冬芽登場!

落葉樹の葉の紅葉も終盤となり、葉の落ちた枝が目立ってきました。
そうすると、ひっそりと姿を現すのが、冬芽です。こちらは、ガマズミの冬芽です。両側に出ていた葉の片側だけ落ちています。

ガマズミの冬芽

毛に覆われた芽鱗(がりん:芽を保護するカバーの役割を持つ部分)に、冬を乗り切る決意のようなものを感じます。
こちらはムラサキシキブです。葉はすっかり落ちています。来春展開する葉がそのまま圧縮されたような冬芽です。

ムラサキシキブの冬芽

このように芽鱗に包まれていない冬芽を裸芽(らが)と呼びます。
こちらはどっしり貫禄あるニワトコの冬芽です。この中に、大きな葉と、春真っ先に咲く花も入っています。

ニワトコの冬芽

葉の芽と花の芽が別々なのは、コブシです。こちらは葉の冬芽。

コブシの冬芽(葉)

こちらが花の冬芽です。毛皮のコートのような芽鱗に包まれています。春先に白い大きな花を咲かせるので、冬芽も大きいですね。

コブシの冬芽(花)

まだまだ冬芽には譲れないと、黄葉した葉を付けているのはサンショウです。

サンショウの葉の黄葉

冬芽は、じつは冬だけ見られるものではありません。植物学の用語では休眠芽といって、春に葉が展開するとすぐにその予備として休眠芽が形成されます。春から夏でも、強風や虫害などで葉が失われると、休眠芽が覚醒して次の葉を伸ばすしくみです。
でもやっぱり、花や果実の少ないこともあり、これからの季節は冬芽が植物観察の主役の一つです。

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学習資料展ワークショップ「チャレンジ体験」・・・多くの子どもたちの参加がありました!

現在博物館で開催中の企画展「まなべる くらべる 学習資料展」では、第1、第3日曜日に、昔のあそびなどが体験できるワークショップ「チャレンジ体験」を開催しています。
このチャレンジ体験では、博物館ボランティアの「市民学芸員」の皆さんが運営スタッフとして、活躍いただいています。

会場の特別展示室入口

会場のようす

12/2(日)も多くのお子様連れの家族が来場され、ブンブンごま、わりばし鉄砲、折り紙などに参加いただきました。
各種体験には市民学芸員の皆さんが優しく楽しく対応し、参加した子どもたちもみな目を輝かせて取り組んでいました。

大人も楽しい折り紙体験

自作のわりばし鉄砲で「ねらいをさだめて・・・発射」

また、昔ながらの雰囲気で自転車に上で行う紙芝居の実演や市民学芸員制作の「相模原ふるさといろはかるた」の大会も行われました。

紙芝居の「はじまり、はじまり~」

白熱のかるた大会

学習資料展は2/24(日)まで、チャレンジ体験は2月までの第1、第3日曜日に開催していますので、ぜひご来館いただければ幸いです。
なお、11月22日の「タウンニュース」中央区版や11月29日の朝日新聞に学習資料展の記事が掲載されていますので、ぜひご覧ください。

タウンニュース中央区版の記事はこちらです。

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迷うアマガエル

12月に入り、朝晩の気温が5度前後の日が多くなりました。
自分で体温を上げることができない“外温性動物”である両生類は、これくらいの気温が冬眠するかしないかの分かれ目となります。
先日訪れた水田近くの畑では、苗ポットの縁でひなたぼっこをするニホンアマガエルを見つけました。フチ子?フチ男?

ひなたぼっこのニホンアマガエル

朝晩は寒いけど、日中は10度を超え、日なたはさらに暖かい。なんだか、冬眠しようかどうしようか迷っているように見えますね。
こちらは、葉陰で“迷う”ニホンアマガエル。

葉陰のニホンアマガエル

地面や木の幹の上にいる時間が多いと、ニホンアマガエルは体色が黒いまだら模様入りの灰色になります。見事な保護色ですね。

見事な保護色のニホンアマガエル

葉の上でひなたぼっこをしていると、また緑色になっていきます。
そんな体色変化も、夏の間は見る見る変化していくのですが、寒い時期はとてもゆっくりです。
気温とともに体温が下がると、代謝も下がります。両生類の冬眠は、人間の睡眠とはだいぶ違って、呼吸や心拍数を下げ、生命維持に必要な最小限の代謝に保つ生理機構です。いわば、仮死状態と言えます。
当然リスクも大きくて、外敵による捕食や餓死など、二度と覚めることがないかもしれない、決死の冬越しとなります。そんなことを考えながら見るニホンアマガエルは、やっぱりどこか迷っているような表情に見えてしまいます。

