ベッコウハゴロモ

7月17日、博物館のクワの木を剪定しました。来年のカイコの飼育のために、2年枝(前年に伸びた枝)についた、状態の良い葉をたくさん茂らせるためです。今のうちに剪定しておけば、今年中にまた条(枝)をたくさん伸ばしてくれるでしょう。そんな作業を汗だくでやっていると、近くのエノキの葉の上に、こんな虫が乗っていました。

ベッコウハゴロモの幼虫 この写真の撮影時には、エノキではなく近くの草に移っていました

ベッコウハゴロモの幼虫のようです。おしりに、扇を広げたような黄色っぽいふさふさを付けています。これは、蝋(ろう)状の物質を排泄し、それがこのような形になってついているそうです。おそらく、身を守るためのものだと思われますが・・いったいこれで本当に守れるのか不思議です。
ハゴロモ類は、大きく分けてセミに近い仲間なので顔つきもなんとなくセミに似ていますが・・

ユーモラスな顔をしています。眼の部分に縞模様があり、これと黒い点が瞳に見えるので、ちょっと困った顔つきに見えますね。黒い点は偽瞳孔(ぎどうこう)と言って、複眼の一部が影になって黒く見えているだけなので、実際は困っているわけでもしょんぼりしているわけでもありません。
博物館の敷地内ではすでにニイニイゼミがたくさん鳴いていますが、この日はミンミンゼミの鳴き声を今年初めて聴きました。夏本番ですね。
(生物担当学芸員)

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【歴史講演会】横山党の伝承地めぐり@相原公民館

7月6日(土)、相原公民館で開催された歴史講演会「相原の歴史を知る」の講師を務めました。
相原の歴史をさぐる会と相原公民館の共催によるこの歴史講演会は、本年度2回開催を予定しているそうで、そのうちの1回目の講師を当館学芸員にご依頼いただきました。

今回は先方たっての希望により、平安時代末~鎌倉時代初め頃に相模原市域に進出し、活躍した武士団「横山党」をメインテーマとして、副題に「“おもに”相模原市内の横山党伝承地めぐり」と付けました。

約800~900年前に市域で勢力を拡大した武士団「横山党」がテーマです。

何故「おもに」かというと、横山党の根拠地は八王子市元横山町とされており、相模原市域で勢力を拡げた頃には、近隣の他の地域にも進出しています。せっかくの機会なので、今日にも残る横山党伝承地について、お隣の町田市や上野原市なども合わせて紹介しようという目論見です。

市内外12か所の横山党および関連深い人物の伝承地を紹介しました。

また、令和4(2022)年のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」に主要人物の1人として登場し、横山党粟飯原(あいはら)氏の娘を妻とした和田義盛(わだ よしもり)も関連深い人物として紹介しました。市内中央区上溝には、和田義盛ゆかりの地として「和田坂」・「藤橋」にその名を残しています。

「和田坂」(市内中央区上溝)

「藤橋」(市内中央区上溝)

伝承地紹介では、ご興味を持たれた方が実際に現地を探訪できるよう、各伝承地の概説とともに、写真や近隣マップを掲載しました。その甲斐あってか、講演後に相原の歴史を探る会会員の方から「とてもわかりやすい資料で、実際に自分でも足を運んでみたいと思った!」と、うれしいご感想をいただきました。

84名にご参加いただきました!会場は満員状態です。

当日は、当初の想定を大きく上回る84名にご参加いただきました。小学生からご高齢の方まで幅広い年代が市内外からお越しになり、歴史に関心を持つ多くの方との素晴らしい交流の機会となりました。

ところで、日本気象協会が先日発表した予想によると、関東地方の梅雨明けは平年並みで7月21日頃になる見込みとのこと。ただし、夏のお出かけは熱中症対策を万全に、くれぐれも無理せず行ってください。

(歴史担当学芸員)

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今期のカイコ飼育、終了!

