満開はサクラだけでなく

今日(3月28日)は博物館の植物ボランティアグループである相模原植物調査会のみなさんと緑区へ植物調査へ行きました。
絶滅危惧種の開花状況のチェックが主な目的でしたが、満開のサクラの下にも、たくさんの野の花が咲き誇っていましたのでご紹介します。まずは、女王、カタクリです。

春の花の女王 カタクリ

そして、スター集団と言えるキンポウゲ科からはキクザキイチゲ。

キクザキイチゲ

同じくキンポウゲ科で、和製アネモネのイチリンソウ。

野生のアネモネと言えるイチリンソウ

早春に咲いて結実すると地上部が消えて無くなってしまう花たちを総称してスプリング・エフェメラル(春のかげろう)と呼びますが、その象徴的存在のアマナ。

お天気が良くないと花を開かないアマナ

花が咲くということは、彼らも大忙しです。ビロードツリアブ。

なわばり争いも忙しそうだったビロードツリアブ

こちらは樹木ですが、かんざしのように咲くキブシ。

キブシ(雄花)

そして最後に、寝ぼけまなこで林道脇にいたシュレーゲルアオガエル。

文字どおり寝ぼけまなこでした

アクセルを踏み込んだように春の歩みがスピードを上げています。野生生物に関わる者としては、焦りばかりがつのる毎日です。

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どんどん広がる!

つい先日、雪をかぶっていた博物館中庭のミヤマガマズミの新芽です。

ミヤマガマズミの新芽(葉と花)

今日(3月25日)は朝から快晴で、新葉に挟まれた中央の花芽もしっかり顔を出しています。
アオキの花もだいぶ咲いてきました。青空をバックにするとなんだか別の植物のように見えます。

アオキの花(雄花)

フッキソウは真冬から少しずつ咲いていましたが、今が花盛りです。

フッキソウの花

博物館のまわりにたくさん生えている(植えたものではありません)ミズキがだいぶ崩芽して、瑞々しい新葉を開いてきています。この先、見る見るうちに葉を広げることでしょう。

ミズキの新芽(葉)

ミズキと言えば、この4年ほど大発生しているキアシドクガは昨年、このあたりのミズキとクマノミズキを丸坊主にしました。あまりの大量発生で明らかに食料不足となり、さすがにミズキも樹勢が弱っているものが多く見られます。一般的に5年程度続くとされるキアシドクガの大発生は、昨年がピークと思われますが、さて今年はどんなようすになるでしょうか。注意深く見守っていこうと思います。

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「春先のヘンな生きもの探検」 ミニサロン実施しました!

今日(3月24日)は生きものミニサロンを実施しました。予告どおり、テーマは「春先のヘンな生きもの探検」!
まずは博物館を出てすぐ、こんな小さな花を観察してもらいました。

ヒサカキの花 直径5mmほどしかありません

ヒサカキの花です。ふつう、花はできるだけ目立つように咲くのに、ヒサカキの花は「ここにあるよ」と教わらないとわからないくらい地味で小さな花です。ヘンですね。でも、地味なわりに強烈な個性で主張しているのが、ニオイです。みなさんにもかいでもらいました。

ヒサカキの花のニオイをかいでいます

花のニオイらしくないためみなさん意識したことがないようで、「知ってるけどこの花のニオイとは知らなかった!」という反応でした。
さて、次はこのブログでもたびたびご紹介しているミズキの樹液酵母です。

ますます強烈に膨張中の樹液酵母

目の前までご案内すると、みなさん目を丸くして驚かれていました。「ナニコレ?!」と今日のテーマが大げさではないことを実感・・。樹液酵母が成熟してできたオレンジ色の部分(スライム・フラックス)を存分に観察していただこうと、シャーレに採集して触っていただきました。

スライム・フラックスをさわっています!

お子さんたちは最初はこわごわ触っていましたが、毒も刺激も無いとわかると、意外と気持ちいいようで、記念写真も撮らせてくれました!

もちろん、食べてはいません!「ポーズ」だけです!

続いて、これはヘンなものでもありませんが、ドングリの芽生えの観察です。ドングリの中身が「子葉(ふたば)」であることがわかり、さらに、ふだん食べている甘栗がドングリのなかまで、じつは食べているのが子葉の部分だということも判明し、「へーっ!」という反応をいただきました。

芽生えているドングリ探し

最後にお隣の樹林へ入り、ビロードツリアブのモコモコのかわいい姿を観察したり・・・

ビロードツリアブはかわいらしさで大人気!

