市民のための環境講座

昨年12月10日(土)、市立環境情報センターで行われた「市民のための環境講座」第4回の講師としてお話をしてきました。

この講座は現地見学会を含む5回シリーズで、市内の環境保全の現場や身近な環境問題をそれぞれ異なる講師が専門的な立場から解説するものです。私は前半を受け持ち、「生きものから見た相模川の魅力~そしてそれを守るために私たちができることは?」と題して、相模川に生息・生育する生物中で主に鳥と植物についてお話ししました。
後半は永年にわたり相模川の環境保全運動に携わってこられた、桂川・相模川流域協議会さがみ地域協議会代表を務める岡田一慶さんの講演でした。

水需要予測やそれに呼応する利水の問題を市民の立場で研究し、相模川の環境問題を永年にわたり扱ってこられた岡田さんのお話はとても説得力がありました。

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本日から開館しています!

あけましておめでとうございます。
相模原市立博物館は本日、1月4日から通常開館しております。
今年も市民のみなさまとともに歩む博物館として活動していきますので、よろしくお願いいたします。

今年は酉年。スズメ(上の写真)も博物館のまわりを飛び回り、元気いっぱい。
プラネタリウムの上映スケジュールは1月9日まで冬休みバージョンとなっております。
学習資料展も引き続き開催中です。1月8日にはチャレンジ体験コーナーも実施します!
博物館のまわりではエナガ(写真下)のかわいらしい姿もちらほら。

冬休みも残り少なくなりましたが、ご来館を心よりお待ちしております。ぜひ明るい館内で冬の一日をお過ごし下さい。

なお、1月10日(火)から12日(水)までの3日間は展示室のメンテナンス等のため休館となります。
ご理解とご協力をお願いいたします。

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ゆくサル、来る鳥

平成28年は今日12月28日が最後の開館日となりました。
今年もたくさんのみなさまにご来館いただきありがとうございました。また、たくさんのボランティアのみなさんに支えられて、充実した博物館活動を進めることができました。
そんなボランティアさんたちとの市内の野外調査で見つけたニホンザルです。今年の干支ということで登場していただきます。

そして,同じく野外調査中に出現した来年の干支の鳥から、ミサゴです。魚を専門に食べるタカで、市内に生息しています。

新年は1月4日から通常どおり開館します。来年もよろしくお願いいたします。

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生きものミニサロン 冬ごもり中を失礼します!

クリスマス・イブの12月24日、恒例の生きものミニサロンを実施しました。今回のテーマは、これです!

樹名板。木の名前を覚えるの?
いやいや違います。冬、この樹名板をひっくり返してウラをのぞくと・・

いろいろな生きものたちが、冬ごもりをしています。テントウムシのなかまがどっちゃり。ちょっと小さな観察対象なので、みなさんに代わる代わるのぞいてもらいました。

そして、テントウムシのおふとんのようになっていた白いわたわたの中には何がいるのかというと・・

アリ?
いえいえ、違います。これはアリグモ!アリに擬態しているクモです。正面からお顔を見ると、正体見たり!

ルーペ付きのミルビンに入れてじっくり見てもらいました。

ほかにも、このミニサロンの定番、ヨコヅナサシガメや、ヤモリを観察しました。さらに、風に乗って遠くへ落ちる工夫がされているケヤキの種子(ケヤキコプター)なども観察していただきました。
冬休みに入り、たくさんの方にご参加いただき、とても楽しく自然観察ができました。みなさんの「おおーっ!」という声や、お子さんたちの「ナニナニ~?」とずんずんと近づいてくるようすに、主催者としてこの上ない幸せを感じます。
来月は1月28日(土)です。お楽しみに!

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頭隠して・・

12月21日、緑区某所で定例の生物調査を行いました。調査中、地面近くでなにやら不穏な動きが・・猛禽類(素早くて種類は同定できませんでした)がドタバタやっていて、近づくと飛び立ちました。後に残って弱々しく声をあげていたのは・・

アオゲラ(キツツキ科)でした。猛禽類に襲われて慌てて法面の穴に隠れようとしたのでしょう。頭を穴に突っ込んでじっとしていました。
間に水面があって近づけなかったので、このあとどうなったのかわかりませんが、猛禽類から逃げおおせたでしょうか。
こちらは逆に、カラスに追われるトビです。

「いやぁ~」と声を上げているように見えますが、実際は「ピィ~」と鳴いています。
別の場所では、オスジカが日だまりで休んでいました。

今年のNHKの大河ドラマを想像させてくれる立派な角(真田幸村の兜が鹿角をあしらったものだったので)でした。

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悪そうな顔

毎月恒例の生きものミニサロンの準備でお隣の樹林地で写真を撮っていたら、なにやら不穏な視線を感じました。
木の枝に、悪そうな顔が!

