今日のおかいこさま 1齢と出張授業

今週6月5日に掃き立て(クワを与え始めること)したカイコは、まだ脱皮もしていないのに形はいっぱしのカイコになっています!不思議ですね。

1齢3日目のカイコ

そして、今週が蚕種を提供した学校への出張授業もピークです。午前中は中央区の星が丘小学校へ。午後は、緑区の桂北小学校へ行きました。星が丘小学校では、4クラス150人近い児童のみなさんが、人数の多さを感じさせないくらいしっかりと集中して話を聴いてくれました。とても気分良く午後の桂北小へ行くと、雰囲気ががらりと変わってこのとおり!

1人早退されたとのことで9人での授業でした

4年生1学年9名のみなさんとの授業。一人一人と対話するように授業を進めます。
ふだんは、生糸を代表で1名に持ってもらい、重さなどを感じてもらいます。でも、ここでは全員で回して確かめます。

生糸を持ってみたら「軽い!」

そして、まだ掃き立てしていなかったので、授業終了後に全員でクワの葉をあげるセレモニーを!

全員で最初のクワを与えました

葉を置いただけで自然にそちらへ集まって、あっという間に食べ始めるようすに全員で歓声をあげながら観察。
広い相模原市のそれぞれの学校の特色を感じた一日でした。

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今年のカイコが始まります!

今年も博物館ではカイコの飼育が始まります。今日(6月4日)、すでにたくさんのカイコがふ化を始めました。
そして、それに合わせて希望する学校へ蚕種(さんしゅ=カイコの卵)を提供するのですが、当初の予定より少々早めにふ化が始まったため、担当の先生方へ慌てて取りに来ていただく算段をつけたところ、日曜日にもかかわらずほとんどの学校から受け取りに来て下さいました。

学校へ配布する準備中です

児童のみなさんが心待ちにしているとのことで、先生方もそれに応えようとがんばってくれています。嬉しいですね。
ふ化の状況です。

タネ紙の上で給桑を待ちますが・・まだまだおあずけです

拡大すると、大きく育ったカイコとは似ても似つかない雰囲気ですね。毛が全身に生えているので、毛蚕(けご)と呼ばれてきました。

産まれたばかりは毛虫なので、毛蚕(けご)と呼びます

明朝にはおそらくふ化したカイコが出そろうので、明日から給桑を開始します。これを養蚕の用語で掃き立てと言います。タネ紙から飼育する蚕座(さんざ)へ移すときに羽箒(はぼうき)を使ったことからそのように呼ぶそうです。これから3週間ほど、カイコに専念する日々が続きます。

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ネイチャーフィーリング

今日は博物館から歩いて10分ほどの距離にある県立相模原中央支援学校から生徒さんが来館されました。
心地よい初夏の風の中、野外で一緒にバードウォッチングをして、メジロやシジュウカラのさえずり、そして上空を飛ぶヒメアマツバメの声を聴きました。

梅雨前のさわやかな森の中

誰かにいじめられたことでもあるのか、ハシボソガラスが私たちについてきては頭の上でバキバキと小枝を折って怒っていましたが、音を聞き分けるのが得意な生徒さんにはそんな音も楽しんでいただけたと思います。
そして館内に入り、声を聴いた鳥の標本を手で確かめてもらいました。

コジュケイの仮はく製を観察

嘴(くちばし)の長さや足指、そして羽根の感触などを観察して、大きな声で鳴いていた鳥の小ささや繊細さを感じているところです。
さらに、哺乳類の大きな標本も。偶蹄目(ぐうていもく)のシカと、食肉目(しょくにくもく=ネコ目)イヌ科のタヌキの足指の形の違いを見てもらっています。

足の指の配置や形は哺乳類の特徴を分ける大きなポイントです

ちょうど今日は相模原動物標本クラブの活動日なので、修復中のタヌキの骨格も手で観察。

タヌキの骨格標本を観察中

標本士の道具や作業のようすなどの話も伺いました。

小さな骨に通された細い針金を観察

ふだん、目から入る情報に頼りがちで自然を見てしまいますが、こうして五感によって感じ取る観察にチャレンジできて、とても楽しい生きもの観察ができました。

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企画展「砂展~日本の砂・海外の砂~」開催中!

