相原高校で植物採集の実習

5月11日、県立相原高校(緑区橋本)の環境緑地科の生徒さんに、植物採集の実習を行ってきました。

野外で植物採集

橋本駅前の市街地から相原高校の正門を入ると、別世界に迷い込んだような錯覚にとらわれるくらい、とても緑豊かな環境にあります。しかし、今年度中に校地の移転を進めることが決まっているため、生徒さんの課題研究として、校内の樹木の標本を残すというテーマが与えられたのです。
校内の池では、ちょうどアズマヒキガエルが変態しはじめていました。

変態したてのアズマヒキガエル

環境緑地科の生徒さんだけに、剪定バサミや高枝切りの扱いは手慣れたものです。でも、標本づくりは初めてのようで、同行していただいた相模原植物調査会のボランティアさんに一つ一つ指導を受けました。

手慣れた手つきに見入っています

表も裏も重要なのが植物の葉です

決められた大きさにまとめるのに一苦労ですが、もともと植物に触れ慣れているせいか、想像以上にスムーズでした。

コツがわかるとスムーズに仕上げられました

標本を残す意義や植物の名前をおぼえるコツなどもお話しして、実習をまとめました。とても集中して取り組んでいただけたのと、相原高校のバラエティに富んだ植栽木のおかげで、楽しい実習の時間となりました。

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今年も!!学芸員リレートーク始まります!

昨年度、当館学芸員が順番に専門分野のお話をする講演会「学芸員講話 さがみはらの博物誌~学芸員リレートーク~」が好評でした。
今年もこの週末、5月13日から月ごとに学芸員がお話しします!

5月13日(日)「相模原生きもの百科 あなたはいくつ知っていますか??」秋山幸也(生物担当学芸員)
6月10日(日)「石老山の成り立ち」河尻清和(地質担当学芸員)
7月8日(日)「道祖神のまつりかた」加藤隆志(民俗担当学芸員)
9月23日(日)「相模原に残る幕末・維新の英雄たちの文化財」木村弘樹(歴史担当学芸員)
10月21日(日)「学芸員講話inプラネタリウム(仮)」里見聡一(天文担当学芸員)
11月18日(日)「石の縄文文化誌」中川真人(考古担当学芸員)

今年のキーワードは「石」です。毎回、タイトルに入っていなくても石にまつわる相模原のお話しが入ります。
初回の5月13日は相模原の生きものについて2時間語り通します!

石と言えば、相模川の礫河原に生育するカワラノギク!

といっても、クイズ形式でみなさんと楽しく相模原の生きもののトピックを眺めていくので、どなたでもお気軽にご参加ください。小中学生のみなさんにもお楽しみいただける内容です!

石砂山(「いし」ざれやま)のギフチョウ!

明日5月13日、大会議室で14時からスタートしますので、ぜひご来場ください。

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雨上がりの楽園

5月9日、相模原植物調査会のみなさんと緑区の生藤山へ調査に行く予定でしたが、雨が長引きそうな予報だったために中止にしました。ただ、4月に訪れていた楽園のオキナグサの種子を採りたかったので、小雨の中、現場へ向かいました。
その場所は夏鳥のサンショウクイが多く、今日も雨雲の下で元気に鳴きながら飛び回っていました。

サンショウクイ

楽園は山あいの集落の裏山です。代々のお墓の脇で、コンニャクが見事に咲いていました。

コンニャクの花

ちょうどマルバウツギが咲き乱れていました。雨が似合う花です。

マルバウツギ

そして、楽園の草地ではノアザミが咲いていました。ハッとさせられるような色合いを、雨粒がいっそう際立たせていました。

ノアザミ

目的だったオキナグサの種子も採れたので、正真正銘の相模原産系統の株を博物館でも育てていきたいと思います。

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エゴノキの花とキアシドクガ

連休が明けて、展示の入れ替えやメンテナンスなどのために職員は出勤しておりますが、博物館は本日5月8日は休館日です。
昨日からの雨で濡れた地面には、エゴノキの花が落ちています。

地面に落ちたエゴノキの花

この花が、博物館や木もれびの森周辺などで大発生しているキアシドクガの成虫にそっくりだということに気付いたのは、昨年でした。全体の白に、黄色と言うより山吹色の前足が、エゴノキの花弁とおしべの葯の色の組み合わせそのものです。

