気がつけば、今年もオレンジ色

博物館の駐車場では春先になると、毎年おなじみのオレンジ色が現れます。

自然界にはあまりない蛍光色です

木は、何の変哲も無いミズキなのですが・・ちょっと異様な色ですね。
この正体は、樹液にカビと酵母がとりついてコロニーを形成したものです。樹液は初め透明ですが、糖分をエサにカビと酵母が繁殖してしだいに白濁してきます。その後このようなオレンジ色に変化してくるそうなのですが・・。博物館のミズキで見ていると、白濁期はほとんど見られず、いきなりオレンジ色になるように見えます。ちなみにこのオレンジ色の状態は、スライム・フラックスと呼ばれています。触ってみると、まさにスライムのように「ひんやりプニプニ」です。

触り心地は、まさしくスライムです

ミズキは春になると、地面からたくさんの水を吸い上げます。この時期に枝を切ると、切り口から見る見る樹液がしみ出て滴り落ちるほどです。

枝を切ると、すぐに樹液が滴となります

この木は駐車場を仕切るフェンス際にあって、枝が伸びると駐車の邪魔になってしまうのでいつも剪定されています。そのため、古い切り口からも毎年たくさんの樹液がしみ出るために、スライム・フラックスが形成されるようです。

これからオレンジ色になりそうな部分もあります

この色を見ると、春が本格的にやってきたのを感じます。

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レンジャク当たり年

日本に渡ってくる冬鳥の多くは、その年の食糧事情などによって飛来数が大きく変動します。バードウォッチャーたちの間では、「今年は○○が当たり(飛来数が多い)だね!」などという会話が日常的に交わされるのですが、そんな会話の中でひときわニュース性が高い鳥のひとつがこちらです。

ヤドリギにとまるヒレンジャク

ヒレンジャクです。冬、日本へ渡ってくると、上の写真のようにヤドリギという常緑の着生植物の果実を好んで食べることが知られています。飛来数が極端に変動することもさることながら、この独特の風貌が人気の鳥です。

美しく独特の姿

今年は1月下旬くらいからチラホラとヒレンジャク情報が入り始めたので、ここ数年無かった当たり年か!?と期待が高まっていました。2月下旬には相模原市内でも数羽の飛来が確認されていたのですが、いよいよ3月に入り本格的な「当たり年」であることが明らかになりました。こちらは市内ではありませんが、神奈川県西部での3月9日の写真です。

いくつかの群れが集合して80羽以上にふくれあがっていました

なんと、普通の住宅地の庭や電線に、80羽を超える群れがいたのです。もはや近隣のヤドリギの果実は食べ尽くしたようで、住宅地の庭でピラカンサなどほかの果実を食べていました。こんな年は冬に実る果実ならなんでも食べますし、春一番に咲くヤナギの花も食べたりします。
そしてこの群れの写真を後からじっくり見ていたら、尾の先の色が異なる1羽を見つけました。

矢印の個体の尾の先だけ黄色です

ヒレンジャクよりひとまわり大きく、尾の先が赤色ではなくて黄色なのが特徴のキレンジャクです。もともとヒレンジャクよりもずっと飛来数が少ない鳥ですが、今年はキレンジャクにも期待が持てます。しばらくはレンジャク探しの楽しみが続きそうです。

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今度こそ!ヒキガエル

啓蟄の3月6日にアズマヒキガエルの産卵が見られないかと訪れた場所は相変わらず静まりかえっていましたが、3月7日夜、もう1カ所の中央区のある池を訪れると・・始まっていました!カエル合戦です!

たくさんのアズマヒキガエルが臨戦態勢です

抱接(ほうせつ:産卵に備えてオスがメスの背中にしがみつくこと)しているオスとメスが約10ペア、抱接できていないオスが10匹ほど群がっています。
すでにペアになったオスはその地位を手放すまいと必死です。背後から横どりしようとする別のオスを後ろ足でキックしてはじき飛ばします。

我も我もとメスの背中を確保しようと集まるオス

断続的にそうした小競り合いが起きますが、当然、オスがオスにしがみついてしまうこともあります。そんな時は「おれ、オスだぞ!」という声(リリースコール)を出すので、間違えたオスはすぐに離れます。

