桂内閣弾劾から110年…ミニ企画展「憲政擁護運動と尾崎行雄(咢堂)」を開催中です。

令和5年は、本市緑区又野出身の政治家・尾崎行雄(咢堂)が議会史上に残る「桂太郎内閣弾劾演説」を行ってから110年の節目にあたります。このことにちなみ、相模原市立博物館では10月21日(土)からミニ企画展「憲政擁護運動と尾崎行雄(咢堂)」を開催しています。

憲政擁護運動と尾崎行雄(咢堂)

このミニ企画展では「議会政治の父」、「憲政の神様」と称される尾崎が関わった憲政擁護運動のうち、第一次護憲運動を中心とした出来事について紹介しています。企画・運営は、昨年もミニ企画展を担当した「尾崎行雄を全国に発信する会」が務めました。

正面入口から見てエントランスホールの右手側が会場です。

パネル展示では、第一次護憲運動の起こりから第2次西園寺公望(さいおんじきんもち)内閣の成立、桂太郎への首相交代、そして尾崎行雄による桂内閣弾劾演説を経て内閣総辞職まで、尾崎の行動に焦点を当てて解説しています。本ミニ企画展のポスターにも使用している「咢堂十二景」の一つ、「桂内閣弾劾演説」(山尾平氏画、(一財)尾崎行雄記念財団提供)では、尾崎が桂首相を指差して糾弾するまさにその瞬間が力強く描かれており、「玉座(ぎょくざ)をもって胸壁(きょうへき)となし、詔勅(しょうちょく)をもって弾丸に代えて、政敵を倒さんとするものではないか」の一節が有名な弾劾演説(抜粋)とともにパネルをご覧いただけます。

桂内閣弾劾演説(山尾平 画、(一財)尾崎行雄記念財団提供)

このほかにも、第一次護憲運動で尾崎とともに陣頭に立ち、「憲政の二柱(ふたはしら)の神」と並び称された盟友・犬養毅とのツーショット写真も、犬養木堂記念館のご協力によりパネル化して展示しています。

また、今回の展示資料は当館が多数所蔵する尾崎ゆかりの資料の中から、‟演説の名手”としての一面が垣間見える品々を厳選しました。小村寿太郎外務相との最後の問答となった、1911(明治44)年1月24日「外交の経過に関する演説」を受けての質問の原稿など、貴重な実物資料をご覧いただくことができますので、ぜひ足を運んでいただければと思います。

展示資料の様子

そして、10月28日(土)午後2時~午後3時は、本ミニ企画展の企画・運営を担当した「尾崎行雄を全国に発信する会」事務局長 大橋氏による展示解説会を行います。展示には収まりきらなかった、憲政擁護運動における尾崎の活躍をたっぷりとお聞きいただける1時間になっています。事前の申し込みは不要ですので、ご希望の方は当日直接会場までお越しください。展示解説会に関する詳細はこちらをご確認ください。

今月下旬から来月にかけて、当館では企画展をはじめ、館内だけでも複数のミニ展示の開催やイベントが予定されています。12月からの臨時休館まで1ヶ月半を切りましたが、お楽しみいただける様々な催しを用意してお待ちしています。ぜひご来館ください!

(歴史担当学芸員)

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川原石のふしぎ〜自分だけのお気に入りの石図鑑をつくろう〜

10月21日に「川原石のふしぎ〜自分だけのお気に入りの石図鑑をつくろう〜」を開催しました。相模川の川原の岩石でオリジナルの図鑑を作るイベントです。相模原市教育委員会の旧石器ハテナ館の主催事業で、相模原市立博物館の学芸員が講師を務めました。

旧石器ハテナ館近くの相模川の川原で岩石を採集します。その前に相模川の川原で見られる岩石の説明をしました。

図鑑はA4サイズぐらいの箱で作ります。あまりにたくさんの種類の岩石を採集しても収まりきらないので、相模川の川原で見られる代表的な岩石で、箱に収まるような手頃な大きさの岩石を採集します。

