地質分野実習 ~展示解説編~

こんにちは!地質分野の実習生です。

今年の地質分野の実習では、ミニ展示「関東大震災と相模原」の「相模原市緑区鳥屋の地震峠の地形と石造物」のコーナーを担当しました。

実習最終日(9月24日)は、実際に来館された方に向けて私たちの展示の解説を行いました。

様々な方が来館されていたため、それぞれに合わせて解説をすることを心掛けました。

熱心に聞いて下さったり、展示の感想をいただけたり、来館された方とコミュニケーションをとることができて嬉しかったです。

日曜日ということもあり、沢山の方に足を運んでいただきました。ありがとうございます!

私たちが制作した展示『相模原市緑区鳥屋の地震峠の地形と石造物』を通じて、関東大震災のことを知り、地震や防災のことを考えるきっかけになると嬉しいです。

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秋の田名望地を歩きました!

9月26日、田名公民館の主催事業「相模原市立博物館の学芸員と一緒に田名散策~小さな秋みつけよう@田名地区~」が実施され、生物担当学芸員が講師を務めました。相模川の段丘崖(だんきゅうがい)下に広がる田名望地(たなもうち)の水田地帯は今、イネの実りの季節です。

秋の望地の風景

遠近感のある段丘崖を背景に、黄金色に染まった水田が広がります。気温は少し高めであるものの、景色はすっかり秋です。
今回、生きものを中心に紹介しましたが、特に見どころとしたのは、こちら。

市域の赤トンボを代表するアキアカネ

赤トンボです。最近は、スマホで写真を撮って検索すると、AIが即座に「それは何か」を答えてくれて、生きものもそうして種名を調べることができます。一昔前までは、「未来のツール」のように思われていたものが現実となりました。しかし、それほど細かいところまではまだ教えてくれないことは、この赤トンボがよい例です。スマホでこのような写真を撮れたとしても、種名まではわかりません。上の写真は、赤トンボで総称されるトンボの中の、アキアカネです。
そして、この日はアキアカネの他にも、ナツアカネを見ることができました。

ナツアカネ

見分けるポイントは、胸や頭も真っ赤になることなどですが、現在のところ通常のAIではそこまで識別できないことを、参加者のみなさんにも説明しました。そして、集合場所のすぐそばにあったこちらも。

水路の上にあったクモの巣

上の写真はマニュアル操作できるカメラで撮影したため、黄金色のクモの巣が写っていますが、スマホはこうした写真を撮るのがもっとも苦手とするところです。このように「スマホ頼り」にせずとも秋を感じる楽しさがあることを説明した上で、望地を歩き始めました。堤防上から見る段丘崖の景色は格別です。

見事な遠近感の望地の段丘崖

いろいろな秋の生きものを観察しましたが、その中の一つはクサギの果実です。

クサギの果実

黒紫色の果実が熟すころ、萼片(がくへん)が赤くなって果実を目立たせる「二色効果」の典型的な例を紹介しました。その他にも、今週の十五夜に向けて「真のススキの見分け方」などを解説しました。ちなみにこれもAIでは教えてくれない生きものの識別なので、また改めてこのブログで紹介します。
歩くと少し汗ばむ暑さでしたが、生きものの姿から感じられる、秋の散策を楽しみました。
(生物担当学芸員)

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民俗分野博物館実習~展示制作・解説~

こんにちは、民俗分野博物館実習生です。

9月8、9、23日の3日間の実習で企画展「関東大震災と相模原」の展示の一部を作りました。その様子をお届けします。

民俗分野の展示では、相模原の震災の体験記からいくつかエピソードを選び、そこに登場する、当時使われた道具を紹介しています。

私たちが体験記を読んだ中で、相模原での震災の記憶として印象が強く残った「まんじゅう」「養蚕」「震災直後の暮らし」の3つのテーマから展示構成を考えました。

展示構成を考えた後に、資料を選んで、仮の配置決めをしました。

配置の仮決め中

 

全体の様子

 

