考古学連続講座 全5回終了!

1/15(日)に全5回にわたって開催された考古学連続講座が終了しました。この講座は、博物館と市文化財保護課の考古担当学芸員5人が、市内の考古資料や遺跡について紹介した連続講座で、毎回熱心な考古学ファンの方などが参加していました。

珍しく若い女性の方(=考古女子!?)の参加もありました

特に、1/15の最終回「相模原の考古学史」には90名もの参加があり、しかも若い世代の方の参加が、いつもより多く見受けられました。

会場内は大盛況で空席ほとんどありません!

今回の5回の講座により、市内に多くの遺跡があることを知っていただき、その遺跡や出土品などへの関心を深めていただけたと手応えを感じております。

みなさん熱心にお話を聴いておりました

率先して質問された方もいました

今後も、発掘調査の成果により、市の歴史が少しずつ解明され、謎が少しずつですが紐解かれていくことと思います。博物館としては、そうした発掘調査の成果や出土品について、展示等で広めていきたいと考えておりますのでご期待ください。

3月18日(土)からは考古企画展「相模原市の遺跡2017」を開催します。今回は、クイズ形式で展示を行い、お子さまでも楽しめる内容を予定していますので、ご来館をお待ちしております。また、様々な関連事業も予定しております。詳細は、広報さがみはらや当館のホームページに後日掲載します。

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FMさがみ 団長が行く 「博物館探検隊」の収録~歴史講演会「相模原と近代神奈川」ほか~

FMさがみの番組「団長が行く」の中で、毎月第3日曜日に流れる「博物館探検隊」の収録が1/12にありました。今回は、2017年の第1回目の「博物館探検隊」として、近代の幕開けをテーマにした1/29(日)の歴史講演会「相模原と近代神奈川」を中心に、1月下旬~2月上旬のイベントを紹介します。

何度やっても収録は緊張します・・・

今回の歴史講演会は、横浜開港、戊辰戦争、近代国家の形成など、激動の幕末・維新期から明治前半頃の相模原周辺及び神奈川県の様子などについてお話いただきます。講師は、中央大学文学部教授の松尾正人先生で、明治維新、廃藩置県の研究などが専門です。

幕末・維新ファンの方はぜひ!!

この放送は、1/15(日)の午後4時40分頃です。1/29の歴史講演会以外にも、1/22の「いろいろな砂を顕微鏡で見てみよう!」、1/28「生きものミニサロン」、2/4星空観望会、2/5「繭うさぎ作り」など博物館では、さまざまなイベントがありますので、ぜひご来館ください。

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美しい標本

昨年12月14日は、学芸員とともに博物館の動物資料の標本化を担ってくれている専門ボランティアである、相模原動物標本クラブの活動日でした。
この日、メンバーのお一人の標本士さんが、大きめの鳥の剥製の仕上げをしています。

ノスリというタカのなかまの本剥製ですが、ふつうの剥製とちょっと違います。片方の翼だけ広げ、さらにお腹のあたりから持ち手が出ています。これは、鳥の翼の機能や構造を解説するときのためにリクエストして作っていただいたものです。どの部分の造形もすばらしいのですが、特に、顔です。脊椎動物は顔も骨だけでなく、筋肉などさまざまな組織で細かな凹凸などをつけているので、剥製でそれを表現するのは極めて困難です。しかし・・

この手持ち剥製の造形は、私たちが野外で見るノスリそのものの顔です。間近で見ているとそのひとつひとつの工程に唸ってしまうのですが、細かいことはさておき、その技術の確かさをこの顔が物語っています。
ノスリを仕上げたあと、標本士さんはばらばらになった骨を取り出しました。

これも、鳥の骨格を学ぶ講座で使いたいと考えている、ハシブトガラスの全身骨格です。こちらは漂白処理までされていて、ばらばらの標本をこれから組み立てていくところです。
これまで行ってきた講座で、子どもから大人まで、一番興味を引く標本が骨格です。骨格を目の前にしたときの受講者のみなさんの目の輝きをまた見たくて、これもリクエストして製作をお願いしました。
確かな技術でつくられる標本は、機能に基づいた美しさを備えています。

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明日(1月12日)まで休館です

昨日の休館日から本日1月11日(水)、12日(木)と博物館は3連休となっております。
今日は常設展示室の展示資料やケース内の清掃、そしてプラネタリウムの保守点検など、ふだんなかなかできない場所のメンテナンスを行っています。

