紅葉に馴染むクモ?

きれいな緑色をしたクモは何種類もいますが、普通に考えて「緑色の葉に隠れるのに都合が良いのだろう」という気がします。


写真はワキグロサツマノミダマシで、網から離れて木の葉に身を隠しているところです。
このクモは腹部背面が一面に緑色ですが、赤と緑が斑になった葉にとてもよく馴染んでいます。
頭胸部や脚の色、腹部腹面の黒も、まるで迷彩柄のように作用しているように見えます。
背景が違うと、見慣れたクモでもずいぶん違った印象になるものだと思いました。

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ジョロウグモの色は?

秋も深まり、博物館の周りではジョロウグモが目立つ季節になりました。
ジョロウグモの話をすると「ああ!あの黄色と黒の縞々のやつね!昔、家の周りにいっぱいいたよ」という返事が返ってくる事があります。
では、ジョロウグモは実際にどんな色をしているかというと…

ジョロウグモ(メス)成体。撮影時には気が付きませんでしたが、左第1脚が欠落しています。

脚は黄色と黒の縞々なのですが、一番面積が大きい腹部は黒というより薄い灰色の縞模様になっています。頭胸部にいたっては銀色です。
確かに黄色と黒の縞模様のクモも存在しますので、「家の周りにいっぱいいた」クモは違う種類だったのかもしれませんが、生息環境などを考えると、「実際にジョロウグモだったけれど、色を勘違いしていた」という事の方が、ありそうです。
絵本やアニメなどでは「黄色と黒の縞々」というのは定番ですから、そういうものとイメージがすり替わってしまったか、あるいは脚の印象があまりに強いという事かもしれません。
さらに、地方によっては違うクモの事を「ジョロウグモ」と呼ぶ事もあるので、話は余計ややこしくなります。
10月はジョロウグモのほとんどが成体になっており、他に大型のクモもいないので、観察するのには良い時期です。街中でも見かける事がありますので、機会があったら色や模様をじっくり見てはいかがでしょうか。確かに「黄色と黒の縞々ではない」事が納得いただけると思います。

ジョロウグモ(オス)成体。背景に写っているのはメス成体(腹部腹面に赤い斑がある)。

因みにオスはこんな色です。
サイズも小さく、メスと一緒にいなければ、同じジョロウグモだとはちょっと思えません。

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10月14日(日)から、市史ミニ展示「相模原市史続編を彩った資料(第2回)」をはじめます。

市史ミニ展示「相模原市史続編を彩った資料」は、本年2月に『相模原市史続編』の刊行が完了したことを記念して実施しており、9月に第1回目を行いました。

今回の2回目の展示は、10月14日(日)から12月28日(金)まで博物館常設展示室において開始します。

昭和20年8月15日の終戦前後の行政書類を継続的に綴ってあり資料価値が大変高い「時局関係綴」(旧麻溝村役場資料)や、

時局関係綴

明治から昭和にかけて相模原の基幹産業であった製糸業の、代表的企業ともいえる「漸進社(ぜんしんしゃ)」の商標などを展示しています。

漸進社商標

この展示では、『相模原市史続編』掲載資料の実物を閲覧することができます。皆さん、博物館でわがまち相模原の歴史に触れてみませんか。

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新潟市のマイスター教員のお二人がいらっしゃいました

昨年度に引き続き、今年も、新潟市の「マイスター教員」さんがいらっしゃいました。

当館の学習指導員が天文展示室を皮切りに、博物館をご案内します。

まずは天文展示室

あいにくの天候だったので、太陽望遠鏡によるリアルタイム太陽映像をご覧いただけなかったのは残念。

その後は常設展をご案内しましたが、新潟の事例との比較で、より深く理解していただけたようです。

熱心な質問が飛び交います

常設展の最後に展示してある、街の変遷のジオラマもご覧いただき、新潟と相模原の共通の話題でもある、デパートの撤退についてまで、話が広がりました。

この後はJAXA交流棟を見学するとのこと。

相模原滞在中にはそれぞれ小中学校でも授業をされているそうですが、中学生に英語で相模原を説明してもらう内容の授業を行った時には、JAXAや当館のことを紹介してくれた生徒さんも多かったそう。実際の施設はいかがだったでしょうか。

フラッシュをでターゲットマーカーを光らせました!

