けもの道その後

2月のこのブログに、「雪で浮かび上がるけもの道」という記事を掲載しました。博物館お隣の樹林地に降雪の濃い部分があり、それがけもの道だろう、という予想を立てました。その後、このけもの道のフェンスの出入り口がわかったので、そこにセンサーカメラを仕掛けてみると・・

フェンスの抜け道から顔を出すタヌキ

予想どおり、タヌキが使っていました!しかも出入りがかなり頻繁で、一晩に4、5回かそれ以上出入りしていることがあります。しかも、出入りの方向が偏っていることも多いので、ほかにも出入り口があるようです。2頭で順番に出入りするようすも。

ときおり2頭でくぐるタヌキ

時々、昼間も通り抜けています

昼間も活動するタヌキ

さらに、回数は非常に少ないのですが、アナグマも通っていました。

アナグマのおしり

タヌキよりも少し胴が太いので、後ろ足を抜けるときは結構ヨイショ!という感じです・・。

ちょっとキツそうですが、ちゃんと通っています

さて、予告ですが、5月25日から開催予定の企画展「闇に生きる 相模原にすむ夜行性の生きもの」は、こうして夜活動する生きものを扱います。このブログで少しずつその内容をご紹介していきたいと思います。

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里山保全の最前線

3月27日、博物館の専門ボランティアグループとして活動する相模原植物調査会のみなさんと、市内の里山保全が行われている現場を視察に行きました。
少し風が強めで春らしい晴天の中、環境保全に興味のある高校生と大学生を交えて20名以上が参加しました。
まずは南区の斜面林です。

活動メンバーから説明を聴く参加者

アズマイチゲ、イチリンソウ、ヒメニラ、ヤマエンゴサクなど、南区ではこのあたりにしか残っていない希少な植物を中心とした保全活動の現場では、活動の中心メンバーから生育株数のモニタリングの結果や、日照を確保するための管理作業のようすなどを伺いました。
その成果のひとつとして開花中のヒメニラです。

ヒメニラ

ヤマエンゴサクも美しい藍色の花を咲かせていました。

ヤマエンゴサク

この斜面林では、タカオスミレが多いのも特色です。

タカオスミレ

たっぷりと春の花を堪能した後、同じく南区の平地林へ移動しました。ここでも地元の団体がしっかりと調査と保全活動を行っていて、林内に咲くキンランやギンラン、アマナなどの株数を毎年数えています。キンランとギンランの開花はまだ1ヵ月ほど先になりますが、ミミガタテンナンショウが咲いていました。

ミミガタテンナンショウ

この場所に限りませんが、薪炭材としての需要がなくなった里山はどこも高木化していて、さらに追い打ちをかけるように「ナラ枯れ」と呼ばれる病害虫被害が出始めています。今後の管理のあり方などについて、現地でディスカッションしました。

保全管理の方向性について意見交換

どちらの里山も、地元の方たちの愛情によって守られ、管理されています。特に、株数のモニタリングや、これからの時期のヤブ蚊と戦いながらの作業は想像しただけでも大変なことで、身近な自然への愛情なくしては続けられないでしょう。市民活動としての環境保全の最前線は、次代を担う若い参加者にも大いに刺激となったようです。帰りがけに、国道16号線のある場所で街路樹の植え込みを観察しました。ここはどういうわけか、県内でもこの場所にしかない外来植物のニセカラクサケマンが生育しています。

ニセカラクサケマン(外来種)

ニセカラクサケマンという名前がいかにも外来種、という感じですが、周辺にほとんど広がりもせず、絶えることもなく15年ほど前から生育しています。在来生態系への著しい影響も無いので、とりあえず毎年、ようすを見守っています。

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山麓にも春

緑区の丹沢山麓でも、春が着実に歩みを進めています。モミジイチゴの花が林内に差し込む日の光に照らされていました。

こちらはフサザクラです。もう花の盛りを過ぎて、雄しべがちりぢりになっていました。

フサザクラ

そんな中、シジュウカラがせっせとコケを剥ぎ取って運んでいます。巣材集めです。

シジュウカラ くわえているのは、巣材にするコケ

冬鳥のジョウビタキもせわしなく動き回り、北帰行の準備でしょうか。

ジョウビタキのオス

それとも、近年甲信地方で急速に繁殖分布が広がっているので、このオスも、ここに居残ろうかと思案中なのでしょうか。
春が加速度を上げています。

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#プラネタリウム の貸切り上映いかがですか?

