ハクセキレイの闘争

先日、相模川で調査をしていたら、とまっていた自動車のまわりを、やけに執着した様子でハクセキレイが飛んでいました。

ガラスに映った自分へ闘争心を燃やすハクセキレイ

どうやら、ウインドウに映った自分の姿を、ライバルと勘違いして攻撃しているようです。

本人は必死です!

繁殖期でもないのになんのライバル?と思ってしまいますね。セキレイ類は繁殖期以外にも越冬期のなわばりを持つことが知られていて、なわばりの境界では小競り合いを繰り返します。河原でもよく、2羽、3羽で争って飛んでいるところを見かけます。
さて、ガラスに映った自分の姿へ攻撃しているところへ、本物のライバルが侵入してきました。

背後に迫る、本物のライバル・・

この後、2羽は飛び立ち、きりもみしたりしながらケンカしていました。自動車のガラス相手ではどこか戸惑ったような雰囲気でしたが、やはり生身の鳥同士は迫力ある争いに見えました。

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雪虫

今年、北海道では雪虫が大発生しているとニュースに流れました。雪虫は、アブラムシの仲間のうち、秋の終わりに発生した成虫が翅(はね)を持つ種類の総称です。北海道では雪の季節の訪れを告げる虫とされていますが、博物館周辺でもこの時期、朝や夕方に舞っています。手の上にのせてみました。

雪虫はアブラムシの仲間で、詳しい種類はよくわかりません

飛ぶのに役に立っているか邪魔なのかよくわからないモジャモジャが付いていて、これが飛んでいると青白く見える、不思議な色と形の虫です。

青白いモジャモジャはなんのため?

博物館は毎年、「学びの収穫祭」(今年は11月16日、17日)が終わると冬が来ると感じるのですが、西日を避けるように林の中を飛ぶ雪虫もまた、冬の訪れを感じさせる季節の風物です。

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たくさんの実りがありました!学びの収穫祭

11月16日と17日の二日間にわたって開催した今年の「学びの収穫祭」が無事に終了しました。
二日目の17日は、午前中から午後2時近くまで縄文研究会のワークショップ「勾玉ストラップづくり」、11時~12時まで「バードおじさんの環境マジックショー」が行われました。マジックショーは、生物多様性を中心に地球環境の問題などを考えながら進められたマジックショーでした。

木が倒れているようなカードに!

見ていた子どもさんにも参加していただきました

相模原市立博物館天文クラブの「昼間の星空観望会」は12時~13時に行われ、お天気に恵まれた今年はバッチリ金星を見ることができました。
特別展示室の学習資料展会場では、市民学芸員によるチャレンジ体験。学習資料展の会期中、2週間に1度行われるイベントなので、市民学芸員のみなさんも手慣れた様子で参加者を楽しませてくれていました。

チャレンジ体験コーナー

さらに14時~16時、五大陸考古学講座2「南アメリカ アンデス文明の深層を掘る~神殿、壁画、人々の住処」が行われ、たくさんの聴講者が講師の話に聞き入っていました。

たくさんの聴講者で埋まりました

そして閉館とともに今年の学びの収穫祭も、恒例のエントランスへの大移動。

ホワイエから1階エントランスへ大移動

安全第一で作業です

すでに暗くなったエントランスで学芸班総括からご挨拶。ボランティアさんたちのご協力のおかげで無事に終了しました!

みなさんの力で終了!

これから1月下旬まで、エントランスで展示発表が続きます。
博物館で活動する市民のパワーが結集し、今年もとても盛り上がり、そして実りの多い収穫祭となりました。ご参加いただいたみなさま、大変ありがとうございました。

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学びの収穫祭1日目終了!

11月16日、学びの収穫祭の1日目が終了しました。
東京工業大学附属科学技術高等学校科学部によるワークショップ「小惑星リュウグウのペーパークラフト体験」は、午前中からたくさんの方が訪れていました。

はやぶさ2をかぶってワークショップ

がんばって作ったリュウグウのクラフトを手に記念撮影!

浮いてる!?ペーパークラフト

せっかくなので、科学部のみなさんとも!

みんなで記念撮影!

ペーパークラフトを作りながらいろいろ学べるように工夫されていて、合間にも改善点を話合うなどレベルアップに努めていました。すばらしいですね。
博物館から一番近い高校である県立弥栄高等学校サイエンス部も、5本の発表を出展してくれました。

コアタイムにはしっかり解説

研究者の卵、というよりすでに研究者の風格が漂っていますね。
こちらは最年少の小学2年生の発表「ひいらぎのギザギザの葉と丸い葉の食痕にちがいはあるか」です。

小学2年生による堂々たる解説!

目的、方法、予想、結果、考察としっかり研究の体裁が整えられ、堂々と解説をしてくれました。
口頭発表会も熱心な議論が続き、実り多い発表会となりました。
そして、口頭発表会終了後は、発表者の情報交換会を行いました。

お茶とお菓子で歓談

さまざまな年代、活動領域のみなさんが、ざっくばらんに語らうようすは、このイベントの一番大切なところかもしれません。締めの記念撮影!

