や洞(うろ)などに隠します。

木の洞に果実を詰め込んでいます

うまく隠せたようです。

この場所を憶えているかな?

地面付近に隠したり、何かの拍子に落ちたりして、それが発芽することもあれば、エゴノキにとってはしめたもの。
エゴノキのこうした種子散布戦略は、鳥散布型と呼ばれますが、「ヤマガラ散布」と呼んでも良いくらい、ヤマガラに特化したものと言えるでしょう。

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丹沢大山自然再生活動報告会

12月14日、藤沢市の日本大学生物資源科学部で2019年度丹沢大山自然再生活動報告会が行われました。
午前10時30分から開会。丹沢大山自然再生委員会の羽山伸一委員長による基調講演が行われました。

羽山委員長による基調講演

丹沢大山自然再生事業のこれまでの経過や、今後の課題や展望が概説されました。丹沢山域の北側の多くは、相模原市域が占めます。関東大震災をはじめ、度重なる自然災害によって山容が変わるほどの影響を受けてきましたが、今年も台風19号によって、特に北側山麓の相模原市域で数え切れないくらいの崩落や土砂流出が起きました。
当館の「学びの収穫祭」でも発表してくれた「あざおね社中」(麻布大学)が、ポスター発表によって山麓の被災の状況をお伝えしました。

あざおね社中によるポスター発表

報告会は午後5時までみっちりと続き、午後のシンポジウムでは具体的な再生事業の進行状況について議論が交わされました。
たくさんの人が丹沢への熱い思いを抱いて活動しています。
丹沢大山自然再生活動は、これからもそうした思いを引き受けながら続くことでしょう。

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冬はやっぱり、猛禽

12月11日、市内緑区の相模川へ調査に行きました。台風後の河川植生の状況を調べていたのですが、周辺の枝に止まっていた複数のツグミが突然、鋭い警戒音を出しました。そんな時は、きっと上空に猛禽類がいます。急いで望遠レンズを取り出して・・

ハイタカ(メス成鳥)

バッチリ、ハイタカの姿をとらえることができました。
さらに、歩きにくい丸石の河原を進んでいると、前方から大きな鳥が飛んできました。ミサゴです。

ミサゴ(メス成鳥)

低い位置を飛んできたので、目が合ってしまいました。威圧感がありますね。
さらに、中州の木から飛び立つ猛禽が。

ノスリ

ノスリです。対岸の山の紅葉を背景に上昇し、その後、天高く旋回していました。
ほんの1時間ほどの間に、3種類の猛禽類を見ることができました。冬はこうして開けた河原がすみかとなるためですが、出会うとやはり嬉しいですね。
さて、相模川の河原では、台風後の動物の生息状況にちょっとした変化が起きています。左岸側(東岸)では今までほとんど見ることのなかったイノシシの足跡がたくさん見られるようになりました。

イノシシの足跡

新旧の足跡が縦横についているので、どうやらこの河原に住みついたようです。食物探しの掘り返し跡も、あちらこちらにあります。イノシシの定着は、台風がきっかけかどうかはっきりしたことは言えませんが、今後の動向を注視したいと思います。
こちらは以前から確認されていますが、アライグマの足跡です。

アライグマの足跡

一部の保全圃場が流失したカワラノギクは、残った株がしっかり結実していました。

カワラノギクのタネの綿ぼうし

冠水によって、たっぷりと栄養分を含んだ土砂も堆積しているはずなので、来年以降はまた群落も回復することでしょう。

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日向ぼっこ

先日、よく晴れた日に市内中央区の道保川公園に行きました。11月からお天気が悪くて寒い日が続くせいか、晴れ間は鳥たちにとっても貴重なようです。数メートル先の地面にこんな格好のキジバトがいました。

羽を虫干しするキジバト

翼や尾羽を虫干ししているのです。
時折姿勢を変えて、直射日光が均一に当たるようにしていました。気付いてから10分ほどしたでしょうか。やおら立ち上がり、羽の間に空気を入れるようなしぐさをしました。