背後から狙いを定めるオスが・・

すでに数日前に産んだと思われる卵紐(らんちゅう:紐状の卵塊)もありました。

水中には卵が見えます

この場所もあと1週間ほどは夜な夜なカエル合戦が繰り広げられることでしょう。

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地質学講座4回目(最終回)大地の変化

3月3日は全4回の地質学講座の最終回でした。
最終回は「大地の変化」についてです。火山については前回、解説したので、今回は地震についてです。

地震の基本事項について、ペーパークラフトの模型を使って解説しました。その後で、断層が作った地形を地形図から読み取りました。

プレート境界地震のしくみを説明する模型です。

正断層と逆断層を説明する模型です。

横ずれ断層を説明する模型も作りました。

液状化現象の実験も行いました。ワゴンを揺すったり、容器を手で叩いたりして地震の揺れを起こしました。

ワゴンを揺すって地震を発生させます。

重いものが沈んで、軽いものが浮かんできます。

噴砂の実験は容器を手で叩いて地震を発生させました。真ん中に開けた穴や周囲から砂が吹き出してきます。

今年度の地質学講座は、小学校の内容を大人向けに解説するという、初めての試みでした。また、パソコンのプレゼンテーションソフト(昔はOHPとスライドでした!)を使わずに解説するのも初めてでした。実験は小規模で簡単なものでしたが、それでも写真やビデオでは伝わらない“実物”や“実体験”の良さがあったと思います。
参加者の皆様からは、「模型や実験により、自然現象についてわかりやすく説明してもらい、良かった」、「基本的なことをすっかり忘れていたので、すごくわかりやすかった」などの感想をいただきました。。
小学校の内容といっても、なかなか奥深く、こちらも解説するにあたって、改めて勉強し直しました。初回のブログにも書きましたが、やはり基本は大切だと強く感じました。

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啓蟄の日に

今日(3月6日)は二十四節気の啓蟄(けいちつ)です。地中にこもっていた虫などが這い出てくる日、という意味です。さらに春らしい暖かさもあり、市内の谷戸へカエルの産卵チェックに行ってきました。

春の暖かさが画面から伝わります

ここは在来種のカントウタンポポが多い場所で、陽当たりの良い南斜面ではたくさん咲いていました。

カントウタンポポ

オオイヌノフグリも全開!

オオイヌノフグリ

ところが、いつもアズマヒキガエルがたくさん卵を産んでいる水場は、しんと静まりかえっていました。東京都の西部などではすでにカエル合戦が始まっているという情報がありますが、ここはまだです。例年、3月10日過ぎのことが多いのですが、年によって2週間くらいズレがあります。暖かいからといって早まるわけでもなく、カエルの産卵時期を見極めるのは難しいです。

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相模原市南区当麻地区の地質調査3/2

3月2日(金)は午後から相模原市南区当麻地区の地質調査を行いました。

「子の神(ねのかみ)坂」の切り通しでは段丘礫層と関東ローム層が観察できます。段丘礫層は昔の川原の堆積物です。

「子の神坂」の近くには笈退(おいしゃり)の泉と呼ばれている湧き水があります。

笈退泉に向かう途中でも段丘礫層と関東ローム層を見ることができます。

笈退泉の南、市場集落の近くにも湧き水があります。

無量光寺の山道では段丘礫層と泥流堆積物が見られます。泥流は泥と水の混ざったものが河川などを流れ下る現象です。通常の洪水よりも泥の割合が高いのが特徴です。

2時間程度の調査でしたが、いろいろなものを観察することができました。

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ECO-TOPインターン最終日

こんにちは!桜美林大学からインターンに来ている大滝、菊地原です。
今日(2/28)はインターン最終日でした。朝から野外調査に同行しました。午前中は、鉄塔を建てる下の植物の調査を見学しました。

ヘルメットを着用してフィールドワーク

普段は入れないような場所に入り、貴重な体験をしました。
午後は市内緑区のある場所に、フクジュソウの観察、カエルの調査に行きました。

渓流を見つめる・・

フクジュソウは見頃で、とてもきれいに見ることができました。

自生のフクジュソウ

カエルの調査は、カエルを見つけることが出来ませんでした。しかし、魚や水生昆虫を見ることが出来、普段とは違う環境を味わう事が出来ました。

天然の葉脈標本!