記念撮影

11月17日は二日目、縄文研究会のワークショップ「勾玉ストラップづくり」は午前中まで、相模原市立博物館天文クラブの「昼間の星空観望会」は12時~13時となります。また、11時~12時まで「バードおじさんの環境マジックショー」もあります。いずれも申込み不要です。そのほか、展示発表も16時30分まで引き続き行っています。
さらに14時~16時は、五大陸考古学講座「南アメリカ アンデス文明の深層を掘る~神殿、壁画、人々の住処」は事前申し込み制ですが、当日受付も行いますので、ご興味のある方はぜひご来場ください。

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学びの収穫祭、始まります!

11月15日、学びの収穫祭の前日です。15時にボランティアさんなど発表者が集まり、準備開始です!

準備作業は職員と発表者が共同で行います

展示ボード25枚と脚を地階へ運び、設営します。
さらに、それぞれの展示発表を列品。こちらは福の会の展示です。懐かしいレコード盤!当日は音も聴けるようです!

楽しそうな展示が準備されています!

口頭発表会の会場(大会議室)も準備万端です。

口頭発表は16日11時から

ひととおり設営が済み、最後は職員によるレジュメ集の印刷・製本です。

レジュメ集を製本中

今年は56頁!みなさんの活動成果が凝縮されたレジュメ集は来場された方に無料で配布されます。
学びの収穫祭は16日10時からスタートです。どなたにもお楽しみいただけるイベントがたくさん用意されていますので、ぜひお気軽にご来館ください!

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ワークショップやマジックショーも!今年の「学びの収穫祭」

いよいよ今週末(11月16日、17日)に迫った「学びの収穫祭」、今年も、どなたでも楽しめるイベントが用意されていますので、ご紹介します。
まずは毎年大人気の、縄文研究会によるワークショップです。

一昨年の縄文研ワークショップのようす

今年は「勾玉ストラップづくり」です!勾玉をデコレーションして、こんな素敵なマイ・勾玉を作れちゃう!

今年はかわいい勾玉ストラップが作れちゃう!

時間は16日(土)が10時~16時、17日(日)は10時~12時です。材料が無くなり次第終了となります!
そして、昨年も初参加ながら大車輪の活躍で盛り上げてくれた、東京工業大学附属科学技術高校科学部による「小惑星リュウグウのペーパークラフト製作体験」です。こちらは16日10時~15時(12時~13時を除く)です。

昨年の東工大附属科学技術高科学部によるワークショップ

小惑星探査機はやぶさ2が「リュウグウ」のサンプルを持ち帰る旅の途上にある中、ペーパークラフト製作体験をしながらこの壮大なプロジェクトについて学べます!
そしてこちらも毎年大好評の(そして、雲行きを心配しつつの)「昼間の星空観望会」。こちらは、相模原市立博物館天文クラブ(SMAC)が天体観測ドームで昼間見える星!を案内してくれます。

40センチ望遠鏡を使うと、昼間でも星が見える!

17日の12時~13時と時間が限られていますのでご注意ください。
さらに今年初めての試み「バードおじさんの環境マジックショー~生き物の大切さを知ろう」

バードおじさん

マジックを楽しみながら、生物多様性や環境問題について学べます!こちらは17日11時~12時です。
いずれも申込み不要です。どなたでもご参加いただける2日間のイベント、ぜひご来館ください!

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台風後のカワラノギク

相模川中流部を代表する絶滅危惧植物であるカワラノギク(絶滅危惧1B類)は、市内でも2カ所に大規模な保全圃場があります。先月の台風19号の増水により、多くの圃場が冠水(かんすい:増水した水をかぶること)しました。11月13日、その一つである緑区大島の圃場の状況を調査しました。
博物館が管理している圃場は写真のとおり、草本植物はすべてきれいさっぱり流失していました。

今年11月13日の河原のようす

下の写真は昨年7月に撮影したものです。カワラノギク以外の外来植物なども茂ってしまっていますが、カワラノギクが数十株生育していました。

昨年7月の同じ場所のようす

ただ、カワラノギクはもともと、数年おきに冠水するような河原に生育する植物です。新たに運ばれて堆積した砂礫には栄養分も多いので、来年、博物館で栽培している保存株の種子を蒔けば、元気に生育してくれるはずです。競争相手となるほかの植物の除去のためにも、こうした冠水は必要なのです。
少し下流側の、桂川・相模川流域協議会が管理している圃場は冠水が少なかったようで、残ったカワラノギクが元気に咲いていました。

カワラノギクの花

ただ、運ばれてきた砂が堆積していました。大きな丸石がごろごろしている場所が生育適地となるカワラノギクにとって、この砂は競争相手となる他の植物が元気に育ってしまうので、ちょっと困った存在です。