次に、私たちが考えた解説の文章を印刷して、パネルに貼る作業を行いました。

パネル作りは、文字の大きさや文章量など、見やすさと内容の兼ね合いが悩みどころでした。

パネル制作の様子

パネル制作の様子

完成したパネルを、協力しながら、壁に固定しました。

全て同じ高さにすることで統一感が出て、パネルの文章を読みやすい展示になったと思います。

展示完成間近の様子

展示解説の様子

民俗分野の実習最終日の23日に、私たちは来館者の方々に展示解説を行いました。
解説を聞いてくださる方の年齢に合わせて、より伝わりやすいように工夫をすることが難しかったです。

 

企画展「関東大震災と相模原」は11月30日まで開催予定ですので、私たちの展示を見に来ていただけたら嬉しいです。

是非お越しください!

 

(民俗分野実習生)

 

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生きものミニサロン 葉っぱで遊ぼう!part2を実施しました!

9月23日、毎月恒例の「生きものミニサロン」を実施しました。テーマは「葉っぱで遊ぼう!part2」です。なぜpart2かというと、先月、博物館実習生の企画・運営による「葉っぱの音と形で遊ぼう!」を実施したためです。前回は室内でしたが、今回は外に出て、こんな葉っぱ工作をしました。

ササ舟

おなじみのササ舟です。近日中に植栽管理が入り、前庭のササが刈り込まれる予定のため、その前に葉っぱを楽しもう!という企画です。加えてこの数日の大雨で、博物館の敷地内に水が溜まっています。そこに作ったササ舟を浮かべられるので、急遽、先月に引き続いて葉っぱを楽しむことにしました。小さなお子様連れのご家族が多かったのですが、お父さんやお母さんもササ舟作りは初めてという方も多く、ゆっくり、じっくりと作り方を説明しました。

全員が無事に作れて、水に浮かべられました。指で軽く押すとスーッと滑るように動くのが新鮮だったようです。

水に浮かべました!

続いて、もう少し難易度の高い、ヤブランの葉の熱帯魚に挑戦しました。

ヤブランの葉で作る熱帯魚

こちらは最初に2枚の葉を交差させる折り方が難しいので、途中までできているものを用意して、仕上げをしてもらいました。それでも、そこから折り方を1つ間違えてもうまくできないので、慎重に説明していきます。一度、みなさんに完成してもらってから、希望された方には初めの部分にもチャレンジしていただきました。そして、しっかり完成!

完成!

途中、参加者のお父さんが即席でブレスレットを作っていてビックリ!すごい応用力です。

お父さん開発の、熱帯魚を応用したブレスレット!

葉っぱ工作は、手元の細かい作業になる上に、葉脈や質感の違いなどを理解しながら進めるため、意外と難しいものです。それでも短い時間でみなさんしっかり仕上げてくれました。
次回は10月21日(土)12時からです。8月と9月はイベントの都合で第4土曜日に実施しましたが、来月と11月は第3土曜日に戻ります。ぜひご参加ください!
(生物担当学芸員)

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日本鳥学会大会に参加・発表してきました

9月15日~18日に金沢大学で行われた日本鳥学会大会に参加してきました。
今回はポスターセッションで「エナガは巣材に色付きの羽根を選ぶか?」というタイトルで発表しました。博物館周辺の樹林で営巣するエナガは、巣材に大量の羽根を使います。ある年、博物館の駐車場で巣材を拾っているエナガを見たのですが、運んでいたのがテイカカズラというつる植物の冠毛(綿毛)でした。

テイカカズラの冠毛を拾うエナガ

羽根と比べて貧弱なテイカカズラの冠毛を使っているということは、羽毛が足りないのか?とお節介心が働き、手持ちの羽根を近くに置いてみたのです。すると、たくさんあった寝具用のフェザー(白いアヒルの羽根)よりも、キジバトなど色のついた羽根を選んで持っていくように見えたため、翌年、センサーカメラを設置してどちらを持っていくか実験しました。今回、その結果を発表しました。

