駐車場の鳥たち

このところ、博物館の駐車場には野鳥がたくさん見られます。
特に目立つのがこの鳥、シメです。

美しい羽色です。頑丈そうな嘴が、種子食であることを物語っています。駐車場の地面に落ちているミズキなどの古い果実を食べているようです。
冬鳥のシメはいま、北帰行の途上に群れで行動しているようです。100羽以上がこの1週間ほど滞在しています。
同じように群で地上採餌しているのはシジュウカラです。

よく見ていたら、駐車スペースに張っているロープの隙間をよくつついていました。何をほじくり出しているのでしょう?

この時期に限りませんが、ムクドリも数羽から10羽くらいで行動しています。

人が近づくと周囲の木の枝に上がって小休止。

樹上といえば、コゲラもせわしなく幹をつついていました。

ほかにもキジバト、ツグミ、スズメ、ハクセキレイ、ハシブトガラスなどが駐車場を利用しています。週末で頻繁に人や車が出入りする場所ですが、その合間にたくさんの鳥たちが動き回っています。こんなところでもバードウォッチングできてしまうんですね。
(生物担当学芸員 秋山)

カテゴリー: 学芸員のひとりごと | 駐車場の鳥たち はコメントを受け付けていません

若い研究者たち

今日は麻布大学獣医学部で野生動物学研究室(塚田准教授、南准教授)の卒論・修論発表会が行われました。
とても関わりの深い研究室なので知っている学生さんも多く、毎年お邪魔して聴講させてもらっています。

発表会は大学4年間の集大成です。修論生ならさらにその後の2年も加わります。多くがフィールドワークを基本とする研究なので、流した汗の量は膨大なはずです。
それを質疑応答を含めて15分という時間の中に凝縮させるのは並大抵のことではありません。動物標本クラブのメンバーも、晴れの舞台をしっかりとこなしていました。

どの発表も地道な観察、計測、解析の積み重ねによって成り立っています。そして、すんなりうまくいった研究なんていうものはほとんどなくて、予想と異なる結果だったり、トラブルで途中、データが取れなかったり・・。でも、大学の研究の良さは、今年うまくいかなったことを後輩たちへ教訓とともに引き継げることです。

先輩から後輩へ。たくさん失敗して、たくさんディスカッションして、フィールド研究の伝統をつないでいって欲しいです。
卒論生、修論生のみなさん、お疲れ様でした!
(生物担当学芸員 秋山)

カテゴリー: 学芸員のひとりごと | 若い研究者たち はコメントを受け付けていません

地質調査日誌3/11 相模原市緑区大島神沢

3月11日、金曜日。雨。

今日は午後から少しだけ,相模原市緑区大島神沢へ野外調査に出かけました.
相模川沿いの段丘崖に約300万年前の地層がみられます.
この地層は中津層群と呼ばれています.今日は中津層群の礫岩の採集を行いました.

この場所の礫岩は下にある砂岩の層を削って堆積しています.

近づくとこんな感じです.写っているのはほとんどは礫岩ですが,ハンマーの置いてあるところは砂岩です.

さらに近づくと,貝の化石も含まれていることがわかります.白く見えているのが貝の化石です.写真中央やや左に巻貝の化石が見られます.

午後からは雨が止むのを期待していたのですが,けっきょく止まず。冷たい雨で,かなり冷え込んできたので,1時間半程度の調査で切り上げました.

(地質担当学芸員 河尻)

カテゴリー: 学芸員のひとりごと | 地質調査日誌3/11 相模原市緑区大島神沢 はコメントを受け付けていません

エナガの巣材あつめ その2

先日、エナガの巣材集めの話題をアップしました。今日は巣材ラインナップの一つが判明したので続報です。
いつものように、エナガがチョーかわいらしい姿を見せてくれていました。

しばらく見ていると、巣材をくわえてきました。妙に白く光っていて、ふわふわ。

こんなところにニワトリの綿羽みたいなものが都合良く落ちているものかなあと思ったので、飛んでいった先を追ってみました。すると、地面近くの枝に止まりました。

お!先ほどと同じものを拾い出しました。

そうか!これは鳥の羽毛ではありません。ここに生えているのはつる性木本のテイカカズラの群落です。エナガが去った後近づいて見ると・・・

ありました。テイカカズラの果実についている冠毛でした。

よく見つけたものです。せっせとこうしたふわふわ素材を運んで、産座ともなる巣の内装を作っているのでしょう。
働き者のエナガを、またちょっといとおしく感じてしまいました。
(生物担当学芸員 秋山)

カテゴリー: 学芸員のひとりごと | エナガの巣材あつめ その2 はコメントを受け付けていません

まちだ・さがみはら絆・創・光、次は3月11日!