ビロードツリアブ

ミミガタテンナンショウの不思議な花を見たりして、今回も身近な自然観察を楽しみました。
次回は4月28日(土)12時から、たくさんの春の花と虫を観察する予定です。

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日替わりの季節 今日は春

朝、外出しようと着替える時、今日は春かな?冬かな?と迷う毎日です。でも、今日(3月23日)は文句なしの春です。昨日のブログでしっとり湿ったお天気も似合うコブシの花と紹介しましたが、やっぱりなんと言っても青空が似合います。

青空をバックにコブシの花

明日、24日(土)に実施する生きものミニサロンの下見で樹林地を歩いていたら、カントウタンポポが咲いていました。

この樹林はカントウタンポポが多い場所です

ただし、明日はタンポポの観察までは手が回らないくらい、いろいろ観察ネタがあります。その一つのミミガタテンナンショウを見ていると、ハエのなかまが数匹集まっていました。

ミミガタテンナンショウの花

まさに、これから花の中へ入っていこうというタイミングでした。明日もこんなシーンが見られると良いですね。
この樹林のスターであるフデリンドウは、さすがにまだ早いようです。

つぼみがまだ小さいフデリンドウ

まだつぼみが7ミリメートルくらいなので、花は例年より少し遅いかもしれません。来月のミニサロンの頃まで見ごろが続きそうです。今年は花が早めのソメイヨシノとは逆ですね。
そして、こちらも明日、みなさんと観察する予定のコナラのドングリです。「よっこいしょ」と重たいものを持ち上げている感じが春らしいですね。

コナラのドングリ

今日のようなお天気になることを祈りつつ、みなさまのご参加をお待ちしております。
「生きものミニサロン」は明日3月24日(土)12時から約30分間。お申し込み不要、参加費無料です。博物館1階エントランスへお集まり下さい。

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週末の生きものミニサロンは、春先のヘンな生きもの!

今週土曜日(3月24日)は月1回恒例の生きものミニサロンを実施します。
今回のテーマは「春先のヘンな生きもの探検」です。春先、生きものたちの生命力が爆発する季節。ちょっと見慣れない形の花や、このブログでもご紹介したおかしな色の樹液など、ヘンな生きものがいろいろと見られます。

妖しげなミミガタテンナンショウの花

お昼12時から30分間、春の明るい日差しの下でヘンな生きもの探検をしてみましょう!お申し込み不要です。参加をご希望の方は博物館のエントランスへお集まりください。
さて、ヘンな生きもの探検なので、ネタバレの写真を掲載できませんから、そのかわり、昨日の時ならぬ雪の風景の写真をアップします。
前庭のアズマネザサに降り積もった雪です。

アズマネザサに積もった雪

このところの春の陽気で色合いの強いものを見慣れていたせいか、水墨画のような渋い色が美しく見えました。
こちらはブログでもご紹介したヤブレガサの芽生えです。

ヤブレガサの芽生え

雪がちょっと重たそうですね。
こちらは今朝ですが、いきなり降り出した雨にあたるコブシの花です。

驟雨(しゅうう)に濡れたコブシの花

青空も似合いますが、しっとりとした水気もよく似合う春の花です。
午後からは晴れそうです。生きものミニサロンの土曜日も晴れるといいですね!

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ヤブレガサの見ごろ

今日(3月21日)は春分の日だというのに、激しく雪が降っています。今年は春と冬のせめぎ合いが激しいですね。
そんな中、博物館の中庭ではおなじみの毛むくじゃらが地面から突き出てきました。

落ち葉をかき分けて頭を出した芽生え

ヤブレガサの芽生えです。
もう少し伸びた葉はこんな感じに本葉を開いています。

正体は、ヤブレガサ!

これが、そのお化けのような種名の由来です。
花は梅雨時に咲きますが、拡大するとなかなかおもしろい形をしているものの、芽生えほどのインパクトはありません。

6月に撮影したヤブレガサの花

ふつう、植物の見ごろは花や紅葉など色鮮やかな季節がふつうですが、ヤブレガサの見ごろは、芽生えの今という、ちょっと珍しい植物ですね。

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「博物館deトレジャーハンター」オープンしました!!

本日(3月17日)、「相模原市の遺跡2018 博物館deトレジャーハンター お宝なぞ解き考古展vol.2」がオープンしました。昨年に続いてクイズや体験コーナーなど、小さなお子様連れのご家族からコアな考古ファンまでたっぷりと楽しめる内容となっています。

特別展示室入り口

クイズラリーは今日を含めて8回実施します。しっかり展示を見ないと解けない問題ばかりですが、そのかわり、このクイズを制覇すると展示をバッチリと観覧したことになります。

答えは展示の中に!

答え合わせコーナーで一喜一憂しています!

パネルをめくって答え合わせ

お疲れさまのオリジナル考古グッズをプレゼント!

クイズラリー実施日はオリジナル考古グッズをプレゼント!