現在、企画展「砂展~日本の砂・海外の砂~」を開催中です。

相模川の砂をはじめ、日本各地や海外の砂を展示しています。銀河連邦各共和国の砂も展示しています。鳥取砂丘や沖縄のサンゴ礁、サハラ砂漠や南極の砂などを展示しています。南極の砂はなかなか手に入れることができない珍しいものです。

詳しくはこちらをご覧下さい。


5月28日(日)には展示解説を行いました。意外と奥深い砂の世界に、ご興味を持っていただけたようです。

展示解説は、6月11日(日)6月25日(日)にも開催いたします。
また、6月18日(日)には砂を顕微鏡で観察するイベント「いろいろな砂を顕微鏡で見てみよう」を開催いたします。

砂は身近にあって、ごくありふれたものですが、じっくりと砂粒まで観察することはあまり無いと思います。場所によって砂は違います。これは地球環境の違いを反映しています。今回の展示をきっかけにして、砂や地球環境に興味を持っていただければと思います。

砂展は7月2日まで開催しています。皆様のご来場をお待ちしております。

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6月を待たずにほぼ終息 今年のキアシドクガ

博物館駐車場には今、無数のキアシドクガの亡骸が散乱しています。

地面に累々と横たわるキアシドクガの死骸

まだ飛んでいる成虫もいますが、ちらほらというところです。
昨年と比べると、成虫の発生量は何分の一かという少なさでした。幼虫(毛虫)は何倍もの量でしたが、やはり飽和量を大きく超えてしまっていたようです。成虫の乱舞は6月を待たずに終息したと言えます。過去の経過から推測すると、平成26年から急激に増大したキアシドクガの大発生自体も、今年がピークとなり、来年あたりでほぼ終息するものと考えられます。来年は他の昆虫や鳥による捕食圧も大きくなるので、少なくとも今年のような発生量には遠く及ばないはずです。
さて、食べられて丸坊主だったミズキはというと・・

休眠芽(きゅうみんが)から再生したミズキの新葉

しっかりと新しい葉を伸ばし始めています。相当ダメージはあり、体力を消耗していることは間違いありませんが、光合成によって栄養を自ら作り出すことができるのは植物の特権です。これから夏に向けて、どんどんと緑を濃くしていくことでしょう。

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カイコの授業始まる!

今年も博物館から蚕種(さんしゅ=カイコの卵)を提供する小学校へ向けた授業が始まりました。その1校目(5月30日)は上溝南小学校です。体育館で4年生の全クラスに集合してもらい、1時限の授業を行いました。

体育館での授業風景

とても集中して、熱心に話をきいてくれました。しかも、事前学習をしっかりやってくれていて、前もっていただいた質問にはかなり高度な内容も含まれていて驚きました。
各クラスに回して見てもらっているのは・・

興味津々で見つめているものは・・

博物館で一足早く飼育を始めたカイコ(3齢)です!

3齢のカイコ

これから全部で10校をまわって授業をする予定です。ペットの飼育と異なる、カイコを飼うという農作業の意義や、繭を作った段階でカイコの命を止めてしまうことがなぜ必要なのかといったことを理解していただくための授業です。カイコの到着を心待ちにしている児童のみなさんとお会いするのが楽しみです!

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軍都さがみはら探訪~矢部から淵野辺周辺をめぐる~を開催!

5月28日(日)に軍都さがみはら探訪~矢部から淵野辺周辺をめぐる~を開催しました。
今回紹介した軍都関係にかかわる施設は、相模陸軍造兵廠(現在の在日米陸軍相模総合補給廠)と旧陸軍兵器学校です。

相模陸軍造兵廠は昭和13年に開設した戦車、火砲の牽引車、砲弾等を製造したところで、東洋一の規模といわれ、当時2万人もの人が従事していました。残念ながら中には入れませんので、今回は矢部駅前周辺の造兵廠の碑や造兵廠内への線路の引込み線を見ました。
東洋一の規模とは言いますが、戦車の月産台数が20台にも満たなかったそうです。

造兵廠の戦車の月産台数は20台未満!

次に、旧陸軍兵器学校は昭和13年に東京小石川から移転してきた施設です。
今回は造兵廠との境となる西端側から北端側の弾薬庫跡、学校内にあった神社「細戈神社跡」、東門跡、正門跡、工科・兵器学校の碑を見学しました。今回は、旧陸軍兵器学校の敷地のほぼ全範囲を一周したことになります。

現在の大野北中学校の所に細戈神社がありました

昔の正門、本部棟付近にある「陸軍工科・兵器学校の碑」

その後、淵野辺駅から兵器学校正門に向うために造られた銀杏並木道を通り、淵野辺駅で一旦解散となりました。
ですが、今回はさらに希望者には、細戈神社が移転されている新田稲荷神社へもご案内しました。
ちなみに「細戈」(くわしほこ)とは、「精巧なる武器」という意味で、これは日本をあらわす別名に「細戈千足国」(くわしほこ ちたるくに=精巧な武器が十分ある国)に由来します。まさに兵器学校らしい神社名です。

