セミの羽化の観察会

8月3日(土)の夜、市内南区の麻溝公園で大野南公民館主催のセミの羽化観察会が行われ、お手伝いをしてきました。
集合前、ニイニイゼミがいたので参加者のみなさんに観察してもらうために、ちょっと失礼して捕まえました。

ニイニイゼミ

あたりがまだ明るい午後6時にスタートして、まずは抜け殻探しをしました。みなさんで見つけた抜け殻を持ち寄り、用意したテキストを使って種類調べに取り組みます。アブラゼミ、ミンミンゼミ、ヒグラシ、ニイニイゼミの抜け殻が見つかりました。例年、圧倒的にアブラゼミが多いのに、今年はミンミンゼミが多めなのが特徴です。
続いて3班に分かれて羽化の観察。

観察を始めてすぐに羽化途中のアブラゼミを見つけました!

今年はセミが少ない、鳴き始めが遅いという声をよく聞きますが、その分、このタイミングでたくさんのセミが羽化をしているようで、3班それぞれが羽化直前の幼虫をたくさん見つけられました。

重力を使って抜け出します

はじめ半身だけ出ていたアブラゼミが、だんだんと腹の先を残してつり下がった状態まで羽化が進みます。
「落ちそう、大丈夫かな?」と心配の声が上がりましたが、大丈夫です。腹筋運動のように上体を持ち上げて、足でつかまり懸垂姿勢になります。

落ちちゃわないかな・・と心配の声が・・

すると、見る見るうちに翅(はね)が伸びてきます。

はじめしわくちゃに縮んでいた翅は、見る見るきれいに伸びました

思いがけないそのスピードに歓声が上がりました。
図鑑やテレビなどで見て、頭の中でわかっているセミの羽化ですが、実物を見ると感動の大きさが違います。
セミのほかにも、コウモリ探知機(バットディテクター)を使って飛んでいるコウモリの超音波(を可聴域に変換した音)を聴いたりして、夏の夕闇を楽しみました。参加者の小学生のみなさん、夏休みの宿題が一つ、完成が見えたようです。帰りがけの充実した表情が印象的でした。

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8/3にミニ展示「戦国大名 北条早雲と相模原」の展示解説を開催!

8/3(土)の午後1時から現在開催中のミニ展示「戦国大名 北条早雲と相模原」の展示解説を行いました。

ミニ展「北条早雲と相模原 展示解説」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今回はミニ展示の展示解説としては非常に参加者が多く、定員いっぱいの20名の戦国ファン?の参加がありました。中には博物館の人文系イベントには参加が少ない中・高生などの参加もあり、幅広い年代の方に解説を聞いていただくことができました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

実は今回のミニ展示で紹介している史料は、北条早雲の制札(複製)しかありません。

北条早雲の制札(複製)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、この制札が物語る歴史的背景は重要で、今回の展示解説では、説明パネルで表しきれないお話を多くさせていただきました。戦国時代の相模原について、参加者の多くの方に、より関心を深めてもらえたと思います。

このミニ展示は9月1日(日)まで開催しています。8月31日(土)13時からもう一度展示解説を行います。

また、北条早雲関連の探訪会(9/8)や連続講演会(9/22、10/6、11/10)も開催を予定していますので、詳しくは「広報さがみはら」(開催日の約1ヶ月~3週間前頃に掲載)や博物館ホームページをご覧ください。

 

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ミニ展示「戦国大名 北条早雲と相模原」を開催中です!

8月1日(木)よりミニ展示「戦国大名 北条早雲と相模原」を開催中です。

小田原駅西口に建つ北条早雲像

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦国大名として名高い北条早雲と相模原に関係なんてあるの?と思われる方も多いかもしれませんが、実は北条早雲直筆の史料が市内南区当麻の無量光寺に残されています。その北条早雲は今年でちょうど没後500年となることにちなみ、今回ミニ展示を開催しました。

ミニ展 北条早雲

今回展示しているのは、永正9年(1512)に北条早雲が当麻での自軍の乱暴狼藉の禁止を保障した制札(複製)です。この史料から当麻がこの時に北条氏の勢力下になったことがわかります。つまり、戦国時代の相模原の様子をうかがえる貴重な史料です。

北条早雲の制札(複製)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その他、今回の展示ではこの制札が出された頃の相模原周辺の様子に関するパネルや、永正15年(1518)に当麻に出されたもう一つの北条早雲の制札を写真パネルで紹介しています。

 


 

 

 

 

 

 

今回のミニ展示は9月1日(日)まで開催しています。また、8月3日(土)と8月31日(土)の午後1時からは、担当学芸員による展示解説を行います。

暑い日が続いておりますので、涼しい博物館にぜひご来館いただき、ついでに戦国時代の相模原について少し触れてみてはいかがでしょう。

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歩くモジャモジャ

博物館の前庭で、植物の上をちょこまかと動き回る直径5mmくらいの白い物体を発見しました。

葉の上で白いものが動いています

横から見たところ

良く見ると、ちょっとモジャモジャしていて、アオバハゴロモの幼虫と感じが似ています。
ただ、アオバハゴロモの幼虫が動かないのに対して、こちらは実に良く動きます。
正体を確認するため、捕獲してきてモジャモジャを拭き取ってみました。

