ゴミグモのサイン


今朝、見つけたゴミグモの幼体。
普通なら直線状についているはずのゴミリボンが、L字型に曲がっています。
おそらく網が一部が壊れて、修復したらこんな形になってしまったのでしょう。
ゴミグモは幼体で越冬します。「越冬」というと冬眠のイメージがありますが、クモや昆虫の場合、お天気次第では活動しているものも多いようです。
ところで、ギンメッキゴミグモが出て来る物語(確か小学校の教材でした)を読んだことがあるのですが、そのお話ではギンメッキゴミグモが「毎日網にメッセージをつづって」あいさつをしていました。果たして作者の方がクモのどんな行動から着想を得たのかはわかりませんが、今日出会ったゴミグモはこのL字にどんなメッセージを込めたのだろうか、とふと想像してしまいました。

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元気なつる植物

博物館お隣の樹林内の、すっかり葉の落ちた落葉樹林ではちょっと目を引くこんなようすが見られます。

林内に巨人が立っているかのようなです

幹に大量の葉をまとっています。中には、塊が垂れ下がっているものも。

台の枝が途中で折れてしまい、どっさり垂れ下がっています

これは、テイカカズラというつる性の樹木で、林内のコナラやミズキなどに取り付いているのです。これだけびっしりと取り付いていると、テイカカズラのつるで台になっている木の樹皮が見えないくらいです。

正体は、テイカカズラです

葉はこんな感じで、何の変哲もない常緑樹の葉です。

テイカカズラの葉

ちなみに、この季節にはありませんが、初夏にはこんな可憐な花を咲かせます。かざぐるまのようですね。

テイカカズラの花(初夏の写真)

どうしてこんなに勢いが出てしまったのかというと、この5年ほど続くキアシドクガの大発生や、昨年から頻繁に起きている台風の接近でミズキを中心に倒木や落枝が多く生じ、林内の陽当たりが良くなっているためと考えられます。

林内には折れた大枝がたくさんころがっています

もともと、テイカカズラはちょっとしたすきまを見つけてわんさかとつるを伸ばす性質があります。でも、その勢いがここ数年いっそう高まっているのは間違いなさそうです。こんなところにも、キアシドクガの大発生の影響が出ているのですね!

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キジョランとアサギマダラ

先週12月19日に植物調査を行った緑区の小倉山で、こんなふうにまん丸の穴があいた葉をたくさん見ました。

葉にあいたまん丸の穴

葉の植物はキジョラン(ガガイモ科)で、市内では低山の林内でふつうに見られる植物です。それにしても、ずいぶんときれいな正円です。この特徴的な穴をあけたのは、アサギマダラというチョウの幼虫です。

アサギマダラの幼虫(2齢)

モダンアートを思わせるような色合いですね。幼虫は1~3齢くらいの頃は、こうして円形にかじり痕をつけていき、その内側を食べていきます。これをトレンチ行動と呼び、なぜそのように食べるのかいくつかの説がありますが、はっきりとした理由はわかっていません。
成虫は鳥の渡りのような長距離移動をすることが知られています。

アサギマダラの成虫(秋の写真)

ところで、アサギマダラの食草であるキジョランの生活型は「つる性常緑草本」といいます。草本というのは冬に地上部が枯れるもの、という定義があるのですが、それに当てはまらず、常緑、つまり冬も緑の葉があります。

キジョランのつる

アサギマダラは2~3齢の幼虫で秋の遅くまで食べて越冬し、春になってまたモリモリと食べ、じゅうぶん大きくなると、成虫に羽化します。冬の間もこんなふうにいろいろな生きものがつながりあって生きていると思うと、自然観察がまた楽しくなりますね。

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星のキラキラストラップ作り、みんなの笑顔もキラキラ!

何かクリスマスっぽいイベントを・・・ということで、七夕のときには千代紙バージョンで作った星のストラップを、今回は

ツルツル・ピカピカのテープを用いて・・・

「星のキラキラストラップ」と名付けてワークショップを開催することに。

作成中!


出来上がりは・・・

こんなかんじ!