旧石器ハテナ館に戻り、箱の中に岩石を木工用ボンドで貼り付けて図鑑を作ります。川原の石は上流から運ばれてきたものです。相模川や上流の山々をイメージした絵を描いたり、岩石の配置を考えたりしながら図鑑を作りました。

家族で相談したりして、楽しみながら図鑑を作っていました。

身近なところにも多くの種類の岩石が見られることを知っていただけたようです。今回のイベントを通して地質学に興味を持ってもらえればと思います。

(地質担当学芸員)

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【学習資料展】関連イベントのぶんぶんゴマと写真撮影も好評です!

相模原市立博物館では、10月21日(土)から令和5年度学習資料展「子どもの遊び いま・むかし」を開催しています。

例年、学習資料展では展示をご覧いただくほか、博物館ボランティア「市民学芸員」との協働による、お楽しみの関連イベントをご用意しています。本年は、恒例の「ぶんぶんゴマで遊ぼう!」と、「冬の居間のジオラマで写真撮影」の2本立てを全3日間開催いたします。
10月22日(日)はその初日でしたが、学習資料展が始まってから最初の日曜日ということもあり、ご家族で訪れてくださったたくさんの方で賑わいました。

上手に回しています。

「ぶんぶんゴマで遊ぼう!」では、自分で好きな色に塗ったぶんぶんゴマを実際に回して遊びます。勢いよく回転させるには力加減など少しコツが要るようですが、ぶんぶんゴマ現役世代である市民学芸員の補助もあり、初めて遊ぶお子さんもとても上手に回せていました。

お父さんもコツをつかんだようです。

 

また、「冬の居間のジオラマで写真撮影」では、市民学芸員力作のジオラマに入って記念撮影することができます。このジオラマも学習資料展では恒例で、毎年テーマを変えて市民学芸員が制作しているものです。
今回は昭和30~40年代の冬休みの居間を再現しており、ご家族でこたつを囲んだほっこりとする風景を撮影いただけます。ジオラマに入ることができるのはイベント時のみですので、貴重なチャンスにぜひお越しください。

ご家族で素敵な1枚が撮れました。

学習資料展の関連イベントは、11月5日(日)と19日(日)にも実施します。11月19日(日)は同日に「学びの収穫祭」も行っていますので、来月もどうぞお楽しみに!

(歴史担当学芸員)
※写真は全てご了承のもとブログに掲載しています。

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大学の野生動物学実習を実施しました

10月21日午前、麻布大学動物応用科学科の3年生25名が実習実験室に集まりました。当館で野生動物学実習を行うためです。
まずは生物担当学芸員から、博物館における生物標本の意義について講義を受け、その後、お隣の樹林地で植物採集を行いました。野生動物学実習ですが、動物の生態を知るには広く生物の分類群について知る必要があるため、植物標本の作製も体験してもらいます。

野外で植物採集

できるだけ多くの情報が入るように標本を採集します。

押し葉をその場で作製

室内に戻ってから、押し葉を整え、標本ラベルを記入しました。
そしてお昼休みを挟んで、午後は鳥類の標本を使った実習です。各机上に、いくつかの種類の鳥類標本(本はく製)が並びます。この標本をよく観察して、パーツごとのスケッチを行います。

じっくり観察、そしてスケッチ

10分間の間に1つのパーツを描き、机を移動して、別のパーツをスケッチします。

しっかり描けています

観察して気づいたこと、スケッチしてみてさらに気づいたことを書き留めておき、それを1人ずつ発表してもらいました。

鋭い観察眼です

みなさんしっかり観察して、足指の付き方や嘴(くちばし)の形、羽根の重なり方など、さまざまなことに気づかれていました。
文献やインターネットの情報ではなく、今目の前にしている標本からどのような情報を読み取るかを体験してもらいました。
生物を扱う学科のみなさんだけあり、とても熱心に長時間の実習をこなしてくれました。
(生物担当学芸員)

 

 