というのは大げさですね。ハリエンジュの冬芽です。正確には、葉が落ちた痕の葉痕です。冬芽は中に埋もれています。なんだか、角のある顔に見えます。
冬晴れの青空を見上げたら、まわりの緑がなくなって、この時期こそ元気に見えるつる性の常緑樹、テイカカズラが盛大にまとわりついていました。

葉が落ちて明るい林内で目立つものがもう一つ。ノイバラの果実です。

鳥に食べられたりしてほとんど無くなっていましたが、なぜかぽつんと一つ。
ぴりっと冷えた空気に、この透明感がなんとなく似合っていました。

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クワエダシャク

今朝(12月4日)の空は、巻積雲の二重雲が出ていました。低い位置の太陽から照らされた巻積雲の層状雲(いわゆるうろこ雲)の下に、まだ太陽の光が直接当たっていない下層の巻雲の毛状雲が重なっていました。

二重雲はけっして珍しい雲ではありませんが、こうして早朝や夕方に出ると、太陽の光の当たり方で、日中はわかりにくい高さの違いが明瞭になります。
さて、雲とはまるで関係ありませんが、今日出かけた八王子市の某所で、こんなものを見かけました。クワの枝です。

ただの枝・・・ではありません。Y字の右側(手前側)は、枝ではなく・・・

クワエダシャクという蛾の幼虫、つまりイモムシの擬態でした!!
この時期、葉の落ちたクワの枝先についていることがあります。見事なまでの擬態!
これを見つけると、とてもトクした気分になります。
(生物担当学芸員 秋山)

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フレームになる建物

今日(12月3日)は朝からとても気持ちの良い青空が広がりました。上空には高積雲の半透明雲が出ていました。

普通に見られる雲ですが、水に溶いた絵の具をササッ、ササッと塗ったような微妙な色合いと形が好きで、つい写真を撮ってしまいます。はかなくすぐに消えてしまうのもなんとなくありがたみが増します。
お隣の樹林地の遊歩道は、落ち葉のレッドカーペットが敷かれています。

さて、相模原市立博物館は博物館としては珍しく、室内へ外光を積極的に取り入れる設計になっています。そのためガラスの壁面が多く、室内から見ると四季折々のまわりの風景が、建物をフレーム(額縁)として天然の絵画のようになります。ちょっと立体的なフレームですが・・

地階大会議室前のホワイエから正面のガラスを見上げると、青空と紅葉を写した作品を見ることができます。

今日は「さがみはら宇宙の日」、「はやぶさ2」トークライブVol.6が行われています。

ミッションマネージャーの吉川真さん、プロジェクトマネージャーの津田雄一さん、そして海外から駆けつけてくれた研究者も交えての豪華な顔ぶれで、満席の大会議室です。
トークライブ終了の頃には、天然の絵画は夕焼け空に塗り替えられているかもしれません。
(生物担当学芸員 秋山)

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うな丼の科学

おかしなタイトルですね。うな丼に科学?
じつはこれ、今月12月11日(日)に実施する生物学講演会のタイトルなのです。サブタイトルは、「食卓を守る海洋生物学者の眼」。

講師は市内南区にある北里大学海洋生命科学部准教授の吉永龍起さんです。吉永さんはもともと、海洋動物の生息基盤となる海水プランクトンの研究者です。2011年まで岩手県大船渡市にあった海洋生命科学部が東日本大震災で被災し、相模原へ移転せざるをえなくなりました。突然の移転でまだ整っていなかった研究環境の中、研究室の学生たちと見つけた研究テーマはなんと、スーパーのウナギの蒲焼きを片っ端からDNA検査して、その原料となるウナギの種を割り出すという仕事でした。
さてその結果わかったことは・・
この続きは、講演会で!!
12月11日(日)14時~16時
相模原市立博物館大会議室 定員200名(当日先着順)
聴講無料です!
(生物担当学芸員 秋山)

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冬への準備

暦の上の秋が終わろうとしていますが、毎年空気がひんやりしてくると、博物館の植栽木に付けられている樹名板が気になります。
ウラ側をそっと覗くと・・・

いました!冬眠の準備に入ったヤモリです。
爬虫類の冬眠は、いわゆる睡眠ではありません。徐々に呼吸や心拍数を下げ、必要最小限の代謝に抑えた状態をつくります。人間のように「さあてそろそろ寝るか!・・ぐっすり」というわけにはいきません。

こうして物陰で温度が安定した場所に出たり入ったりしながら、いよいよ気温が5度を下回るような日が続くと本格的な冬眠に入ります。
生き延びる保障の無い長い眠りに入ろうとしているヤモリに、来年また春が来ますようにと祈りつつ樹名板を元に戻しました。
(生物担当学芸員 秋山)

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