さがぼーくん、初めまして!ようこそ博物館へ!
さがぼー

みなさんは、「さがぼー」ご存知ですか?
詳しい説明はこちら
なぜさがぼーくんが博物館に来たのかというと、それは3月4日に実施された「まちだ・さがみはら絆・創・光×JAXA」相模原会場という事業のお手伝いのため(この写真には写っていませんが、お子さまにも大人にも大人気でした。相模原市民桜まつりにも登場するとのこと。ぜひ桜まつりでさがぼーくんを探してくださいね!)。

この事業は平成25年から町田市と連携して実施している事業「町田市・相模原市ライトダウン~まちだ・さがみはら 絆(ばん)・創(そう)・光(こう)~」の関連イベントのとして実施されたものです。
当日はあいにくの曇天で、星空観望会は残念ながら実施できませんでしたが、JAXA宇宙科学研究所の広報担当である大川拓也さんの講演『となりの星を見て、地球のことを知ろう』~「あかつき」など太陽系探査のおはなし~と、当館プラネタリウム解説員による学習会「今の季節に見られる天体と光害について」をプラネタリウム内でみなさんに聞いていただきました。
どちらのお話も、小さいお子さんたちから大人の方まで、みなさんに興味深く聞いていただけたようです。

さて、3月11日(金曜日)午後7時から午後8時の間に、町田市・相模原市全域でライトダウンを実施します。生活や事業活動に支障のない範囲で屋外照明などの消灯にご協力ください。

そのライトダウンの日、3月11日には、町田会場で下記事業が実施されます。当館学芸員も講師として参加の予定です。ぜひご参加ください。

<町田市会場>
「星空を見上げて、地球のことを考えよう」
日時:3月11日(金曜日)午後6時から午後8時まで
(講演会)午後6時から7時まで
(観望会)午後7時から8時まで
場所:まちだターミナルプラザ(町田市原町田3-1-4)
※観望会はまちだターミナルパーキング屋上
講師:JAXA宇宙科学研究所 大川拓也 氏
    相模原市立博物館 岸篤宏 学芸員
費用:無料(全席自由)
対象:町田市、相模原市に在住か在勤・在学の方(中学生以下は保護者同伴)
定員:なし(自由参加)

(企画情報班 佐々木)

カテゴリー: おしらせ, 今日の博物館 | まちだ・さがみはら絆・創・光、次は3月11日! はコメントを受け付けていません

雨でしたが、部分日食観望会を開催しました

今日3月9日は日本全国で部分日食が見られるはずでしたが、ここ相模原市では残念ながら朝からあいにくの曇り空、日食が始まる午前10時ごろまでには雨も降りだしました。そんな中ですが、4人方が観望会に足を運んでくださいました。ご参加ありがとうございました。

観望会では、悪天候のため日食を眺めることが出来ないので、博物館の地下1階の大会議室にて日食の仕組みや太陽の科学について担当学芸員が解説しました。
部分日食観望会の様子1
解説後には、参加者の皆さんに3階の天体観測室の見学をしてもらいました。天体観測室の解説は、ゲストとして元・博物館職員で天文分野の学芸員を長年務められた杉本さんに担当していただきました。
部分日食観望会の様子2

天体観測室見学後もイベント終了まで、インターネット中継をスクリーンに映して、北海道の札幌など晴れている地域の日食の模様を眺めました。

イベントはほぼ予定通り12時ごろに終了しました。受付や誘導には博物館ボランティアの市民学芸員さんにご協力いただきました。いつもありがとうございます。
部分日食観望会の様子3

ところで、日食が見えず天気が悪かった今日の博物館ですが、じつはなかなかにぎやかでした。平日も展示やプラネタリウムを見学する小学生の団体などの利用が多いのです。ちょうど日食の時間は、エントランスの大型モニターでもインターネット中継を映していましたので、展示見学中の多くの小学生が興味を持って見てくれていたようです。

自然や様々な物事に興味を持っていただくきっかけとして、博物館がお役にててるといいなあと思い取り組んでいます。(天文担当学芸員 岸)

カテゴリー: 今日の博物館 | 雨でしたが、部分日食観望会を開催しました はコメントを受け付けていません

雨のご褒美 その2

雨の中、半日だけの野外調査でしたが、雨ならではの出会いがありました。

草陰で大きな体を隠したつもりになっている、アズマヒキガエルです。
段丘崖に近い道路沿いに出てきていました。こちらはなんと、抱接しています。

まわりには複数の抱接個体がいたのですが、雨の中とはいえ、さすがに昼間こんなところをたくさんのアズマヒキガエルがうろつくのはちょっと変です。

うろついているあたりをよく見回してみると、どうやらその中心はつい最近造成した感じの地域の施設がありました。おそらく、この付近に池があったのでしょう。いまある近くの水辺と言うと、住宅の脇を流れるU字溝の水路です。これでは落ちても上がれません。おまけに結構自動車の往来のある場所なので、危険です。しかたないので、近くの谷戸の水場へ運びました。
あまり人為的に移動するのはよくありませんが、人為的な原因で繁殖が阻害されているのを見過ごすのもよくないと判断しました。直線距離にして数百メートルの場所なので、じゅうぶんアズマヒキガエルの移動距離内です。その場所にはすでに・・