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生きものミニサロン「葉っぱ探偵団」を実施しました

10月21日、毎月恒例の生きものミニサロンを実施しました。今回のテーマは、葉っぱで遊ぼう!part3「葉っぱ探偵団」です。今回はいつもサポートしてくれている、自然観察指導員の小田さんと大久保さんがプログラムを準備してくれました。まずは、館内でガイダンスです。今回のためにオリジナルで作られた「葉っぱ探偵シート」を配布します。

エントランスでガイダンス

探偵シートに載っている葉っぱを探して、チェックを付けていきます。そして結構探し当てるのが難しい葉っぱもあり、それは見るだけでなく、触ったりしながら探すとよいとアドバイスがありました。

葉っぱの見方を解説

早速お隣の樹林地へ行き、探索です。手触りも重要な手がかりです。

どんな手触りかな?

見つけられた葉っぱにチェックを付けていきます。

すごく集中して取り組んでいます

一緒に歩いていると、まわりの大人よりも真っ先に見つけてくれるお子さんもいました。

観察眼の鋭いお子さんも参加

夢中で探しているうちに、ひっつき虫のタネがソデにひっついていました。でも、じつはこれも今回探索する植物でした!

ひっつき虫の季節でもあります!

目の良いお子さんたちが、探索する植物以外にも、ヤマノイモのムカゴを見つけてくれたり、まだ残っていたセミの抜け殻を発見したりと、今回も楽しい観察ができました。

次回は11月18(土)、「学びの収穫祭」の一環として実施します。麻布大学いのちの博物館の展示解説サークル「ミュゼット」のみなさんが出張展示解説をしてくれる予定です。時間も、10時~16時と、長時間にわたり実施します。お楽しみに!
(生物担当学芸員)

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【明日10/21から!】令和5年度学習資料展「子どもの遊び いま・むかし」を開催します

当館のホームページやX(旧Twitter)等では少しずつお知らせしてきましたが、いよいよ明日10月21日(土)から、令和5年度学習資料展「子どもの遊び いま・むかし」を開催します。

子どもの遊び いま・むかし

当館では例年、収蔵資料を紹介しつつ、小中学生の皆さんの学習に役立てていただくために、学習資料展という企画展を開催しています。
この学習資料展は、当館の博物館ボランティア「市民学芸員」との協働によるもので、毎年テーマが異なります。本年のテーマは、展示タイトルにもあるとおり‟子どもの遊び”です。各世代の子どもたちが成長の過程で手に取ってきた昔懐かしいおもちゃから、現代の子どもたちも知っている遊びまで、幅広い世代にお楽しみいただける展示となっています。

博物館の屋外看板も学習資料展仕様に模様替え

特別展示室の中はどのようになっているのか…、展示の見どころも追って本ブログで紹介したいと思います。

また、10月22日(日)午前10時~午後3時は、学習資料展の関連イベントを実施します。学習資料展恒例の「ぶんぶんゴマ」作りと、ジオラマの中に入って記念撮影ができるイベントの2本立てです。詳細はこちらをご確認ください。
皆さまのご来館、心よりお待ちしております!

(歴史担当学芸員)

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フライングキャッチ!

前の記事で、10月18日に実施した植物調査の様子を紹介しました。その時、河原でエゾビタキを見ました。せわしなく飛んでは枝に戻り・・という行動をしていたので、よくよく見ると・・

エゾビタキ まわりに小さな昆虫がたくさん飛んでいるのが見えます

エゾビタキのまわりを、小さな羽虫がたくさん飛んでいます。これを飛びながらつかまえて食べていたのでした。

フライングキャッチ!