7月13日、前日までに羽化したオスに続いて、メスが羽化しました。メスはオスよりも一回り大きく、お腹にたくさんの卵を持っています。

カイコガ(メス) 7月13日羽化

そして、腹部の先から誘引腺を出し、オスを呼ぶフェロモンを漂わせます。

フェロモンを出す誘引腺

オスは触覚でそのフェロモンを感じ取り、メスの方へと引き寄せられ、交尾します。その様子を動画に撮影したのでご覧ください。

半日ほどこのまま交尾させ、引き離してメスを「たね紙(卵を産ませる紙)」の上に乗せると、さらに半日ほどしてから産卵を開始します。そうして産卵が終わったたね紙はこのとおり。

1頭のメスが産んだ卵 白い染みは、成虫の尿(上から口の丸いビンをかぶせて、丸く産ませています)

約500個の卵を産みました。
これで、今期のカイコの飼育は終了となります。カイコの成虫には口が無いので、飲むことも食べることもできません。このまま10日から2週間ほどで静かに一生を終えます。

ところで、幼虫の飼育中に、クワの木についているクワコを見つけました。カイコと祖先を同じくする野生の蛾です。それをカイコと同じように育てていたのですが、クワコも7月17日に羽化していました。

クワコの成虫 手前は繭

カイコと比べて野性味があり、シャープで美しい蛾です。

カイコとまた違った美しさがあります

こちらもせっかくなので、飼育展示に出しています。

成虫の飼育展示の様子

飼育展示は今週いっぱい継続しますので、ご来館の際にはぜひ、カイコガとクワコをご覧ください。
(生物担当学芸員)

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博物館でWe are DYNABOARS!を収録

7月13日、入り口の小惑星探査機はやぶさ(初号機)実物大モデルの前に、がっちりした体格の若者2人がMCの女性とカメラに囲まれていました。

はやぶさの前で

若者は、地元のラグビーチームで国内最高峰リーグ、リーグワン・ディヴィジョン1に所属する三菱重工相模原ダイナボアーズ石井 智亮選手と、坂本 侑翼選手です。そして、MCはフリーアナウンサーの長沢裕さんです。今回、J:COMチャンネルの番組「We are DYNABOARS!」の収録が博物館で行われたのです。

左から長沢さん、坂本選手、石井選手

石井選手は川崎市の出身で、スクラム最前列のプロップで体を張っています。坂本選手はフランカーで、鬼のタックラーとして全国的な人気を誇る選手です。
そんなトップレベルのラガーマンですが、この日はリラックスした様子でロケに臨んでいます。お互いのことをクイズにして当て合う丸バツクイズや・・

普段から仲良しというお二人が、お互いのマイブームなどを当てるクイズに挑戦

当館ミュージアムショップでご購入いただいた宇宙食の試食・・

2階休憩室で収録 専属の管理栄養士さんも交えて

最後に、前庭で来季への決意(ここはアスリートの顔でした!)と、番組の決めポーズで収録を終了しました。

決めポーズ!

放映はJ:COMチャンネルで8月から放映されます。ダイナボアーズのサイトからも視聴できますので、ぜひご覧ください。
(生物担当学芸員)

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7月12日 カイコ43日目 成虫に羽化しました!

6月30日に給桑を開始してから43日目の7月12日朝、乾燥させずに生かしておいた繭から、成虫が2頭羽化しました。
カイコガは、翅(はね)はありますが、飛べません。指に載せると、じっとおとなしくとまっています。

手乗りカイコ

手乗りカイコ、モフモフでとってもかわいいですね。
さらに、触覚を時折“くしくし”してお掃除します。羽化したのはオスだったこともあり、メスが出すフェロモンを感じ取る大切な場所なので、こうしてお掃除するのです。映像を撮ったのでご覧ください。

そして、カイコガは食べるための口が無いため、成虫になると何も食べず、飲むこともできません。交尾、産卵をして10日ほどで衰弱死していきます。
はかない成虫期間、来館された方に見ていただくため、成虫も飼育展示に出しました。

