今年も地質学講座が始まりました。
今年のタイトルは「相模野台地の地形と地質」です。相模野台地をテーマに地質学講座を実施するのは久しぶりです。前回、約10年前は火山灰の地層を中心に解説しましたが、今回は細かい地形にも目を向けていきます。
初回と4回目は博物館での講義、2回目と3回目は野外に出かけて地形と地質を観察します。
5月11日の初日は、博物館で日程の説明や基本的な事項の解説を行いました。
次回、5月25日は野外での観察会です。良い天気になってほしいです。
今年も地質学講座が始まりました。
今年のタイトルは「相模野台地の地形と地質」です。相模野台地をテーマに地質学講座を実施するのは久しぶりです。前回、約10年前は火山灰の地層を中心に解説しましたが、今回は細かい地形にも目を向けていきます。
初回と4回目は博物館での講義、2回目と3回目は野外に出かけて地形と地質を観察します。
5月11日の初日は、博物館で日程の説明や基本的な事項の解説を行いました。
次回、5月25日は野外での観察会です。良い天気になってほしいです。
5月8日に山梨県都留市の柄杓流川(しゃくながれがわ)で富士相模川泥流堆積物の調査を行いました。
泥流というのは、通常の洪水よりも含まれる泥の割合が多く、1メートルを超えるような巨石も運ぶことができます。富士相模川泥流は、今から約2万年前に起きた大泥流で、相模川の下流まで流れ下りました。相模原市内でも富士相模川泥流の堆積物の地層が見られ、博物館の展示室にはその模型が展示してあります。
今回は都留市の太郎・次郎滝付近で富士相模川泥流堆積物の調査を行いました。
太郎・次郎滝。柄杓流川右岸の切り立った崖の上から勢いよく水が流れ落ちています。この崖に見られるのが富士相模川泥流堆積物です。
柄杓流川で見られる富士相模川泥流堆積物。泥や砂、礫(れき)など何層にも積み重なっています。
都留市の田んぼの中にある数メートルもある巨石。「おいしがね」と呼ばれています。富士相模川泥流によって運ばれてきたと考えられます(諸説あります)。
富士相模川泥流堆積物の上に富士山から流れ出した溶岩が積み重なっています。溶岩と富士相模川泥流堆積物の間から水が湧き出しているところもあります。
ここでは水の中でバイカモ(梅花藻)が繁茂しています。ちょうど花の時期でした。
好天に恵まれ、調査日和でしたが、まだ川の水は冷たく、胴長を履いていても水の冷たさを感じました。
5月25日(土)からスタートする企画展「闇に生きる 相模原にすむ夜行性の生きもの」のポスターデザインが完成しました!
印刷、配布はこれからですが、ポップで楽しいポスターになりました。展示準備もこれからスパートをかけていきます。
お楽しみに!
博物館中庭では、5月10日にカザグルマが咲きました。あちらこちらの庭先などでもクレマチスが咲いていますが、カザグルマはその原種の一つで市内に貴重な自生地があります。博物館のカザグルマは、その自生地の一つからの挿し穂で殖やしたものです。
今年は、残念ながらつぼみは2個しか確認していません。昨年、大がかりな剪定作業を行ったためもあるのですが、おもしろいことに、市内の自生地でも今年は花数が少ないようです。花を咲かせるということは、植物の株にとっては大仕事で、体力を使います。今年は少し体力を温存して、来年はきっとたくさんの花芽をつけてくれるはずです。
写真を撮る時には、太陽を背にして撮るのが、きれいに写す基本です。
クモを撮る時も、もちろんそうなのですが、網を写しこみたい時にはあえて反対側から「逆光」で撮る事もあります。
吉野宿ふじやでは現在、「昭和の娯楽」展が開催されています。
5月5日にはギャラリートーク「私の昭和マンガコレクション」が行われました。
このイベントでは、マンガを提供してくださった蒲原雅人さんが、貸本屋と貸本マンガについて、ご自身の経験をもとにお話してくださいました。
参加者の皆さんは、手塚治虫や水木しげるなどのマンガを手に取り、懐かしみながら蒲原さんのお話を聞いていました。
次は「懐かしのレコード鑑賞会」が5月19日(日)と6月2日(日)に13:30~15:00まで行われます。
当初の予定では6月2日だけでしたが、5月19日も追加で行われます。
貴重な機会ですので、ぜひご参加いただければ幸いです。