記念写真は、小惑星探査機「はやぶさ」実物大模型の前で撮影しました。博物館以降の視察も、実りあるものになりますように。

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木の年齢がわかるとき

9月末に日本海を縦断した台風25号は、関東地方に暴風をもたらしました。その影響で博物館周辺の樹木にも大きな損害が生じ、そのうちの1本、駐車場のハリエンジュ(別名ニセアカシア)が傾いてしまったため、緊急措置として伐採されました。

ハリエンジュの伐採のようす

実測ではありませんが、高さ約18メートルのハリエンジュは毎年、初夏にたくさんの花を咲かせてくれていたのですが、この木はもともと成長が早く、根が浅く横に広がるのが特徴です。古くは砂防工事などの土留(どどめ:斜面などを植物の根によって固めること)に用いられた北米原産の外来植物です。河原でたくさん育っていることが多いので、養蜂業者がこの花の蜜を使って「アカシア蜜」を生産したりします。
さて、樹木が伐採されると、生きものを扱う人間が必ず見ることがあります。

切り株 長いところでは65センチメートルありました

それは、年輪(成長輪)です。この写真が伐採されたハリエンジュの切り株で、短い方で40センチメートル、長い方で65センチメートルあります。早速数えてみると・・

新しい切り株ほど、年輪が明瞭です

明瞭な線を32本まで数えることができました。しかし、一番内側は腐植が進んでいて読み取ることができません。そこで年輪の間隔から見て、おそらくこのハリエンジュの年齢は34~35年と推測できました。
樹木は発芽や植栽とその時点での年齢の記録でも残っていなければ、正確な年齢がわかりません。伐採して初めて正確にわかるので、こうして新しい切り株ができたときには数えておきます。そうすると、種類や地域による樹木の大きさと年齢の関係の違いについて、データを蓄積しておくことができるのです。

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無料のミニ番組、おためしタイムをご存知ですか?

日曜や祝日の12:10から投影している、プラネタリウムの無料ミニ番組、「おためしタイム」をご存知でしょうか?

おためしタイム

季節ごとに異なるテーマで投影しています。
10分程度のミニ番組なので、プラネタリウムが初めての方もお気軽にご覧いただけます。
10月から12月までのテーマは、「流れ星を眺めよう」です。
ミニ番組ながら、流れ星についての基本情報や、これからの流星群シーズンの楽しみ方までわかる内容になっています。
お子さま連れのお客さまにも人気です。
プラネタリウムデビューにいかがでしょう?
本当の夜空を見上げるのが、きっとますます楽しみになりますよ❣️

プラネタリウムはこんな感じです

※都合により日曜や祝日でもおためしタイムがない場合もありますのでお気を付けください。みなさんにおためしいただけるのをお待ちしております!

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季節のミニ展示をお見逃しなく!

9/24の中秋の名月にちなんだお月見ミニ展示をエントランスで開催中です。
総合博物館ならではの、天文分野と民俗分野のコラボ展示です。
このミニ展示は10/21の十三夜までご覧いただけますので、この機会にぜひお月見や月についてのパネル展示とあわせてご覧くださいね。

そしてそのお月見展示のそばに鎮座ましましているのが我らがさがぽん&さがみんです。

ハロウィンバージョンに!

ハロウィンバージョンに変身中です。

実はお月見展示とハロウィン、裏テーマがありまして‥。

相模原市内でも全域というわけではないですし、相模原に特有の行事というわけではありませんが、お月見の日に子どもたちがお菓子をもらいにご近所に行く「お月見ちょうだいな」という風習があります。これは過去のものではなく、博物館の職員の中でも、今年もお月見の日には自宅でお菓子を振る舞った人もいる、平成最後の中秋の名月にも行われているものなのです。

この「お月見ちょうだいな」と、昨今ではすっかり日本に定着した感のあるハロウィンの「トリックオアトリート!」、どちらも由来は収穫時期の風習、という共通点があるということなので、当館ではこの二つを並べてみた、というわけです。

まあこんな意図はおいといて・・・ちょっと風情を感じるお月見展示と、かわいいさがぽんに会えるハロウィンの飾りつけ、どちらも期間限定ですのでどうぞお見逃しなく!