キアシドクガ

こちらは昨年の写真です。交尾の相手と思って近づいたのかどうか定かではありませんが、満開のエゴノキの花に向かってキアシドクガがたくさん群がっていました。

エゴノキの花にアプローチするキアシドクガ

キアシドクガの成虫は食べるための口器を持たないので、蜜を求めて、ということではありません。色合いの一致が単なる偶然なのか、なにか意図しているのか(擬態?)、それはわかりません。
さて、博物館周辺のミズキも純白の花を咲かせますが、キアシドクガの幼虫に花芽まで食べられてしまったものが多く、今年もほとんど花が見られません。そのかわり、同じく白い花で目立っているのがガマズミです。

ガマズミの花

雨の合間、雄しべにため込んだ水滴がガラス玉のように輝いていました。

雄しべに水滴をつけたガマズミの花

植物の世界では、季節はもう初夏に移り変わっています。

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キアシドクガ 成虫が飛び始めましたが・・

先月中旬から発生の経過をお伝えしてきたキアシドクガですが、幼虫(毛虫)の動きは概ねおさまり、多くが蛹になっています。そして、先月からの予測どおり、連休終盤の今日(5月6日)現在、チラホラと成虫が飛び始めました。

風を避けてテイカカズラに逃げ込んだキアシドクガ

強風にあおられて、博物館駐車場脇のテイカカズラの茂みへと逃げ込んだ個体です。
ちょっと失礼してその名の由来となった前足を写真に収めました。

前足の黄色がよく目立ちます

これもまた予測どおりですが、昨年までと比べて数は非常に少ないです。まだ出始めなので、これから増えていきますが、ミズキの木の下についている蛹の多くがこんな感じです。

変色して死んでいる蛹

黒く変色し、中で死んでいるものと思われます。
栄養不良は明らかで、本来なら一番食べなくてはいけない幼虫の終齢期にほとんど食べられないまま蛹化したものが多いようです。結果、正常な変態ができずに死んでしまったのでしょう。さらに、鳥たちの動きも活発化しています。昨年の記憶があるのかどうかわかりませんが、ムクドリがミズキのまわりに集まり、まだ蛹化していない幼虫や羽化した成虫を食べています。
これから1週間ほどで、生きている蛹の多くが羽化するはずです。まだしばらく、様子を見ていきたいと思います。

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ヒバリさえずる

ゴールデンウィーク最終日となりました。博物館は今日も午前中から賑わっています。
今年は概ねお天気もよく、晴れ間の多い連休でした。そんな中、相模原市の鳥であるヒバリが懸命にさえずっています。

上空でさえずるヒバリ

上空を飛びながらさえずることが多いのですが、地上でもさえずります。冠羽をしっかり立てています。

地上でさえずるヒバリ

当然、なわばりに良い場所ではオスどうしが競合します。電線がかぶってしまいましたが、複数のオスが激しくバトルを繰り返していました。

オスどうしの争い

そんな時メスは、静かにお食事中・・。

地上で採食するメス

そういえば、ヒバリの足には大きな特徴があります。それは、第一指(人間で言うと親指)の爪です。

左足の親指の爪に注目

ほかの指の爪と比べて、とても長いのがわかるでしょうか。
先日のモンカゲロウの、前足による触覚のマネも意味がよくわかりませんでしたが、この爪の長さも理由がよくわかりません。メスも長いので、つがい形成にはあまり関係が無いようです。地上での活動に何か役立つのかもしれませんが、地上生活にもっと特化している鳥がヒバリ以外にもたくさんいます。身近な鳥にもやっぱりわからないことがありますね。

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石老山周辺の地質調査

4/19、20、22に石老山周辺の地質調査に行ってきました。

石老山の南西麓は凝灰岩が分布しています。

沢が急で上るのが大変です。高さ1~2mくらいの滝が連続しているところもありました。

沢をかなり上ったところで、礫岩や砂岩を見ることができました。写真の左下が砂岩、右上が礫岩です。

石老山の北東麓にある顕鏡寺周辺では礫岩を観察することができます。

場所によっては大きな礫を含む礫岩もあります。

北側から見た石老山です。今の時期は新緑がきれいです。

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モンカゲロウにダマされてた!

