ススキのちまき(2回目)


もし、野外でススキの葉がこんな風につづられているのを見かけたら、ご注意を。
カバキコマチグモの産室かもしれません。
フクログモやコマチグモの仲間は、こうした産室をつくり、中で母グモが卵をガードするのですが、やたらにこの
ちまきを開くと噛みつかれるので、そっとしておきましょう。と、ここまできて、以前に同じ事を書いた事に気付きました。詳しい事はそちらで。「ススキのちまきにご用心!」
ただ、今回は紹介するからには確認をしておきたくて、ピンセットを使ってそっと中を覗くと…

母グモが上顎を突き出して威嚇しています(実際、ピンセットにガシガシ噛み付いてました)。やはりカバキコマチグモのようです。よく見ると、顎の先にかなり長い牙があります。
可哀想なので、これ以上詮索をするのは止めましたが、噛まれる心配があるので皆さんは最初からこんな事はしないでください。

翌日にみると、ちゃんとちまきも修復されていたのでちょっと安心。道端なのでひょっとして草刈りされてしまうかも知れませんが、無事に繁殖できる事を祈ります。(学芸班 木村)

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カイコ26日目 熟蚕、そして繭

カイコは掃き立てから今日で26日目、昨日、かなりの数が熟蚕となりました。熟蚕とは、繭を作り始める直前、体が少し縮み、黄色っぽくなった状態です。

ほかにも、それまで食べ進む以外にほとんど動かなかったのに、あちこち動き回る、頭を降るといった行動をし始めます。そうしたら、まぶし(繭をつくる部屋)へ。博物館では通常の格子状のまぶしのほかに、展示用に、小さな食品パックをまぶしとして使うことがあります。

最初はつるつるして落ち着かないのですが、自分のはいた糸で足場がかたまってくると本格的に糸をはきます。半日くらいでしだいに繭の形になります。この時の透き通った繭を見ていると、なぜかコクーン(cocoon)という単語を思い出します。

この方法、繭の形成過程をつぶさに観察できるのですが、一つ注意点があります。底の部分に前もって内側から千枚通しで穴をいくつかあけておきます。そうしないと、繭をつくりはじめた時にカイコが出す黄色い尿で繭がよごれてしまうのです。
今年の繭の出来具合、明日には判明しそうです。
(生物担当学芸員 秋山)

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藪こぎ急斜面下降と登攀

今日は相模原植物調査会のみなさんと緑区の某所へ定例の野外調査会に出かけました。梅雨入りしたのに奇跡的な好天!
そんな中、今日の写真はこんな見上げのものが多い・・アラゲキクラゲの群生です。

それもそのはずで、林道を外れて藪をこぎながら急斜面の下降と登攀を繰り返しました。

行き着いた沢沿いで、とーっても珍しいシダ植物に出会い、参加されたみなさんと喜びを分かち合いました。そちらはあまりにも珍しすぎてまだ公表できないのですが、見上げついでに、テイカカズラの花。

そして、ネコさん大喜びの植物、マタタビの花。

いずれもつる性木本なので、林道などから見ているだけではなかなか花の写真を撮れません。こうして藪こぎをしていると、花を身近に見られる幸運と出会います。ついでに、途中の水たまりで出会った大きなアオダイショウです。

ものすごく汗をかきましたが、それに見合う成果のある野外調査となりました!
(生物担当学芸員 秋山)

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ミニ企画展準備〜中学生の職業体験〜

今日もミニ企画展「石のステンドグラス〜岩石の顕微鏡写真展~」ミニ企画展の準備です。

今日は相模原地質研究会のメンバーと一緒に、職業体験の中学生が手伝ってくれました。
主にパネルを壁に打ち付ける作業を行ってもらいました。


壁の場所によってはなかなかピンが打ち込めない場合もあり、悪戦苦闘しながらも一生懸命、手伝ってくれました。

おかげで準備がとてもはかどりました。ありがとうございました。

(地質担当学芸員 河尻)

