つちはんみょう

昨晩のことですが、ジュンク堂池袋本店でこんなステキなトークセッションが行われました。

舘野鴻さんは、言わずと知れた絵本作家で2月に当館で行われた講演会「うんこはごちそう 命をめぐる生態系のホントの話」(講師:伊沢正名さん)の後半でゲストとして登場してくださいました。福岡伸一さんは『動的平衡 生命はなぜそこに宿るのか』や『生物と無生物のあいだ』など数々のベストセラーを送り出す気鋭の生物学者です。ちなみに青山学院大学の教授なので、相模原にもゆかりのある方です。
さて、そのお二人の新刊、文庫化という節目が重なったことからこのようなイベントが実現したそうです。その舘野さんの新刊とは・・

『つちはんみょう』(偕成社)です。2月の講演会の折には見本のゲラ(の表紙)しかお目にかけられなかったので、改めてここでご紹介することにしました(といってもまた表紙の写真ですが)。その内容は、「驚愕」という二文字しかしっくりする表現が見当たらないほどキテレツな生態が舘野さんの観察によって判明し、それが絵本として存分に表現されています。福岡先生も熱く熱く、その内容の不思議さ、すばらしさを語られていました。
3年前に舘野さんの原画展「ぎふちょう」を当館で開催しましたが、いつかまた、「つちはんみょう」の原画展も企画したいと思っています。
※現在、刊行を記念した原画展が下北沢のダーウィンルームで24日まで開催中です!
(生物担当学芸員 秋山)

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鳥の羽根展に向けて4/15

5月21日(土)オープンの生物企画展「鳥の羽根 温かく、美しくまとうもの」に向けた準備状況などをこれから不定期に紹介していきます。
今日、広報用のチラシに使うために撮影した写真です。

すべて、鳥の羽根を活用した身近な製品です。
バドミントンの羽(シャトル)は、なんの鳥の羽根でしょう?
画材屋さんに売っている羽箒も、種類が特定できます。
赤い羽根は、もしかしたら私たちにとってもっとも身近な羽根かもしれません。これも、みなさんにおなじみの鳥の羽根です。
そして、フライフィッシングに使われるフライ(疑似餌)から、サーモンフライ。
そういえば、こんなものも。

愛車をきれいに保つための、毛ばたきです。
この写真はチラシには使いませんが、展示する予定です。
何の鳥の羽根かのお答えは、シャトルはガチョウの風切羽、羽箒はコガモの翼、赤い羽根と毛ばだきは、ニワトリの体羽が使われています。フライにはたくさんの種類の羽根が使われていますので、それはまた展示でご紹介します。
このほかにも羽根にまつわるいろいろなものを展示する予定です!
(生物担当学芸員 秋山)

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里山をもっと

昨日の調査ではたくさんの植物を観察しました。載せきれなかった写真をアップします。
まずは極小の花。直径2ミリほどのワスレナグサのなかまのハナイバナです。

昨日はカラスザンショウの葉痕をご紹介しましたが、じつはほかの樹木の崩芽と葉痕も見られました。こちらはニガキです。頭飾りを乗せているみたいに見えますが、目を近づけると幸せな表情が見られます。

さらにアップ!

イイギリの芽生えも同じく、葉痕と展葉のようすが見られます。

こちらはホオノキの冬芽の芽生えです。巨大な葉がまさに展葉しようとしています。

もうひとつ、カヤツリグサ科としては異色の存在であるタガネソウです。

ほかには見ない特徴を備え、妖しげで美しく咲く植物です。
(生物担当学芸員 秋山)

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里山

今日は相模原植物調査会のみなさんと津久井地域の里山へ植物調査に行きました。
まずは今日のハイライトとなった植物、ニオイタチツボスミレです。

カラスザンショウの冬芽が崩芽して、葉痕に現れたお顔もご機嫌そうです!

ナツトウダイの花の三日月もくっきり。

個人的に、いちばん好きな野みちに咲いていたオカオグルマの花。

見つけてしばらくどうしても名前が思い出せなかったつる植物の芽生えです。

答えは、シオジでした。
こちらは開花を待つホウチャクソウ。

花期を終えようとしているミミガタテンナンショウの背後で虎視眈々と主役の交替を狙っています。
春の植物調査は見所が多すぎて、歩みがどうしても遅くなります。

(生物担当学芸員 秋山)

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地質調査日誌4/13 相模原市緑区名倉

4月13日、水曜日。くもり。

約1年ぶりの相模原市緑区名倉の調査です.

木々が芽吹き,山がいい色合いになってきました.今日の相模湖は水位が高く,以前見たときには水面から顔を出しているところが水没しておりました.

相模川に流れ込む小さな谷で海底火山の噴火でできた岩石の調査行いました.

ハンマーの柄のあたりは断層破砕帯です.断層が地層と同じ方向なのでわかりにくいです.

近づいてよく見ると,同じ方向に筋がついているのが見えます.下の写真の縦方向の筋です.これは断層が動いた時の引っかき傷のようなものです.

谷をさらに上流へ溯ろうとすると,滝に行く手を阻まれました.ここの岩石は安山岩です.この安山岩も海底火山の噴火でできました.

仕方がないので,滝を大きく迂回しました.急な斜面を10mほど降って,滝の上流側にたどり着きました.滝の落ち始めを上から見たところです.

博物館を出るときには雨がぱらついており,調査途中もぱらつきましたが,ほとんど降られることなく無事調査を終えることができました.