ポスターセッションの会場 同じくらいの数のポスターが別のフロアにも設置されています

当館学芸員による発表ポスター

実験の結果は、やはり概ね色付きの羽根を選んでいたというものでした。とてもシンプルな実験でしたが、多くの方が関心を持って下さり、ディスカッションする中で実験方法の改善点や、今後の課題などが明確になりました。こうしたディスカッションこそがポスター発表の利点なので、目的をしっかり果たすことができました。
空いた時間で、金沢市郊外の公園に行ってみました。ちょうど秋の渡り鳥のシーズンに入っていたので、エゾビタキなどの小鳥たちが林の中で採食していました。

エゾビタキ

海岸沿いに出てみると、ショウドウツバメが5、6羽で飛び交っていました。関東地方の太平洋岸では稀にしか見られない鳥ですが、日本海側では比較的普通に見られます。

海をバックに飛ぶショウドウツバメ

学術大会の参加は頭をフル回転させる場面が多くて疲労感はありますが、また次の研究課題や最新の研究動向などを吸収できるので、学芸員にとっては必要不可欠な場でもあります。
(生物担当学芸員)

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2023年度博物館実習・歴史分野~展示制作・解説~

皆さん、こんにちは!相模原市立博物館の歴史分野実習生です。
9月8日、10日、そして16日の3日間で、実習生展示の制作と解説を行いました。

今回の展示タイトルは「関東大震災と相模原」で、私たち歴史分野は「紙に残された記録」というコーナーの一部を担当し、相模原市の指定有形文化財である『相澤日記』という資料を取り上げました。

まず、分担して『相澤日記』から関東大震災に関する記述を調べました。その中で、関東大震災当日の記述を詳しく解説すること、当日から1年間の出来事を年表にすることにしました。

展示パネル制作の様子

次に、資料の概要や震災当日の記述などを展示するために、パネル化する作業を行いました。印刷した用紙をスチレンボードに貼り、それをカッティングしていきます。カッターで切る際に刃を斜めにすることで、正面から見たときに切断面を目立たなくすることを学びました。はじめはとても難しい作業でしたが、回数を重ねていくごとに慣れ、最後の方は綺麗に切ることができました。

展示資料の設置

パネルが完成したら、今度はそれを展示する作業を行います。展示ケースの中に入って作業する人と、外から指示を出す人に分かれ、展示位置を調整しました。並んでいる他のパネルと高さを合わせることや、水平器を用いて平らにすることを意識しながら壁にピン留めします。

完成した展示がこちら!

そして9月16日、会期初日に展示解説を行いました。クイズなども交えながら、話す速さや分かりやすく解説することを意識しました。
解説を聞いてくださった来館者の皆さま、ありがとうございました。

展示解説中

また、今回のミニ展示「関東大震災と相模原」では、歴史分野実習生が担当した展示の他にも、地質・民俗の実習生展示や、関東大震災に関する様々な資料を展示しています。
9月16日から11月30日まで(10月11日~20日は休室)開催していますので、是非ご来館ください!心よりお待ちしております。

そして、私たち歴史分野の実習は本日で最終日です。資料の保存や管理、活用の仕方だけでなく、出張講座や探訪、ブログ制作、実習生展示など、実習を通して様々なことを学ばせていただきました。ここで得た貴重な経験を、今後の私たちの活動に活かしていけるよう頑張っていこうと思います。
私たちのブログを読んでいただき、ありがとうございました。

(歴史分野実習生)

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セセリチョウの仲間の秘められたパワー

博物館のまわりでも、イチモンジセセリが目立つようになってきました。

イチモンジセセリ

幼虫の食草がススキなどのイネ科なので、ススキのイメージと相まって秋の印象が強いチョウです。しかし実際は、春から羽化をしていて、秋だけに見られるわけではありません。ではなぜ秋の印象が強いかと言うと、この仲間のチョウは「渡り」をするからなのです。春から夏にかけて、羽化をした成虫が北へと移動しながら分布を広げ、秋の終わりころになるとまた南下するそうです。そのため、秋は南から渡ってきた個体が多くなるため、目立つようになるというわけです。
博物館周辺では、同じ仲間のキマダラセセリも見られます。