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カラスウリの中には

今日(11月30日)の午前中は雲一つ無い快晴でした。相模川沿いの耕作地へ調査に行きました。

段丘崖が美しく色づいています

歩き始めてすぐ、カワセミがお出迎えしてくれました。背中のコバルトブルーを見せびらかしているかのような日の当たり方でした。

カワセミ

近くにカラスウリが実っていました。

カラスウリの果実

地面に落ちていた果実もあったので、割ってみると・・

カラスウリの果実の中味

なにやら黄色い果肉に包まれた黒いものが・・・果肉を拭き取ってみると、

果肉を拭き取ると・・

なんとカマキリの頭が!!
というのは、自然観察会の定番ネタです。これは種子で、カマキリの頭などではありません。
でも、よく似てますね!

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紅葉も中盤

このところの晴天と寒暖差で、紅葉がだいぶ色合いを増してきました。紅葉というと樹木のイメージが強いのですが、草も紅(黄)葉します。こちらはススキ原の黄葉。朝夕の、少し斜めの日差しが似合います。

いち早く赤くなったツタも、低い位置の小さな葉はこれからが本番です。

見事なグラデーションのツタ

赤と緑が隣同士で引き立てあっています。

こちらのツタははっきりした色合い

ここ何年も、キアシドクガの大発生で痛めつけられているミズキも、振り絞るように紅葉しています。

渋い色合いのミズキ

これからクライマックスとなるイチョウやコナラが色合いを増してきます。まだまだ葉っぱの色合いの変化を楽しめそうです。

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生きものミニサロン 落ち葉の色、いろいろ

11月24日は、毎月第四土曜日恒例の生きものミニサロンを行いました。今回のテーマは「落ち葉の色、いろいろ」。
こちらは落ち葉ではありませんが、博物館の敷地内の樹木もだいぶ紅葉が進んでいます!

やっぱり美しいタカオカエデ(イロハモミジ)の紅葉

その下には色とりどりの落ち葉がたくさんあります!まずはそれを使い、参加者のみなさんで力を合わせて落ち葉のグラデーションリング作り。

参加者のみなさんで一つのグラデーションリングを作ります!

隣どうしに置いた葉が似た色になるようにして環を作ります。はじめは遠巻きだった人も、完成が近づくと「ここが色の落差が大きいかな」などと言いながら協力して作ってくれました。

この色でいいかな?

完成してみると、かなり美しい!風が吹けば飛んでしまう、はかない美しさを感じていただきました。

見事なグラデーションリング!

続いて、落葉でお顔を作りましょう!ということで、笑った顔、怒った顔、困った顔など表情を変えて作ってみました。

笑顔!

困った顔!

ほんのり笑顔!

みなさんドングリなども拾いながらいろいろ工夫して、顔の表情づくりを楽しんでいました。
あっという間の30分でしたが、落ち葉の色合いをたっぷり楽しんでいただきました。
次回は12月22日(土)12時から、お申し込み不要ですのでお気軽にご参加ください!

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津久井城の発掘調査速報③(11/25は現地説明会やってます)

今月の7日から開始した今年度の発掘調査も、だいぶ全貌がわかってきました。江戸時代頃の地層を掘り下げていくと、土の色もだいぶ変化し、戦国時代の遺物も出土してきました。

市民ボランティアといっしょに発掘調査

地中に400年以上も眠っていた鉄製品は、錆びていますが、しっかりと残っています。持ち手の木の部分は朽ちてありませんが、下の写真は真ん中の出っ張りに穴があり、火打ち金(ひうちがね)とみられます。

出土した火打ち金

他にも長さ11cmほどの用途不明の鉄製品や、断面が四角い鉄釘なども出土しています。鉄釘が出土していることから、周辺に建物があったかもしれません。

何の金具でしょうか?

中でも貴重な遺物が出土しました。発掘した時に思わず「あっ!青磁だ!」と声をあげてしまいました。青磁は白磁や染付などとともに中国から輸入される陶磁器ですが、特に青磁は一番数が少なく高価なものです。津久井城主の館とされる御屋敷跡の調査でも、小さな破片でわずか3点しか出土していません。この場所(曲輪 くるわ)の「格」の高さが窺えます

文様をもつ青磁

調査している津久井湖城山公園里山広場は、昨年度までの調査で、戦国時代の庭園遺構が確認されている場所になります。今年度の調査の主な目的は、庭園を眺める建物を確認することにあります。建物自体の遺構はまだ見つかっていませんが、それに関連すると思われる遺構が発見されました。

