チドリの木(追記あり)

今日は丹沢方面に植物相調査に出かけました。いつもは相模原植物調査会のみなさんと行くのですが、今回は採集許可などの関係で変則的なメンバーで調査に行きました。そこでふと出会ったチドリノキ。

カエデ科なのにぜんぜんカエデらしくなく、そもそもなぜチドリノキなんて名前なのかよくわかりませんでしたが、新緑のこのようすを見て納得しました。千鳥が飛んでいる姿を連想します。いや、これが名前の由来かどうかはわかりませんが、とにかく自分としては納得です。
途中、去年産まれでしょうか。小さくてかわいらしいヤマカガシに出会いました。

尾根筋の急斜面を上り下りしました。

じつは、当初の調査予定場所はちょっとトラブルがあって林道に入れず急遽変更した調査地だったのですが、思いがけず絶滅危惧種をたくさん確認できて結果オーライとなりました。ところで、今シーズンはじめてヤマビルにやられました。毒々しいので写真は載せませんが、靴下が血で赤く染まりました。

帰りがけ、緑区の相模川に近い場所で歩道に咲いていたヤグルマギクです。

園芸種ですが、路傍で逸出定着する気配があったので、標本用に採集しました。
今日行かれなかった調査地は、来月またリベンジします!しかし今日は今日で、梅雨の足音を聴きながらの楽しい調査でした。
(生物担当学芸員 秋山)

◆追記◆
その後、一応調べておかなきゃ、とチドリノキの名の由来を調べたところ、複数の文献で「対になった翼果を千鳥の飛ぶようすにみたてたもの」とありました。「それじゃカエデはみんなチドリノキ?!」と思わずツッコミを入れてしまいました。自分の感性を信じることにします・・・。

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いつの間にやら

だいたい企画展をオープンさせた後というのは浦島太郎状態なのですが・・今回の「鳥の羽根 温かく、美しくまとうもの」では準備中にキアシドクガの大発生など重なり季節をしっかり追っているつもりでいました。しかし・・

毎日通る通勤路のコヒルガオがたくさん咲いているのに気付いたのはオープン翌日でした。
キアシドクガの純白を追っていたのに、こちらに気付いたのは、今日の帰りがけでした。

満開のドクダミです。

博物館の空には巻雲が出ていました。そういえば空もしばらく眺めていなかったような・・。

木の幹で交尾するキアシドクガ。下の方は翅の鱗粉が落ちて透けています。メスを求めて飛び回ったオスでしょう。間もなくこの大発生も終息しそうです。

いつの間にやら進む季節にちょっと焦りましたが・・焦ってもしょうがないので、明日は山へ登って少し季節をさかのぼる調査をしてきます!
(生物担当学芸員 秋山)

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穏やかな休日

企画展「鳥の羽根 温かく、美しくまとうもの」の列品、オープニングイベント、キアシドクガ大発生の対応など慌ただしい日々が続きましたが、今日は休館日。ひさしぶりに外を歩く余裕ができました。穏やかな休日です。河原を歩くと、特定外来生物であるオオキンケイギクが咲き誇っていました。

コアオハナムグリがモゾモゾと花粉を食べに来ています。

ネズミムギ、オニウシノケグサ、オオアワガエリ、カモガヤなどイネ科の花があまりにも満開すぎて早々に退散。植物を扱っている人には花粉症が多いのですが、私もご多分に漏れずイネ科やオオブタクサ、カナムグラなど晩春から秋にかけてひどくなります。逃げるように山の方へ行ってぶらぶらしていると、前方の日向に鳥が落ちています。

妙な格好で動かないガビチョウです。これは羽根展の資料が増えてしまうのかな・・と近づいていくと、ひょっこり起き上がって飛んでいってしまいました。日向ぼっこのお邪魔をしてしまったようです。失礼しました!
この前後、激しいくしゃみが連発でしたが、おかげさまで穏やかな週明けを迎えられそうです。
(生物担当学芸員 秋山)

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KAGAYAさんトークショー「世界に星空と夢を求めて」

5月21日土曜日、この日は企画展「鳥の羽 温かく、美しくまとうもの」の初日であり、その関連事業のミュージアムトーク、そして4月から上映している全天周映画「富士の星暦」スペシャル上映・KAGAYA監督トークショーがあるという、博物館にとっては大忙しの一日になりました。
このうち、スペシャル上映・KAGAYA監督トークショーについては4月末から告知していたこと、また、映画の監督であるKAGAYAさんご自身もツイッター(@KAGAYA_11949)やホームページで告知してくださっていたことなどから混雑が予想されていたものの、館への問い合わせは、さほどいただいていなかったことから、当日の人出がどうなるのか、博物館としても予測がつかない状況でしたが、開館と同時に半数以上の観覧券をお求めいただき、その後、結果的には、上映の30分ほど前に完売となる大盛況となりました。

