カザグルマに希望が見えた

今日は絶滅危惧植物カザグルマの保全について考える公開報告会「カザグルマを守る~関東圏のカザグルマはいま・・」を博物館で開催しました。

共催の公益財団法人相模原市まち・みどり公社と相模原のカザグルマを守る会のみなさんが午前中からフル稼働で準備にあたりました。
守る会会長によるカザグルマの鉢もご披露!今回は温室のコントロールができないアクシデントに見舞われ、残念ながらしっかり咲いた株はありませんでしたがあとちょっとで咲きそうな花が。

会場は県内はもとより千葉などからもたくさんの方にご参加いただきました。

カザグルマ研究で著名なお二方の研究者と、相模原、横浜、船橋の各地域の保全グループのみなさん、そして県立中央農高草花部の発表と、びっしり密度の濃い内容です。
最後に「カザグルマ保全のタクティクス」と題した意見交換を行いました。それぞれの地域の強みなどをまさしく「戦術的に」確認したり、喫緊の課題について相談したり。

こうして若い人も含めてカザグルマへの関心が広がり、地域を動かしていかれればカザグルマに希望が見えてくるのではないかと思える報告会でした。
(生物担当学芸員 秋山)

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職業体験(相模原中等教育校)

1月27日から今日、29日まで県立相模原中等教育学校の2年生4名が職業体験に来ていました。学校利用の対応や、エントランスの展示物の撤去作業など力仕事も体験。

生物資料の取り扱いでは、恒例の植物標本のマウント作業を植物調査会のボランティアさんの指導で体験。

さらに今回特別にラッキーな機会に恵まれたのは、収蔵資料の貸し出しの現場に立ち会えたことです。美術品専門運搬業者のみなさんの理路整然とした仕事ぶりを間近で見られる機会はそうありません。

3日間の体験の締めくくりは、展示解説です。

しっかり調査をして、緊張しながらも資料の説明をしてくれています。
たくさんのボランティアさんたちが博物館で活動していることや、力仕事、専門的な作業など博物館のいろいろな現場を体験できたことと思います。
(生物担当学芸員 秋山)

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関東圏のカザグルマは、いま

相模原にゆかりのある園芸植物クレマチスには、いくつかの原種が知られています。その中でも大輪の形質のもとになっていると言われるのが、日本在来種のカザグルマ(学名Clematis patens C.Morren et Decne.)です。そのカザグルマの数少ない自生地が相模原市内にあることは、意外と知られていません。写真は、緑区の自生地で咲いた見事な剣弁(花弁状の萼の先が鋭く尖って咲くタイプ)の花です。

神奈川県内では横浜の1カ所と、相模原の数カ所でしか自生地がありません。カザグルマは個体変異や地域変異の幅が大きく、花弁の形状や色がさまざまです。そのため、地域ごとの遺伝系統を守ることが非常に重要になってきます。
そこでこの週末、博物館で関東圏のカザグルマ自生地を守る地域の団体が一堂に会して公開報告会を行います。題して公開報告会「カザグルマを守る~関東圏のカザグルマはいま・・」です。じつは2年前にも同様の趣旨によるミニシンポジウムを行いました。

写真は2年前のようすです。今回はその後の自生地のようすやカザグルマ研究の最前線を、研究者、保全活動団体、そして人口増殖の研究に取り組む県立中央農業高校草花部から報告していただきます。
野生の花とは思えないほどの大輪の華やかさがあり、園芸種とは違った野性味に裏付けられた清らかさを湛えた名花、それがカザグルマです。里山の限られた環境に生育する性質のために、開発や盗掘の圧力にさらされ減少していったこの花を野生に咲かせ続けるにはどうしたらよいか。市民と研究者が知恵と労力を出し合っていく場として、報告会を盛り上げたいと思います。どなたでもご参加いただけます。お天気も今ひとつの予報ですので、ぜひ博物館へお越し下さい。

【公開報告会】カザグルマを守る~関東圏のカザグルマはいま・・
1月30日(土)午後1時半~4時半
博物館大会議室 定員200名(当日先着順)
参加費無料

(生物担当学芸員 秋山)

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大阪の底力と展開力を見る

今日は昨日の兵庫ひとはく(人と自然の博物館)に続き、大阪市立自然誌博物館を訪ねました。

ここは市民のパワーと研究者のインテリジェンス、そしてNPOの組織力がガッチリと組み合わさってたくさんの刺激的な活動を展開し続けている博物館です。
見所はあまりにもたくさんあるのですが、特に今回は小さなテーマ展示ながら一番見たかったのがミニ展示「しぜんしワークショップ展」。

博物館に拠点を置いて教育普及活動を展開するNPO法人大阪自然史センターによるワークショップの数々を紹介したもので、博物館の自然史系教育活動のお手本がずらりと並んでいるようなものです。
担当されているスタッフの方からもお話を伺い、いろいろなアイデア、コンセプトをいただきました。
もちろん、学芸員としてはバックヤードの視察も欠かせないので、しっかり見せていただきました。
半世紀以上に及ぶ歴史を持つ標本庫はやはり重層的で、コレクションにすごみのようなものがあります。30万点以上と言われる押し葉標本だけでなく、地衣類や蘚苔類など非維管束植物や植物以外の乾燥標本はもちろん、樹幹標本なども充実しています。

活動の歴史や地盤、スタッフの数など比べて羨ましがっていてもはじまりません。今ある施設と体制で自分たちが何をすべきか、これからどのように活動していくか、いろいろと考えさせられる視察となりました。
(生物担当学芸員 秋山)

