オオルリの羽の枚数

今日は専門ボランティアグループである、さがみはら動物標本クラブの活動日です。
写真は、博物館から徒歩数分の場所で週末から始まるサーカスのテントです。動物標本とは全く関係ありません。

さて、今日はこれまでメンバーの一人が何回にもわたって続けてきたとある標本が完成しました。

傷みがひどくて仮はく製にできなかったオオルリ(ヒタキ科)の遺体から羽を一枚ずつ抜き取り、台紙に貼り付けていったのです。根気とやる気がなければとてもできない、気の遠くなるような作業です。

総数約2600枚。翼から尾羽、体羽まですべての枚数です。あくまでもこの個体の記録に過ぎませんし、はじめに抜け落ちていた羽もあります。でも、オオルリの全身の羽って何枚くらいあるのか?というシンプルな問いに対して明確に答えられる人はそうそういないはずです。
詳しくは、いずれ学術雑誌などに報告する予定です。
とりあえずは標本クラブメンバーのKさん、大変お疲れさまでした!
(生物担当学芸員 秋山)

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今朝もクモ散歩

散歩ではなく通勤なのですが、良く晴れていて、時間的にも余裕があったのでちょっとゆったりした気分でクモを探しながら歩きました。

ワカバグモのオス。尺取り虫を食べています。眼域が赤くなる個体もいますが、この個体はさほどではないようです。

シロスジショウジョウグモのオス。直径5cmほどの小さな円網を張っていました。

今日のお気に入り写真。ネコハエトリの顔をアップで撮る事ができました。いつ見ても表情があって、つい笑ってしまいます。本当に「ネコ」みたいだなと、つくづく思います。(学芸班 木村)

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新緑の石砂山

今日は県の天然記念物、ギフチョウの発生地である緑区の石砂山(いしざれやま)へ調査に行ってきました。ギフチョウの季節ももう最終盤となり、飛んでいる成虫の数も少なかったのですが、カントウカンアオイの葉をそっと裏返すと・・

ありました!翠の真珠のような卵です。
成虫の写真を撮りたいなと思っていたのですが、このヒオドシチョウが激しくちょっかいを出してくるのでギフチョウも落ち着いていません。結局一枚も撮れませんでした。ひなたぼっこの場所とりも熾烈ですね。それにしても、こちらは成虫で越冬するので翅がボロボロでした。

植物はもう新緑。毎年ながら、イヌブナの新緑の美しさは格別だと思います。葉色の明度が高いのでしょうか。

そのイヌブナの葉を器用に丸めてゆりかごを作っていたのは、ヒゲナガオトシブミです。

ちょっとマイナーな登山道で出会ったアサダの大木。樹皮だけで見分けられる樹木です。

夕方ちょっとお天気が崩れましたが、さわやかな天候の中の気持ち良い調査となりました。
(生物担当学芸員 秋山)

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ひと皮むけました(クモ)

先日、冷たい雨の中、水滴をまといながらじっと耐えていたクモ。いつも同じ場所にいるので毎朝のように様子を見ています。

今朝はなんだか色が茶色っぽく見えるな…と思ったら…

脱皮殻が落ちていました。どうやら無事に成長しているようです。同じ個体をこんな風に観察できるのは結構珍しい事で、おそらく餌条件良い場所なのでしょう。しばらく観察を続けようと思います。
毎朝見ているとすっかり顔見知りにご挨拶しているような気分になってきますが、うっかりクモに「おはよう」と声をかけたりしないように気をつけたいと思います。(学芸班 木村)

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アカメガシワの赤

今日は休館日。ひさしぶりの休日でしたが、ついフィールドへ出てしまうのが悪いクセ…。
市内のとある段丘崖を歩いてきました。この時期のみ見られる種名の由来、アカメガシワの真っ赤な新芽が目立っています。

ところでこの赤い色は、紅葉の葉の色とちょっと違って葉っぱそのものにこんな色がついているわけではありません。
葉を拡大しみると・・。

なんと、赤い色は星状毛によるものでした。展葉するうちに星状毛は脱落し、ベースの色が出て青々した新緑となるようです。
こんな写真を撮っていたら、運悪くニホンアマガエルが目の前にいたため、ちょっとかわいそうだけど写真に収まってもらいました。

出れば何か面白いところがフィールドの良いところですね!
(生物担当学芸員 秋山)

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タンポポにもいろいろ

昨日オープンした松原巖樹生物細密画原画展「図鑑の生きものいっぱい」は、オープン二日目の今日もたくさんのご来場者をお迎えしています。
さて、ここしばらく展示の準備状況などばかりアップしていましたので、外へ・・。
博物館のまわりでは今たくさんのタンポポが咲いています。代表的なのは、おとなりの樹林内のカントウタンポポです。