1階休憩コーナー付近に展示しています

食品カップに入った状態ですが、じっくりご覧いただけます。

出てきた繭にじっとつかまっています。メスのフェロモンを感じると翅をふるわせて動き回ります

成虫の展示は来週中頃までくらいとなります。お見逃しなく!
(生物担当学芸員)

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【新規収蔵資料展】おかげさまで好評のうちに終了しました。

6月30日(日)、当館特別展示室で開催していたミニ企画展「相模原に生まれた偉人 尾崎行雄(咢堂)新規収蔵資料展」が無事に最終日を迎えました。

会期中の展示導入部

会期中は5,000人近くの方がご来場され、郷土の偉人・尾崎行雄ゆかりの新規収蔵資料を多くの方にご覧いただけたことを大変うれしく思います。会場に設置した桜のメッセージボード「みんなで咢堂桜を咲かせよう!」にも、“尾崎の功績を知ることができてよかった”、“アメリカにも桜を贈って広めてくれてありがとう!”といった、素敵なメッセージをたくさんいただきました。

たくさんのメッセージで満開になりました✿

展示が始まればいずれ終わりもやってくる、ということで、7月2日(火)に展示の撤収作業を行いました。
壁に打ち付けたパネルは取り残しがないよう1つずつ虫ピンを外し、ケース内に収められていた資料も丁寧に梱包をしたうえで収蔵庫に戻します。

“咢堂桜”のメッセージボードを丁寧に外しています。

数か月前から準備を行い、数日がかりで設営した展示でしたが、撤収は午前中のうちに完了してしまいました。展示撤収の際に毎回感じることではありますが、資料やパネルがなくなってガランとした展示室を見ると、やはり少し寂しい気持ちになります。

展示中

撤収時

しかし、ひとつ終われば新たな展示もやってくる、ということで、7月13日(土)から民俗企画展「上溝番田の神代神楽」が始まります。この企画展では、市内中央区の上溝番田で長きにわたり神代神楽の元締を務めた亀山家から、令和4(2022)年の保存会解散に伴って当館へ寄贈された神楽道具等をお披露目します。

民俗企画展「上溝番田の神代神楽」

現在、館内では企画展の開催に向け、日々着々と準備が進められています。この日は見ごたえ満点、ダイナミックな「幕」の設営を行いました。このほか、神楽面や衣装、書状等の様々な資料を展示する予定です。どうぞお楽しみに!

作業している職員から、幕の大きさが分かります!

また、会期初日には企画展関連イベントとして、「プラネタリウムで神楽『神話からみる神々の世界』」を開催します。

プラネタリウムで神楽「神話から見る神々の世界」

プラネタリウムドーム内に映し出される満天の星空と、深遠なる神々の世界を表現した神楽の協演をお楽しみいただけます。詳細はこちらをご確認ください。

(歴史担当学芸員)

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ヤマユリ開花

博物館前庭に植えられているヤマユリは、毎年盛大に開花してくれていますが、7月11日、今年も最初の1輪が咲きました。

最初に咲いた1輪

咲いたのは2株あるうちの小さい方の株で、人の背丈を優に超えて伸びている大きな方の株はまだ咲いていません。こちらのつぼみの数は、11個!

11個のつぼみが順次、開花を控えています

この大きな方の株が咲きだすと、あたりに甘いユリの香りが漂います。大きな株も今週末には数輪咲きそうです。花は来週いっぱいくらいまではたっぷり楽しめますので、ご来館の際にはぜひご覧ください。歩道に面した博物館の看板の裏手付近に咲いています。
(生物担当学芸員)

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クビアカツヤカミキリの緊急調査

クビアカツヤカミキリは、幼虫がサクラやモモなどの木の幹を食害し甚大な被害を与えることが問題になっている外来種のカミキリムシです。
神奈川県内では2021年に初めて確認された種ですが、この7月2日についに相模原市内でも発見されました。
外来種対策は初動がたいへん重要で、侵入初期にきちんと発見・対策することにより個体数の急激な増加を抑制することも可能と考えられます。
そのため、博物館から近い淵野辺公園や鹿沼公園、周辺の街路樹等を回り、このカミキリムシの餌となるサクラの木を確認しながら発生状況調査を行いました。

サクラが多く植えられている市内の公園

成虫がいないか、さらに、木の中にいる幼虫が排出するおがくず状の「フラス」がないか、木を1本1本確かめます。
途中、ひやりとする場面も。

大量の「フラス」を発見!

