青鬼の子(クモ)

以前紹介したアオオニグモ。5月23日を最後に姿を見なくなったのですが、実はその時、網を張らずに葉を巻いたものの近くに寄り添うようにしていたのが印象的でした。
もしかしてこの中に卵のうがあるのでは…と思っていたのですが、果たして今日、その場所に行ってみると…

お、これは!

間違いありません。もう出のうしていました。体長1mm程度ですが、腹部腹面の深い緑色は成体と同じです。

1匹だけご同行いただき、モデル撮影。
背面の模様は成体とだいぶ違います。

親グモがあまり移動せずにいてくれたので、アオオニグモが卵のうをつくる場所、ふ化までのおよその日数、幼体の斑紋という情報を得ることができました。身近な場所で定点観察ができると、色々な事がわかってよいですね。(学芸班 木村)

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カイコ19日目 5齢モリモリ

カイコは掃き立てから19日目。
昨日、脱皮したてのまだ頭の皮膚に余裕のある個体です。今日はもうモリモリ食べてむくむく大きくなっています。

これも昨日の写真ですが、こちらは脱皮直前の眠の個体です。頭がもう前方にずれて、新しい大きな頭がうしろに控えています。

さて、今朝は梅雨入り前のさわやかな朝。見上げたクワの木の上に青空が広がっていました。

カイコの授業は4校目。大野台中央小へ行ってきました。

こちらへは、来週早々に第二期の蚕種を提供します。養蚕の予習ですね。まだ実際に飼う前なので、質問の時間にちょっと不安そうな表情で手を上げてくれているのが印象的でした。
(生物担当学芸員 秋山)

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プラネタリウム、週末に再開します。

今週に入ってからお休みしているプラネタリウム。なぜお休みしているかというと…

これです。

ここには先日まで大きなデジタルプロジェクターがあって、全天周映画などの上映に使っていましたが、今はありません。
そして、この灰色の台の下には、実はこんなものが…

70mmフィルムを使う全天周の映写機です。つい6年前までこんな機械を使っていました。

実は、プラネタリウムで今やっている作業は、この映画などに使うプロジェクターの入れ替えです。
もちろん、フィルムに逆戻りするのではなく、新たなデジタルプロジェクターへの入れ替えです。
しかも、今度は3台使って全天をカバーするシステムになります。
今まで「全天周映画って言っても後ろの方は映ってないな」と思った方、今週末からは文字通りの「全天周」が楽しめます。

画面が大きくなったので、迫力も増しました。そして何より、明るく、見易くなりました!
6月6日(土)から6月14日(日)は「はやぶさ」、「はやぶさ2」の番組だけを上映する、はやぶさウイーク特別上映です。フレッシュな映像で、存分にお楽しみください!(学芸班 木村)

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繭形

カイコは今日で17日目。4眠に入り、いよいよ最終ステージ、終齢へのカウントダウンです。明日にはモリモリ驚異的な食欲の5齢となることでしょう。
ところで当館で育てているカイコのタネ(蚕種)は信州上田産です。そのご当地銘菓をいただきました。

開けてみて唸りました。さすが蚕都上田、これが“正しい”繭形です。

中央部分にくびれがあるのが日本語で言うところの繭形です。現在広く育てられているのは、雑種強勢により大きな繭を産出させるため、中国大陸原産の丸形繭を作る品種と在来の品種による雑種第一世代(f1)がほとんどです(当館で育てているのもそれです)。この繭は楕円体(丸形)でくびれのない形をしていてそれはそれで美しいのですが、こうした形の繭が普及したのは戦後と言われています。もともと日本で育てられていた伝統的な繭は中央にくびれがあり、これを本来の繭形と言います。有名な小石丸の繭も、くびれがあります。
お菓子の形からずいぶん語ってしまいましたが、繭にはまだまだおもしろい話がいろいろとありますので、また後日・・。
(生物担当学芸員 秋山)

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コガネグモ類、2種

といっても、今の季節にちょうど姿を現した幼体です。
例によって通勤路での観察です。

コガタコガネグモ。円網に成体と同じような形の隠れ帯をちゃんとつけています。まだ腹部の太い帯状の模様はありません。

ナガコガネグモ。こちらも特徴的なギザギザの隠れ帯をつけています。なんとなく間延びした感じの体つき(失礼)も、成体と同じイメージです。

どちらもまだ体長2-3mmですが、夏にはコガタコガネグモは10mm前後、ナガコガネグモは20mm以上にまで成長します。1シーズンの命とはいえ、すごい勢いで大きくなりますね。(学芸班 木村)

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撤収

今日は、5月31日で会期を終了した松原巖樹生物細密画原画展「図鑑の生きものいっぱい」の撤収作業を行いました。
列品と同じく、撤収も美術品専門運搬業者(美専)のみなさんが資料を一つ一つ丁寧に扱いながら作業を進めていきます。

