「あかつき」応援!そして先月の「暁の明星」と月と・・・

明日12月7日は金星探査機「あかつき」の挑戦の日。金星周回軌道への再投入が行われます。

「あかつき」が目指している金星を地球から見ていると、内側を公転している内惑星なので真夜中の空に見えることはありません。とても明るく輝いて見える金星は、夕方の西の空に見える期間は「宵の明星」と呼ばれ。明け方の東の空に見えている期間は「明けの明星」と呼ばれます。

今年の秋から冬にかけては、ずっと明けの明星として輝いている金星ですが、探査機「あかつき」を応援していると、次第に朝焼けに染まっていく暁の空にまばゆく輝く金星を「暁の明星」と呼びたくなってしまいます。

そんな金星ですが、さらに明日の暁の空では、金星の近く少し高い空には細い月がかかり、さらに高い南よりの空には木星が輝いています。印象的な光景になると思いますので、ぜひ早起きして暁の空を眺めてみてはいかがでしょうか。

明日早朝に開催の博物館での金星観望会に参加される方は、観望会が始まる頃にはかなり空が明るくなっていて、月以外は肉眼ではほとんど見えないかもしれません。いらっしゃる途中で暁の空を眺めるようなときは、安全な場所で交通ルールなどを守って見て下さいね。

明日の様な、金星や月など天体の集合はちょうど1か月前にも起こっていました。11月7日の暁の空に集合した天体たちの写真をご紹介します。この写真は、博物館職員とボランティアグループ「相模原市立博物館天文クラブSMAC」の共同観測会で撮影されたものです。

11月7日(1か月前)の金星・月・木星・火星の集合-(1)

これらの写真は、天文現象の記録資料として博物館で保存していくために観測・撮影したものですが、《観望会・金星探査機「あかつき」挑戦の日に金星を見よう》のPR画像としても活用もしています。多くの皆さんに「あかつき」を応援してもらえるように、そんな目的もあっての、1か月前の観測会を実施したのでした。

共同観測会の観測写真をまとめて3点ご紹介します。

11月7日(1か月前)の金星・月・木星・火星の集合-(2)

11月7日(1か月前)の金星・月・木星・火星の集合-(3)

11月7日(1か月前)の金星・月・木星・火星の集合-(4)

みなさん、ぜひ明日、金星と細い月などの天体たちが輝く暁の空を見上げ、「あかつき」を応援しましょう。(天文担当学芸員 岸)

カテゴリー: 未分類 | 「あかつき」応援!そして先月の「暁の明星」と月と・・・ はコメントを受け付けていません

紅葉の色比べ 去年と今年

先日、このブログで今年の紅葉はイマイチ・・というようなことを書きました。展示の案内などする際にも、何度かそんな解説をしました。でも、ちゃんと根拠となる画像を示しておかないとイメージ操作をしているように見えるので、去年と比較してみたいと思います。
こちらは、博物館お隣の樹林地の、南側道路脇に生えているトウカエデの去年(H26.11.28)の写真です。

そして、こちらが今年、今現在のようすです(H26.12.5)。

撮影条件は、去年は朝8時頃、本来なら逆光ですが、曇りがちの日でした。今年は撮影日が1週間ほど遅れていますが、紅葉も遅れているので色が落ちてから撮影したわけではありませんし、これから赤くなるかというと、枝の上の方はすでに落葉が始まっているのでそれも期待できません。晴天で午前中はモロに逆光だったので、午後の順光になってから色の出やすい光条件で撮影しました。色合いの差がわかるでしょうか。
この写真を含めて、紅葉のしくみと年による色合いの差などについて、博物館のホームページコンテンツ「生きものの窓」に近々掲載する予定です。詳しいことは来週あたりにアップしますので、そちらをぜひご覧下さい。

そうそう、トウカエデというのは植栽木で、公園などによく植えられている木です。毎年、安定してきれいに紅葉する木のひとつです。特徴的な三裂の葉は、見分けやすいカエデのなかまです。

トウカエデは比較的遅めに紅葉する木なので、ここ数日の冷え込みと晴天で少しずつ色も出てきました。林内の、まだ紅葉していなかった株は日当たりの良い枝から赤くなっています。

なかなかのグラデーションです。
今からでも遅くないので、紅葉木にはもうひとがんばりしていただきましょう!
(生物担当学芸員 秋山)

カテゴリー: 学芸員のひとりごと | 紅葉の色比べ 去年と今年 はコメントを受け付けていません

おやすみのところ失礼します!

