野鳥の標識調査

先日から小出しにもったいぶってお伝えしている野鳥の調査ですが、じつは標識調査というものを実施しています。
環境省が(公財)山階鳥類研究所への委託事業として実施しているこの調査では、野鳥を捕獲して足環をつけ、計測など行ってからすぐに放鳥します。これらの再捕獲や観察により情報を収集、解析することによって、鳥類の渡りの実態や様々な生態を明らかにし、鳥類の保全施策やそのための国際協力の推進に役立てる調査です(山階鳥類研究所のHPより)。
博物館ではこの調査捕獲の資格を持った鳥類標識調査員(バンダー)の協力を得て実施しています。もちろん、上記の様な大きな目的があるのですが、副産物として、ふだん手にとって見ることのでいない野鳥を間近で見られる学習面の効果があります。たとえばウグイスの尾羽。

通常、小鳥類の多くは12枚の尾羽を持つのですが、ウグイスはもともと10枚です。そもそも、ウグイスを明るい場所でじっくり見ることなんてありませんね。こんな姿をしています。

そこいらじゅうにいるヒヨドリですが、その特徴の一つである下尾筒(尾羽を支える付け根の下側部分)をじっくりと観察できる機会も、捕獲しなければなかなかありません。

調査をやっていて、こんな美しい鳥、キビタキを間近で見られるのはなかなか嬉しいものです。

もちろん、捕獲による野鳥のストレスは否定できません。ショックで弱ってしまわないよう、細心の注意がはらわれます。手際よく、野鳥へのダメージを最小限に抑えつつ、得られる情報は最大限に活用します。
今日は調査中にこんな昆虫も見かけました。

ミノウスバという蛾だそうです。
寒気が下りていた今朝は冬鳥の動きが大きく、たくさんの野鳥が捕獲できました。
また改めて、この調査のおもしろさや興味深いできごとなど書きたいと思います。
(生物担当学芸員 秋山)

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クモの柔軟性

体が硬いとか柔らかいとかいう話ではありません。
先日、通勤途上で見た円網。

写真ではちょっと分かりにくいのですが、平面状ではなく、屋根型に折れ曲がっていました。どうも、木の枝を網の一部に利用して、そんな形にしているようです。
なんじゃこりゃ、と、網の主を探すと、なんとメガネドヨウグモ。主に水辺で見られる種です。この辺に川はないはずなのですが…

網の形も、他の種なら積極的に木の枝を中心に張るものもいますが、この種は違います。
おそらく、たまたま造網していた場所に枝があって、それを構造に組み込んでしまったという事なのでしょう。
棲む環境といい、網の形といい、意外に色々な事に柔軟に対応できる。生き物というのはひょっとして本来そういうものなのかもしれませんね。(学芸班 木村)

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今日も秋色

今日も博物館の近くで野鳥の調査を行っています。調査ポイントへ行く途中、博物館に植えてあるカザグルマ(キンポウゲ科)の株の中に真夏に咲いた花があり、その種子が実っていました。

なんだか邪悪な何か・・を連想させます。ぜんぜん邪悪ではないのですが・・。
樹林に入るとシオデが黄葉というより、色が抜けて柔らかい色になっています。

裏側を見ると・・

果実が実っていました。
午後、風が吹いた後、常緑樹のアオキの上にヤマザクラの紅葉した葉が落ちていました。

見事な補色関係です。
野鳥の調査もまずまずの成果があがっています。冬鳥がだいぶ入ってきています。そのようすはまた後日、お伝えします。
(生物担当学芸員 秋山)

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博物館近くにも秋色

博物館の近くのある場所でいま、野鳥の調査を実施しています。そのようすはまた後日お伝えしますが、いつの間にかいろいろな植物が色を秋色に変えてきています。
マユミの果実が真っ赤な中身を見せています。

ツタやヤマザクラの紅葉が始まっていますが、ヤマノイモも渋く色づいています。

今日は調査初日で余裕がありませんでしたが、明日あたりはもう少しいろいろな秋の色合いをご紹介できると思います。
(生物担当学芸員 秋山)

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オスメスの大きさ比べ(ジョロウグモ)

いまの季節、なんといっても一番目立つクモは、ジョロウグモです。
しかも、繁殖シーズン真っ盛りで、オスがメスの網にこっそり入り込んで、交接の機会をうかがっています。1つの網に複数のオスがいる事も珍しくありせんが、面白いのは、オスとメスの体サイズの差が大きい事です。

わかりますか?下の方に写っているのがメス、上の方の小っちゃいのがオスです。こういうのを見ると、同性として、やや寂しい気持ちになります。

ただし、オスの体サイズにはかなりばらつきがあり、この写真の右側に写っている個体位大きなのもいます。一説によると、メスの網に移動する際に、体が大きいと、捕食されるリスクが高いのだとか。だとすれば、小さい事には有利さが伴うという事になります。

これは孤高のオス。網のなかにただ1匹でいました。わりときれいに撮れたので載せましたが、気取っている場合ではありませんね。早くパートナーを見つけないと、繁殖の機会を逃してしまいます。
季節はあっという間に過ぎていきます。(学芸班 木村)

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博物館協議会(第10期最終回)

今日は博物館協議会が行われました。今回は第10期(任期2年)の第6回となり、今期の最終回の会議でした。

今期では博物館評価を行い、他館にあまり類を見ないしっかりとした評価書を出すことができました。最終回も次の評価に向けた博物館の活動について議論が交わされ、有意義な会議となりました。議事の後に、開館20周年記念展と学習資料展を観覧していただきました。

たまたま居合わせた市民学芸員さんから展示の苦労話など聞いたり、収蔵庫のとっておきの話を学芸員から聞いたりと、委員のみなさんも興味津々でたっぷりと時間をかけて観覧されていました。
学習資料展では昔の道具について語られる姿も。