数日前に産んだと思われるアズマヒキガエルの卵紐(らんちゅう)がありました。
雨のご褒美かどうかわかりませんが、昼間、アズマヒキガエルの抱接個体と出会えてちょっと嬉しい日となりました。
(生物担当学芸員 秋山)

カテゴリー: 学芸員のひとりごと | 雨のご褒美 その2 はコメントを受け付けていません

雨のご褒美 その1

今日は朝から降り出した雨にも負けず、相模原植物調査会のみなさんと市内南区の勝坂へ調査に行きました。

雨なのに、なんだか楽しそう。というのも、さすがにこれだけの本降りだと採集調査というわけにいきません。生育状況の確認に切り替えて観察中心の調査に切り替えました。気楽に植物観察の雰囲気というわけです。実際、雨にしっとり濡れて色が際立つ花がちらほら。

ホトケノザです。
そして、オオアラセイトウ(ショカッサイ)も咲き始めていました。

野みちの脇のコウヤボウキの新芽は、微細な毛に雨粒を乗せてとても瑞々しく見えます。

段丘崖の奥へ進むと、カシの木の大木の洞からヤツデが生えていました。

段丘崖沿いのちょっと複雑な地形を進み、これが南区?と言いたくなるくらい、深山へ迷い込んだかのような風景に出会います。

ところが、突き当たった先には無粋な看板が。

不条理にも占拠された軍用地のある街であることを、否応無しに自覚させられます。
かなり興ざめでしたが、雨には雨なりの自然の姿があり、春雨の中歩いたご褒美を堪能できました。
もうひとつご褒美があったのですが、それは次の記事に。
(生物担当学芸員 秋山)

カテゴリー: 学芸員のひとりごと | 雨のご褒美 その1 はコメントを受け付けていません

中央地区「宇宙教室」閉講式!~「宇宙教室」は来年も?

今年度、相模原市中央区の中央地区では、自治会連合会や青少年健全育成協議会などで構成された「宇宙教室実行委員会」が、相模原市からの地域活性化事業交付金を活用した「子どもと大人共に学ぶ宇宙教室(全5回)」を開催しました。全5回のうち、1回目と2回目は、博物館との共催の公開講座として、博物館を会場に実施することとなりました。

1回目の様子はこんな感じ→https://www.sagami-portal.com/city/scmblog/archives/10817
2回目はこちら→http://sagamiharacitymuseum.jp/blog/event/plane_utyunosugata/

好評のうちに全5回の講座を終え、3月6日(日)には博物館で閉講式が開催されました。
宇宙教室1

この事業、JAXA宇宙科学研究所の広報担当である大川拓也さんに全5回を通じ講師をお願いしていました。当然この閉講式にも参加をお願いしたかったのですが、残念ながらビデオレターでの参加となりました。
宇宙教室2
というのも、大川さんは3月9日の日食観察のため、すでに機上の人となっていたからです。
(3月9日に日本にいるみなさん!
ぜひ、さがみはら宇宙の日・部分日食観望会「欠けた太陽を見よう」にご参加くださいね!)

閉講式では修了書や記念の缶バッチが手渡され、最後にみんなで全天周映画『スターオーシャン』を鑑賞。
宇宙教室3
「天の川銀河」から始まり、美しく、迫力のある映像が満載の全天周映画『スターオーシャン』を、今までの宇宙教室で学んだことと重ね合わせながら楽しく鑑賞していただけたようです。

来年度も開催の予定があるというこの「宇宙教室」。中央地区の方を対象にした事業ですので、中央区の中央地区に在住・在学・在勤の方が対象になりますが、今年度同様、博物館と共催で、居住制限なく参加していただけるような回も検討中です。どうぞお楽しみに。

そうそう、この日みんなで見た全天周映画『スターオーシャン』、この作品は今年度ロングランで上映してきましたが、とうとう3月18日が最終日です。
まだご覧になっていない方はお見逃しなく!
(企画情報班 佐々木)

カテゴリー: 今日の博物館 | 中央地区「宇宙教室」閉講式!~「宇宙教室」は来年も? はコメントを受け付けていません

高人口密度

今日の実習実験室は人口密度が高い!

相模原植物調査会、縄文研究会、動物標本クラブが同居して熱心に作業。
それぞれまったく異なる分野と作業ですが、動物標本クラブは特に臭うのでちょっと後ろめたく作業しつつ・・
今日の成果の中でこれはちょっと写真でお見せできるもので、初夏の企画展で使う羽根標本のトラツグミの風切羽です。

そういえば、先日このブログでエナガの巣材集めについてアップしましたが、巣も見つかりました。

同じつがいの巣かどうかわかりませんが、かなり完成に近く、あとは内装だけというところです。どこからこんなにたくさんの巣材を集めるのでしょうか。
春が加速度を増して進んでいて、かなり焦ります。
(生物担当学芸員 秋山)

カテゴリー: 学芸員のひとりごと | 高人口密度 はコメントを受け付けていません