同じ種類なの?

今日も鳥類標識調査を実施しました。朝は雨模様だったので、お昼前から開始したのですが、同じ時間帯にたまたま、ウグイスが2羽捕獲されました。

あれ?なんだか大きさが違います。ちょっと顔つきも違うような・・。
これはなんと、雌雄の違いです。上の大きな方がオスで、下の小さな方がメスです。オスは気の強さが顔に出ています。小鳥の雌雄差としてはちょっと大きすぎる感じですね。でも、間違いなくどちらもウグイスです。
野鳥を見慣れていない方には上の写真、さらにちょっと納得いかないかもしれません。
「ぜんぜん鶯色じゃない!!」そうですね、こちらはどうでしょうか。

一般的にこちらのオリーブ味の強い色を鶯色と思われている傾向がありますが、それは誤解です。これはメジロであってウグイスではありません。正しい鶯色は、上のウグイスの色、灰色がかった茶褐色です。
今日はこんな美しい鳥も。ヤマガラです。

もう少しキリッと寒くなってくれると、冬鳥が南下してきてたくさんバンディングできるのですが・・。明日も実施します。
(生物担当学芸員 秋山)

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鳥類標識調査

毎年博物館の近くで実施している鳥類標識調査(バンディング調査)を、今年も行っています。

野鳥を捕獲して足環を付けて放鳥するのですが、環境省から委託されている(公財)山階鳥類研究所が主体となり、鳥類標識調査員(バンダー)の資格を持つ人がボランティアで調査に従事しています。博物館にはバンダーがいないので、いつも協力してくれているバンダーFさんに調査していただいています。
バンディングは、ふだん手元の距離で見ることのできない野鳥を観察できるチャンスです。そして、冬場は潜伏していてなかなか見ることのできない鳥の存在を明らかにしてくれます。例えばクロジという鳥です。

ふつうに野鳥を観察していても、なかなか存在に気付きません。しかも、なんともシックで美しい羽色です。
同じく冬鳥のジョウビタキは比較的目立つ鳥ですが、メスの尾羽にこんなにオレンジ色があるとは!

特定外来生物、ガビチョウも捕まりました。今となっては懐かしいガングロ系です!

通常、立ち入りの出来ないエリアで調査をしていますので、見学などはできませんが、このブログで引き続き調査のようすを報告していきます。
(生物担当学芸員 秋山)

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考古学連続講座はじまる! ①指定文化財の考古資料から見る相模原の歴史

本日、考古学連続講座が始まりました。この講座は、博物館と市文化財保護課の考古担当学芸員5人による連続講座です。

今回は当館考古担当の中川学芸員より指定文化財の考古資料などを中心に、旧石器時代から古代までの市の歴史を語りました。

相模原市は近年も積極的に市文化財への指定・登録を進めており、その中で、『相模原市史 考古編』などの成果をもとに考古資料の指定も多く取り組んでいます。

本格的に文字資料が登場する中世より前の時代は、考古資料が最も当時の状況を知る手がかりになります。その中には、田名半在家遺跡で発見された龍文鏡(破片)など、全国的に見ても類例の少ないものなどもあります。

全国でも類例が少ない中国製の龍文鏡の破片(8世紀頃)

2時間に及ぶ講座でしたが、参加者の皆さんは熱心で、積極的な質問もあり、関心の高さがうかがえました。

次回は、11/6(日)午後2時から相模川流域の遺跡紹介です。ぜひご参加いただければ幸いです。

(歴史担当学芸員 木村弘樹)
(考古担当学芸員 中川真人)

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歴史&城マニア集合!? 歴史講座① 長尾景春の乱と関連城めぐり

本日、歴史講座の1回目を開催しました。今回のテーマは、「長尾景春の乱と関連城めぐり」です。マニアックなテーマと思った方もいるかもしれませんが、長尾景春の乱は15世紀後半の相模原の様子を知る数少ない出来事で、相模原市の戦国時代の幕を開けた戦乱とも言えます。そして、その乱を鎮圧したのが有名な太田道灌です。