(地質担当学芸員 河尻)

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どこかで見たような・・

博物館の前庭にいつの頃からか、こんな植物が入り込んでいます。

まったく目立ちません。よほど植物に関心のある人でなければ気付かないくらい、地味です。目を近づけても、葉っぱなのか茎なのかもよくわかりません。

でもこの時期、茎の根元をたどっていくと・・・ありました!

まだよくわかりませんよね。葉を展開することなく茎だけシュルシュルと伸びていますが、その茎をアップにすると・・

スーパーの野菜売り場のものよりも伸びてしまっているし、そのわりには貧弱すぎるのでここまでアップにしてもわからないかもしれませんが、これはアスパラガスです。
和名はオランダキジカクシ。果実が実ると赤くかわいらしいのですが、果実の写真を撮っていませんでした!時期になったら忘れずに撮りたいと思います。
(生物担当学芸員 秋山)

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抜かれない外来植物

今朝、通勤途中に撮影した写真です。

ナガミヒナゲシです。わかりにくいダメな写真ですが、路傍に咲いている、というところを撮りたかったのです。ここは小学生から中学生、高校生までたくさんの生徒さんたちが通る通学路です。こんなところでしゃがんで写真なんぞ撮っていたら、それだけで不審者です。付近に誰もいないくなるのを待ち、わずかな隙間のタイミングで撮ったらこんな写真になってしまいました。数年前に撮影したもうちょっとわかりやすい写真はこちらです。

この20年くらいの間に急激に広まった外来植物なので、ちょっと古い図鑑を見ても載っていません。しかし、小中学校の理科の教科書の中には「身近な植物」として扱っているものもあり、もしかしたら大人よりもお子さんたちには名前もおなじみになっているかもしれません。
この植物が目立つのは、もちろん花が美しく咲くことと、その色がほかにあまりない独特のものだという理由があります。そのためか、この花を「雑草」としてムキになって抜いているところ(またはその痕)をあまり見かけません。順調に(?)分布を広げている理由はそのあたりにもあるのでしょう。
一方こちらは、アメリカオニアザミ。

こちらは抜こうと迂闊に手を出すと、皮膚に穴があきます。そのためはじめは伸び放題で急激に分布を広げるのですが、ある程度その地域の人の認識が定着すると、小さいうちから目の敵にされて抜かれてしまいます。

「まあ、いいか。きれいだし。」と思われるナガミヒナゲシと、
「あんのやろう!大きくならないうちに抜いてやる!」と敵対視されるアメリカオニアザミ。
同じ外来植物でも、私たちの反応はずいぶんと分かれるものですね。
(生物担当学芸員 秋山)

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今年はタンポポ調査

今日は自然環境観察員制度の環境学習セミナーが相模原市環境情報センターで行われました。
午前中は植物部会のみなさんと、花ごよみ調査の考察会。

月1回集まって、センターのまわりの植物の開花状況を調べる調査です。私は参加していませんが、客観的な視点からどんな結果が見えてきたのか、みなさんと考えました。それにしても、何年にもわたって月1回集まって調査を続けることは、ほんとうに大変な労力です。調査されているみなさんに敬意を表します。
午後はセミナー本番。

今年の全体調査は市域全域を対象としたタンポポ調査です!20世紀に入ってすぐ、博物館で始めた市民参加調査を環境情報センターに引き継いでいただいてはや15年。これで実質的に4巡目となります。自然環境観察員制度の本丸といってよいでしょう。だからなのか、例年よりも参加者が多い!タンポポ効果でしょうか。そんな中私からは、タンポポの識別方法と調査の意義についてお話させていただきました。

今日から早速調査が始まります。在来タンポポ、外来タンポポ、そしてその雑種タンポポ。どんな結果が出るのでしょう?私も津久井地域の一部を担当することにしました。楽しみながらタンポポと向き合いたいと思います。
(生物担当学芸員 秋山)

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神奈川県植物誌調査会総会

今日は小田原の県立生命の星・地球博物館で神奈川県植物誌調査会の役員会と総会が行われました。

いよいよ刊行までの具体的なロードマップが提示されている『神奈川県植物誌2018』に向けて調査最終年となるため、午後の総会はたくさんの会員が出席しました。

執筆や調査のチェック用に作成、配布された暫定的な分布図集には、1988年版植物誌の調査が始まった1979年からの膨大な採集データが「見える化」されています。この分布図集は非公開資料ですが、各分類群の執筆者全員がそれぞれ県内各地の標本庫を回り、標本のデータチェックや分類検討をしてブラッシュアップしていきます。
気の遠くなるような作業を進めていくことになりますが、全国的にも注目と羨望の的となる神奈川県植物誌を作り上げていく自覚を持って臨みたいと思います。
(生物担当学芸員 秋山)

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濃密な春の調査

今日はお隣の樹林地で、昨日準備だけして中止にした鳥類標識調査を実施しました。お天気もよく、いろいろと成果がありました。
樹林地にあるアオゲラの古巣から、ひょっこり顔を出したアオダイショウ。ねぐらにしていたのでしょうか。珍しく近くがガヤガヤするので様子を覗いたようです。

博物館駐車場ではあまり発達しなかったミズキの樹液酵母のスライム・フラックスが、こちらはしっかり形成されていました。

あまり気持ちの良い写真ではないものばかりなので、反省してモミジイチゴの花を。

そして、春を代表するキノコのひとつ、トガリアミガサタケです。フランス料理の食材“モリーユ”として一部では大変な人気のようです。

さらに、標識した鳥のうち、ひとつ挙げるとすればやっぱり天使すぎるエナガです。

春風の中で気持ちよい野外調査となりました。
(生物担当学芸員 秋山)

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