当館は建物のまわりにとても樹木が多いので、いくつかの木にはいわゆる「樹木プレート」が付けられています。

設置して15年くらい経ち、幹にすっかりなじんでいるものも多いようです。その証拠に、冬に入ってからプレートをそっとめくってみると・・

キライな方には申し訳ない画像なのですが、なにかしらの生きものが越冬しています。こちらは、クヌギのプレートウラに固まっていたヨコヅナサシガメです。

近年急速に分布拡大中の外来昆虫で、博物館のクヌギの巨木では毎年このような光景が見られるので、ミニ観察会の定番となっています。
いくつかプレートのウラを見て回っていると、へばりついているのは蛾などの繭やクモ類が多いのですが、こんなのもいました。

爬虫類のヤモリです。ちょっと嬉しいですね。まだ気温が下がりきっていないためか、写真を撮っているうちにスルスルっと逃げていきました。
おやすみのところ、大変失礼しました!
(生物担当学芸員 秋山)

カテゴリー: 学芸員のひとりごと | おやすみのところ失礼します! はコメントを受け付けていません

職業体験 串川中

昨日、今日と市内緑区の串川中学2年生の4名が職業体験に来ました。2日目のここまでは、小学校のプラネタリウム学習投影の対応などを中心に職務にあたりましたが、最終タームの今日午後は、植物標本のマウント作業です。

職業体験の実物資料取り扱いではおなじみの光景になりましたが、相模原植物調査会のボランティアさんたちによる手ほどきで進めます。ちょうど巡回に来られた先生も興味津々で見ています。
2時間ほどの短い時間でしたが、生徒さんたちがとても楽しそうに集中して作業していたのが印象に残りました。

調査会のみなさんも、ふだんよく野外調査に行く地域の中学校なので、作業しながらのおしゃべりにも花が咲きました。
博物館周辺では非常に珍しい山野草が近所に生えていることを知っている生徒さんもいて、相模原市の広さを改めて感じました。
(生物担当学芸員 秋山)

カテゴリー: 今日の博物館 | 職業体験 串川中 はコメントを受け付けていません

「はやぶさ2」を相模原市から観測するとしたら

まもなく地球に最接近し、地球スイングバイを行う「はやぶさ2」。当博物館の前天文担当学芸員をされたいた山田陽志郎さんが、最新データの「はやぶさ2」の位置を星図にプロットして送って下さったので、ここでご紹介したいと思います。

日本から観測チャンスの頃の「はやぶさ2」は、見かけの明るさが10等~11等級で(もう少し暗いという予報もあるようです)、肉眼ではもちろん見つけられない明るさです。星座の星々に対する動きが大きい(速い)ことから、望遠鏡で観測するのも簡単ではないようです。

ところで、はやぶさ2プロジェクトの「トピックス「はやぶさ2」の地球スイングバイ軌道が確定しました」http://www.hayabusa2.jaxa.jp/topics/20151202/ よると、「『はやぶさ2』が地球に最も接近するのは、ハワイ諸島の近くの太平洋上空で、その時の高度は約3090kmとなります。時刻は、2015年12月3日19時8分7秒ごろ(日本標準時)です。」とのことです。

「はやぶさ2」は、最接近より少し前の18時59分ごろに地球の影に入ってしまって観測できなくなるので、その少し前が当博物館からも観測のチャンスになります。

たとえ肉眼などで見えないとしても「あの星の近く(もちろん見かけ上ですよ。距離はまったく違います)を、いま『はやぶさ2』が移動している」と思いながら、夜空を眺めて応援してはいかがでしょうか?