5月2日、河原へ写真を撮りに行く用事があり、市内の相模川へ行ってきました。しかし、お天気もイマイチであまり成果が上がらず・・帰ってきてからたまたま撮ってきた写真を見て、ちょっと発見をしてしまいました。
それは、モンカゲロウです。

モンカゲロウの成虫

ふだん、葉裏にとまっていることが多いモンカゲロウの成虫が葉表にとまっていたので、じっくり撮影してみました。変な触覚、というか顔をしてるなぁ、と思いながら正面からアップしたりしてました。ところが、帰ってからパソコン上で写真をよく見ると、触覚と思っていたものは、前足でした!

頭をアップにしたら・・

水生昆虫を専門に扱っている方などには常識なのかもしれませんが、モンカゲロウの成虫はこれまで何気なく横目でチラチラ見ていた程度だったため、今まで気付きませんでした。それにしても、何のために前足をあげているのでしょう?威嚇のため?なんだかちょっと効果が薄い気がしますが・・。身近な昆虫にもまだまだ知らないことばかりと改めて感じました。

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吉野宿ふじやで企画展「吾が心の山ー山岳写真家 三宅 修の踏み跡ー」が始まりました

緑区吉野にある博物館の所管施設「吉野宿ふじや」で企画展「吾が心の山ー山岳写真家 三宅 修の踏み跡ー」が4月30日から始まりました。

企画展「吾が心の山-山岳写真家 三宅 修の踏み跡-」

吉野宿ふじやは、甲州道中の宿場の名残りを留める貴重な建物で、地元のNPO法人「ふじの里山くらぶ」さんに委託し、企画展など様々な普及事業を行っています。

ふじやの外観及び昨年秋に開催した「藤野の石造物」展の関連探訪

今回の企画展は、緑区藤野地区在住の山岳写真家 三宅 修 氏が撮りためた数々の山や藤野の里山の風景など40点ほどを展示しています。

4/28の展示準備真っ最中のようす

特に、約200年前の江戸時代後期に出版された『日本名山図絵』に掲載されている全国の88名山について、三宅氏が同アングルで写した写真の一部が、名山図絵の絵と並べて紹介されているのは必見です。同じアングルでの撮影ポイントを見つけるのには相当な時間がかかったそうです。

現在の写真(上)と日本名山図絵(下)

その他、三宅氏の著書や山岳写真に関する本なども紹介しています。
開催期間は、6月10日(日)までで、開館時間は午前10時から午後4時です。休館日は5/1(火)のほか、5/7、5/14、5/21、5/28、6/4の月曜日です。
5/6(日)と6/10(日)には、午後1時30分より三宅 修 氏によるギャラリートークも開催されます。

 三宅修氏の著書(一部)

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水仙の色をした鳥

博物館のまわりの樹林地にしかけてあるセンサーカメラのメンテナンスをしに入ったついでに、カメラを持っていきました。なぜなら、この鳥が朝からさえずっていたからです。

キビタキ(オス)

キビタキという鳥で、英名をNarcissus Flycatcherと言います。Flycatcherはヒタキのことなので、Narcissus、つまり、水仙の色をしたヒタキ、という意味です。オスの、のど元から胸にかけての橙色と黄色は、まさに水仙色の見事なグラデーションです。

のどから胸へのグラデーションが見事です

そもそも水仙の英名や学名のNarcissusは、ギリシア神話のナルキッソスに由来します。まさか、野鳥の中でも抜群の美しさを誇るキビタキを、美しさゆえに命を落としたナルキッソスになぞらえたわけではないでしょう。しかし、そう言われればそうかと納得したくなるようなハイセンスな羽色です。
撮影をしていると、そばをブーンと時折低い翅音がします。こちらも撮らなきゃ不公平なので、愛嬌のあるクマバチの顔を撮りました。

なわばりを守るために飛ぶクマバチ

それにしても、撮影中何度となく首筋を這いまわるキアシドクガの毛虫をつまんで落としました。キビタキは時折、枝の毛虫をひょいっとつまんで食べていました。
まだまだたくさんうごめいていますが、動きがだいぶ落ち着き、蛹があちらこちらにくっついています。その蛹もうまく変態できなかったのか、黒くなって死んでいるものも多く見られます。毛虫の方はもうしばらくの辛抱で、連休後半には白いが蛾がひらひら飛び回るでしょう。そして、その数は昨年よりずっと少なく、また、蛾のサイズは小さくなっていることでしょう。

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