他にも、色々な野鳥に出会いました。

ヤマガラも渓流に下りていました

インターン1日目の鳥の剥製の整理のおかげで聞いたことがある鳥ばかりで楽しかったです!
5日間、毎日が新しいことばかりでとても充実したインターンシップになりました。
ありがとうございました!

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ECO-TOPインターン4日目

こんにちは!桜美林大学から来ているインターンシップ生の大滝、菊地原です。
今日(2/27)は朝、先週末に閉幕した学習資料展の撤収作業に参加して、市民学芸員のみなさんと作業しました。

学習資料展の撤収作業

その後、上溝南小学校の「~やさしい橋へ~感謝の会」に参加しました。

小学4年生による感謝の会

桑の葉から蚕を作る手伝いをした方達への感謝の会で、作っていく過程をスライドで見たり桑の葉から作ったケーキを食べたり、お茶を飲んだりしました。子ども達が一生懸命考えて作り上げた会でとても感謝が伝わってきて、こういった地域との関わり合いも良いですね!
午後は昆虫の標本の展足(てんそく:標本の足を広げて台紙にとめる作業)をしました!

一生に一度?の展足作業

難しかったですが、見た目によらず楽しかったです!他には、タヌキの解剖をしているところを見学させてもらいました。滅多に見られない物を見たり、触ったりしてとても良い経験となりました!
明日は、インターン最終日になりますが、最後まで頑張っていきたいと思います!

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相模野台地と多摩丘陵の地質調査2/21

2月21日に相模原市南区古淵から恩田川支流の滝の沢を経て、町田市三輪町まで地形地質調査を行いました。

まずは相模原市南区古淵の境川沿いの露頭に向かいました。ここでは相模野台地をつくっている地層である関東ローム層を観察しました。関東ローム層の厚さは約20m。約6万6千年前に箱根の噴火によって降り積もった厚さ30cmの軽石層などが観察できます。

次に向かったのは恩田川の支流の滝の沢です。
滝の沢では源流部をはじめ、湧き水が数箇所で見られます。


最後に訪れたのは町田市三輪町です。約150万年前に海で堆積した上総層群柿生層が見られます。白坂横穴墓群や西谷戸横穴墓群は柿生層の泥岩をくりぬいてつくったもので、これらの近くには柿生層の露頭があります。

白坂横穴墓群の近くにある柿生層の露頭。主に泥岩です。

西谷戸横穴墓群の横穴の周囲は保護のため人工的に固められています。入り口もふさがれています。横穴の下の方に柿生層の泥岩が露出しています。フェンスの中に入ることはできません。

町田市三輪町から横浜市青葉区寺家町に抜ける道の切り通しには立派な柿生層の露頭があります。

切り通しの両側で柿生層をよく観察することができます。

ここの切り通しでは泥岩層の間に数センチの薄い砂岩層が挟まれているのが観察できます。

大昔の地震の時に形成された噴砂の跡も見られます。写真中央の垂直に立っている層が噴砂の痕跡です。

今回の調査で相模野台地と多摩丘陵の地形・地質の違いがよくわかりました。

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ECO-TOPインターン3日目 生きものミニサロン実施!

こんにちは!桜美林大学からインターンシップに来ている大滝、菊地原です。
今日(2月24日)は待ちに待った「生きものミニサロン~はっぱdeひな人形」を実施しました!

エントランスで3月3日は何の日?というクイズからスタート

始まる前はとても不安でしたが、無事大盛況のうちに終わりました。

みなさんそれぞれお気に入りの葉っぱを拾ってもらいます

みなさん、葉っぱで思い思いのひな人形を作っていて、とても楽しそうでした。

こちらは見本です!

服はおそろいだけど、作品はそれぞれ個性いっぱい!

完成第1号の作品です

中には、とてもファンキーなひな人形だったり、私たちが考えつかない面白いひな人形が出来上がっていました。

とってもファンキー!

企画から始める大変さを身にしみて体験することが出来ました。お客さんが喜んでくれたり、お子さん達が楽しそうに作成している姿を見て企画をして良かったと感じました。

楽しそうに作ってくれました

残り2日間もいろんな事を体験していきたいと思います。

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