委員のみなさま、大変お疲れ様でした。そして、実りある議論を重ねて下さった2年間、本当にありがとうございました。
(生物担当学芸員 秋山)

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巻積雲

今日は午後から高い空にできる巻積雲が出ていました。細かい雲片が空いっぱいに広がると鯖雲とも呼ばれます。高空にできるこの雲は秋のイメージが強いのですが、実際は秋を代表する雲というわけではありません。今日は鯖雲という感じではなかったですが、きれいな房状雲ができては消えていました。

部分的に波状雲です。秋雲といわけではないと言いつつ、やっぱりなんとなく秋が似合います。

めまぐるしく変わる雲をゆっくり見たいと思いつつ、慌ただしい一日でした。
(生物担当学芸員 秋山)

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あかつきトークライブ20(最終回!)

今日の「あかつきトークライブ」は、とても高密度でした。
最終回ということもあり、100人以上の方が参加する大盛況ぶりにはじまり、


今までAndroid版しかなかった「あかつきを見つけよう」アプリiPhone版の発表(開発者のOさんはこのためにiPhoneを購入したとか…)、「あかつき」情報サイトのリニューアルなどの重大(?)発表がつづきます。


そして、今日の講演は2つ。1人目の演者Lee Yeon Joo(リー・ヨンジュ)さんは、韓国出身ながらドイツの金星探査機「ヴィーナス・エクスプレス」に関わっていた方。2年前に始めたという日本語にもかかわらず、非常に明快でエキサイティングなプレゼンをしてくださいました。質問者も、いつもより熱がこもっていたように思います。


続いての演者は井上浩三郎さん。「宇宙研のあらゆる探査機に関わった」という、まさに生き字引のような方。探査の黎明期からの、どんな本にも書かれていないようなリアルなお話の数々に、会場は沸きっぱなしでした。

そして、恒例の記念撮影…の前に「あかつき」ファンのみなさんから、チームのみなさんへのサプライズ!

今まで20回、ありがとうの気持ちを込めて、花束と寄せ書き贈呈、そして、12月7日に迎える、金星周回軌道再投入成功への祈りを込めた「大漁旗」のプレゼント。

チーム側も負けていません。20回続いた企画に連続参加してくれたみなさんに、皆勤賞のプレゼント!

2012年8月から続いたこの企画ですが、参加者とプロジェクトのみなさんの力で、とってもハッピーな最終回を迎える事ができました。本当にありがとうございました。

もちろん、プロジェクトチームのみなさんにとってはこれからが本番ですが、大きな成果を上げられる事を心からお祈りいたします。

記念撮影もいつにもましてにぎやかです。

あ、くれぐれも「さがみはら宇宙の日」はまだ終わりませんよ!次回は11月28日(土)14:00から、羽生宏人さん(JAXA宇宙科学研究所准教授)による「ミミズ・ロボットがロケット燃料をつくったら?」というお話です。うーん、なんだか刺激的なタイトル。ぜひ、ご期待ください!(学芸班 木村)

〈おまけ〉

今日の「あかつきくん」は、もちろん、ハロウィーン・バージョン。

トークライブ後のお茶会にはこんなケーキまで登場しました。

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生きものミニサロン、今日はドングリ!

秋もだいぶ深まってきました。いち早く紅葉、落葉するサクラの落ち葉が地面に目立ちはじめています。

そんな秋の日、恒例の「生きもの大好きミニサロン」のテーマはドングリです。今年も「なり年」で、たくさんのドングリが博物館の敷地に落ちています。
といいつつ、みなさん前庭でしゃがみ込んで何をやっているのでしょう?

前庭の大木のクヌギから落ちたまん丸いドングリを使って、コマを作って遊んでいるのです!

千枚通しで穴を少し空けておき、軸にする爪楊枝を短めに切るのがコツです。みなさん結構よく回っていました。
続いてドングリの種類の見分け方など説明して、最後は・・・

みんなで同じ方向を向いて何をやっているのでしょう?
ドングリパチンコです!

楽しいけど危ない遊びなので、安全面の説明をよーくしてから5分限定で遊びました。これもコツが必要なのでそう簡単には飛びませんが、飛べばとても威力があります。
その威力に驚かれたのか、みなさん「持ち帰ってもやる場所がないから」と太い輪ゴムを返却してくださいました。
そういえば、ドングリを拾っていたお子さんが見つけてくれたもの。

これだけを見て「カブトムシの足!」。見つけたこともすごいですが、カブトムシとわかるところもすごいですね。すばらしい観察眼です。そのあと、別のお子さんがツノも見つけてくれました。

おそらく、カラスの食べた痕をさらにアリなどが食べてこうなったのだと思います。カラスは後胸から下だけ食いちぎって食べます。そのため、カブトムシの頭(と前胸)だけが寂しく残るのですが、それをアリやオサムシなどほかの虫が食べて、食べるところの無い足やツノがこの季節まで残ったのでしょう。寒くも暑くも無い絶好のお天気の中、そんな推理もしながら楽しくミニサロンを終えることができました。
(生物担当学芸員 秋山)

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いよいよ明日から!20周年記念展

お知らせしてきました開館20周年記念展「こんなモノが集まりました-博物館20年の歩み-」と学習資料展が準備万端、いよいよ明日オープンです。
照明などの設置を行いながら、ちょっと高い位置から展示室の風景を・・。

市民学芸員さんたちの力作ジオラマは、上から見ても超リアル!

これまでの企画展のポスターや、博物館建設中の写真、各収蔵庫からとっておきの一品など、見所がたくさんあります!観覧無料ですので、ぜひお気軽にお越し下さい。
明日9時30分オープンです!
(生物担当学芸員 秋山)

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