掘り進めると石や玉石の砂利が広がっていきます

石を敷き詰めた遺構の右側に砂利敷き遺構が広がる

手前が砂利敷き遺構

奥に砂利敷き遺構、手前の落ち込みが入り江状となる池の端です

1~2cmほどの玉石を使った砂利敷き遺構の発見は大きな成果です。小田原城や八王子城でも重要な建物まわりや、特にその前面に敷かれていることが多く認められます。園池を望む「亭(てい)」「泉殿(いずみどの)」と呼ばれた建物が近くにある可能性が高くなりました。

11月25日(日)には、津久井湖城山公園の一大イベント「収穫感謝祭」が開催されます。このイベントに合わせて、発掘調査現場の現地説明会を午前10時から午後2時の間で開催しています。ご来場をお待ちしています。

 

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(閲覧注意)クチバスズメとヤドリバエ

博物館の前庭を歩いていると、コナラの木の幹を降りてくる大きなイモムシが目に止まりました。
クチバスズメ(スズメガの仲間)の幼虫です。これから地面に潜って蛹になる場所を探すのでしょう。
体長15cmを超える立派なイモムシです。もう「勘弁してください」という方もいらっしゃると思いますので写真は小さめにしておきます。

しかし、ここから先がまだあります。
イモムシの背中に何かが乗っています。
近寄ってみると、ハエでした。幼虫が移動しているのに、背中から離れる様子がありません。

ヤドリバエ(寄生蝿)の一種です。


側面から見ると、どうやら産卵中のようすです。

ヤドリバエの仲間は、他の昆虫の幼虫などに卵を産み付け、卵からかえった幼虫はその昆虫を食べ、蛹になり、成虫になります。想像すると、ちょっとしたホラーです。
でも、どこにいるかわからない、特定の種類のイモムシを見つけ出す能力ってすごいと思いませんか?
私にはとてもできない芸当です。
逆に、様々な捕食者や寄生者に狙われながら、絶滅もせずきちんと子孫を継続している、食べられる側のすごさ。
いずれも長い時間をかけて築かれた能力であったり、相互関係であったりします。
こういった光景に出会うと、実はとてつもなく大きなドラマが、ほんの身近な場所で起きているのかも知れない、という思いがいつも浮かんできます。

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今週末は生きものミニサロン!

今週末の11月24日(土)は毎月恒例の生きものミニサロンを実施します!
今回のテーマはこちら・・

ツタの紅葉

ズバリ、紅葉です。
今年は台風の影響でしょうか。あまり良い色にならないまま葉が茶色くなっている木が目立ちます。
しかし、中には上の写真のツタのように、しっかり色づいているものもあります。

微妙な色合いが美しいツタの紅葉

ツタやウルシの仲間は、他の木よりも一足早めに真っ赤になり、あまり当たり外れなく紅葉してくれます。
サクラはだいぶピークを過ぎましたが、地面の上にはまだこんなきれいな葉もあります!

サクラの葉の紅葉

さて、この紅葉をどんなふうに観察するのか・・それは当日のお楽しみです!
生きものミニサロンは24日の12時から、お申し込み不要です。お気軽にご参加ください。

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学びの収穫祭終了しました!

11月17日と18日の二日間にわたって行われた学びの収穫祭、無事に終了しました。
どの発表グループのみなさんも大変すばらしい発表を行ってくれましたが、中でも今年、収穫祭へは初参加となった東京工業大学附属科学技術高校科学部のみなさんは獅子奮迅の活躍でした!
口頭発表、展示発表、そして「スゴはや2(スゴイぞはやぶさ2!プロジェクト」の一環として、「スゴはや2スゴロク」や、

特別展示室内ですごろく!

はやぶさ2のパラパラマンガ「パラはや2」のワークショップなど、いくつものプログラムを3名の生徒さん(+顧問の先生)でこなしてくれました。
来年の発表やイベントへのご参加も期待したいと思います!
福の会のみなさんによる「昔の着物を見る・触れる・着る」では、後半は大人のみなさんが夢中に!

昔の着物を着る体験に大人も夢中!

小学生の発表者も着物を着てくれました。お母さんからはバ○ボン!?との声・・

展示発表の前で記念写真

いろいろな交流が深まりつつ、2日間のプログラムが終了しました。
そして、閉館後は、こちらも恒例ですが、展示発表の1階エントランスへの大移動です!

閉館後、展示発表を大移動

ちょっと薄暗い中でしたが、みなさん安全に作業してくれました。

手慣れたようすでみなさん作業してくれました

展示発表は来年初めまで展示を続けますので、ぜひご来館の際はご覧下さい!

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