スペシャル上映は、まずKAGAYAさんによる作品紹介から。
KAGAYAさんがドーム映像を手掛けるようになったきっかけ、そして作成中のエピソードとして、撮影の経過や、音楽担当の方と何度もやり取りして作品を作り上げてきたこと等をお話しされ、上映時には、お客様と一緒に、一般の席でご覧いただきました。事前に関係者席としてKAGAYAさんの席を確保しておこうかと思ったのですが、ぜひその場の状況で空いている席に・・・とのことでしたので、お近くの席になった観覧者の方にとっては、KAGAYAさんと一緒に上映を見るというサプライズプレゼントになったかもしれませんね。

上映が終わり、休憩をはさんで、トークショーの開始です。
子どものころから絵を描くのが大好きだったこと、そして埼玉のご実家の様子。これはご自身のドローンで撮影したという動画でご実家の外観から、自室、そして、その窓から屋根に移って星を見ていたというエピソード(危険なので真似をしないでね、とのことです!)を紹介いただきました。
中高生のころから、星の写真を撮り始めたとのことで、そのころ撮影した写真(もちろんデジカメではなくフィルムで撮影したもの)、そして、自宅のお風呂場で現像したことなど。

そしてタイトルのとおり「世界の星空」について。いままでに、世界の各地で撮影をしてきたこと。イースター島では、モアイ像と並んで撮った写真も・・・。
そして、今までで一番美しい星空を見た場所、ウユニ塩湖での写真の数々。

南極に皆既日食を撮影に行ったとき、たまたま近くで撮影していたほかのカメラマンが撮った写真が、皆既日食と人物が同時に写っている珍しい写真・決定的瞬間としてNASAのサイトで紹介されたとのことですが、よく見てみたら、見慣れた機材のシルエット。あ、自分だ!と気づき、そのカメラマンの方からデータを譲っていただいたとのこと。
その動画と、ご自身が撮影した動画を並べて紹介していただき、南極での皆既日食の瞬間をプラネタリウム内の全員で追体験することができました。
そうそう、南極では、かねてからの「夢」を実現したそうです。
それは・・・数千年前の空気も一緒に封じ込まれている「南極の氷」で作る「かき氷」を食べる事!日本から持参したメロンシロップで、かき氷を6杯も!満面の笑みでかき氷を食べるKAGAYAさんの写真に場内が沸きました。
その他、オーロラの話や色々な写真、動画など、盛りだくさんのトークショーとなりました。
そして、タイトルのもう一つのテーマ、「夢」の話・・・KAGAYAさんは夢を持つことが好きであること、そして、夢は叶わないことも多いけれど、夢を持つことこそが前を進む力になること。何かが起こりそうなときには、自分がそこまで行って奇跡をつかもうとすること・・・。
最後の質問コーナーでは、お二人の方からの質問にお答えいただきました。
まず一つ目の質問は「夜はずっと撮影をしているようですが、いったい、いつ眠っているんですか?」。この質問については「撮影をしている期間は、1日に合計6時間程度にはなるよう細切れ睡眠で。そのかわり、撮影をしていない期間はたっぷり8時間は睡眠をとっています」とのこと。これは、健康管理をして長生きをして、「月に行く」という夢をかなえるためでもあるそうです。
二つ目は「どんな子ども時代でしたか?」。こちらについては「夜の間、星を見たり写真を撮ったり現像したりで、そのまま学校に行くから学校ではついつい居眠りもしていたが、家族は、好きなことをやらせて、見守っていてくれていた」とのことです。
満場の拍手で終了したトークショーのあとは、希望者の方を対象にサイン会を実施しました。

中には、スマホの画面や、その日着ていたTシャツにサインをしてもらっている人も!

今回のトークショーでは、KAGAYAさんのご厚意により、フラッシュを使用しなければ撮影OK、そしてトークショー後のサイン会も、「何にでもサインします」ということで、みなさん、それぞれ思い思いの楽しみ方ができたのではないでしょうか。

参加者のみなさん、そして講師のKAGAYAさん、長時間にわたりありがとうございました。

また、当日、残念ながら参加できなかったみなさん、館内のポスターなどにKAGAYAさんのサインをしていただきましたので、博物館にご来館の際、そしてプラネタリムをご利用の際には、ぜひそのサインを探してみてくださいね。

(企画情報班:佐々木)

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サンデーモーニング

今朝、博物館のまわりで大発生中のキアシドクガについてTBSテレビの「サンデーモーニング」で紹介されました。

生中継で季節の風物を紹介するコーナーでしたが、お天気もよくコンディションもバッチリ!

日曜朝の番組ということで画像が毒々しくならないように、ディレクターさんが苦心されていました。
さて、さがぽんも紹介してくれていますが、昨日の企画展ミュージアムトーク「羽根はかせ、羽根を語る」のようすが神奈川新聞に写真付きで紹介されました。
今日もコクジャク類の目玉模様がみなさまをお迎えしています。

博物館に来られたら、ぜひミズキの木のまわりを大乱舞するキアシドクガもご覧下さい!毒はないのでご心配なく!
(生物担当学芸員 秋山)

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鳥の羽根展オープン!

