真夏はやっぱり汗をかく

今日は相模原植物調査会のみなさんと緑区の山へ調査に行きました。真夏の抜けるような青空の下の林道です。

沢音のする林道は風も涼しげで快適でしたが、一歩斜面を登ると・・・

体を動かす熱と、立ち上る真夏の熱気に、この夏一番の汗をかきました。ほんとうに暑かった!でも、こんな涼しげな生きものにも出会いました。

若いニホンマムシです。精悍な顔つきのわりに穏やかで臆病な性格のヘビです。もちろん噛まれたら即病院行きの毒ヘビですが、距離さえ保てばなんの問題もありません。
そして、本日の目的はコレ。

写真からは何も伝わらないかもしれませんが、このシダ植物は神奈川県内で2カ所しか現存が確認できていないものです。もう1カ所の現状が不明なので、もしかしたら県内で唯一の生育株かもしれません。検索ツールにひっかかるといけないのでうかつに種名を書けませんが、とにかくそんな絶滅危惧種です。市内でしっかりと生き延びていることを確認できました。
とにかく暑かった真夏の調査。汗をかいた分、気持ちの良い結果が得られました。帰りがけに渡った沢の水で顔を洗いました。

顔を洗っただけなのに、全身にシャワーを浴びたような爽快感でした。
(生物担当学芸員 秋山)

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ジンガサハムシ

今日は珍しくクモ以外の虫です。

中央が金色に光る、扁平なUFOっぽい虫。
時々「新種では?」とお問い合わをいただく事がある虫のひとつ「ジンガサハムシ」です。

名前のとおり「陣笠」のように平べったくて、そもそも虫なのかなんなのか…という外見をしていますが、れっきとした甲虫の仲間です。馴染み深い虫で言うと、テントウムシに近い、といえば「ああなるほど」と思っていただけるでしょうか。
実のところ、それほど珍しい昆虫ではないので、野山を歩く人なら結構見かけているかもしれませんね。

腹側から見ると、なるほど、甲虫の雰囲気があります。因みに、ちゃんと羽があって飛ぶこともできます。

今回撮影していて気づいたのですが、プラスチックのようにつるつるした場所でも、しがみつく力が非常に強く、裏返すのに苦労しました。足先の構造を調べてみると、面白いかもしれませんね。(学芸班 木村)

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アップ写真はありませんが

今日は動物標本クラブの活動日です。
ひさしぶりに休日の活動となり、これまでで一番たくさんのメンバーが集まりました。

なかなか間近で見ることのない動物の骨格や毛並み、内蔵など、いろいろと観察しながら作業を進めます。
ときどき、神の手を持つ標本師Aさんのワザをかぶりつきで見学したり・・

この活動をブログに書くときにもどかしいのは、せっかく作った標本の写真を載せるのがはばかられることです。まして解剖写真など載せられないし・・。
生きもののフシギや神秘を感じながら作業している、ということをご想像いただければ幸いです。
(生物担当学芸員 秋山)

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企画展の展示解説 ご参加ありがとうございます

今月11日から開催中の企画展『あれもこれも世界初!日本の太陽系探査』の会場で、担当学芸員による展示解説を開催しました。 23人の方がご参加くださいました。約30分と限られた時間のため、駆け足の解説でしたが、みなさん熱心に話を聞いてくださってありがとうございました。

展示解説中の様子
解説は、会場に入ってすぐの、ペンシルロケットの実機をからスタートです。写真に写っていませんが、縦長のガラス張りの展示ケースの中に展示中です。
ペンシルロケットは全長23cmの小さなロケットですが、ちょうど60年前に行われた発射実験が、太陽系探査を含む日本の宇宙科学のあゆみの第一歩となりました。

展示解説中の様子2
今回、幅広い年齢層の方にご参加いただきました。浴衣姿の方もいらっしゃいます。いかにも夏の企画展という感じです。
解説しているのは、30年前の1985年に打ち上げられて、ハレー彗星に接近観測した2つの探査機「すいせい」「さきがけ」のコーナーです。日本で最初に地球の重力圏から抜け出し「人工惑星」になった記念すべき探査機ですし、もちろん「世界初」の成果も達成しています。

展示解説は企画展期間中ほぼ毎週末開催します。次回は8月2日(日)の13:30~と15:00~の2 回で、ゲスト講師の山田陽志郎さん(元 国立天文台職員、元 当館学芸員)が展示解説してくれます。

詳しいスケジュールはこちらの「イベントカレンダー」をご覧ください。
(天文担当学芸員 岸)

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梅雨明けです!