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ジョロウグモ、分散。

だいぶ前に幼体がひと塊りになる「まどい」について書きましたが、先週ぐらいからジョロウグモの幼体も1個体ごとに網を張るようになってきました。

成体と同じように円網の前後に不規則な「迷網」を付加する特徴的な網を張っています。

上から見たところ。

こちらはクサグモの立派な網ですが…

ちゃっかり足場にして円網を張っています。この場合は物理的に無理だったのか、迷網はありませんが、こうしてたくましく分散していくんだな、と感慨さえ覚えます。
ただ、生き残るのはこの中の一握り。これから体が大きくなり、目立つようになりますが、個体数は減っていく事になります。(学芸班 木村)

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ミニ企画展「石のステンドグラス」準備中

今週の土曜日(6月13日)から、ミニ企画展「石のステンドグラス〜岩石の顕微鏡写真展~」が始まります。

現在、ボランティアグループの相模原地質研究会の協力を得て、準備作業を進めております。

どうぞお楽しみに!

(地質担当学芸員 河尻)

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カイコの授業ダブルヘッダー

今日は午前中、市内の二本松小学校へカイコの授業へ行ってきました。同時に、蚕種をお届け。すでに下の写真のように、ふ化が始まっています。

授業では「早く育てたい!」という熱意がビシビシと伝わってきました。

メモもしっかり取ってくれていて、びっくりです。

終了後、ふ化したカイコをのぞき込む頭、頭・・

午後は博物館から一番近い小学校である共和小学校へ授業に。ダブルヘッダーでしたが、どちらの学校のみなさんも、とても熱心に聞いてくれました。
先に博物館で飼っているカイコたちはぱんぱんになった体を動かしながら、まだモリモリ食べています。でも、おそらく明日には熟蚕に・・。もうひとがんばりです。
(生物担当学芸員 秋山)

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カイコ23日目 マックス!

先週末は県外に出ていたりして同僚にカイコの世話を任せていました。3日ぶりに見た5齢のカイコは体長マックス!

あと2日ほど食べて熟蚕、繭を作り始めますが、熟蚕になるとちょっと体が縮んできます。だから、今が体長も食べる量もマックスですね。
ところで、下の写真は小学校へのお届け物です。

今期2期目の蚕種提供です。信州上田から届けられて、水曜日前後にふ化する予定のタネ。4校へお届けします。

もう中ですっかり幼虫の形ができているようです。まだまだカイコは続きます。
(生物担当学芸員 秋山)

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ダニではありません


葉の上にぽつんと載った、1mmサイズの赤い虫。
つい、ダニかと思ってしまいますが、ネコハグモの幼体です。
よく見ると、葉の上に糸を張った下にいます。

こちらが、成体。すぐ隣の葉にいました。
このクモ、孵化した子グモが親の網に同居したりするのですが、既に分散して独立しています。
もしかして、これ、実の親子の写真かもしれませんね。
この成体は冬越しした幼体が成長したものと思われます。この幼体は成長して秋に卵を産み、孵化した子グモは冬越しして5月頃に卵を産み、孵化した子グモは成長して…というサイクルです。よく「クモの寿命はどれ位?」という質問を受けるのですが、このクモに関しては約半年、という事になります。しかし、夏と冬という事なった条件を通して、年二回発生するライフサイクルを成立させてしまうのですから、生き物が適応する能力って本当にすごいですね。(学芸班 木村)

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地質学講座3日目

今日は地質学講座の3日目。

2回目(5月24日)に相模川で採集した川原の岩石を使って実物岩石図鑑を作りました。

相模川流域の地質図を印刷した台紙に岩石を木工用ボンドで貼り付けていきます。

完成!

最後に岩石をつくっている主な鉱物について解説しました。

次回、6月21日は最終回。6月13日から始まるミニ企画展「石のステンドグラス~岩石の顕微鏡写真展~」の展示解説を聞いた後、まとめをして終了です。

(地質担当学芸員 河尻)

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