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兵庫で研修

今日は兵庫県立人と自然の博物館(ひとはく)で「自然史標本情報の発信に関する研究会 フリーソフト「R」を使った自然史情報の統計処理入門」というタイトルの研修会があり参加しました。

いかめしいタイトルですが、膨大な自然史標本データを扱ううえで膨大な無料パッケージプログラムが公開されている統計処理ソフトのRの活用は大きな可能性を広げてくれます。
統計学のエキスパートによる研修は、大学の統計学の半期分の講義に相当するような高度なものでした。正直、後半は用語を理解するだけで精一杯でしたが、生物学に必要な統計の世界を概観できる得がたい機会となりました。
研修の後は、ひとはくの収蔵システムと収蔵庫の見学です。

それぞれの現場でさまざまな苦労を背負っている人たちなので、まなざしも真剣です。
そして、学芸員にとって他館の収蔵庫はまさしくお宝のデパートです。

いくらでも時間をつぶせますが、そうもいかないので自制心を働かせて終了。
このあとも、普段なかなか交流する機会の無い同業者のみなさんと親交を深めました。
明日からの仕事の財産を蓄えることができました。
(生物担当学芸員 秋山)

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砂を顕微鏡で見てみよう

今日は実習実験室で「砂を顕微鏡で見てみよう」を開催しました.
ボランティアとして相模原地質研究会と相模原青陵高校地球惑星科学部の皆さんにご協力いただきました.

日本各地の砂やサハラ砂漠の砂,南極の砂など,32か所の砂を顕微鏡で観察しました.

中には32種類の砂を全部メモを取って観察している子もいました.もう立派な科学者ですね.

鳴り砂の体験もできました.

お子さんだけでなく,大人の方にも楽しんでいきました.

お土産に実物入りの砂カードを作りました.

今日は約220人の方に来ていただきました.全種類,観察された方が多かったです.
たくさんの方に楽しんでいただけたようです.

お手伝いいただいた相模原地質研究会と相模原青陵高校地球惑星科学部の皆さん,どうもありがとうございました.

(地質担当学芸員 河尻)

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繭うさぎづくり

今日の博物館はいろいろなイベントで大賑わいでしたが、その一つ、繭うさぎづくりが地階の大会議室で行われました。

市民学芸員のみなさんによる手ほどきでたくさんの方がチャレンジしてくれました。
自慢の作品と記念写真!

中身も欲しい!とからからに乾いた蛹もお持ち帰り!

カイコの一生の写真パネルも展示しました。

今日使用した繭は、すべて昨年の初夏に博物館で育てたものです。こうしてみなさんがよろこんで工作してくれると、一所懸命育てたかいがあります。今年もまた、来年の繭うさぎづくりのためにたくさんカイコを育てたいと思います!
(生物担当学芸員 秋山)

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「火山灰コレクション」「大地のつくりと変化」展示解説

今日は,開館20周年記念展と学習資料展の地質分野の展示解説を行いました.

最初に,開館20周年記念展で展示されている「火山灰コレクション」の解説から始めました.
火山灰ごとに特徴が異なることを見ていただき,各地の地層に含まれている火山灰は,いつ頃どれくらいの規模の噴火があったかを知る手がかりになることを説明しました.

次に学習資料展の解説を行いました.
地質分野は小学校6年生で学習する「大地のつくりと変化」の単元を中心とした資料が展示してあります.
今日は小学生向けに,学習資料展を詳しく解説しました.

参加されたお子さんはまだ小学6年生にはなっていませんでしたが,最後まで熱心に聞いていただきました.
6年生になった時に,今日見た展示のことを思い出してもらえると,うれしいですね.

(地質担当学芸員 河尻)

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飛ばしてみた!ミニサロン

昨日の予告どおり、今日の生きもの大好きミニサロンは風に乗って飛ぶ植物のタネを観察しました。

ニワウルシの果実(上の写真)は、高速でくるくると回転しながら落ちていきます。
トウカエデの果実は、種子を軸にヘリコプターのローターのように回りながら落下します。そのしくみを紙やクリップ、ホチキスなどを使って作ってみました。

高いところから落としてみようと、肩車で実験!

さらに、締めくくりの実験はおなじみのタンポポのタネ。形はだいぶ違いますが、浮力を使って風に乗るしくみは同じということで、こんな落下傘を作りました。

素材はティッシュペーパー1組。のりもホチキスも、ハサミも使いません。当館オリジナルの落下傘モデルです。

こうして体験してみると、紙の折り方やちょっとしたズレでうまく回転しなかったりして、自然のカタチがいかに工夫されているかがわかります。
そして、そもそもなぜこんな風にタネを飛ばさなくてはいけないの?というおはなしをしながら、ミニサロンを締めくくりました。
次回は2月27日(土)12時からです!
(生物担当学芸員 秋山)

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明日のミニサロンは・・飛ばします!

明日は毎月第四土曜日恒例の生きもの大好きミニサロンの日です。
でも、予報では雪かも! ということで、室内で実施します。こんな植物の・・

モデルをつくってみます。これは、ウリカエデの雌花です。
手元にウリカエデの果実の標本が無かったので、お隣の樹林地からトウカエデの果実を拾ってきました。

果実についた翼は、まさしく落下に際して風に乗り、果実を遠くへ運ぶしくみです。
この果実のモデルを、紙とゼムクリップで作ってみたいと思います。
ほかにも、ニワウルシの果実です。

これをモデル化したのがこちらです。

ただ紙をホチキスで止めただけのように見えます。
はたしてこんなものが飛ぶのでしょうか?結果は明日のミニサロンにご期待ください!
12時から12時30分まで、どなたでもご参加いただけます!
(生物担当学芸員 秋山)

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