【予告】今年も実施!クリスマスリースづくり

12月14日(土)、今年も恒例となりました生きものミニサロン「自然の素材だけでクリスマスリースをつくろう」を実施します。写真は昨年の様子です。

昨年の様子

こちらで準備したクズのつるを台にして、さまざまな自然素材をデコレーションします。素材のほとんどは、当館の植物専門ボランティアグループの相模原植物調査会のみなさんが集めてくれました。

きらびやかではないけど、素朴な味わいのあるリースができます

実施は12時から12時30分まで、先着20名様となります。
今年も相模原植物調査会のみなさんから続々と素材が届いています。

出番を待つ素材

調査会のみなさんは、市域のどこにどんな植物が生えているか、たくさんの情報を持っています。この季節に採集できる素材を調達してくれたり、中には遠方からわざわざ真っ赤な果実を送ってくれた方もいます。

ツルシキミの果実

昨年、玄関にリースを吊るしていたら、素材に使っていた果実を野鳥が食べに来ていた!と教えてくれた参加者もいます。そんなハプニングも楽しみなリース作りです。ご希望の方は12時までに、エントランスへ集合してください。
(生物担当学芸員)

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初冬の河原

先月のブログでお伝えしたカワラハハコが、そろそろ種子が実っているころかと思い、相模川の河原を歩いてきました。無事に採種できたので、もともとあった大群落の近くにも少し撒(ま)いてきました。
カワラノギクもたくさん実っていました。

こちらはカワラノギクの綿ぼうし

実っているといえば、樹木のイイギリが真っ赤に実っていました。いかにも鳥が食べそうですが、真冬まで食べ残されていることが多い木です。

イイギリの果実

こちらも真っ赤な、マユミの果実です。

マユミの果実

赤い鳥もいました。ヤブの中からなかなか出てこなかったので、かくれんぼしているような写真ですが、ベニマシコです。

ベニマシコ(オス)

すぐ近くにジョウビタキもいて、ヤブの中でどっちが鮮やかな色合いか、競っているようでした。

ジョウビタキ(オス)

河原の中に入江状に入り込んだ水路の近くに来たら、ちゃぽんちゃぽんと音がします。水の中をよく見ると、無数のオイカワがいました。

オイカワ

どうやら、ユスリカが水面上で大量に飛んでいるので、それを食べるために飛び上がっているようです。

水面に飛び出たところ

上空には、青空をバックに気持ちよさそうにノスリが飛んでいました。

ノスリ

冬らしい気温と乾いた空気が心地よい河原歩きでした。
(生物担当学芸員)

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雪虫飛ぶ

12月初旬になって、やっと雪虫が飛ぶようになりました。

飛ぶ雪虫

雪虫とは、アブラムシの仲間の成虫のうち、翅(はね)を持ち、白い蝋(ろう)状の分泌物を体にまとったものの総称です。フワフワと飛ぶその姿を雪に見立てたとも、北方では初雪の頃に飛ぶからとも言われています。
関東地方では、上の写真のタイプの毛の長い雪虫は例年、11月下旬に出ます。今年は晩秋まで気温が高かったせいか、1週間から10日ほど遅く出てきました、

毛の長いタイプの雪虫

じつは、11月初旬に飛ぶ雪虫もいて、そちらは白い部分が短めなので、ちょっと雪虫と表現するには物足りない気がします。

毛が短いタイプの雪虫

どちらも異なる種類だと思われますが、アブラムシ類の分類は不明の点が多く、種類までは特定できません。もしかしたら、どちらのタイプの雪虫にも複数の種類が含まれているかもしれません。
博物館の前庭の紅葉がピークを迎えています。風ではらはらと落ちる葉も美しく、西日が差すといっそう輝きます。

博物館前庭の紅葉

ちょっとフォトジェニックな(写真映えする)風景です!まもなくこんな色合いも消えてゆくはずなので、この週末ご来館の方は、ぜひ目に焼き付けて、あるいはスマホなどで写真を撮られてはいかがでしょうか。
(生物担当学芸員)