キマダラセセリ

直線的に飛んで、ススキの葉の上などにピタッと止まる様子を見ていると、「渡り」のような長距離を飛ぶイメージが沸きません。身近なチョウですが、なんともすごいパワーを秘めているんですね。
(生物担当学芸員)

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オナモミを探して

日本のひっつきむしを象徴する存在と言えるのは、キク科のオナモミです。果実全体に、先端が鈎(かぎ)状に曲がったトゲを持ち、衣類などにしっかりとひっつきます。しかし、「オナモミ」という種名の在来植物は現在、非常に少なくなっています。神奈川県内では現在のところ安定した自生地はほとんど無く、絶滅危惧ⅠB類にランクされています。相模原市内などで現在よく見られるのは、外来種のオオオナモミです。

オオオナモミ 市内では休耕地や造成地のような少し荒れた場所に多く見られます

 

また、県内の沿岸部では、オオオナモミよりも果実がさらに大きなイガオナモミ(外来種)も見られます。

イガオナモミ 県内の海岸沿いで稀に見られます

トゲにはさらに下向きの毛があり、念入りにデザインされたひっつきむしです。
さて、在来種のオナモミが、隣県のある場所に生えていると相模原植物調査会の会員から連絡があり、9月13日に早速行ってみました。

在来種のオナモミ

周辺地域でもここにしか無いようですが、この場所には株数も多くありました。上記2種よりも果実が小さく、トゲも全体的に短いのが特徴です。

オナモミ 刺の数が少なく、短い

形も生育環境もよく似ているのに、なぜ減ったり増えたりしているのか、よくわかっていません。ちなみに、オナモミの地方名には「バカ」というものがあり、ひっつきむしを総称する場合と、明確にオナモミを指す場合があります。高度経済成長期くらいまではこのオナモミが普通に見られていたので、真の「バカ」とは、このオナモミのことを指していたと思われます。
(生物担当学芸員)

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紛らわしい植物名

植物の名前には、ススキやヒガンバナなど、なじみ深いものも多いのですが、なにしろ神奈川県内に分布する植物だけでも3000種以上あります。中には混乱してしまいそうな紛らわしい名前も多く、今回はそんな中の2種類の植物を紹介します。今、ちょうど博物館の敷地内や周辺の樹林地でたくさん咲いています。
まずこちらは、キツネノマゴです。

キツネノマゴ(狐の孫)名前の由来はよくわかっていません

そして、隣り合うように咲いていたのが、カラスノゴマです。

カラスノゴマ(烏の胡麻)鞘の中に実る黒い種子を、カラスが食べるゴマに見立てたのが由来だそうです

「孫」と「胡麻」。漢字で書けばわかりやすいのですが、生物の種名は、学術的に表記する場合はカタカナで表記するのが慣例です。
いずれにしても、同じ時期に同じような環境に咲くので「狐の胡麻」か、「烏の孫」か?混乱してしまいそうです。でも、そんな紛らわしさも、毎年この季節の頭の体操だと思って記憶をたどれば楽しいかもしれませんね。
(生物担当学芸員)

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地質分野実習 ~展示制作編~

 こんにちは。

 地質分野実習生です。今回は先日の野外調査に基づいて展示を制作した様子を書いていきたいと思います。

 展示準備の初日は展示の概要を話し合いました。展示する資料の選定や文章の作成を行い、レイアウトを考えました。

 適切な言葉や写真を選ぶのに苦戦しました。

 二日目は文章を推敲し、展示パネルを制作しました。

 実際に展示パネルを作ってみると完成が近づいているようでワクワクしてきました。

 最終日は資料を展示ケース内に配置しました。

 展示ケースの中に入って資料を配置しました。

 展示パネルを固定するために金槌(かなづち)を使って虫ピンを打ち込みました。

 みんなで遠くから見たり長さを測ったりして慎重に作業を行いました。

 こちらは展示の一部です。

 様々な工夫を施しました。

 9月16日から公開される予定なので、ぜひ足を運んでみてくださいね!

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