クイズラリーは今日を含めて8回、3月17日(土)、24日(土)、31日(土)、4月7日(土)、14日(土)、21日(土)、28日(土)、5月5日(土)です。ただし、設問や問題用紙は会期中は会場に常置していますので、いつでもチャレンジできます。
ほかにも、体験コーナーでは土器パズルや・・

意外と難しい土器パズル

土器の文様つけ体験もあります。

粘土に“縄文”を刻みます

さらに、自分が展示の中に入ってしまう記念撮影コーナーも!オリジナルキャラクターの「さがぽん」と「おびのっち」は、展示のガイド役でもあります!

「さがぽん」と「おびのっち」と記念撮影!

運が良ければ、縄文人コスプレができるかも!(博物館の考古ボランティアグループの縄文研究会の方がいるときに限ります。)

縄文人だ!

ほかにも関連イベントとして、記念講演会や遺跡の発掘現場の現地説明会など、盛りだくさんの内容でみなさまをお待ちしています!
詳しくはホームページをご覧下さい。

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つくし

博物館の前庭には玉砂利が敷かれている場所があります。そこは毎年、真っ先につくしが顔を出します。今年もすでに何本も立ち上がってきました。

つくし(スギナの胞子茎)

つくしの植物としての名前はスギナと言います。頭の部分は花ではなく、胞子を出すところです。あまり意識されることはありませんが、つくしはシダ植物なのです。整理すると、つくしはスギナというシダ植物の胞子茎(ほうしけい)です。そして、スギナの本体?とも言える栄養茎(えいようけい:光合成をする茎と葉)も同時に出始めています。

スギナの胞子茎

つくしは胞子を飛ばしきるとしぼんでしまいますが、こちらは夏までどんどんと大きくなっていきます。
博物館ではほかにも、中庭ですでに咲き始めている花があります。

ウグイスカグラ

ウグイスカグラです。市内でも林の縁などでふつうに見られる低木で、春真っ先に(場所によっては2月から)咲き始めます。
ミヤマガマズミの冬芽がだいぶ大きく伸びてきました。2枚の葉が開くのと同時に、純白の花が咲くのは来月中旬でしょうか。

ミヤマガマズミの冬芽

オオアラセイトウ(ショカッサイ)も駐車場のフェンス沿いに少しずつ咲き出しました。こちらも来月には地面を紫色に染めるようにたくさん咲くので、見ごろになったら写真をアップします。

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春最初の植物調査

3月14日、相模原植物調査会のみなさんとこの春最初の植物調査に行きました。緑区の津久井地域の山中ではすさまじい量のスギ花粉が舞っていましたが、めげずにスギ植林地を進むと・・

ミスミソウ

ミスミソウが出迎えてくれました。この季節の数少ない開花植物です。
さらに、今日の目的であるこちらの花は・・

ウスギオウレン(雄花)

ウスギオウレンの雄花です。林床にひっそりと咲く直径数センチの花は、あると分かっていても見つけるのに苦労します。
こちらは雌花です。

ウスギオウレン(雌花)

ほかにも、目立たないもののしっかりと花をつけている木々がいくつもあり、そのうちの一つがこちら、ツノハシバミです。

ツノハシバミの雌花

雌花は芽鱗と呼ばれるカプセルに包まれながらも、しっかり柱頭を開いています。
林道を歩いていたら、前方でカモシカがじっとこちらを見つめていました。

カモシカ

よく見ると角が片側しかありません。でも、健康そうでしばらくこちらのようすを見た後にゆったりと去って行きました。

片角でした!

スギ植林地からは風がふくたびに煙のような花粉が舞い上がり、厳しいコンディションでしたが春を満喫できる調査となりました。

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気がつけば、今年もオレンジ色

博物館の駐車場では春先になると、毎年おなじみのオレンジ色が現れます。

自然界にはあまりない蛍光色です

木は、何の変哲も無いミズキなのですが・・ちょっと異様な色ですね。
この正体は、樹液にカビと酵母がとりついてコロニーを形成したものです。樹液は初め透明ですが、糖分をエサにカビと酵母が繁殖してしだいに白濁してきます。その後このようなオレンジ色に変化してくるそうなのですが・・。博物館のミズキで見ていると、白濁期はほとんど見られず、いきなりオレンジ色になるように見えます。ちなみにこのオレンジ色の状態は、スライム・フラックスと呼ばれています。触ってみると、まさにスライムのように「ひんやりプニプニ」です。

触り心地は、まさしくスライムです

ミズキは春になると、地面からたくさんの水を吸い上げます。この時期に枝を切ると、切り口から見る見る樹液がしみ出て滴り落ちるほどです。

枝を切ると、すぐに樹液が滴となります

この木は駐車場を仕切るフェンス際にあって、枝が伸びると駐車の邪魔になってしまうのでいつも剪定されています。そのため、古い切り口からも毎年たくさんの樹液がしみ出るために、スライム・フラックスが形成されるようです。

これからオレンジ色になりそうな部分もあります

この色を見ると、春が本格的にやってきたのを感じます。

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