展示室もプラネタリウムもリフレッシュして、1月13日(金)から通常開館となります。
休館中はご迷惑をおかけいたしますが、ご理解とご協力をお願いいたします。

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緑区大島で探鳥会

1月7日(土)、市内緑区大島の相模川で、神奈川県の森林インストラクター自然観察部会の探鳥会が行われました。地元ということで博物館に講師が依頼されたためご案内しました。
この日は絶好のコンディションに恵まれ、穏やかな小春日和の中、参加した30名弱全員で観察できた鳥がたくさんいました。
そのひとつであるコゲラです。

この河原に多いキササゲの幹をつついて、おそらく樹皮にひそんでいる小さな昆虫などを食べていたのだと思います。
広い河原なので、オオタカの飛翔も全員でじっくりと見られました。

猛禽ではほかに、ノスリも全員で!
さらに、前日の下見で「姿を見られたらいいな」と考えていたアイドル級のエナガも、至近距離で全員が見られました。
そしてみなさんが見ているその先には・・

あまりにも珍しい鳥なので、残念ながらここに写真を挙げるわけにいかないのですが、いま、この河原に隣接する水田地帯に迷い込んできている鳥が、なんとも都合良く河原へ下りていました。これも全員でバッチリ見てしまいました。
さて、この前の記事で、観察会の中でスズメをスター級に押し上げてしまう「しかけ」について予告をしました。それは、これです。

輪郭や眼の位置だけ描かれたこの紙を、最初に参加者のみなさんへ配りました。「この絵に模様を描き足してスズメの絵を完成させて下さい」とお願いします。すると、ほぼ全員が、正確に描けません。私たちがスズメを認識していることと、その姿形の細部を覚えているかどうかということは別ものなのです。そんなわけで、描けなかったみなさんは、スズメが出現すると夢中で観察をしてくれるというわけなのです。

そんなことをやりながら河原をたくさん歩き、最後に観察結果をまとめてみると、参加者のうち、少なくとも2人以上で観察した鳥だけで、42種でした。
人数が多かったので全員で見られなかった種も多いのですが、それでもこれだけの種数があがる探鳥会はそうそうありません。いろいろな幸運に恵まれた一日でした。

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風まかせ

1月6日、県内のボランティア団体から博物館へ講師の依頼があった観察会の下見のため、市内緑区の相模川の河原へ行きました。
観察会の主題が野鳥の観察なので、河原の中の歩くコースや、特に太陽の位置関係に気を配って下見をします。そしてもちろん、出現してくれそうな鳥の見込みもつけます。やっぱり、かわいらしさ一番のエナガはぜひ姿を見せて欲しい鳥です。

そして、こちらは誰もが知っている野鳥のスズメですが・・

いつも見慣れていてまったく珍しくもなんともないはずのこのスズメを、スター級に押し上げてしまう「仕掛け」を用意しています。さてその仕掛けについては、本番のご報告の時に種明かしします。
そして、野鳥は必ずそこにいるとは限らないため、植物もよくチェックをして、保険をかけておきます。この河原のいかつい植物、サイカチの場所も要チェックです。

なんというインパクト!拷問具か!というようなとげが幹全体に散りばめられています。

こちらは鳥に負けないくらいの飛翔体である、ガガイモの果実です。

種子には大きくふわっふわな綿毛が付いています。風が吹いて今にも飛び出しそうになったので、少し待っていたら・・・飛びました!

青空高く、どこまで飛んでいくのでしょうか。

飛ぶ種子と言えば、こちらも。キササゲの鞘です。きれいに種子が並んでいます。

これの一つを取り出してみると・・

機能的な種子ですね。
こんなことも織り交ぜながら、自然観察を楽しんでいただこうと考えています。

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赤と黒

先日(12月7日)に相模原植物調査会のみなさんと調査に出かけた緑区の小倉山は、紅葉と実りの賑やかな初冬を迎えていました。
林道沿いを深い紫色で彩っていたマルバウツギです。