当館の来館者300万人達成記念イベントの一つとして、3月1日から3月19日まで、達成日予想クイズを実施していました。見事達成日を当てた方への賞品として用意したうちのひとつがA賞「プラネタリウム貸切り上映権」でした。

応募用紙やメールなどにも、この貸切り上映についての関心の高さがうかがえるコメントなどがたくさんありました。予想以上の反響があって、企画した私たちも大変嬉しく思いました。

さて、最近のニュースでも、他市の事例ではありますが、プラネタリウムの貸切り上映が、「ふるさと納税」の返礼品のメニューの一つになっているというのを見聞きしたことがあります。

ということでプラネタリウムの貸切りにはみなさん興味をお持ちなんだなあと感じ入ったしだい・・・なのですが、もしかしてあまり知られていなかったかもしれませんが、実は相模原市立博物館では以前から、どなたでも貸切り上映をすることが可能なんです。

ただし条件が二つありまして

ひとつめは、4歳以上の方が20名以上の団体でご覧いただく場合に貸切りが可能であること

ふたつめは、実施できる曜日と時間帯の制約があること、です。

4歳以上、というのは、つまり「観覧券が必要な方」ということです。その対象の方が20名様以上という団体であることが条件です。

ふたつめについては、実施できるのは、学校の長期休みなどを除く平日で、午前10時15分から、または午後1時からの時間帯である、ということ。(空き状況などは電話(042-750-8030)でご確認ください)

これさえ満たせば、当館で上映可能なプログラム(事務室には、上映できる作品の一覧を用意していますのでお声かけください)からお好きなものをお選びいただき、貸切り上映でご覧いただけます。

また、星空の生解説を行う番組であれば、多少のリクエストにはお答えすることが可能ですので、ご相談ください。

リクエストというのは、例えば、過去や未来、特定の場所から見る夜空を再現する、というようなことです。大切な記念日の夜空を、大切な人、大切な人たちと一緒に眺める・・・なんて、ちょっと素敵?

興味を持たれた方、ぜひお問い合わせくださいね。

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平成30年度をテレビ露出で振り返ります。4月の放送予定も・・・

巷では「平成最後の○○」「平成最後の○○」と、何かにつけて区切り感がありますね。

まもなく平成30年度も終わり・・・ということで、今年度をテレビ露出で振り返りたいと思います。

まずは小惑星探査機「はやぶさ2」のミッションマネージャ吉川先生(jaxa宇宙科学研究所准教授)ご出演の放送大学の講座。当館エントランスの小惑星探査機「はやぶさ」模型前がロケ地として使用されました。撮影は前年度でしたが、放送は6月。その後、放送大学は地上波では見られなくなってしまったので最後のチャンスでした(BSなら見られます)。

また、同じく6月にはTBS「報道特集」の「はやぶさ2」特集で、はやぶさ2トークライブの様子が紹介されました。

夏には「伝統的七夕」。NHKのミニニュースで流れました。また、この伝統的七夕実施中の、とある一日に地下の大会議室で開催されていたのが小惑星探査機「はやぶさ2」がリュウグウのどこに着陸するのかを検討する会議でした。この模様は先日のNHKの「はやぶさ2」特集番組で紹介されていましたね。お気づきになりましたか?

秋にはTBS火曜ドラマ「中学聖日記」。主人公の男子高校生がデートするシーンは当館プラネタリウムにてロケが行われました。実はエントランスでも撮影されていたのですが、本編では放送されなかったのが残念。

そして反響が大きかったのは、年末の、干支のイノシシはく製展示。NHKの地域のニュースで取り上げられ、遠方からの方も含め、多くの方にご来館いただけました。

この間も、年間を通じ、TVKのニュースや「猫のひたいほどワイド」、j:comのニュースには何度も取り上げていただきました。企画展や「宇宙フェスタさがみはら」などなど、本当にありがたいことです。放送の度に予告させていただいていましたが、みなさんご覧いただけましたでしょうか?最近だとTVKの県の広報番組「カナフルTV」のロケ地にもなりましたね。

記憶に新しいのは2月22日の「はやぶさ2」タッチダウン実況パブリックビューイング。これはほとんどのテレビ局のニュースで放送されました。インタビューなどにご協力くださった来館者のみなさまありがとうございました。

実はその時取材されたもので、4月に放送予定のものがまだ2つあります。ぜひチェックしてくださいね。※番組の放送日や放送時間は取材時に伝えられたものです。

4月7日(日)23:30~0:00 NHK(Eテレ)「サイエンスZERO」

4月20日(土)20:15~20:43 NHK有吉のお金発見 突撃!カネオくん」

テレビに出るのがすべてではありませんが、影響が大きいのはこれまた事実。取材されるのは副産物ですが、取材されるような魅力的な企画展示や各種イベントなどをこれからも実施していきたいと思います。その結果、また取り上げていただけたら多くの方の目に留まり、ご訪問いただけるきっかけになる・・・そんないい循環になるといいな~と思っています。

平成31年度の博物館にも、どうぞご期待くださいね!