今日7月19日、関東甲信地方が「梅雨明けしたとみられる」と気象庁から発表がありました。
梅雨には台風と低気圧の間のように数値的な基準がないのでこういう表現になり、後から修正もありうるからということなのでしょう。でも、個人的には予報官の権限で「明けました!」とすっきり言ってくれないかなあ、と毎年思います。
それはさておき、梅雨明けというとこんな虫たちを探してしまいます。

このブログの真夏のレギュラーとも言えるマメコガネです。もうとっくに姿を見ていたのですが、「まだまだ」と見て見ぬふりをしていました。やっぱりギラギラした日向が似合う虫です。
風が吹いて乗っている葉っぱが揺れたりするとなぜか後ろ足をこんなふうにピンっと持ち上げます。今日は片足上げを見せてくれましたが、ふつうは両方の後ろ足を上げることが多いです。

未だにこの行動の意味がよくわかりません。
そういえば昨日の通勤帰りにタマムシに出会いました。

昨晩はあちこちのSNSにきれいな虹の写真がアップされていましたが、私が見たのはタマムシの体に光る虹でした。
(生物担当学芸員 秋山)

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ミニサロン 樹液に集まる虫・・など

今日は毎月恒例、生きもの大好きミニサロンを実施しました。
今回のテーマは「樹液に集まる虫」・・・・としていましたが、ここ数日は天候などの影響か虫が少なかったので、ちらっと最初にカナブンなどを観察してから、おとなりの樹林地へ。地面にたくさんのモグラの坑道があり、それをみんなで掘ったりして、モグラ穴さがしをしました。

木の枝でつんつんすると、スポッと枝が入っていきます。そんな感触からモグラ穴を見つけるだけなのですが、これが意外と楽しい・・。
そのあとアオバハゴロモの幼虫などを見たりして、雨もぽつりぽつりとしてきたので少し早めに終了したのですが・・・
館内へ戻ろうとしたらなんと!通りがかった観覧帰りの方が大物を見つけてしまいました!

オスのカブトムシです!観察会の時間中に見つかってくれたらよかったのにーーー
とまあこんなこともあります。よくよく近くを見ていたらこんなものも。

ちょっと残酷な現場ですが、カブトムシの頭だけが落ちていて、アリが群がっています。これは、カラスによる食べ痕です。
カラスは、カブトムシなど甲虫も丸呑みするフクロウ類と違って、堅い部分をくちばしで器用に取り除いて、柔らかい腹部から胸の一部だけ食べます。ご丁寧に外側の堅い翅も取り除きます。そんなことを解説して、ミニサロン番外編を終えました。

見つけたカブトムシは、樹液が出ているクヌギの木に放してあげました。
(生物担当学芸員 秋山)

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玉のような夫婦(クモ)

この時期よく見かける、不規則網にいるオレンジ色の玉のように見えるクモ。

ヒメグモです。下がメスで上がオス。オスの方が赤みが強い色をしています。
体長は、メス4-5mm、オス2-3mm。「ニホンヒメグモ」という呼び名もあります。

メス。

オス。

とてもポピュラーな種なのに、今まで一度も紹介していなかったようで、我ながらびっくりしています。
8月頃、網に吊るした葉に産卵しますが
、母グモはふ化した子グモに「吐き戻し給餌」をするという、ちょっと珍しい習性があります。
と、知ったような事を書いてますが、私自身は見た事がありません。これだけ身近にたくさんいるのに、意外に気づかないものです。もし皆様の庭先にでもこのクモがいたら、注意深く観察してみると良いかもしれませんね。(学芸班 木村)

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博物館の未来をさぐる

大仰なタイトルですが・・これはつい最近、東京堂出版から刊行された本のタイトルです。

昨年行われた神奈川県博物館協会主催の同名のシンポジウムの内容を元に書き起こされました。県博物館協会設立60周年を記念して刊行され、全国随一を誇る県内の地域博物館の活動のようすや課題、これからの展望などがまとめられています。財政難や管理者の問題と向き合いながら歩む博物館の姿も垣間見ることができます。
じつは、相模原市立博物館からは生物担当の秋山がボランティアと歩む地域博物館の姿を、相模原植物調査会を例に書きました。ほかのボランティアグループについても概略ですがすべて紹介しています。博物館学の副読本や教科書といった内容ですが、県内の博物館の今を外観できる本だと思います。博物館に興味のある方すべてに読んでいただきたいです。
(生物担当学芸員 秋山)

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雨の合間・・のつもりが

今日は台風11号に刺激された停滞前線の雨雲によって断続的に驟雨が降り注いでいます。晴れ間も見えてちょっとこのスキにと思い、カメラを持って外へ出ました。
ヘクソカズラの花が瑞々しく、でもちょっと妖しげに咲いています。

薄暗い草むらの中でフワリと浮き立っているのはヤブランのつぼみです。

雨と晴れ間の繰り返しは植物にとってこの上ないごちそうのようですね。
定番のカタツムリものびのびと動き回っています。ミスジマイマイでしょうか。

同じ仲間なのにだいぶ印象が違う、コウラナメクジのなかま。

雨の間はうろの中や落ち葉の下に隠れていたワラジムシも忙しそうに動き回っています。

喜んで写真を撮っていたら、ざーっという音が近づいてきて、あっという間に本降りの中に。
駐車場を横切っただけなのに、相当濡れて館内に戻りました。
(生物担当学芸員 秋山)

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巣立ちビナその後

この前の投稿の巣立ちビナ(ヒヨドリ)は、一晩乗り越えて近くの茂みの中にいました。

ただ、少なくとも4羽いたヒナが、今日、確認できたのは2羽でした。別々に茂みにかくれていて見えないのかどうか・・。
こればっかりは、自然界の現実に従うしかありません。親もまわりに付き添っていたので、なんとか独り立ちして欲しいと願うばかりです。
(生物担当学芸員 秋山)

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