クリスマスイブの、みなさんの楽しい思い出にしていただけたら幸いです。
ご参加のみなさん、ボランティアスタッフの市民学芸員のみなさん、ありがとうございました。

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生きものミニサロン クリスマスリースをつくりました!

12月22日(土)は、毎月恒例の生きものミニサロンを実施しました。今回のテーマは「自然の素材でクリスマスリースをつくろう!」です。
屋外で広々と材料を広げてクラフトを行いたかったのですが、今日はパラパラと雨模様。そこで、2階の実習実験室に集まっていただきました。早速、事前に博物館のまわりで採っておいたクズ(マメ科)のつるをみなさんに確保していただきます。

綱引きにならないように、つるを確保

リースの台は簡単です。つるを丸く巻き付けるだけ。クズは1年で10メートル以上もつるを伸ばす強勢な植物です。資源の枯渇の心配はありません。

大きな台をつくったお父さん!

飾り付けは、博物館のまわりで切っても切ってもたくさん伸びてくるアオキ、ヒイラギ、ヒイラギナンテン、マンリョウ、ヘクソカズラ、アケビなどを巻き付けます。

博物館のまわりにあるものだけで作りました!

ヒイラギナンテンを飾り付けています。

角度やバランスを考えながら・・

常緑樹のアオキは、この時期に赤い果実が実るので、自然素材のクリスマスリースにピッタリです。

アオキの赤い実は大きくてきれい!

つり下げ型を見本にしていたのですが、あるご家族のお父さんが、据え置き型を!すばらしい発想ですね。

太めのつるを後ろへ伸ばしてスタンドにしています!

完成したリースを持って記念写真!

同じ素材を使ってもそれぞれ個性があります!

今年最後の生きものミニサロンも、たくさんの方にご参加いただき、楽しく終了しました。
来年は1月26日(土)12時からです。お申込み不要、参加無料ですのでお気軽にご参加ください。

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『神奈川県植物誌2018』が完成!

神奈川県は、生物相(ある地域の生物リストやその生息状況)が、全国の都道府県の中で最もしっかり把握されているという自負があります。それは植物、鳥類、昆虫類、菌類など、さまざまな分類群ごとにそうした生物相(生物誌)が作られて、なおかつ更新されているからです。
その柱の一つ、『神奈川県植物誌』(神奈川県植物誌調査会編)の最新版である2018年版がこのたび完成しました!

『神奈川県植物誌2018』(神奈川県植物誌調査会編)

上下2分冊、総ページ数1800ページ以上!ずっしり重いこの本には、神奈川県に生育する維管束植物の過去から現在に至る生育の記録が、分類の根拠となる記述や図と合わせて掲載されています。調査も執筆も、神奈川県植物誌調査会会員である、アマチュアの植物愛好家と博物館学芸員や大学の研究者がタッグを組んで行いました。

『神奈川県植物誌2018』の中身

当館の生物担当学芸員や、相模原植物調査会会員も執筆陣に名を連ねていますが、何より記載の根拠となる植物相調査(現地調査)には、相模原植物調査会のみなさんが大きく貢献されています。前回刊行の2001年版以降、2017年までに採集された植物標本は、当館収蔵分だけでも35000点以上に及びます。
1988年版、2001年版に続く最新版の『神奈川県植物誌2018』。全国的にもこれだけの規模で植物相調査が継続的、組織的に行われている例はありません。

歴代の『神奈川県植物誌』左から1988年版、2001年版、2018年版

この植物誌は、生物多様性の基礎情報として全国、いや、世界に誇れる成果なのです!