ゆっくりぶるるっと羽をふくらませました

そして、日だまりの余韻を楽しむように立ち去りました。

ハイごめんなすって!とでも言っているようです

日向ぼっこに殺虫効果があると、誰に教わったのだろう?遺伝的にすり込まれた情報なのか?いろいろ考えてしまうのですが、キジバトはこのような虫干しを頻繁に行います。ノンビリ休んでいるように見えますが、結構真剣な習慣の一つなのでしょう。

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今年はコナラが赤い

博物館のまわりの紅葉も終盤を迎えつつあります。
イチョウがそのフィナーレを飾りますが、幹線道路沿いのイチョウを見ていても、しっかり色づいた木と、あまり色づかないうちに落葉を始めている木があります。

イチョウの黄葉

博物館のそばのイチョウは黄金色です。
今年はコナラが朱色によく染まっています。

コナラの紅葉

コナラは、年によっては黄色いまま落葉することも多いのですが、今年はきれいです。先日、市内の別の場所に行ったら、イヌシデがきれいに赤く染まっていました。
落葉が進み、林内が開けてくると、次は霜柱の季節ですね。

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紅と白銀 箱根の野鳥観察会

11月29日(金)、箱根仙石原で行われた富士箱根伊豆国立公園「箱根地域自然に親しむ運動 箱根の冬鳥観察会」のお手伝いに行ってきました。前日まで1週間続いた雨天から、表裏をひっくり返したような快晴となりました。紅葉も真っ盛り。

イロハモミジの紅葉

どこを見てもこんな色合いが目に飛び込んでくる中、足もとの落ち葉には前夜の雪が残り、木々の枝についたキノコは霜をまとっています。

アラゲキクラゲの仲間?霜をまとったキノコ

参加者のみなさんの視線の先には・・

前夜、仙石原より上は雪でした

雪をかぶった冠ヶ岳(標高1,409メートル)。仙石原から見ると、左後ろから見た熊の大きな背中と頭のように見えることから「熊さん」と呼ばれ親しまれています。

背後(左側)から見た熊さん(冠ヶ岳) シロクマ?!

快晴で鳥たちの動きも活発でした。マヒワの群れが上空を飛び、シジュウカラを中心とした混群もあちらこちらで参加者を楽しませてくれました。
お昼のお弁当を食べながら上空を見ていたら・・

ハイタカの飛翔

ハイタカ(メス成鳥)が青空をバックに舞い上がります。最後は小さな点のようになって見失いましたが、どれくらいの高さまで上昇していったのでしょうか。
最後にはキャンプ場のイロハモミジの紅葉の中でエナガの群れを堪能しました(ガイドをしていたので写真はありませんが・・)。

紅葉の木漏れ日の中でエナガを観察

肉眼で見える距離で、枝にぶら下がったり、細い枝にとまって葉裏をつついたりと、あまりのかわいらしい動作で、参加者のみなさんの心を鷲づかみ(小鳥なのに・・)されてしまいました。
紅葉と白銀とかわいい野鳥たち。これ以上はないというシチュエーションの野鳥観察会となり、参加者のみなさんと箱根の晩秋を楽しむことができました。

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紅葉真っ盛り 雨上がりの仙洞寺山

11月27日、相模原市緑区の仙洞寺山へ相模原植物調査会のみなさんと植物調査へ行きました。林道沿いは先月の台風19号によりあちらこちらで崩落が起きました。比較写真が無いのでわかりにくいのですが、この場所は地形が大きく変わるような土砂崩れがありました。

この林道は台風の後、1週間ほどで復旧したそうです

それでも季節は進み、木々の紅葉が真っ盛りでした。尾根沿いに多いイヌブナが見事に色づいています。

イヌブナ

メグスリノキは、カエデ科なので紅葉もお見事。いくつか真っ赤に色づいている木もありましたが、こちらの大木はピークがもう少し先のようです。でも、雨上がりで霧がかかっていて、それが演出効果となって絶妙な色合いです。