そんなマニアックなテーマでも参加者はなんと24名もいました。最初に、各自で自己紹介を行い、その中で好きな武将や好きなお城を言ってもらいました。有名な武将やお城はもちろんマイナーな武将や山城をあげる方などいろいろで、和やかな雰囲気になったと思います。

講座の中では、太田道灌家紋クイズなどを取り入れたり、少しでも楽しんでもらいながらお話しました。また、博物館に収蔵している上磯部の土塁の発掘調査出土品も見てもらったりもしました。

次回11/5は、市内における長尾景春の乱の舞台“磯部城”を探訪します。今も残る上磯部の土塁や本丸跡とされる能徳寺や御嶽神社などを巡ります。

(歴史担当学芸員 木村弘樹)

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ヤモリ

今日(10月28日)午前中、ボランティアのみなさんがなにやら嬉しそうにバタバタと館内を動いていました。
なんだろう?と伺うと、咄嗟に用意したザルの中にこんなのが入っていました。

ヤモリです。
館内で見つけたとか。そろそろ外が寒くなり、つい入ってきてしまったのでしょう。なんともかわいいお顔です。

館内は冬眠に適した低温安定の場所は無いので、写真を撮ったあとに外へ放しました。
寒気が下りてきて、今日は外も少し寒くなり、両生類や爬虫類はそろそろ冬眠場所の心配をしなくてはいけない季節です。
外へ放したヤモリがサササと音の無い音を立てながら逃げていくようす見て、冬の足音を聴いたような気がしました。
(生物担当学芸員 秋山)

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贈呈式

当館喫茶室に常置されている「松橋利光さんの本棚」は、市内在住の生きものカメラマンの松橋利光さんの著書を集めて、自由に手にとって閲覧できるようにしたものです。ここにある本は松橋さんから御寄贈いただきました!いつも誰かしら利用者のみなさんが手にとって読書を楽しんでくれています。

さて、じつは松橋さんは市内の図書館にもたくさんの御著書を寄贈してくれて、学校への支援セットなどに活用される予定です。今日は、その贈呈式が市役所教育長室で行われました。
松橋さん(左)と野村教育長(右)です。

野村教育長からは、松橋さんの本をとおして子どもたちが生きものに触れあったり、身近な野生動物の存在に気付くきっかけになれば、とお話がありました。

松橋さんはこれからも子どもたちのため、生きもの好きのすべての人たちのために、たくさんの本を出されることでしょう。このすばらしい作品を活用しながら、博物館でもさまざまな形でコラボレーションしていきたいと考えています。
(生物担当学芸員 秋山)

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まだいた!

博物館で栽培しているカワラノギクには、よくイモムシがつきます。そのようすは先々週書きましたが、その時に退治して安心していたら、どうも今日見てみると、葉っぱが引き続き食べられている気がします。じーっと見つめて探していくと・・

いました!わかりますか?
慣れないとほんとうに見つけづらいところにいます。今回は矢印でマークしてみます。

拡大してやっとわかる感じですね。見失う前にロックオンして確実に撃墜、駆除いたしました。

今年は9月の日照が不足していたのか、いつもより花が遅めです。やっと、開花しかけの株がひとつ。

河原の保全地のようすも見に行かなくては!!
(生物担当学芸員 秋山)

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勝坂遺跡発見90周年記念講演会「縄文人は植物を栽培したのか?」盛況に終了

本日、勝坂遺跡発見90周年記念講演会「縄文人は植物を栽培したのか?」を開催しました。
講師は、国立歴史民俗博物館 准教授 工藤雄一郎先生で、勝坂遺跡と他の遺跡を比較しながら、縄文農耕論、縄文中期の環境、植物利用などについてお話いただきました。

なぜ、勝坂遺跡の発見と「縄文人は植物栽培」が関係あるかとお思いの方もいるかもしれません。実は、90年前の大正15年に大山柏(明治期の軍人大山巌の次男)が、勝坂にて発掘調査を行った際、大量に発見した打製石斧を土堀用の道具と考え、「原始農耕」が行われていた可能性を報告書で触れています。そのため、勝坂遺跡は「勝坂式土器」発見の地としても有名!?ですが、さらに縄文農耕論を考える上でも考古学史上貴重な遺跡といえます。