 

 

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今日はヤエンオニグモ

ヤエンオニグモ
昨日はクサグモの幼体を見たと思ったら、今日はヤエンオニグモに出会いました。

オニグモ、ヤマオニグモというよく似た種がいますが、腹部の模様に違いがあり、この写真にははっきり写っていませんが「網に飾りをつける」という、類似種にはない特徴があります。
体長はほぼ20mm程度なので、成体か、あと1回脱皮すると成体になるくらいの大きさです。
正確な事は、採集してルーペで観察しないとわかりません。
はっきりしているのは、この大きさで冬を越したという事です。
この種類は、寿命が1年限りなので初夏から夏に後尾。産卵して、秋に成長、冬は休眠、そして今ここに(恐らく亜成体として)いるというサイクルが想像できます。
春に出てきた個体、というだけで結構色々な事がわかります。

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生きものミニサロン ヘンなモノ見つけました!

3月23日(土)、毎月第四土曜日恒例の生きものミニサロンを実施しました。今回のテーマは「春のおさんぽ観察会 ヘンなモノ見つけました!」です。春というより真冬のような寒さでしたが、20名以上の方にご参加いただき、ふだん、身近にありながらあまり目に留まらないようなものを観察しました。
まずは、博物館入り口近くに生えている幼木です。

なんの冬芽かな?

この冬芽を見て、親の木はどれかな?というクイズです。ヒントは「歩いて30歩くらいですよ!」ということで、1分くらいで見つけてくれました。

あった!答えはコブシでした!

答えはコブシです。ちょうど枝の上の方には花が咲いていました。
続いて、植栽のヒサカキに花が咲いているので、これを観察。ヒサカキはツバキの仲間ですが、径8ミリほどの小さく目立たない花です。ところが、これに鼻を近づけてにおいを嗅ぐと・・

花粉症に負けず、くんくん

妙なニオイ!花の香りというにはちょっと意外すぎるので、みなさん驚いていました。

ヘンなニオイ~!

続いて、先日このブログでもお伝えした、樹液酵母のスライムフラックスです。少し削って容器に入れたのですが、そのようすだけで悲鳴に近い声があがりました。

異様な色と形に、みなさんちょっと遠巻きに見ています

感触を確かめてみると・・・アレ?意外とサラサラ。

触り心地は・・

色といい、感触といい、今日一番のヘンなモノ!でした。
この後、不思議な形のミミガタテンナンショウの花や、強いニオイのサンショウの若芽などをみんなで観察しました。
最後にミズキをもう一度。若い枝を切って、滴り落ちる樹液で名前の由来を確認。

切り口に見る見る水滴がたまります

あまりにも盛り上がったので、ちょっと時間オーバーになってしまいました。季節が逆戻りしたような寒い中でしたが、楽しい観察会となりました。
次回は4月27日(土)12時からです!お申し込み不要ですので、お気軽にご参加ください。

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#ありがとう300万人! 記念イベント続々実施中です!

ホームページやツイッターなどで既報のとおり、おかげさまで3月19日をもちまして当相模原市立博物館の累計来館者数が300万人に到達しました!

みなさまのおかげです!

その感謝を込めたイベントは3月1日から引き続き実施中です。

まずは到達日当てクイズ。こちらにはメール・はがき・館内の応募箱、あわせて約450通ものご応募をいただきました。本当にたくさんの応募ありがとうございます!
そして見事達成日を当てたのはそのうちの27名様。
ABC賞、それぞれ抽選を行いました。

抽選中です!

 

当選おめでとうございます!

実はC賞については5名当選の予定でしたが、希望の方が8名だったため、大盤振る舞い?で、全員当選とさせていただきました!