モジャモジャの中身

ちょっと怖い顔の虫が出てきました。
ウスバカゲロウの幼虫です。
この仲間はアブラムシやハゴロモの幼虫などを食べますが、いくつかの種類は食べかすを自分の背中に載せる習性があります。
この辺りにはアオバハゴロモがたくさんいますので、おそらくあのモジャモジャはもともとアオバハゴロモの体についていたものだと思われます。
一見ユーモラスな歩くモジャモジャですが、実はどう猛なハンターだとは、外見
だけではわからないものですね。

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蝿毒草

生物学では、種名は通常カタカナで表記します。漢字の方が意味が分かりやすいし読みやすい、とも言われますが、漢字には複数の読み方があり混乱しやすいことと、読みが先で漢字は後から充てたものがほとんどなので、漢字の表記そのものが揺らぎます。そのため、カタカナで書くのが通例となっています。
ただ、この植物について言えば、揺らぎようのない読みと漢字、そして意味と言えます。

ハエドクソウ

ハエドクソウ(蝿毒草)です。花が小さくてあまり目立ちませんが、拡大するとなかなかの造形です。

ハエドクソウの花のアップ

かつて、この植物の根を煮詰めた汁を使ってハエ取り紙を作ったことからこの名があるそうです。今はそうした利用はほぼ無くなっていますが、ハエドクソウは博物館のまわりの樹林でもたくさん咲いています。
じつはこのハエドクソウ、とてもよく似た紛らわしい植物があります。ナガバハエドクソウと言って、ごく近い仲間なのですが、花が少しだけ違います。

ナガバハエドクソウの花のアップ(上唇弁はうさぎの耳型)

上の写真はナガバハエドクソウの花で、上唇弁(じょうしんべん:上側の花弁)がウサギの耳のように2つに割れています。ハエドクソウの花のアップ(上から2枚目)と比べると、ハエドクソウは4つに割れているように見えます。たったこれだけの違いなのですが、植物の世界では大きな違いです。さらに、この2種は花の時期が3週間ほど違い、ナガバハエドクソウの方が早く咲きます。他にも、葉のつきかたや葉の付け根の形などもちょっと違いますが、上唇弁ほどはっきりとした違いではありません。
と・・思っていたのですが、実は先日の陣馬山の調査で・・

どちらか迷う、ハエドクソウの花

どっちともつかない花があったのです。ちょうど花期がオーバーラップしていて、どちらも咲いていたのですが、上の写真の花はナガバハエドクソウとハエドクソウの中間的な形です。葉など他の特徴がハエドクソウ的だったのでハエドクソウとしましたが、ちょっとスッキリしませんね。
でも、こんな「図鑑が通用しない」個体がいるのは野生生物の世界ではあたりまえですし、そこがおもしろいところなのです。

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セミはあまりいなかったけど・・生きものミニサロン実施しました!

7月27日、生きものミニサロン「セミの抜け殻、見つかるかな?」を実施しました。
今年はセミの発生がとても遅く、博物館の周りではやっとニイニイゼミ、ミンミンゼミ、ヒグラシが鳴き始めました。ニイニイゼミの声のする中、参加者全員で探しました。

みんなで虫除けをつけて、森の中へ!

しかし、まだ出始めのこの時期は抜け殻がなかなか見つからず・・。結局、下見の時に見つけたニイニイゼミの抜け殻一つだけでした。

下見で見つけたニイニイゼミの抜け殻

それをじっくりと観察して、あとは、先日このブログでも紹介したアオバハゴロモの観察に方向転換。

ちっちゃい抜け殻!

白いモジャモジャの幼虫と、そばにいた成虫をじっくり見ました。茎に止まっている成虫は、手を近づけると横歩きで反対側へ移動します。そんなちょっとした行動も自分でやってみると楽しい!

アオバハゴロモの成虫に手を近づけて・・

さらに、クズの葉にとまるマメコガネも観察。赤茶色と緑の光沢が美しい甲虫です。

マメコガネ

この虫は手を近づけると、後ろ足をピンッと伸ばします。これもやってみるとおもしろい!