在来種のタンポポとして、こうした日当たりの良い林縁や里山などに咲きます。特徴は、花を支える総苞という緑色の部分がお椀型にしっかりとまとまっていることです。

博物館の前庭にも、同じようなカタチのタンポポが咲いています。

お!カントウタンポポかな・・でも、となりのつぼみを見てみると・・。

総苞のまとまりが悪く、ちょっと離れているものが数枚見られます。これは、カントウタンポポとセイヨウタンポポ(外来種)の雑種と言われています。なんとも紛らわしいですね。興味深いことに、お隣の樹林地はカントウタンポポ、前の道路沿いにはセイヨウタンポポが生育していて、その間の駐車場や博物館前庭にはこのような雑種が多く見られます。当初、樹林内も雑種化してしまうのではと危惧しましたが、一部道路際には入り込んでいるものの、今のところカントウタンポポの群落は維持されています。
さらに、前庭にはこんなタンポポも。

西日本の在来種であるシロバナタンポポです。これはタンポポが白化したのではなく、もともと白い花のタンポポです。これも関東地方に自生分布しないので、外来種です。でもまあ、抜き取るほどのものでもないため放置して花を楽しんでいます。
タンポポにもいろいろあります。生物は多様性に満ちています。
(生物担当学芸員 秋山)

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あかつきトークライブ17

本日は、さがみはら宇宙の日「あかつきトークライブ」でした。
毎偶数月に、金星探査機「あかつき」チームの皆さんと一緒に、2015年12月7日に金星周回軌道再投入を目指すこととなった、「あかつき」について、そのミッションを振り返り、応援をする企画です。本日は、79名ものお客様がご参加くださいました。

今回は、「探査機と深宇宙通信」をテーマに、JAXA宇宙科学研究所の山田隆弘先生に講演頂きました。

開演前に、来月の「さがみはら宇宙の日」のご案内をしました。4月4日の「皆既月食を見よう」や10日の「星空観望会」で既にご存知の方もいらっしゃったかもしれませんが、4月1日付けで天文分野専門の岸学芸員が着任しました。天文分野の行事等を中心に、主体となって活動していきますので、よろしくお願いします。

講演内容は、かなり専門的な内容であり、お話し頂いた内容について、かなり詳しくないと理解が難しいのではと思いましたが、さすがに、いつも熱心にいらっしゃっている皆さん、講演終了後の質疑応答では、多くの皆さんから、かなり専門的な内容の質問が飛び出していました。

講演が終わり、実習へ移る前に、参加者の方の写真撮影です。

「【実習】誤りを訂正しよう」では、事前に、先生から簡単な二進法の計算方法を教わり、それにそって計算していきます。

皆さん、各々で相談したり、スタッフの方や、先生に相談したり、熱心に取り組まれていました。
 

来月は、冒頭でご案内しましたとおり、5月17日14時から、「アンドロメダ銀河とリーヴィットの法則」と題し、岸学芸員が講師を務める予定です。多くのお客様のご来館をお待ちしております。(学芸班 有田)

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絵とおはなし会

本日オープンした松原巖樹生物細密画原画展「図鑑の生きものいっぱい」のオープニングイベントとして、ご本人による絵とおはなし会「描いて学ぶ、生きもののカタチ」が14時から行われました。松原さんの優しい語り口にみなさん引き込まれています。

じつは今、松原さんは腰の病気と戦っておられ、冒頭はそのお話を骨格図を描いて説明されました。生きもの画家の真骨頂ですね。

首の骨の数から見た哺乳類のカタチのおもしろさ、実際に観察したものを描くという生物細密画のお話から、昆虫の体のつくりのふしぎにお話がおよびます。質問の時間には、なんと、松原さんにも苦手な生きものがいたことなど、なかなか聞くことのできない楽しいお話が続き、時間はあっという間に過ぎました。

終了後、ほとんどの方が展示室へ行かれました。お話の後に見る原画作品はまた違った奥行きが感じられたようです。
この企画展は5月31日まで開催されます。ご来場お待ちしております。
(生物担当学芸員 秋山)

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怪しい糸の主は

今朝、博物館のロビーからふと外を眺めると、ふとクモの糸が目にとまりました。

この時期、まだ小さな幼体が多いのに、あの太さの糸を張るのは、もしや…

近くに行ってみると、思った通りアオオニグモがアオキの葉にシート状の網をつくって潜んでいました。
せっかくなのでちょっと館内にお越しいただいて、記念撮影。

腹部(腹面)と脚が緑色できれいです。


腹部中央あたりに外雌器が写っていますが、どうやらあと1回脱皮で成体のようです。

今朝はその他にも…

ネコハエトリがとぼけた感じで佇んでいたり、

マルゴミグモが水平円網の上にちょこんと載っていたり、

シロブチサラグモが交接していたり、

いよいよクモたちも本格的に活動をはじめたようです!(学芸班 木村)

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オープンしました!松原巖樹生物細密画原画展

本日、ついにオープンしました!松原巖樹生物細密画原画展「図鑑の生きものいっぱい」

朝からファンとおぼしきお客様がいらしています。
会場内は、水彩画という作品特性のためにちょっと暗めですが、松原さんのご厚意によりできる限り明るくしています。

たくさんの原画作品がみなさまのご来場をお待ちしております!!

(生物担当学芸員 秋山)

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