博物館ゆかりの書籍セット

どのセットが届くかはどうぞお楽しみになさってくださいね。

ダブルチャンスについては、すべての方を対象に抽選を行いました。

いずれの当選者の方についても、住所を明記いただいている方には来週を目途に郵送いたします。また、メールでの応募の方には住所をお伺いする旨の当選メールをやはりこちらも来週を目途に送付しますので、メール応募のみなさんはメールボックスのチェックをおさおさおこたりなく!

3/20からはプラネタリウム観覧者の方にもれなく招待券を1枚プレゼント中です。26日までの期間限定ですのでどうぞこの機会にぜひご観覧ください。(おためしタイムは除く。また25日は休館日なのでお気を付けください)。

プラネタリウム招待券イメージ

3/21には、記念品プレゼントやチェキ会を実施。

この記念品は、JAXA宇宙科学研究所からご提供いただいたものです。ご協力ありがとうございました。オリジナル(非売品)の3Dポストカード、まさに今が旬の「はやぶさ2」をモチーフにした、とっても素敵なカードです。

3Dポストカード

チェキ会は整理券を配布し、限定50組様にご参加いただきました。

撮影しま~す!

たくさんの笑顔の写真が撮れましたよ!

「はやぶさ2」タペストリーの前で

記念撮影した方を記念撮影!

「はやぶさ2」模型の前でパチリ!

このあとも記念イベントはまだまだ続きます。

開催中のミュージアムショップでミニプレゼント!~相模原市立博物館来館者300万人達成記念~。こちらは数量限定ですので、なくなり次第終了です。

そして4/27には、4月のさがみはら宇宙の日『プラネタリウムで星座早見にチャレンジ!~平成最後の星空観察にむけて~』

4/29にはフルートとハープの調べ in プラネタリウム ~相模原市立博物館来館者300万人達成記念事業~

最後に5/5のこどもの日には【全天周映画】ドラえもん 宇宙ふしぎ大探検3~地球のふしぎ~を1日4回上映します!

ぜひぜひご来館・ご観覧・ご参加くださいね!

記念撮影コーナーも5/6まで引き続きエントランスに設置してありますのでどうぞご利用ください。

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中庭の妖怪

毎年3月下旬になると、中庭に妖怪が現れます。

名前の由来となったヤブレガサの芽生え

その名も、ヤブレガサ。芽生えのようすが、『百鬼夜行図』で有名な妖怪破れ傘に似ているところから名付けられたと言われています。さらに若い芽生えはこんな感じです。

葉を広げる前のヤブレガサ

もっと妖怪っぽいですね!
さて、ヤブレガサだけでなく、中庭では今、いろいろな植物が春の顔を楽しませてくれています。こちらはカザグルマ。枝(つる)から新しい芽がスルスルと伸びて、ダンサーが両手を広げたような格好になっています。

カザグルマの新芽

こちらはミヤマガマズミです。万歳!または、ウサギ?ほんの一時期の新芽の形は、想像力がかき立てられます。

ミヤマガマズミの新芽 万歳!

ミヤマガマズミの新芽 ウサギ、またはピース?

すでに開花しているのは、常緑樹のアオキです。目立ちませんが、放射状の渋い花です。

アオキの雄花

今朝(3月23日)は雨模様ですが、雨粒も飾りにしてしまう生命力をこの時期の植物には感じます。

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クサカゲロウ

館内にヒラヒラした虫が飛んでいたと、職員が捕まえてくれました。館外へ逃がす前に、写真を撮りました。

クサカゲロウ

クサカゲロウです。チョウのような力強さが無く、ヒラヒラふわふわと飛ぶようすは、陽炎(かげろう)に由来する名にふさわしい昆虫です。

英語では、「レースの翅」という意味の名前がついています

ただし、クサカゲロウはアミメカゲロウ目(もく)という仲間で、幼虫がアリジゴクとして有名なウスバカゲロウと同じ仲間です。目というのは、○○科というような仲間分けを束ねる、さらに上のグループ分けです。
幼虫時代を水の中で過ごす、いわゆるカゲロウの仲間(カゲロウ目)が本家かもしれませんが・・昔の人はそんな細かく区別していなかったはずです。個人的には、こちらのクサカゲロウの方によりいっそう、はかない雰囲気を感じます。

クサカゲロウの顔

ちなみに、これから花盛りを迎える早春植物(春、いち早く開花、結実して地上部が枯れてしまう植物の総称)は、スプリング・エフェメラル(春のかげろう)と呼ばれます。はかないものに心を寄せる気持ちが表れた、素敵な呼び方ですね。

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