上の写真の「フラス」については、おそらく別の在来種のカミキリムシによるものです。

キマダラカメムシ

サクラの樹幹を見ているとよく出会うのが、こちらも外来生物であるキマダラカメムシ。ただし、こちらはサクラに対して重大な被害は与えないようです。

調査の結果、少なくとも博物館の周辺ではクビアカツヤカミキリとその被害木は確認されませんでした。

クビアカツヤカミキリに関する市の発表(PDF直リンク)にあるとおり、今回は発見場所の周辺で追加個体等の確認がされていません。そのため、車両等に便乗して移動してきた個体が偶然発見された可能性もあります。
ただし、外来生物の侵入当初は個体数の密度が低く発見がしづらいことから、今後も注意深くモニタリングを実施しようと考えています。

(動物担当学芸員)

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モグラが潜るスピード

6月29日、動物担当の学芸員が通勤時に博物館駐車場でアズマモグラを拾いました。
自動車の出入りがある駐車場内にいては危ないため、一時保護しました。

たらいの中でおとなしくしているアズマモグラ

生きているモグラをじかに観察する機会はそう多くないので、大きめのたらいに入れてしばらく観察しました。改めて見ても、手が大きいことがわかります。

手と爪の大きさに注目

そして、安全な場所へ放そうと、土の地面へ置いた時の映像がこちらです。土の中へ潜るスピードがあまりにも速く、見ていた全員から驚きの声があがりました。

 

この地面はふだん、シートが敷かれていて草が生えていないのですが、踏みつけによってそれなりに土は固くしまっています。そこを、こんなスピードで走るように潜っていくとは!改めて、モグラが地中生活を送る野生動物であることを見せつけられた瞬間でした。
(生物担当学芸員)

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中央支援学校の児童と自然観察

5月24日、博物館にとても近い場所にある神奈川県立相模原中央支援学校小学部から、お二人の児童が来館されました。ともに視覚障害教育部門に在籍されています。自然観察は、視覚だけで行うものではなく、むしろ他の感覚を駆使するほど楽しく、深くなります。今回は、主に触覚で生きものを観察することにしました。まずは、博物館の前庭で、いろいろな葉を触ってみました。

お天気にも恵まれたので、前庭で葉の感触を確かめました

始めはちょっとおそるおそるでしたが、慣れてくると、つるつる、ざらざら、ふかふかなど、率直な感想を聞かせてくれました。表面だけでなく、葉の縁のギザギザなども確認できました。

お気に入りの葉っぱも見つけられたようです

いろいろな葉を触って違いを確認した後は、館内に入り、動物の観察です。今回は以前、観覧者が自由に触れるように作成したヤマドリとカルガモのはく製、そしてタヌキのはく製を触ってもらいました。

ヤマドリのはく製を隅から隅まで触ってもらいました

初めて触れる鳥や哺乳類のはく製に、児童のみなさんもちょっと興奮気味でした。

タヌキの毛並み、とても気持ちよかったそうです

ヤマドリとカルガモの足指の違いも正確にとらえてくれました。

ヤマドリとカルガモの足指の違いを確認

今回は理科の授業でしたが、博物館資料を使ったこうした授業は社会科や国語など他の教科でも実施できるはずです。今後も視覚障害教育部門のスタッフのみなさん、児童のみなさんと連携しながら可能性を広げて行きたいと思います。
(生物担当学芸員)

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