本日5月21日、いよいよ「鳥の羽根 温かく、美しくまとうもの」がオープンしました!

そして今日は羽根研究の第一人者、藤井幹さんによるミュージアムトーク「羽根はかせ、羽根を語る」が行われました。
会場の特別展示室には、予定の50名を大幅に超えるお客様がご来場されました。急遽イスを増設。

実物の羽根を使って羽根のおもしろさ、フシギをじっくりと紹介していただきました。
終了後には、サイン会も!

羽根に興味を持って下さる方がこんなにたくさんいらしたといことに驚き、そしてこの展示を作ったかいがあったと思える時間でした。
企画展は6月26日までです!
(生物担当学芸員 秋山)

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鳥の羽根展に向けて5/20 最終回、そして明日へ!

鳥の羽根展に向けたこのブログのシリーズも、今日が最終回です。明日からは、オープン以降の報告となります!
とその前に、今年のキアシドクガですが、過去最大規模の発生です!とにかくものすごい数です。一見の価値あります!

さて企画展ですが、今日は足りないキャプションや解説パネルを作成、最終的な開場準備をしました。触れる剥製のヤマドリも、オープンが待ち遠しいそうです!

なぜここまで凝った模様になるのかまったく意味不明のジャノメドリも、準備万端です。

4つのコーナーのうちの最後を締めくくる羽根の識別クイズ「この羽根、何の鳥の羽根?」は20問超の難問が待ち構えています。

明日は9時30分の開館とともにオープンです!そして、羽根はかせの藤井幹さんによるギャラリートークも14時から行われます!
いよいよ明日です!
(生物担当学芸員 秋山)

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鳥の羽根展へ向けて5/19 ほぼ、できあがり!

いよいよ明後日オープンの企画展「鳥の羽根 温かく、美しくまとうもの」の列品も今日がピーク。導入部分のタペストリーも設置が完了しました。

イメージどおりの空間ができあがりました!来館者のみなさまをお迎えするのは、全身目玉模様の羽根を持つ、ハイイロコクジャクです!

羽根を使って描く伝統美術である「盆石」も本日設置が完了。来月には実演もしていただける浮田さんが展示ケース内で景を仕上げていきます。

盆石はその場で見ていただかないとそのスケール感がわかりませんので、ぜひ展示室でご覧いただきたい展示品の一つです。
先日のブログでもご覧いただいたコンゴウインコは、本剥製が入りました!

まだキャプションの足りないところや修正点はありますが、それは明日、じっくりやっていきます。ライティングも完了し、準備万端です!早くオープンしたいです!
(生物担当学芸員 秋山)

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地質調査日誌5/18 相模原市緑区日連

5月18日、水曜日。晴れ。

4/20に引き続き相模原市緑区日連で,礫岩と凝灰岩の分布範囲を調べるために調査をしました.

この地域の礫岩には断層破砕帯がたくさん見られます.断層が動いた時の引っかき傷も見ることができました.

こちらは別の断層破砕帯です.写真の右上では礫も見られ礫岩であることが確認できますが,ハンマーの置いてあるあたりは,断層運動により礫がわからないくらい岩石が破砕されています.

小さな支流の沢に入ろうとしたらいきなり滝に行く手を阻まれました.

滝を巻いてしばらく行くとまたまた断層破砕帯です.

写真では分かりにくいですが,沢の最上流部では凝灰岩が見られました.

今回の調査ではガマガエルやプラナリアに出会いました.

新緑の季節,生き物たちも活発になっています.

(地質担当学芸員 河尻)

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鳥の羽根展へ向けて5/18 カウントダウン

今週土曜日オープンの「鳥の羽根 温かく、美しくまとうもの」の列品が順調に進んでいます。オープン3日前!カウントダウン開始です!
と、その前に、博物館駐車場やお隣の樹林地ではキアシドクガが続々と羽化しています。

きゅーと!!
飛んでいる姿はエレガント。とまっている姿はとってもキュートです。こんな姿を見ると、ほんとうに名前が不憫です。
繰り返しますが、毒はありません。
ただ、これだけ大発生すると・・・

博物館駐車場のミズキの一本がこんな状態に。枯れているわけではなく、葉を食べ尽くされたのです。隣のサクラの木と一目瞭然。
この蛾の幼虫がミズキを食草としていることがよーくわかります。
さて、展示の方は資料をケース内に並べる作業と並行して、導入部の写真の壁張りも進めています。生きものカメラマン、松橋利光さんの作品の存在感がすごすぎます。

明日は、ここに大きなタペストリーが垂れ下がる予定です。お楽しみに!
(生物担当学芸員 秋山)

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