※『神奈川県植物誌2018』は年明けの1月以降、博物館2階の市民研究室で閲覧可能となります。

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ムササビからのプレゼント

12月19日、緑区の小倉山(標高327.2m)へ相模原植物調査会のみなさんと調査へ行きました。
市域では珍しい、照葉樹の多い林の中を、いつもながら山道だけでなく、急斜面を登り下りしながら希少種の生育状況などを確認しました。

斜度30度以上の斜面を登り下り

そんな中、モミの大木の下にこんな枝葉が落ちていました。

不自然な落ち方をしていた1本の枝

めざとい調査メンバーのみなさん、一同「あっ!」と声を上げました。ちょっと珍しい着生植物のマツグミです。高い木の幹や枝に着生して生育するため、間近に見る機会があまりありません。こんなふうに緑の葉と枝が落ちているのは、通常の落葉ではありえないため付近を探すと、4本ほど同じような枝が見つかりました。

独特の葉の形をしたマツグミの枝

さては・・ということで枝の切り口を見ると・・

鋭角的に噛み切られた痕

これは典型的なムササビの噛み切り痕です。ムササビが、マツグミの若い果実を食べようとかじり、残りをぽいっと捨てたのでしょう。ムササビはこうしてわりと大ざっぱな食べ方をします。食べ残した果実がまだ枝に付いていました。

マツグミの若い果実

もう少し待てば赤く熟すのに、と思いましたが、高所にあってなかなか標本が採れない種類です。これは一足早い、ムササビからのクリスマスプレゼント!ということで、ありがたく持ち帰り、早速押し葉標本にいたしました!なんてラッキー!

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今週末は、生きものミニサロン!

今週土曜日(12月22日)は、毎月恒例の生きものミニサロンを実施します。
今回のテーマは「クリスマスリースを作ろう!」です。博物館のまわりにもたくさん生えている、クズやアケビのつるを使って、リースの土台を作ります。

リースの土台を作ります(写真は昨年のようす)

その場でも少しデコレーションしますが、お持ち帰りいただき、お好きなように飾り付けていただければと思います。
写真は昨年のようすです。

お天気が良ければ、外でこんな飾り付けも!

12時から30分のミニサロンです。お申し込み不要、参加無料ですので、ぜひお気軽にご参加ください!

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全国科学館連携協関東ブロック会議を開催しました。

相模原市立博物館は数年前から、全国科学館連携協関東ブロックの幹事となっており、年に一度、関東ブロックの加盟館を対象としたブロック会議を開催しています。

昨年度は八王子市のコニカミノルタサイエンスドームを、今年度は府中市の府中市郷土の森博物館を会場としてお借りして開催しました。

会議の様子

会議では活発に意見が交わされ、また、休憩時間を利用して、日ごろはメールのやり取りのおつきあいばかりだったみなさんと直接お話をすることができたり・・・

リニューアルされたばかりのプラネタリウム

府中市の博物館長さんの解説付きで館内をご案内いただいたり、5月にリニューアルオープンされたばかりのプラネタリウムで星空解説番組を拝見したりと、充実した内容で開催することができました。
(素敵なプラネタリウム設備にうっとり・・・)
開催地となった府中市の博物館のみなさま、そして遠方からも多数ご参加いただきました加盟館のみなさま、ありがとうございました。
参加した当館の職員も、他館の職員さんと交流し、いろいろなアイデアを仕入れてきたようです。こうした会議の経験を、今後の運営に生かしていきたいと思います。

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#クリスマス にこんな工作はいかが?

冬休み期間に、博物館から来館者の皆様にクリスマスプレセント・・・というわけではありませんが、「星のキラキラストラップを作ろう!」というワークショップを開催します。
日時はクリスマスイブの12/24(月曜日ですが開館日です)、時間は10:00からと13:00からの2回、いずれも先着50名様限定です。参加費はもちろん無料です!

今回作るものは・・・

星のキラキラストラップ

こちらです!
実はこのきらきらする素材、いつもの千代紙などを使って作るよりも、ちょっと扱いにくい素材です。

いつもの星のストラップ(イメージ)

ということで、広報さがみはらでも「小学生以下は保護者同伴」と注意書きをさせていただいております。ボンドを使用するため、ウェットティッシュやお手拭きタオルなどもどうぞご持参ください。

広報さがみはら12/15号

ぜひぜひご家族でお楽しみください!(もちろん家族だけではなく、お友達と一緒、あるいはお一人さまでも歓迎ですよ!)

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