「はやぶさ2」を相模原市立博物館から観測すると

上の星図は、観測地点として神奈川県相模原市中央区の相模原市立博物館を設定していますが、相模原市内各所や周辺市町村でも、正確な観測目的でなければ、星空の同じ位置にあると考えて問題ないようです。(たとえば、東京都庁を観測地点に設定た場合でもこのくらいのスケールの星図では、一見しただけでは違いが分からない程度でした。)

この星図には、「はやぶさ2」の位置が、18時45分から18時59分まで1分間隔でプロットされています。

「はやぶさ2」は、18時46分ごろ北極星のすぐ近くを通過します。このときの方位は、真北で地平線からの高さは角度で約36度です。

そのあと目立つ星の近くを通過するのが、18時58分ごろで、黄色い色の1等星・ぎゃしゃ座のカペラの近くを通っていきます。このときの方位はほぼ北東で、その時刻のカペラの地平高度は約32度です。

角度で地平高度を大雑把に図る場合は、地平線から天頂までが90度(直角)で、その半分が45度、3等分すると30度と60度、という様に空を眺めてみてください。(天文担当学芸員 岸)

 

 

カテゴリー: 未分類 | 「はやぶさ2」を相模原市から観測するとしたら はコメントを受け付けていません

イロハモミジ

今年の紅葉はパッとしないと、あちこちで言われています。博物館駐車場のイロハモミジも、しっかり色づかないまま枝に残るか、早めに落葉しているものが多いようです。

紅葉は、光合成と密接な関係にある現象です。気温が下がって光合成の効率が悪くなると、緑色に見えている光合成を行う色素が分解され、新芽や根に養分として送り込まれます。さらに光合成によって生成された糖分の残りが赤色の色素に変化することで紅葉の色が発色します。朝晩冷え込んで、しかも日中はお天気が良いとなぜかこうした色素の変化も劇的に起こるようで、発色が良くなると言われています。今年の秋は冷え込みが緩く日照時間が短かったようなので、紅葉の色が今ひとつなのかもしれません。
でも、そんな年も地面の上を見ればしっかり紅葉した葉を見ることができます。

イロハモミジの語源は、葉の切れ込みが7つであることが多く「いろはにほへと」と数えられることからついたと言われています(もちろん例外も多く、6枚だったり8枚だったりもします)。

別名のタカオカエデは東京の高尾山ではなく、紅葉の名所である京都の高雄に由来するそうです。
関東の山間にも普通に見られますが、山頂付近や尾根沿いの登山道で見られるのは植栽木です。本来は沢沿いのやや湿った場所に自生する木です。
(生物担当学芸員 秋山)

カテゴリー: 学芸員のひとりごと | イロハモミジ はコメントを受け付けていません

「はやぶさ2」が明日、地球スイングバイ

(※12月3日に、スイングバイ時の「はやぶさ2」の日本での見え方、に関する表現を加筆修正し、訂正させていただきました。申し訳ございません。)

ただいま2015年12月2日の夕方。

小惑星探査機「はやぶさ2」が、旅立ちからちょうど1年後の明日(12月3日)の夕方、地球のすぐ近くまでやってきます。なんと現時点ですでに、距離でみると月のあたりまで近づいてきています(方向は、月の軌道面とは違います。念のため)。

『はやぶさ2 スイングバイ』  イラスト:池下章裕

あと約24時間後には「地球スイングバイ」を行い、加速しながら大きく進路を変更する「はやぶさ2」。そしていよいよ、探査を行う小惑星リュウグウ(1999JU3)に向かうのです。

「はやぶさ2」が地球に最も接近するのは、明日の19時7分ごろ(日本標準時)です。そのとき、「はや2」は太平洋上空の高度約3,090kmを、地球に対して秒速約10.3kmで駆け抜けていきます。

地上約3,100kmというと、気象観測をしている「ひまわり」などが回っている静止軌道(赤道上空約3万5,800km)に比べると、その10分の1よりもさらに近いところです。

相模原市立博物館では、道路を挟んで隣り合うJAXA相模原キャンパスで生まれた「はやぶさ2」をずっと応援してきました。12月18日までは、「はやぶさ2」応援企画として全天周映画『HAYABUSA2』も上映中です。

「はやぶさ2」打ち上げパブリックビューイングから、もうすぐ1年!あのときは約800人(延べ人数)のみなさんと打ち上げを見守りました。

明日の地球スイングバイで、「はやぶさ2」が地球に最接近する時刻は19時8分7秒ごろですが、日本で見上げた夜空を横切っていくのが見られるのは(かなり大きな望遠鏡で無いと見られない明るさ)、日本上空を通過していくのはその少し前の18時半~19時少し前のころです。(※12月3日13時40分に再々加筆修正)

明日の夕方、日が暮れて星が輝きだした空を見上げて、地球スイングバイに臨む「はやぶさ2」をみんなで応援しましょう!