博物館お隣の樹林地を歩いていると、コゲラが尋常ならざる声で鳴き交わしています。とても慌てた様子が伝わる声だったので何事かと探すと、つがいと思われる2羽が餌の昆虫をくわえたまま、枝から枝をせわしなく飛び移っていました。
キビタキやヒヨドリも、まわりで同じように警戒して鋭い声を発しています。
その行動の中心あたりにいたのは、アオダイショウでした。
コゲラはこのアオダイショウをなんとかしたいようで、まわりを飛ぶのですがアオダイショウは意に介しません。アオダイショウのお腹はすでに、ぼこぼこと膨らんでいます。
この立ち枯れた木にコゲラの巣があり、それをめざとく見つけたアオダイショウが巣を襲って、中のヒナを食べてしまったようです。少なくとも3羽のヒナが飲み込まれていました。
アオダイショウが去った後、巣のまわりで親鳥が鳴くのですが、ヒナの声が返ってきません。
しばらく親鳥は巣のまわりを鳴きながら飛んでいましたが、15分ほどすると、その場を去って行きました。
餌の青虫をたっぷりくわえながら飛び回る姿がとても切なかったのですが、これも自然界の掟です。人間は黙って見守るしかありません。コゲラのつがいには、またどこかに巣を作ってもらい、がんばって子育てして欲しいですね。
5月の日差しが暖かい日。コンクリートの上をふと見ると、体長1mmにも満たないような赤い点が多数うごめいているのを見かけることがあります。
拡大するとこんな姿をしています。
どう見てもダニです。
その名も「カベアナタカラダニ」。
ただし、毒々しい色彩とは裏腹に、花粉を食べて生きている平和な生き物。決して人の血を吸ったりしません。
変わった名前は「タカラダニ」というグループに属する事、体の形状から「アナダニ」というグループである事と関係しています。「カベ」はもちろんコンクリート壁などでよく見られるからです。
くわしい生態は分かっていないようです。もし気になるようでしたら日向ぼっこをしながらじっくり眺めるのも良いと思います。ちょこちょこと動き回って、飽きません。
ただ、誤って潰してしまうと、服に赤い色がついたり皮膚が汁に反応してしまう人もいるようですので、それだけは気をつけてください。
大型連休が終わった5月7日、市内緑区の保全緑地へ希少植物の調査に出かけました。目的はこちらです。
キンラン(ラン科)です。よく管理された雑木林に咲く野生ランの一種ですが、近年は生育環境の激減に加えて園芸目的の盗掘が重なり、市内の樹林でもごく限られた場所に少数が生育するに過ぎない希少種です。
ただし、上の写真の株は、ただのキンランではありません。下の写真は、普通のキンランです。
ランの特徴として、花弁のうち一枚は下に反り返っています。この花弁(かべん)を唇弁(しんべん)と呼びます。しかし、下の写真のキンランは、このようにどの花弁も唇弁と言えるほど反り返りません。こうした花の形態をペロリアと呼びます。
このペロリア現象のキンランには、唇弁にふつう見られる赤い筋(蜜標=みつひょう 訪花昆虫に蜜の場所を知らせるしるし)もありません。しかも、この型のキンランは花があまり開かないことからも、自家受粉によって結実しているものと思われます。
このキンランについては、ツクバキンランと品種名が付けられていて、まだ図鑑にも掲載されていませんし、分布はこの生育地の他には茨城県などごく一部の地域でしか知られていません。なぜツクバキンランが相模原市内の緑地にあるのか、理由はわかりません。でも、この緑地を管理されている市民の方が10年ほど前から「不思議な形のキンランがある」と気付かれていました。観察眼の鋭さに脱帽ですね。
この日は、ツクバキンランを調査研究されている他館の学芸員さんと一緒に、現地を訪れました。相模原市内のこの緑地では、最初に確認された茨城県内の自生地よりも、密度が高く生育しているようだとのコメントをいただきました。
この緑地には、ギンランもたくさん咲いています。
地元の方の地道な管理作業のおかげで、こうして多くの希少な植物が生育する場所となっています。キンランも1株ずつタグが付けられて、毎年の生育状況が記録されています。希少な植物の、さらに珍しい形態の品種が、どうしてこの地にあるのか、そして近隣の他の場所には無いのか、興味は尽きません。さらに広域的に視野を広げて、この品種の謎に注目していきたいと思います。