大きな額装作品も、まったく音が立たない静寂の中で取り外されます。

額装を外して作品を梱包します。ここでも作品番号など並びの確認以外の声はありません。

あっという間に展示資料が外され、いつでも返却できる状態となりました。

撤収作業はすっきり、素早くが基本です。明日もまだコラボ展示の作品の撤収や、次の展示に向けた会場づくりなど作業は続きますが、明日で今回の展示に関するすべての作業が完了する見込みです(事務的な仕事はまだまだありますが・・)。もうひとがんばりです!
(生物担当学芸員 秋山)

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小さなお花

今日、博物館の駐車場の前の草刈りをしました。草刈りする場所にはこんなかわいい花も・・

ユウゲショウです。きれいに咲いているのに、ひどいですね。さらにはこんな花も。

キキョウに似た小さな花、ヒナキキョウソウです。
いずれも外来植物です。だからよいということではないのですが、きれいな花を咲かせるから残すというわけにもいきません。
雑草の管理というのは悩ましいものです。
(生物担当学芸員 秋山)

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カイコ13日目 4齢になりました!

カイコは掃き立てから13日が経ち、早くも4齢に脱皮したカイコがもさもさとクワを食べています。
ところで、下の写真でどちらが4齢だと思いますか?

答えは、右の個体です。ちょっと体が大きく見える左の個体は3齢です。脱皮直前になると、下に新しい外皮ができていますから、内圧?でぱっつんぱっつんです。ちょっと大きく見えているのもそのためでしょう。眼状紋と呼ばれる目のような模様もほとんど見えないくらいに薄くなっています。

一方で、大きさに明らかな差があるのは頭部です。右の4齢の方が一回り大きく、いかにもたくさんのクワを食べそうです。こうして一日ほどクワを食べると、もう体が張ってどんどんと大きくなります.生まれたてのカイコと、5齢の一番大きな時のカイコでは、長さにして30倍の差があります。体重にすると、なんと1万倍以上!たった25日くらいで!
カイコってやっぱりすごいですね。
(生物担当学芸員 秋山)

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弥栄小でいろんな生きものの授業

今日はカイコではなく、弥栄小学校5年生に文字どおりいろいろな生きものをつかまえたり観察したりする授業をしてきました。ここの学校の中庭はすばらしい!いわゆる「草っぱら」に近い広場と、いかにも水の中のいろんな生きものがいそうな「じゃぶじゃぶ池」があるからです!

5年生全員で池の中の生きものをつかまえることは混みすぎてできないので、半分の人には用意した「お題」をやってもらいました。たとえば、ササ舟づくり。

ただの簡単な工作のようですが、ササの葉の特徴を生かした工作であることを付け加えるだけで、ちゃんとした理科の観察になります。

こちらは、シロツメクサのお豆さがし。シロツメクサ(クローバー)がエンドウ豆のなかまであることをみなさんの目で確かめてもらいました。

そして、葉っぱのにおいのインタビューも。3種類ほどのにおいの強い葉について、「よい」か「いや」かのインタビューをしてもらいました。

写真のドクダミをはじめ、すべての葉で「よい」と「いや」が拮抗したり、片方に偏っていても、少数派の方の意見も確実に存在することを理解してもらいました。ほかにも、つる植物の巻き方を探してもらったりと、盛りだくさんでちょっと解説しきれなかったのですが、それぞれ観察することを楽しんでくれたようなので一安心。
そして、メインイベントはこちら。

博物館から持ち込んだ顕微鏡をテレビモニターにつなぎ、じゃぶじゃぶ池で採水したサンプルからミドリムシやゾウリムシ、クチビルケイソウなどのプランクトンを見てもらいました。たった一滴のサンプルに含まれるたくさんの微生物と、その活発なようすにみなさん見入っていました。
準備時間が短くて授業全体のデザインが不完全でしたが、実物のインパクトの大きさに救われました。生徒数などを勘案した上でプログラムを絞り、さらに進化させたい授業プログラムだと感じました。
(生物担当学芸員 秋山)

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真夏日の山林で

今日は相模原植物調査会のみなさんと緑区某所の山林へ調査に行きました。真夏日でしたが、林内は風も通って気持ちの良い晩春の調査となりました。
尾根沿いに残された自然林は、木性つる植物の宝庫です。冗談みたいなジャケツイバラの大木です。

なんと!県内では正式な分布記録がここにしかない珍種、ムヨウランです。

菌従属栄養植物(いわゆる腐生植物)のランなので、緑色の部分がまったく無く、もちろん葉は退化して痕跡しかありません。
帰りに林縁で見たニガイチゴ。

キイチゴとしてはちょっとマイナーですが、しっかり甘くて季節の味です。
(生物担当学芸員 秋山)

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