果実は中でも、こんな色が目立っていました。トキリマメです。

サヤが真っ赤で、そこから開いて見せている果実は黒!スタンダールの長編小説ではありませんが、まさしく「赤と黒」。
もう一つ、ゴンズイも同じような灰色です。

鳥へのアピールであることは間違い無いと思いますが、果実自身を赤くするのではなく、二色のコントラストで目立たせるとは、なんとも念入りです。
赤黒ではないのですが、さりげなく鮮やかな色合いを見せてくれたのは、穴だらけのキジョランの葉裏にいた、アサギマダラの幼虫です。

サイケデリックな模様と形ですね。
藪こぎをしながらのなかなかハードな行程でしたが、歩いたぶんだけお得感のある山です。

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ハイ・テンションなつる

先日(12月7日)、博物館の専門ボランティアグループである相模原植物調査会として年内最後の野外採集調査を行いました。場所は、緑区の小倉山です。なぜか理由ははっきりしませんが、この山には写真のイズセンリョウのような暖地性の植物が数多く見られるため、調査会でも注目してさまざまな調査を行ってきました。

しかし、この山は骨材採石場の拡張により、今後30年計画で山頂付近を含めた北側が削り取られてしまいます。暖地性の自然植生が顕著な部分は削られずに残りますが、山頂は数年以内に閉鎖されることになるため、できるだけ調査に入っておこうと考えています。
私たちが注目する、このあたりでは珍しいスダジイの自然林に入ると、つる性木本の「巨木」が目立ちます。中でもフジの迫力には圧倒されます。

人間が間隔をはかりながら巻いたようなつるも。

そしてこんなものも!まるで直立しているように見えますが、これもフジのつるです。おそらく、巻き付いた先の樹木の成長スピードが速く、引っ張られながら伸長したのでしょう。

地面に露出した根も茎も、ハイ・テンション(高圧)です!
こんなふうにつる植物の巨木のさまざまな姿が見られるのも、自然林の証拠と言えます。
いつ来ても、おもしろい山です。

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ケヤキコプター

この時期、少し風が強めの日に博物館の駐車場を歩いていると、クルクルと回転体が落ちてくるのを見ることがあります。
落ちているところの写真はさすがに撮れなかったのですが、地面に落ちているところは・・

小枝に葉が数枚。ケヤキです。
拾い上げてみると・・。

なぜケヤキの小枝がこんなふうに落下してくるのかというと、答えはここにあります。

ケヤキの果実です。ニワウルシやカエデのなかまなどは、種子散布のために果実に翼(よく)が付いていて回転しながら落下します。これは滞空時間を長くして、できるだけ親から遠くへ到達させるためです。ケヤキも理由は同じですが、こちらは枝先の葉をプロペラにして回転します。ふつう、葉は葉柄(ようへい)の付け根に離層(りそう)が出来て落葉するものなのですが、枝の途中に離層を作るということなのでしょう。身近な植物に秘められた種子散布のため工夫にはいつも驚いてしまいます。

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うな丼の科学・・だけじゃない話

昨年12月11日(日)、生物学講演会「うな丼の科学 食卓を守る海洋生物学者の眼」を開催しました。講師は、北里大学海洋生命科学部准教授の吉永龍起さんです。

じつは吉永さんは、2009年に史上初めて発見されたニホンウナギの海洋での卵の、その発見の現場にいた人です。前半は、大海原での一粒の発見に至る経過や苦労、そして世界のウナギの中でニホンウナギとはどのような種なのか、といったダイナミックなお話でした。

後半は、いよいようなぎの蒲焼きのお話です。スーパーや外食チェーンで売られている中国産鰻製品のDNAからその種を突き止める実験を行ったところ、輸出が認められていないはずのヨーロッパウナギが高い割合で含まれていた、という衝撃的な結果が得られました。その後、吉永さんらの問題提起などもあり、その比率は現在はニホンウナギで占められるようになったそうです。
話題は食糧資源問題と流通の闇、メディアリテラシーにフェアトレード問題に至り、マリアナ海溝並みに深い内容でした。
ところで現在、小学校の国語の教科書に、吉永博士の恩師である「うなぎ博士」の塚本勝巳先生が書かれた文章が掲載されていることもあり、今の小中学生はみんなウナギの幼生の一形態であるレプトセファルスという言葉を知っているそうです。

吉永博士が持参してくれたレプトセファルスの標本です。
科学者の探究心と視点が、食文化の現代的な問題へ切り込むスリリングな講演会、まさしくあっという間の2時間でした。

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