圃場は砂がたくさんかぶっていました

調査をしていたら、ひさしぶりの鳥の声を聞きました。冬鳥のツグミです。

ツグミ

渡ってきたばかりのようで、10数羽の群れで移動していました。
カワラノギクのそばに、カワラナデシコも1輪だけ咲いていました。

カワラナデシコ

ちょっと気になったのは、河原にたくさんのイノシシの足跡があったことです。

イノシシの足跡

先日も市内の相模川左岸(東岸)沿いで目撃情報があり、増水がきっかけになったのか、流路の形が変わって対岸から渡りやすくなったのか。掘り返し跡もいくつかあり、いついてしまうのかどうか、少し心配です。

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津久井城の発掘調査2019(その1)

今年も戦国時代の山城「津久井城」の発掘調査を開始しました。この調査は、市立博物館・市文化財保護課・県公園協会と市民ボランティア「津久井城市民調査グループ」との協働で行っているものですが、今年で早10年目。体力の衰えも正直感じる今日この頃ですが、津久井城の解明に向けて今年もスタートです。

調査地点

発掘調査は昨年度に引き続き、戦国時代の庭園遺構が確認された県立津久井湖城山公園内の里山広場です。池のある庭園を眺める建物を確認するのが今年の目的です。

昨年度の発掘調査区

昨年度は建物周辺に広がるとみられる砂利敷きや石敷きの遺構を確認したので、その隣(写真の上側に拡張)を発掘しています。

表土はミニミニユンボで掘削

11月7日から掘り始め、近現代の表土層はミニミニの重機と人力を併用しながら中世の面まで掘り下げます。深さにして80cm程あり、体力的にも一番“しんどい”のですが、掘っていると何やら大きな平たい面をもつ石が出てきました。

中世の地層から平たい石を検出

周辺からは戦国時代の武家儀礼でお酒を飲む時に使う「かわらけ」の破片も出土しています。みんなで色めき立ちました。

「礎石(そせき)建物の礎石かもしれない!」

石は城山の山石の砂岩(さがん)です。隣の八王子城では同じ様な石を使った立派な礎石建物跡が発見されています。

石の右側に黒い宝永火山灰が堆積

石はまだまだ下に続いているようです。石の右側には黒くてジャリジャリした地層がブロック状に溜まっています(写真ではぼんやりで見にくいですが)。これは宝永4年(1707年)に富士山が噴火して積もった宝永火山灰です。この石は、その頃まで地表面に表れていたのでしょうか。歴史を感じます。

石は礎石なのかどうか、城主内藤氏が庭園を眺望する礎石建物があったのかどうか、調査の本番はこれからです。乞うご期待!

※現地説明会は11月24日(日)午前10時~午後2時に開催します。

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いよいよ来週末!学びの収穫祭

今年も「学びの収穫祭」の季節がやってきました!
博物館を拠点に活動するボランティアグループや、学芸員が活動にコミットする学校の部活動や大学の研究など、さまざまな年代やグループのみなさんが、日頃の研究・活動成果を発表する場です。

今年のポスター

11月16日(土)、17日(日)の二日間にわたり、口頭発表会(16日)、展示発表会、ワークショップ、講演会など盛りだくさんです!

昨年の口頭発表のようす

プログラム(暫定版)はホームページに公開されています。
どなたでも参加できますので、ぜひお気軽にご来場ください。

昨年の展示発表のようす

今年はちょっと趣向を変えてこんなイベントも行います!

バードおじさん

「バードおじさんの環境マジックショー~私たちの暮らしと生き物とのつながり」
環境問題について考えるマジックやクイズを交えた、楽しいショーです。17日(日)11時から大会議室で行います。申込み不要ですので、こちらもぜひお誘い合わせの上ご来場ください!

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特定外来生物の野鳥

先週、博物館お隣の樹林地で、鳥類標識調査を実施しました。これは、標識調査の資格を持った人(バンダー)がカスミ網で野鳥を捕獲し、足環(あしわ)を付けて放鳥するものです。その足環が今後、どこかで回収されると、その野鳥の移動や生きた年月が明らかになるもので、環境省が山階鳥類研究所に委託して行う専門的な調査です。

足環が付けられたシジュウカラ

その調査の中で、こんな鳥が捕獲されました。ソウシチョウです。

ソウシチョウ

とても美しい鳥ですが、じつはこの鳥は外来種。しかも、在来の生態系に大きな影響を及ぼす可能性があることから、法律で特定外来生物に指定されています。
ちょうど同じタイミングで、もう1種類の特定外来生物も捕獲されました。

ソウシチョウ(左)とガビチョウ(右)

右がガビチョウです。どちらも飼育されていたものが逃げたか、あるいは意図的に放されたと考えられています。
特定外来生物といっても、彼らに悪意があってこの樹林にいるわけではありません。人間の身勝手な行為によって、本来の生息地ではない場所で生きていかざるをえないのです。
間近で見ていると、私たち人間の業というか、罪というか、そんなものを突きつけられている気分になりました。

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