メグスリノキ

こちらは紅葉ではありませんが、クサボタンの果実が雨に濡れ、綿毛がぴったりくっついて、いつもと雰囲気が違っていました。

クサボタン

台風19号の影響で延期になっていた調査だったのですが、ちょうど紅葉のタイミングに合い、雨もうまく上がって調査がはかどりました。

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室内でカレンダーにデコ!生きものミニサロン実施しました

11月23日、毎月第4土曜日恒例の生きものミニサロンを行いました。今回は外で落ち葉の観察をする予定でしたが、朝から雨模様だったため、室内に変更しました。
そこでテーマは「落ち葉でカレンダーをデコレーションしよう」と題し、事前に用意してあったいろいろな色と形の落ち葉を使って、カレンダーにデコレーションをしました。

いろいろな落ち葉を揃えました!

まずは、飾り付ける落ち葉選び。
そして、台紙に貼った12月と来年1月のカレンダーのまわりを、落ち葉でデコレーションします。

相談しながら作ります

斬新なデザインに挑戦!

自由な発想でつくったカレンダーは、みなさんそれぞれの個性が出ます。

落ち葉の中にいろいろな顔が見えます!

大好きなウルトラマンが落ち葉の中に!

きれいで楽しいカレンダー!

親子で作りながらああでもない、こうでもないと相談しながらの作業ですが、できあがってみると、やっぱり親子でも雰囲気の違うものができあがります。
そんな違いを実感しながらのミニサロン、できあがる作品を一つずつ見るのがとても楽しかったです。

個性がしっかり表現されています!

落ち葉のグラデーションが美しい作品になりました!

次回は12月21日(土)です。12月のみ第3土曜日の実施になりますのでご注意下さい!

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津久井城の発掘調査2019(その2)

津久井城の庭園跡周辺の発掘調査も2週間が過ぎ、今回の調査区の全体像が見えてきました。

調査区全体の状況(11月21日現在)

調査区を掘り下げていくと、砂利が敷かれた遺構が広がります。土をかき出して砂利敷き遺構をきれいに出すのに、細かい根気のいる発掘作業となりました。しゃがんだ姿勢での調査は、市民調査員の皆さんもだいぶ腰に悲鳴が・・・。

市民調査員の発掘調査状況

残り具合はそれほど良くはありませんが、縁石で囲われた砂利敷き遺構も検出されています。津久井城の中でもつくりが丁寧で、戦国の世に安らぎを与える特別な空間だったのかなと思いながら、私たちも丁寧に遺構を掘り出しています。

縁石で囲われた砂利敷き遺構

遺構面からは戦国時代の遺物もパラパラと出土しています。いずれも破片資料ですが、素焼きのかわらけ、擂鉢のほか、より高価な中国の染付である青花(せいか)も出土しています。

砂利敷き遺構から出土した中国の染付(青花)

全体が真っ白よりやや灰色がかり、淡い青色の呉須(ごす)で線描きされた磁器で、中国福建省南部で明時代に作られた漳州窯(しょうしゅうよう)の碗製品とみられます。

中国の染付①

中国の染付②

津久井城主内藤氏の居館跡とされる御屋敷曲輪(くるわ)でも出土しています。本城である小田原城など北条領国に特徴的に入ってくる貿易陶磁器で、戦国時代末の天正年間(1573~1592年)とされている資料です。この庭園空間が、北条氏が最も熟した頃に作られたものであり、市民調査員の皆さんは、「ここに姫がいたんじゃないか」などと思い思いに妄想を膨らませて調査に励んでいます。

※11月24日(日)午前10時~午後2時に現地での説明会を開催します(小雨決行・荒天中止)。場所は県立津久井湖城山公園里山広場。

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