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紅葉まっさかり

12月に入り、朝晩が冷え込む毎日になりました。朝、通勤途中の歩道から見えるイチョウが黄金色に輝いています。

黄金色に輝くイチョウ

博物館周辺も紅葉まっさかりです。こちらは博物館とJAXAの間の直線道路です。

JAXA側はクヌギの紅葉です

博物館正面も、建物が紅葉の色に包まれています。

ケヤキ、コナラ、ミズキの紅葉

原曲のシャンソンのほか、ジャズアレンジでも世界中に愛される名曲、枯葉(Les Feuilles morte)が聴こえてきそうな風景です。

留保地の紅葉を見上げると・・

当館の建物は、外光を取り入れるためにガラス壁面が多く使われています。そのため、中からも紅葉が楽しめます。

エントランスから見た紅葉

これから日に日に枝から葉が落ちて、冬の風景に移っていくでしょう。そんな変化も楽しみたいと思います。
(生物担当学芸員)

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さよなら!ヘリオス

1995年11月の開館以来、29年間にわたり当館のプラネタリウムとして主役を担ってきた光学式の投影機、HELIOS(ヘリオス)が、11月30日と12月1日の特別上映をもっていよいよ退任となりました。11月30日には朗読プラネタリウム、12月1日は、宇宙フェスタさがみはらの一環として、「ヘリオス最終投影&記念撮影会」が行われ、この最終投影が本当に最後の投影となりました。
今回で3回目となる朗読プラネタリウムでは、お馴染、声優の渡辺克己(わたなべかつみ)さんが「星空のジェイクとちいさなジーコ」を、高橋全(たかはしあきら)さんのピアノをバックに、情感たっぷりと朗読されました。

朗読プラネタリウム

絵本作家の葉祥明さんによる2作品の朗読の合間に、北鎌倉葉祥明美術館館長の堀内重見(ほりうちじゅうけん)さんによる講演も行われ、そして、HELIOSによる北半球と南半球の星空が映し出されるなど、とても密度の濃い内容でした。

HELIOSによる星空と星座の投影

葉祥明さんの作品をバックに朗読

最後に出演者のみなさんと記念写真。

出演者のみなさんと記念撮影

そして、最終日となった12月1日の最後の上映回では、参加してくださったJAXA宇宙科学研究所の吉川真先生と天文家の大川拓也さんが冒頭にコメントをくださいました。さらに上映の中でも、おつかれさま、HELIOSのメッセージがたくさんの方から寄せられました。

美しい星空と、HELIOS(右)

最後の投影にふさわしく、なぜか関西弁のHELIOSくんも登場。

ヘリオスくんと、HELIOS(右)

そして、夜明けの展開で印象的なラストとなりました。

夜が明け、投影が終了

終了後も記念写真を撮る人が絶えず、HELIOSとのお別れを惜しんでいました。

最後にご観覧のみなさんと記念撮影!

HELIOS最後の雄姿

HELIOSファンのお一人は、手編みのマフラータオルを持って応援に来てくれました。

HELIOS推しの方は手編みのマフラータオルも!

HELIOSはこれで退任しますが、今後は、展示資料として当館に残ります。
12月2日からは更新工事が行われ、すでに座席が取り外されました。

昨晩まで投影していたプラネタリウムも、翌日すでに工事が開始

来年6月までのミニプラネタリウムの上映や、ミニ展示など、詳しくはこちらをご覧ください。今後も工事の様子や、新しいプラネタリウムの情報などもこのブログでご紹介していきたいと思います。
(生物担当学芸員)

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小中学校で環境教育

11月29日、市内緑区の小山中学校で生物多様性を理解するための環境教育プログラムを実施しました。これは、法務省矯正局が進めるタンポポプロジェクトの一環で、5月にもタンポポの観察会を実施しました。
今回は、在来種のタンポポの保全を考える上で重要な、生物多様性の考え方を実感できるよう、タンポポを育てる活動を進める同校環境委員会のみなさんに参加してもらいました。まずは、校庭の落ち葉を使って、自然の色の多様性を実感してもらいます。お馴染、「落ち葉のグラデーション」です。

