学習資料展「子どもの遊び いま・むかし」見どころ紹介―体験編―

相模原市立博物館では、令和5年度学習資料展「子どもの遊び いま・むかし」を開催中です。この企画展は、当館の博物館ボランティア「市民学芸員」との協働によるもので、今回は各世代の子どもたちが夢中になった遊びやおもちゃをテーマに展示しています。

11月5日(日)は、学習資料展の関連イベント「ぶんぶんゴマで遊ぼう!」と「冬の居間のジオラマで写真撮影」を実施しました。そちらの様子を紹介しつつ、展示の見どころを解説したいと思います。

子どもの遊び いま・むかし

まずは関連イベント「ぶんぶんゴマで遊ぼう!」から、ご参加いただいた皆さまの様子を紹介します。このイベントでは、厚紙に好きな色で模様を描いて、凧糸を通し、ぶんぶんゴマを回して遊びます。もちろん、自分で作ったぶんぶんゴマはお持ち帰りOKです。
この日も多くのお子さんがぶんぶんゴマに挑戦してくれました。

自分だけのオリジナルデザイン

遊び方は市民学芸員さんが教えてくれたよ!

続いて、こちらも関連イベントの「冬の居間のジオラマで写真撮影」です。学習資料展では例年、市民学芸員力作のジオラマを展示しており、本年は昭和30~40年代の冬の居間を再現しました。近年では和室やこたつがないご家庭も増えているため、昔にタイムスリップした気分で記念撮影をお楽しみいただけます。

昭和レトロな背景で素敵な2ショット

ここまではイベントの様子をお伝えしましたが、ここからは常設の体験コーナーを2つ紹介します。

まず1つ目は「黒電話にさわってみよう」のコーナーです。今や現役で動いていることがほとんどないといっても過言ではない黒電話ですが、こちらで実際に触ることが可能です。見たことがない世代には目新しく、以前使っていた世代の目には大変懐かしく映るようで、本企画展の中でも好評いただいているコーナーの1つです。
黒電話の横には、市民学芸員が制作した使い方の映像が流れているので、初めての方も安心して体験いただけます。

ダイヤルを回してもしも~し

最後に「トントン相撲」のコーナーを紹介します。
お隣の折り紙コーナーで作った紙人形を土俵に乗せて、「はっけよ~い、のこった!」の合図とともにトントン相撲で競います。トントンと土俵を叩く軽快な音や、「勝った!」、「負けた…」と一喜一憂する声が聞こえるとても賑やかな一画です。

上手に折れたよ!

勝負あり!ママの勝ち~

令和5年度学習資料展「子どもの遊び いま・むかし」は、今月末の11月30日(木)まで開催しています。関連イベントは、あと11月19日(日)の1回を残すのみとなりました。
この日は館内で「学びの収穫祭」のワークショップや、田子学芸員(天文担当学芸員・気象予報士)による講演会「どうして空は青いのか?~身近な気象と観天望気~」を開催します。ぜひ当館へおでかけください!

(歴史担当学芸員)
※写真は全てご了承のもとブログに掲載しています。

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橋本公民館杜の学級「相模川水系の地形と地質」

11月1日に橋本公民館「杜の学級」の講師を務めました。今回のテーマは「相模川水系の地形と地質」。

まず、桂川・相模川の源流である山中湖から河口の相模湾まで、川の姿を外観してから、流域の地形の解説を行いました。富士五湖や忍野八海の成因や相模川が数十万年前は多摩川に合流していたこと、上流地域でも流路が変わっていたことなどを説明しました。また、流域の地質についても概説しました。

地形や地質の話だけでなく、流域の歴史や食べ物などの文化についても触れて、それらが地形・地質と関連していることを解説しました。内容の濃い2時間でしたが、参加された方は熱心に聴講されていました。歴史・文化が地形・地質と関わっていることをご理解していただけたようです。

(地質担当学芸員)

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【ミニ企画展関連事業】第一次護憲運動における尾崎の活躍を熱く語る!