ミニ展示状況 右下が大山柏の写真と勝坂遺跡の発掘報告書

今年度 工藤先生に相模原にお越しいただいたのはなんと2度目で、5月の旧石器ハテナ館での旧石器時代の古環境の講演に続き、本日縄文時代の植物利用について詳しくお話いただきました。講演のパワーポイントには写真や図などを多く入れていただき、大変見やすかったと参加者アンケートでも好評でした。

なお、博物館内の常設展示室内で勝坂遺跡発見90周年記念ミニ展示「大山柏公爵の勝坂遺跡初調査」を年内まで開催中です。本日の講演でも取り上げられた「縄文農耕」に関する展示も行っていますので、ぜひご来館ください。

ミニ展示「大山柏公爵の勝坂遺跡発調査」

また、市内の遺跡や考古資料について、5回にわたってお話しする「考古学連続」を来週10/30を皮切りに、11/6、12/4、12/18、1/15の各日曜日に開催しますので、ぜひご参加いただければ幸いです。
連続講座チラシ

(歴史担当学芸員 木村弘樹)
(考古担当学芸員 中川真人)

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火山灰を顕微鏡で見てみよう

今日は「火山灰を顕微鏡で見てみよう」を開催しました.

ボランティアとして,相模原地質研究会,相模原青陵高校地球惑星科学部,弥栄高校サイエンス部,首都大学東京都市環境学部の皆さんにお手伝いいただきました.

火山灰の中に含まれている鉱物を実体顕微鏡(立体に見える顕微鏡)で観察しました.

火山灰を顕微鏡で見るとこんな感じです.これは洞爺火山から約11万年前に噴出した火山灰です.

火山灰中の鉱物の洗い出し作業を行ったりしました.

洗い出しをした火山灰は,箱根が約6万6千年前に大噴火を起こしたときの火山灰です.顕微鏡で見るとこんな感じです.

たくさんの方にご参加いただきました.どうもありがとうございました.また,ボランティアとしてお手伝いいただいた皆様,ありがとうございました.

(地質担当学芸員 河尻)

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生きものミニサロン “ひっつきむし”にクローズアップ!

今日(10月22日)は毎月恒例の「生きものミニサロン」の日です。テーマはこちら。

え?ただの軍手じゃないかって?
いえいえ、そっちじゃなくて、そこにひっついているものです!しかもこれはただの軍手ではなくて、当館オリジナルの特殊調査機器である「ひっつきむし採集器」です!これを使って、博物館前庭の草むらをゴソゴソ・・今日は小さなお友達がたくさんいて、じっくりと観察してくれています。

あっという間にこんなものがひっついているのが見えました!
ミズヒキや・・

ヌスビトハギや・・

ほかにもあと3種類ほどのひっつきむしを観察しました。
移動途中、大型車駐車場をとおった際、せっかくなのでみなさんに地面の上の小さなものを見つけてもらいました。

そこにはこんな可憐な花が咲いています!

しょっちゅう、大型バスが出入りしている地面にこんな花が咲いていること自体が不思議ですね。
ほかにも、先月に引き続きゴミグモを観察したり、地面が沈む~!と言っていた参加者がいたので、その原因であるモグラの坑道を観察したりして、でも最後はやっぱりひっつきむし。

みなさんが持ってくれているのは、イガオナモミの果実です。今日のミニサロンで採集したものではないのですが、事前に用意しておいて、みなさんに見ていただきました。
どちらかというと大人の方には懐かしい、そしてひっつきむしを代表する存在です。

このいかつい外見のわりに、軽く持てばそれほど指先が痛くはありません。その理由を虫めがねで見てもらい、終了しました。
今回は幼児や小学校低学年のお友達がたくさん参加してくれて、とても楽しく観察できました。お子さんたちが頭をつきあわせながら自然観察する姿を見ていると、私はこの上ない幸せを感じます!来月は11月26日(土)12時から実施します!
(生物担当学芸員 秋山)

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