細戈神社のある淵野辺新田の鎮守新田稲荷神社

現在の細戈神社・・・神社名の碑は昭和16年製

今は開発が進み、矢部~淵野辺周辺に戦時中のものはほとんど残っていませんが、今回ご案内してその当時を物語る痕跡はいくつも残っていることを知っていただくことができたと思います。

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生きものミニサロン キアシドクガの産卵シーンも!(写真あり)

今日(5月27日)は毎月恒例の生きものミニサロンを実施しました。
今回のテーマはずばり、キアシドクガ!数十年に1度あるかないかという大発生のタイミングで、この観察のチャンスを逃すわけにはいきません。

乱舞するキアシドクガ

せっかく手の届くようなところに飛んでいるので、何匹か捕まえて、手に取って見ていただきました。もちろん、毒の無いドクガのなかまであるということをみなさんに説明したうえでの観察です。

手にとってじっくり観察しました

みなさんの感想は・・「意外とかわいい!」
用意しておいたウスバシロチョウの標本と見比べて、キアシドクガには口にあたる口吻(こうふん)が無いことなども虫めがねで観察しました。キアシドクガは成虫になって1週間くらいしか生きられないという、はかない命にみなさん思いを馳せていました。
そして、こんなふうにミズキの幹にたくさんとまっているということは・・

ミズキの幹にとまるキアシドクガ

そうです、メスが産卵しているのです。

産卵中のメス

お好きでない方にはキツい画像かもしれません。こちらが卵です。完全にミズキの幹に同化した保護色です。

キアシドクガの卵

あまりの数の多さに驚かれるみなさん。

1本の幹に無数の卵がうみつけられています

でも、おそらく来年はキアシドクガの発生量が今年よりもぐっと減るはずです。自然界では、ある生きものが急に増えると、それを食べたり、寄生したりする生きものが後を追って増えるのが常です。そうして長い目で見ると平衡を保っていくのです。自然の摂理を目の当たりにできそうな来年以降も、キアシドクガから目が離せません。

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明日のミニサロンは ずばり!キアシドクガです

明日(5月27日)は毎月恒例の「生きものミニサロン」(原則として第4土曜日の12時から)を実施します。
このタイミングで、この生きものを扱わないわけにはいきません。テーマはずばり!毒を持たないドクガのなかま、キアシドクガです。

キアシドクガの成虫

今年の大発生は、幼虫の段階ではすさまじいほどの量でしたが、成虫となった現在、昨年よりも飛んでいる成虫の数が少ない状況です。今日(5月26日)は朝から雨のためさらに少なく、ほとんどが葉陰や草にとまってひっそりと翅(はね)を休めています。

草の芽生えにつかまって休むキアシドクガ

サクラの葉の裏は居心地がいいのか、とくにたくさんとまっています。

サクラの葉裏にとまるキアシドクガ

力尽きて地面に落ちているものも多く、短い一生のなれの果てを無残にさらしています。

力尽きて地面に落ちたキアシドクガ

それでも成虫になれれば良い方で、フェンスや木の枝についた蛹(さなぎ)を見ていると、茶色くなって死んでいるものが多く見られます。さらに毛虫から変態できずに干からびてしまっていたりして、食糧不足の結果が顕著に出ています。
明日のミニサロンでは、大発生のこうした現実の面も含めてキアシドクガをしっかりと観察しようと思います。

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春も終盤

昨日(5月24日)は、相模原植物調査会のみなさんと緑区の小倉山へ調査に行きました。この5年ほど、貴重な照葉樹林の調査に入っている場所です。そこで、何かのメッセージ!?という物体に遭遇しました・・

どんなメッセージが託されているのか!?

この物体、こんな怪しげな植物の葉の上にありました。

天に向かってまっすぐ伸びるつる

と・・じつはなにも怪しいこともなく、キジョランというつる植物を食べるチョウのアサギマダラの卵が正解です。
かなり急な斜面を登り下りしながらの調査でしたが・・

健脚揃いの植物調査会のメンバーですが、結構きつかったです

春の終わりを彩るオカタツナミソウや・・

涼しげな色合いのシソ科の植物です

今年はちょっと花期が遅めのジャケツイバラを堪能できる楽しさも味わいました。

強烈なトゲを持つつる植物のジャケツイバラ

そして調査を終えて下ってくると、出迎えてくれたのはモミジイチゴの果実!

モミジイチゴの果実

この地域を代表する木イチゴのなかまです。

甘さと酸味が絶妙のラズベリー(木イチゴ類の果実)です

疲れが吹き飛ぶ美味しさを味わうことができました。

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