10月28日(土)、前の週から開催しているミニ企画展「憲政擁護運動と尾崎行雄(咢堂)」の関連事業として、展示解説会を行いました。
講師には、ミニ企画展の企画・運営を担当した「尾崎行雄を全国に発信する会」事務局長 大橋孝夫さんをお招きしました。

憲政擁護運動と尾崎行雄(咢堂)

本ミニ企画展では、本市出身の偉人・尾崎行雄が関わった憲政擁護運動のうち、明治末期から大正初頭にかけて、桂内閣の瓦解までに焦点を当てて紹介しています。今回は展示解説会ということで、より丁寧に、まずは尾崎行雄の生涯からじっくり解説いただきました。

展示解説会第一部(講義)の様子

また、先日のブログでも取り上げましたが、尾崎は第一次護憲運動の最中において「玉座(ぎょくざ)をもって胸壁(きょうへき)となし、詔勅(しょうちょく)をもって弾丸に代えて、政敵を倒さんとするものではないか」という有名な一節で桂首相を痛烈に弾劾しています。意訳すると、当時の桂首相の振る舞いを指して「天皇に責任をかぶせておきながら、自分は天皇の陰に隠れ、天皇の名を語り、政敵(=政治上争っている相手)を攻撃するものではないか」と強い口調で批判するものですが、この時の尾崎の熱情は、演説から110年経っても色あせることがありません。大橋さんの解説にも、桂内閣弾劾演説のクライマックスに向かって熱が入ります。

熱弁する講師の大橋さん

実習実験室での講義後は、展示会場のエントランスホールで実地解説を行いました。第一部として講義形式の解説があったため、内容についての理解がより深まります。さらに、展示制作の裏話や資料にまつわるエピソードなどをお話しすることで、展示をご覧いただきながら参加者の生の反応を得ることができるのも、展示解説会の醍醐味と言えるでしょう。

解説を交えて展示見学することで理解が深まります。

ミニ企画展「憲政擁護運動と尾崎行雄(咢堂)」は、休館直前の令和5年11月30日(木)まで開催しています。まだご覧いただいていない方は、会期中にぜひお越しください。

(歴史担当学芸員)

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火口になる植物

「火口」は、ここでは(かこう)とは読みません。(ほくち)と読みます。
火口は、かつて日常的に持ち入れられていた火起こし道具の一つで、火打石の火花から点火して火種(ひだね)にするもので、つまり、とても燃えやすく、火持ちの良い素材ということになります。火口の素材はいろいろあり、身近なものではおがくずやガマ、ススキなど植物の穂が用いられていました。
じつは、火口が名につく植物もあります。今ちょうど花盛りのオヤマボクチです。

オヤマボクチ

この写真は、11月4日に緑区川尻で撮影しました。大きなアザミという雰囲気で、広い意味でのアザミの仲間で、秋に咲くアザミの代表であるノハラアザミなどとは分類上、異なるグループに属します。

花はアザミそのものですが、茎や葉にトゲはありません

さて、火口となるのはどの部分かというと、葉裏の毛茸(もうじょう)と呼ばれる繊維状のものです。写真ではわかりにくいのですが・・

葉の裏の拡大写真(標本写真です)

触ってみると、感触でわかります。柔らかい繊維の感触が心地よいからです。
それにしても、この毛茸を火口にするといっても、相当集めないといけません。葉は面積的に大きめであるものの、そこから毛茸を何か道具でこそぎ落したとしても、かなりの枚数の葉が必要になりそうです。想像でしかありませんが、そうしてまで集めても使いたくなるくらい、優秀な素材だということでしょうか。
近くでは、コウヤボウキが咲いていました。

コウヤボウキ

夏日がいつまで続くのか・・という気温でしたが、野道でも着実に秋が進んでいます。
(生物担当学芸員)

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JAXA相模原キャンパス特別公開2023 1日目終了

11月3日、JAXA相模原キャンパス特別公開2023 の1日目(現地開催)が終了しました。今年も当館が会場の1つとなりました。特別公開の日は、1年で最も来館者の多い日でもあります。

いつもよりもたくさんの方にご来館いただきました

当館の会場では、「ルナクラフトを体験しよう」(宇宙教育センター)や、

マインクラフトの月面版を体験!