みんなで落ち葉を並べていきます

みなさんで力を合わせて、似た色同士が隣り合わせになるよう落ち葉を並べて、環を作ってもらいます。わずか数分で作ったものですが、美しく並べられました。

この季節ならではの色合いです

落ち葉の色の多様性は生物多様性とは少し異なりますが、無限に広がる自然界の色を感じてもらうプログラムです。
続いて、生態系と生物多様性を実感できる「落ち葉めくり」です。踏みつけのされていない樹木の下に4人1組で入り、1人ずつ、落ち葉を上からめくって容器へ入れていきます。表層、その下の層、さらにその下、そして4番目の深い層とめくっていきその様子を観察します。見た目や感触、においなどをとおして、葉が分解されて土になっていくのがわかります。

めくった落ち葉をそれぞれ観察

さらに、落ち葉の下にどんな生きものがいるのか確認します。虫が苦手な生徒さんも、キャーキャー言いながらも小さな生きものを拾って観察していました。

思いがけずいろいろな生きものがいて、とても盛り上がっています

室内に戻り、詳しく観察。想像以上にたくさんの生きものが生息し、落ち葉を分解していくこと、そしてそれをさらに菌類が無機物へと分解して養分として植物に吸収されていく、生態系のしくみについて解説してまとめとなりました。

ルーペを使ってじっくり観察

拾った生きものは校庭に戻す予定でしたが、一人の生徒さんが簡易の入れ物を作って大事そうに持ち帰っていて、ちょっと嬉しくなりました。

持ち帰りたい!と思うくらい興味をもってくれました

その2日前にはお隣の小山小学校で、3年生に向けた環境教育プログラムを実施しました。
こちらもお題は生物多様性についてで、特に、地域のいきものと人間が共存するためにはどうしたらいいかを考えてもらいました。
1学年全体が参加するため、座学でお話を聞いてもらう形式としましたが、皆さんとても熱心にお話を聞いてくれました。

地域の生き物と共存するために、どうしたらいいかな?

生物多様性ということで、小学3年生にはかなりレベルが高いお話の部分もあったのですが、生態系のピラミッドの図を示したところ、「食物連鎖だ!」と声が飛ぶなど、びっくりさせられる場面もありました。

元気いっぱいの挙手

途中で交えたワーク・クイズにもたくさん答えてもらい、終始よい雰囲気でお話をすることができました。

(生物担当学芸員・動物担当学芸員)

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全国野生生物保護活動発表大会

11月27日、東京霞が関の環境省で、第58回全国野生生物保護活動発表大会が行われました。全国の小学校から高校のうち、審査によって選ばれた9校が、野生生物や生態系を守る日ごろの活動とその成果を発表しました。

小林史明環境副大臣のあいさつ

今年度は、相模原市内から神奈川県立上溝南高校生物探求部が林野庁長官賞を受賞、発表の栄誉をつかみ取りました。発表のタイトルは「ホトケドジョウの保全活動〜ホトケドジョウをほっとけない!!〜」です。

上溝南高校生物探求部の発表

言葉遊びのような雰囲気のタイトルですが、内容は神奈川県の絶滅危惧2類に区分されているホトケドジョウを守るための、いたって真面目で真摯な調査研究活動です。学校から歩いていかれる範囲の身近なフィールドで地道な調査を進めている点が評価されました。
今回は、小学校1校、中学校2校、高校6校の参加校が、質疑応答の時間に学校間で活発に質問し合っているのが印象的でした。そして、休憩時間には生徒や児童同士、そして引率の先生とアドバイザーの専門家も交えて意見交換をしていました。

休憩時間の様子 活発な交流が行われました

こうした交流こそが、この発表会の最大の意義ではないかと思います。
発表校はどこも大変高いレベルの活動を行い、それをつうじて地域の様々なコミュニティをつなぎ合わせ、広く発信しているという共通項がありました。参加校の活動の様子について、詳しくはこちらのサイトから見ることができます。ぜひ、多くのみなさんに全国各地のすばらしい活動の様子を見ていただきたいと思います。
(生物担当学芸員)

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相模川のカワラハハコ

11月26日、緑区の林道へ絶滅危惧種の調査へ行ったことは、このブログでも紹介しました。その帰りに、同じく緑区の相模川の河原へ行き、ここでも絶滅危惧種の生育状況を確認しました。その植物とは、カワラハハコです。