(天文担当学芸員 岸)

カテゴリー: 未分類 | 「はやぶさ2」が明日、地球スイングバイ はコメントを受け付けていません

いろいろな秋の色

今日は振替休日をいただきました。お天気が良かったので、市外の緑地にちょっと気になっている野鳥がいないかと探しに行きました。
林床にはヤブツバキがボタボタと花を落としていました。

結局その野鳥は見当たらず。あまりのお天気の良さに、見上げて撮ったエナガはバッチリ逆光でした。

青空、まだ緑の葉、黄葉した葉と、立体感を見せてくれたコナラ。

重たい望遠レンズが物足りなさそうだったので、帰りに相模原沈殿池に寄りました。ここなら間違いなく何かしら撮影できます。
眠っていそうなのに、しっかりこちらをガン見のカルガモです。

結局10分ほどボーッとして、青空をバックに植栽のハナミズキの果実を撮影して帰りました。

(生物担当学芸員 秋山)

カテゴリー: 学芸員のひとりごと | いろいろな秋の色 はコメントを受け付けていません

高い空のはかない雲

今朝、通勤途中に空を眺めると、いろいろな形の巻雲が出ていました。巻雲はとても高い空にできる雲です。
肋骨雲と鈎状雲が出ていました。肋骨雲は飛行機雲が強い風で流されるとできやすい雲です。

ジョット機が巡航する高度は10000メートル付近なので、まさに巻雲のできる高度です。
それにしても、強い風によってできる雲なので、刻々と形を変えます。少し歩いて数分も経たないのに・・

もう形が崩れていました。博物館に着く頃にはほとんど消えて、かわりに毛状雲が出ていたのですが、空を眺めてゆっくり歩いていたら遅刻しそうになったので写真を撮るのを忘れてしまいました。
(生物担当学芸員 秋山)

カテゴリー: 学芸員のひとりごと | 高い空のはかない雲 はコメントを受け付けていません

さがみはら宇宙の日講演会「ミミズ・ロボットがロケット燃料を作ったら?」開催しました

今日の講演会は、主催者側も首をひねるような不思議なタイトル。

講師は羽生宏人さん(JAXA宇宙科学研究所准教授)。

まず、宇宙に行くにはなぜロケットが必要か、ロケットのしくみや原理、固体燃料ロケットの歴史など、ちょぴりカタイお話をわかりやすく、さっと説明した後、本題の「ミミズ・ロボット」のお話。
現在のやり方だと、容器の中で火薬をかきまぜて作った燃料をロケットに充てんして…とやっていたのを、連続して行う事はできないか…と考えたところ思いついたのが「自分たちも、体の中で似たような事をやっているじゃないか!」という発想にたどり着いたそうです。そうです「食べ物を食べて(人間は消化をしますが)、混ぜて、出す」という消化管の活動です。
そこで生まれたのが、ゴム製のポンプを連結したような「ミミズ・ロボット」。

次々に隣の部屋に物質を送りながらうまい具合に混合する事ができ、かつ「出来上がったら容器を入れ替える」手間もなく、ゴム製なので発火の心配もないという「今までになかった50歩も100歩も先を行く」研究なのだそうです。
本当はもっと難しい問題がたくさんあるのでしょうが、最先端の話題を大変平易に話していただき、聞いていて「へえー」「ほぉー」の連続でした。

秋晴れの、外歩きに最高の陽気にもかかわらず参加してくださった皆さん、やはり熱心な方ばかりのようで、講演の後もしばらく先生の周りで質問が続いていました。
こういった最新の話題を、研究しているご本人から聞けるのはめったにない期会です、これからもできる限りこういう場を持っていこうと思います。(学芸班 木村)

カテゴリー: 今日の博物館 | さがみはら宇宙の日講演会「ミミズ・ロボットがロケット燃料を作ったら?」開催しました はコメントを受け付けていません