「JAXAのお仕事を見てみよう~先輩女性が語る理系キャリアのリアル~」、

研究者のリアルな日常に興味深々

ISAS(宇宙科学研究所)の大学院生によるトークやプロジェクトマッピングの投影など、盛りだくさんでした。
また、この日は「ガンダムマンホールメダル」の発売日だったこともあり、朝は購入希望のお客様の列ができました。

ガンダムマンホールメダル

真っ先にゲット!

メダルは現在販売中です(900円)。数に限りがありますので、お求めを希望の方はお早めに!(当館ミュージアムショップのみで販売しています)
特別公開2日目は11月4日、オンラインで行われます。こちらもJAXA相模原キャンパスが展開する最先端の探査プロジェクトや研究成果を垣間見ることができます。2日目の申込は不要で、オンラインで誰でも視聴できます。詳しくはこちらをご覧ください。

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野鳥の表情

10月30日~11月2日まで、この季節恒例となっている、鳥類標識調査を博物館お隣の樹林地で実施しました。鳥類標識調査は、環境省が山階鳥類研究所へ委託している調査で、資格を持った全国のバンダー(鳥類標識調査者)がボランティアで従事しています。野鳥を捕獲して足環をつけ、放鳥します。再捕獲、あるいは足環を回収できれば、その野鳥の移動の様子や生存期間などがわかるのです。
今回の調査で捕獲した野鳥の中から、素敵な表情を見せてくれた個体を紹介します。こちらはエナガです。

エナガ

野外で観察していても、とても小さい鳥ですが、手元で見ても本当に小さな鳥です。
こちらはだいぶ大きなアカハラです。

アカハラ(亜種オオアカハラのようです)

山地などで繁殖し、冬の間、低地に下りてきます。大きな目が印象的ですね。
こちらはクロジです。北方や高標高地で繁殖し、秋から春にかけて、樹林地内で越冬します。

クロジ

日によって捕獲される種類が大きく異なるので、この時期は野鳥たちの入れ替わりが激しいようです。
冬鳥だけではなくて、残留している夏鳥もいました。キビタキです。

キビタキ(若鳥)

体重を計ってみると、通常よりだいぶ重く、樹林地内のミズキの果実などをたくさん食べ、間もなく始まる渡りに備えているようです。
ふだん間近で見ることの少ない野鳥を手もとで観察できるので、雌雄の違いや成長の度合いによって異なる羽色の様子など、この調査ではいろいろな発見があります。
(生物担当学芸員)

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ホシホウジャク

10月28日、お隣、八王子市の長池公園を歩きました。園内で咲いていたヤクシソウの花に、ホシホウジャクが飛んできていました。

ヤクシソウの蜜を吸うホシホウジャク

この仲間は一見、ハチのように見えるけど、スズメガの仲間です。そのため「蜂雀(ほうじゃく)」と呼ばれます。目に見えないくらいの速さで翅(はね)を動かしてホバリングしながら、長いストロー状の口で蜜を吸っています。
カメラのシャッタースピードを上げて上から撮ってみると、翅(はね)や背面全体がかなりおしゃれで美しいことがわかります。

上から見たホシホウジャク

そばにいた人が、花から花へと移る際に近づいてきたホシホウジャクを「うわっ」と声を上げて避けていました。それくらい、ハチに似ているということでしょう。
飛んでいる虫をもう1種。ホソヒラタアブです。