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チヂミザサ

博物館のまわりの樹林内で、こんな花が咲いています。

小さな花が咲いています!

どこに花が?というくらい小さくて目立ちませんがズームアップすると、意外に複雑なカタチが見えてきます。

柱頭と葯が飛び出しています

花弁は無いのですが、柱頭(ちゅうとう:雌しべ)と雄しべの葯(やく)がしっかりと飛び出していて、なかなか美しい造形です。
この花は、チヂミザサというイネ科の植物です。実った姿は、イネのなかま特有のカタチをしています。

チヂミザサが実ったところ

笹と名前に付きますが、ササの仲間ではありません。葉がこのように、ちょっとササに似ているというだけです。

チヂミザサの葉

そして、この植物の最大の特徴といえるのが、実ってくると芒(のぎ)と呼ばれる針状の突起物に出る粘液です。

針状の芒に出る粘液

上の写真に水滴のように写っている透明のものが粘液ですが、これは熟した果実を、動物などにくっつけて運ばせる役割があります。つまり、チヂミザサはいわゆる「ひっつきむし」なのです。
この時期に草むらに入ると、細かい植物のかけらのようなものがたくさん靴下や靴にべったりくっついて、ちょっと嫌な思いをしたことがあるかと思います。わけのわからない植物がくっついた、と思うよりも、「チヂミザサがくっついた!」と言えると、ちょっとだけ嫌悪感も減るのではないでしょうか。

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市史講演会を開催しました!

10月7日(日)、博物館で市史講演会を開催しました

この講演会は、本年2月に刊行を終了した『相模原市史続編』の完成を記念したもので、講師には『相模原市史続編』の編集委員を務めた浜田弘明さん(桜美林大学教授)をお迎えしました。

講演の内容は、単に市史編さんの経緯にとどまらず、戦前の軍都計画が相模原のまちづくりに与えた影響や、現在に至るまでの相模原市の変遷について、最近のニュースでも報道された、私達の記憶にも新しい事例を交えつつ説明され、大変興味深いものとなりました。

市史講演会の様子

博物館では、今後も相模原市史に関連するミニ展示などを検討中です。ご期待ください。

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おびのっち、フランスへ行く

先日、博物館に一通の手紙が届きました。パリで開催される「縄文-日本における美の誕生」展の内覧会・レセプションの招待状です。

パリ縄文展 招待状

今年は日仏友好160年を記念して、日本文化・芸術の祭典「ジャポニスム2018:響きあう魂」が開催されており、日本とフランスの両国で様々な展覧会などがたて続けに行われているようです。そうした中、10月17日~12月8日には、先ほどのパリ縄文展がパリ日本文化会館で開催される運びとなったものです。

ではなぜ、当館に招待状が届いたかというと、当館寄託資料(個人所蔵)である大日野原(おびのっぱら)遺跡出土の土偶装飾付き土器が、日本代表として出展されるからなのです!当館でも“おびのっち”の愛称で考古展などで活躍してもらっている貴重な土器で、ブログでも何度かご紹介してきました。

大日野原遺跡 土偶装飾付き土器

深鉢形土器の縁に土偶の上半身が土器と一体化されています。この土器でどんな料理を煮込んでいたのでしょうか?

考古キャラクター“おびのっち”のモデル土偶

愛くるしい顔は、切れ目で、両ほほには入れ墨のような二本線が飾られ、口はポカンと開いています。胸からお腹にかけては三本指の両手がそっとそえられ、レントゲン撮影で診断すると、口の中はそのままお腹まで空洞となっていました。

白っぽく透けているのが空洞 山梨県立博物館撮影

海外渡航は実は2回目です。初渡航は2009年で、イギリスにあります、かの大英博物館で開催された「土偶展」が海外デビューでした。今回のパリ縄文展では、縄文時代の全ての国宝6件と国指定重要文化財33件を含めた全64件に、相模原の縄文土器がまさに肩を並べて展示されます。

今月の4~5日にはフランスに渡ります。しばらくの間は当館ではご覧いただくことができませんが、もしもフランスに行かれる方がいましたら、どうぞ会いに行ってあげてください。

当館考古キャラクター“おびのっち”

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