手を近づけると、なぜか後ろ足をピンッ

こんなふうに今回もゆるく楽しく、生きもの探しをしました。
次回は8月24日(土)で、博物館実習の大学生と一緒に実施するため、12時からと14時50分からの2回行います。お申し込み不要なので、お気軽にご参加ください。

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真夏の植物調査

7月25日、博物館を拠点に活動するボランティアグループである相模原植物調査会のみなさんと、緑区の陣馬山へ植物調査に行きました。天気図の上ではもう梅雨が明けた状態なので、猛暑を覚悟して山道を登りました。

風は気持ち良かったけど、やっぱり暑かった・・

風が吹くと気持ち良いけれど、やっぱり暑さに耐えながらの山歩きになりました。調査はこの地域に生息すると言われている希少種を探すのが目的でしたが、残念ながらその植物は見つかりませんでした。実は過去に何度も調べているのですが見つからず、少し早めの季節にと考えてこの時期に登ったのですが・・目的は達せられませんでしたが、ほかにもたくさんの植物が花を咲かせていました。こちらは、チダケサシです。淡いピンクがとてもきれいでした。

チダケサシ

こちらはカセンソウです。かつてカヤ場となっていたススキ原に多く見られた花ですが、現在ではちょっと珍しい植物になってしまいました。オオマルハナバチが一所懸命に花粉を集めています。

カセンソウとオオマルハナバチ

ウツボグサはちょうど見ごろで、あちこちに咲いていました。

ウツボグサ

こちらは色合いは地味ですが、素晴らしい造形美のオオバノトンボソウです。花の形を飛翔するトンボに見立てているのですが、個人的にはハダカカメガイ(クリオネ)の泳ぐ姿を思い出してしまいます。

オオバノトンボソウ

山頂の草原では、キアゲハが交尾していました。

キアゲハの交尾

このあと、明王峠まで足を延ばして山頂へ戻ると、遠くから雷鳴が・・。慌てて下山して事なきを得ました。

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今週末は生きものミニサロン!セミの抜け殻、見つかるかな?

今週土曜日(7月27日)は、毎月第四土曜日恒例の生きものミニサロンを実施します。
今回のテーマは、「セミの抜け殻、見つかるかな?」と題して、みんなでセミの抜け殻探しをします。

ヒグラシの抜け殻

「え?そんなの簡単すぎない?」という声が聞こえてきそうです。でも今年はまだセミの声が少ないと思いませんか?梅雨の間、気温の低い日が続き、ようやく今週から晴れて気温が高くなってきました。博物館周辺ではやっとニイニイゼミがちょっとだけ鳴き、7月24日、ミンミンゼミも鳴き始めました。
アブラゼミの最盛期なら、抜け殻は簡単に見つかります。でも、このタイミングだとちょっと難しいかも。そして、こんな抜け殻も探してみましょう。

ニイニイゼミの抜け殻

ニイニイゼミの抜け殻です。地面に近いところで脱皮するので、見つけるのは結構大変です。こんなふうに、ミニサロンでアブラゼミ以外の抜け殻探しにチャレンジしてみましょう。
そして、博物館お隣の樹林地では先日もブログでご紹介したこんな虫がたくさん見られます。

茎にくっつく白いモジャモジャ

こちらもセミに近い仲間なので、じっくり観察してみましょう。
7月27日(土)12時から、お申し込み不要ですのでお気軽にご参加ください。

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コガタコガネグモの「X」

円網(えんもう)を張るクモの中には、網に「隠れ帯」または「白帯(はくたい)」と呼ばれる装飾をつけるものがいます。コガネグモ類はその代表格ですが、今朝、コガタコガネグモがあまりにも見事な隠れ帯をつけているのを見かけて、思わず写真を撮りました。

X字型の隠れ帯をつけたコガタコガネグモの網

くっきりとしたX字型の装飾で、その形から「英字グモ」と呼んでいた地方もあるという話もうなずけます。
「英字グモ」の語源にはもう一つ説があって、隠れ帯がジグザクに見えるのを、英文の筆記体に例えたとも言われています。

ジグザク模様が見える隠れ帯

こんな感じですが、筆記体に見えるでしょうか。

隠れ帯をつけていない個体

隠れ帯をまったくつけていない事もあります。

幼体と隠れ帯

幼体の頃は、このように不規則で面的な付け方をします。これだと、文字というより、落書きみたいです。
隠れ帯をつける理由については「網を安定させるため」「餌を誘引するため」「鳥が網に衝突するのを防ぐため」という説がありますが、どれが正しいか決着はついていないようです。もしかしたら、いくつかの機能をあわせ持っているのかも知れません。

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一人たたずむ白いモジャモジャ

午後から強い日差しが照りつける7月23日。天気図を見ると、関東地方は一両日中に梅雨明けが発表されそうです。
さて、お隣の樹林地の柵の上に、白いものがぽつんとたたずんでいました。

1匹で目立っています!

一見、虫には見えないのですが、よーく見ると、足や目があるのがわかります(写真の左側が頭)。これはアオバハゴロモの幼虫で、ふだんはこんなふうに1匹でいることはありません。

ふだんはこんなふうにかたまって過ごします(数日前の写真)

このように、クズなどの植物の茎にかたまっています。白いモジャモジャは、おしりから出すロウ状の物質だそうです。
脱皮が近いのか、モジャモジャも少なめです。それにしても、あまりにも目立って無防備ですね。
羽化するとこんな姿になります。

アオバハゴロモの成虫

梅雨明けとともに、成虫もたくさん見られるようになるでしょう。

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