カワラハハコの花

2019年の台風19号による増水で、県下最大と言える大きな生育地が流失して以来、水に浸からなかった場所に細々と残っている状況です。下の写真は、2014年秋の写真です。

2014年秋のカワラハハコ群落(相模川)

現存する生育地は、シナダレスズメガヤやオオキンケイギクがはびこっていて、良好な状況とは言えません。なんとか元の場所にも群落が復活するよう、策を練りたいと思っています。
そんなことを考えながら河原を歩いていると、エナガの群(むれ)に囲まれました。

エナガの群

20羽くらいのこの群は、どうもネムノキに執着していました。枝先をつついたり、枝に残った葉の付け根あたりをつついたりしていました。

ネムノキの枝先をつつくエナガ

何か、小さな生き物が多くついていたのでしょうか。小さなエナガの小さな嘴(くちばし)が何をとらえていたのか、結局わかりませんでした。
それにしても、エナガのかわいらしさは格別です。

エナガ

いま、100円ショップなどではシマエナガグッズがたくさん並んでいて、「かわいい鳥」の代表格に躍り出ています。

シマエナガ(釧路市で撮影)

亜種(同じ種だけど、地域的な変異のある場合の分類)シマエナガもかわいいけど、個人的にはエナガの方がかわいいと思います。
しばしエナガの群に癒されてから帰途につきました。
(生物担当学芸員)

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クロメンガタスズメ・続報

今月上旬のブログ記事では、クロメンガタスズメというガの幼虫を紹介しました。
何頭もいた幼虫のうち2頭を館で飼育していたのですが、先週、ついに蛹になりました。

採集してきた2頭とも無事に蛹に!

幼虫もかなりのサイズでしたが、蛹も大きくてとても立派です!

クロメンガタスズメの蛹。上が腹面です。

幼虫から蛹に脱皮する前に、「前蛹(ぜんよう)」という段階があるのですが、その段階の写真は撮影し忘れてしまいました。
代わりに…クロメンガタスズメと同じスズメガのなかまの前蛹(おそらくクチバスズメ)を紹介します。
この個体は先週、館のエントランス付近をうろうろしているのを来館者の方が発見し、持ち込んでくださったものです。

クチバスズメと思われる前蛹

スズメガのなかまは土の中などで蛹になるので、土の代わりに水苔を敷いた容器で蛹になってもらいます。
器用に水苔を掘って整え、蛹になるための部屋を作っていますね。

そうこうしているうちに、クチバスズメ(?)も蛹になりました。
ならべると大きさの違いがよく分かります。

上がクロメンガタスズメ、下がクチバスズメ(?)

クロメンガタスズメとクチバスズメ(?)、どちらも羽化が楽しみです。
(動物担当学芸員)

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シンジュキノカワガ

シンジュキノカワガという変わった名前の蛾がいます。
中国大陸から飛来するものの定着はしていない「偶産種」と言われる蛾ですが、今年は関東近郊でもかなりの数が見つかっているとSNS等で話題になっています。
そこで、相模川河川敷での調査の折にこの蛾を探してみることにしました。
幼虫が食べるニワウルシ(別名シンジュ)の木を探します。

ニワウルシ(シンジュ)

その木の幹をよく見ると、不自然な膨らみが…。
早速見つかりました!シンジュキノカワガの繭です!
木の幹そっくりです。どれが繭かわかるでしょうか?

シンジュキノカワガの繭

中央の丸の部分が繭です

同じ木の葉っぱには何かに食べられた痕跡がありましたが、既に幼虫はいませんでした。
これがシンジュキノカワガの食痕なのかはよくわかりません。

何かに食べられた跡が…

幹についた繭は何個もあり、なかには生きた蛹が入ってるものもありました。
せっかくなので、持ち帰り観察することにしました。

繭の中の蛹

シンジュキノカワガの繭(表と裏)と蛹、幼虫の脱皮殻

現在、持ち帰ってから2日ほどが過ぎ、蛹の表面に成虫の体の模様が浮かび上がってきました。羽化が近いというサインです。
うまく羽化すれば、美しい成虫の写真もご紹介できるかもしれません。

シンジュキノカワガの蛹。Before(左上:背面)、After(中央:背面;右下:腹面)

(動物担当学芸員)

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