注意深く探すと、まわりに3羽以上のエゾビタキがいて、同じような飛び方をしていました。エゾビタキは北方で繁殖し、日本を中継地としてさらに南下して東南アジアなどで越冬します。まだまだこの先、長い旅が続きます。たくさん食べてエネルギーを蓄えてほしいですね。
(生物担当学芸員)

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秋の河原の植物調査

10月18日、相模原市緑区の相模川の河原や周辺の水田地帯で、博物館を拠点に活動するボランティアグループである相模原植物調査会のみなさんと植物調査を実施しました。地域植物相を把握する上で、この時期に確認すべき重要な植物を確認してまわりました。
まずは、カワラハハコです。

カワラハハコ

大きな河川中流部の河原特有の植物ですが、2019年の台風19号で大群落が流失して以降、なかなか群落が回復しません。わずかな株が残っているのですが、外来植物に負けそうでちょっと心配です。
こちらは少し離れた場所で確認したタコノアシです。以前、このブログで花を紹介したのですが、果実が実ると赤く染まり、ゆでだこのように見えます。

タコノアシ

こちらはホシクサです。かつては水田周辺にたくさんあったと考えられていますが、現在は限られた水田でしか見ることができません。

ホシクサ

希少な植物だけではなく、こんな植物も。特定外来生物のナガエツルノゲイトウです。

ナガエツルノゲイトウ(特定外来生物)

明らかに株数が増えており、要注意ですね。
さらに、植物調査をしていたらこんな昆虫も。マメハンミョウです。

マメハンミョウ

うっかり触れて怒らせると、皮膚に炎症を起こす液を分泌します。ちなみに、在来の生物です。

相模原植物調査会のみなさん

そんな観察も含めて、秋晴れの下で気持ちの良い調査となりました。
(生物担当学芸員)

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秋の花粉についての取材に対応

10月16日、相模川の河原でテレビの撮影クルーが収録をしていました。

カナムグラ群落の前で撮影

狙いはこちら。カナムグラです。在来のつる植物ですが、ちょっと困った一面があります。

カナムグラの花

それは、カナムグラが秋の花粉症を引き起こす原因植物の代表格だからです。今年は夏が長くて暑く、その時期に十分につるや葉を展開しました。そして、長すぎた真夏並みの気温で少し夏バテ気味かと思いきや、ここにきて雨と低温が開花を促したのか、一斉に、そして大量に花を咲かせています。

花粉を飛ばすカナムグラの花

スギほどもうもうと煙のように花粉を飛ばすわけではありませんが、身近な植物なだけに、影響は小さくありません。

花粉を飛ばすカナムグラの花

今回の取材結果は、日本テレビで10月16日夕方のニュース番組、「newsevery」と翌朝「Oha!4」の中で取り上げられました。
じつは市内の内科医院でも、今年は例年よりも秋の花粉症の症状を訴える人が多いとの話を伺いました。マスコミも注目していて、今回の取材も2回目、先週はNHKから取材を受けました(ニュースウオッチ9で放映)。オオブタクサやブタクサはすでに花期が過ぎましたが、今ちょうどカナムグラの開花のピークとなっています。花粉症の方はどうぞお気を付けください。
(生物担当学芸員)

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進む秋

二十四節季の寒露(かんろ)の10月8日を過ぎてから、突然秋がやってきた感があります。博物館のまわりの植物も、慌てて秋の装いをまとうかのように色合いを変えています。
ヌルデの葉が、渋い色合いになってきました。

ヌルデの葉 紅葉の準備も万端のようです

ひと足早く赤く色づくウルシの仲間なので、間もなく見事な紅葉を見せてくれるでしょう。
こちらはカラスノゴマです。先月「まぎらわしい植物名」として紹介した黄色い花が終わり、果実が実りました。

カラスノゴマの果実

ススキの穂がだいぶふわふわになってきましたが、中には花をつけているものもありました。

ススキの花

どこが花?と思われるかもしれませんが、穂から垂れ下がっているのは雄しべで、花びらこそありませんが、これがれっきとした花です。
こちらはフェンスに絡みついていたヤブマメ。秋空のような清々しい色合いです。

ヤブマメの花

雨と秋晴れが交互にやってくるので、植物の季節の進み方が加速しているように感じられます。見逃さないように注意深く秋の花を堪能したいですね。
(生物担当学芸員)

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