アザミの花に近づくホソヒラタアブ

こちらもホバリングして、どの花にとまろうかと見定めているようで、空中の1点にきれいに止まっています。アブと名に付きますが、動物を刺すことはなく、花の蜜をなめる、とても穏やかでかわいらしい昆虫です。
秋の花の開花がまっさかりで、暖かい日中は昆虫たちの動きも活発になっています。
(生物担当学芸員)

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博物館周辺でも秋の花

博物館周辺の樹林地にも秋の花がいろいろと咲いています。こちらはベニバナボロギク。

ベニバナボロギクの綿毛(上)と花(下)

へんな名前です。ベニバナは花の紅色からきているがわかるものの、ボロギクとは・・この花や種子の様子が特段ボロだとは思えません。植物の種名には、こうした根拠のよくわからないものがよくあります。
歩いていると、足元から独特の香りが漂ってきました。その主は、ナギナタコウジュです。名の由来は、花全体が長刀(なぎなた)を思わせるからということでしょう。

ナギナタコウジュ

ハーブ?とも言えなくもありませんが、かなりクセの強い匂いです。昔から梅干しの香りづけなどに使われてきたそうです。
こちらはノコンギクです。

ノコンギク

じつは、この写真よりもずっと淡青紫色の花色が美しいのです。しかし、この色は写真で表現するのがとても難しいのです。明るめに設定すると白くなってしまい、暗めに設定すると、ある程度青っぽくはなるものの、画面全体が暗くなり、それもちょっと実際の花の印象とは異なるものになってしまいます。
花ではありませんが、夏の間元気につるを伸ばして咲いていたコボタンヅルが、静かに実っていました。

コボタンヅルの果実

冠毛がオシャレです。しかし素朴な疑問として、この果実に対してこの冠毛では上の写真のベニバナボロギクやタンポポの綿毛のように、空を飛べそうにありません。飛ぶことよりも、何かにひっかかることが目的なのか?ただし、ひっつき虫のような機能でもなさそうです。
身近な植物にも、まだまだ「?」があふれています。
(生物担当学芸員)

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秋深まる 霜降

夏がなかなか終わらないと思っていた9月から、10月に入って急に秋めいてきました。二十四節季の霜降(そうこう)は、今年は10月24日でした。霜が降りるほどではないにしろ、朝晩の涼しさは紛れもなく秋の深まりを感じさせます。そんな10月25日、市内緑区に隣接する町田市の沢沿いを歩きました。すると、秋を代表するキクの仲間、ヤクシソウがたくさん咲いていました。

ヤクシソウ

沢沿いにはヤマアカガエルがいました。彼らが活動するにはすでに気温が低いのでしょう。ちょっと動きが鈍く、ゆっくり写真を撮らせてくれました。

ヤマアカガエル

最低気温が5度を下回るようになると、カエルの仲間の多くが冬眠に入ります。もうそんな季節が目前になっているようです。
(生物担当学芸員)

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【市民学芸員かわら版】この地名なんと読む?

突然ですが、「日連」、「三ケ木」、「鳥屋」と書いて、何と読むかご存知ですか?
これらは全て相模原市内にある地名なのですが、読み方が難しい、いわゆる難読地名です。

当館の博物館ボランティア「市民学芸員」の情報発信チームによる『市民学芸員かわら版』は、今回、相模原市内の難読地名をテーマにしています。

博物館1階情報サービスコーナー入口横が定位置です。

上半分は地名の標識や看板と対応する場所が地図上に示されており、下半分で答え合わせをする構成になっています。皆さんはノーヒントでいくつ読めるでしょうか?

変わった読み方の地名、いくつ読めますか?

全問正解で周りの人に自慢できる!?『市民学芸員かわら版 この地名なんと読む?』に挑戦してみてください。冒頭の地名の答え合わせにも、ぜひご覧いただければと思います。

また、市民学芸員情報発信チームでは、早くも次号の製作に向けて準備中です。入れ替えの際には本ブログでお知らせしますので、楽しみにお待ちください。

(歴史担当学芸員)

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