スライム・フラックスその後

先々週、博物館駐車場のミズキにとりついた樹液のカビが発達したスライム・フラックスについて書きました。その後、上の方の枝の切り口から樹液が落ちて駐車した車にかかるということで、その枝を切り落としました。たぶん、こうなるだろうなと思っていたら、案の定・・。

枝の切り口からたくさんの樹液がしみ出して、そこにまたカビの菌がとりついて広範囲にスライム・フラックスを形成しました。それにしても目立つ色ですね。
ところで、駐車場に何本かあるサクラもだいぶ花が散り、地面はサクラの絨毯となっています。

めまぐるしく季節が動いています。
(生物担当学芸員 秋山)

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神奈川の植物を調べる人たち

昨日、4月5日(日)は小田原にある県立生命の星・地球博物館で神奈川県植物誌調査会の総会が行われました。写真は、あまり関係ありませんが博物館入り口で来館者をお出迎えしてくれる巨大魚クシファクチヌスの実物化石です。

午前中はこれに先立ち役員会。

神奈川県植物誌は、全国にその名を轟かせる地域フロラ(植物相)です。神奈川県にはいったい何種類の植物が生育しているのか、あの植物は神奈川県ではどんな分布なのか・・神奈川県の植物のことならとにかくこの本を開けば何かわかります。そんな植物誌が、アマチュアを中心とした一般植物愛好家によって作られていること、県内各地の地域博物館などが会員の活動拠点となっていることなど、他に類を見ない、そして他地域からうらやましがられる体制で作られています。
役員会や総会の雰囲気も、とてもアットホームです。でも、そこで話し合われたり、発表されたりしている内容は極めて専門的で、この植物誌の学術性の高さを示しています。

会員の高齢化や標本収蔵場所の確保の難しさなど、さまざまな課題や困難を抱えています。それでも「植物が好き」という熱意をみなさんで確認しあい、またこれから1年間の調査をがんばろうと気持ち新たにする会でもありました。

これも植物誌とは関係ありませんが、お見送りしてくれた巨大グリズリーです。
(生物担当学芸員 秋山)

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皆既月食観望中!?

今日は皆既月食と桜が同時に見られるか、と思いきや、あいにくのベタ曇り。
それでももしかしたら皆既になる21時前後には見られるのでは?と、期待を込めて「皆既月食を見よう」という催しを開催中です。
それでも30人以上の皆さんが参加してくれています。

担当学芸員の説明を聞いた後は、
とりあえず手持ち無沙汰なので…

皆でネット中継を見たり(北海道は晴れているようです)…

お向かいのJAXA相模原キャンパスのアンテナを眺めたりして過ごしています。

天体観測室にセットしたビデオも、曇り空を絶賛中継中。

あー、本当に見れるといいなあ。(学芸班 木村)

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今年度も始動!自然環境観察員

相模原市環境情報センターが主催する自然環境観察員制度の今年度第1回セミナーが同センターで開かれました。
セミナーは午後からでしたが、午前中に前年度の花ごよみ調査の考察会が行われました。私は調査には1回しか参加していませんが、オブザーバーとして同席させていただきました。

毎月15日にセンターに集まって周辺植物の開花状況を調べる調査で、昨年度で3年目。今年度も4月15日から実施するそうです。花は何月に多く咲くのかといった全体的なことや、一年中咲いている花、限られたシーズンだけ咲く花、そして、記録から見えてくる市街地の植物の生態など、興味深い事実が見えてきました。こうして調査に携わったみなさんと調査成果について話合うのはとても楽しいですね。
お昼休みには桜通りで満開のソメイヨシノの下に。桜吹雪を楽しみました。

午後はセミナー本番。市民参加調査の意義や楽しさ、その成果が意味することなどについてお話ししました。

とにかく、楽しみながら、助け合いながら取り組むのが市民参加調査の一番大切なところです。今年は制度が始まってなんと15年目!これだけの期間、継続している事例はなかなかありません。今年は全体テーマとしてダンゴムシ調査が計画されています。どんな結果が出るか、今から楽しみです。
(生物担当学芸員 秋山)

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皆既月食を見よう(4月4日)開催します

本日予定していた「皆既月食を見よう」ですが…

…予定通り開催します!

   皆既月食を見ようの詳細はこちら

16時現在、博物館上空は厚い雲に覆われています。
月食が始まる19時から皆既食となる21時前後の予報を見ても、あまり芳しい状況ではありませんが、「もしかしたら少し見えるかも!」という望みをかけてイベントを開催します。
会場では他所のインターネット中継などもご覧頂く予定ですが「もっとよく見える場所に自分で行きたい!」という方は以下のページを参考にされると良いと思います。
なお、プラネタリウムでの解説はありませんのでご承知おき下さい。(学芸班 木村)

GPV気象予報 http://weather-gpv.info/

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意外に毛深いクサグモ幼体

例年3月下旬に「クサグモ現る」というタイトルで書いていたのですが、今年はどういう訳かいつもの植え込みに網が張られたものの、肝心のクモが見当たりません。
今日はやや冷え込む陽気だったのですが、クサグモの幼体が隠れ家から顔をのぞかせていました。

遠目には腹部が赤黒くてツルっとしている印象があったのですが、改めてよく見ると、意外に毛深いのに気づきました。思わず「ムクムクしてかわいい」と言いたくなりましたが、単なるクモ好きのひいき目でしょうか。(学芸班 木村)

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フデリンドウの季節

巷ではソメイヨシノの開花情報があちらこちらに氾濫していますが、博物館お隣の樹林地ではこちらの方が気になります。毎年4月上旬に見頃を迎えるフデリンドウです。

今年は若干遅めで、今、ぽつりぽつりと咲き始めています。先週金曜日が最初の花を見つけた日だったので、これから来週にかけてどんどんと開花しそうです。見頃は今月下旬まで。でも、まわりのほかの植物がまだほとんど出ていないところに、咲き始めの小さな株の花が静かに咲いている景色は今だけのもの。この小さな景色を見るのが毎年の楽しみです。
といいつつ、まわりを見るとタチツボスミレは今が盛りと満開です。

現在林床を被っているうす紫色は、こちらのタチツボスミレのものです。まだフデリンドウはよーくよーく探さないと見つかりません。お間違えの無きよう!
(生物担当学芸員 秋山)

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生まれてしまいました。(クモ)

12月に、寒さで動けなくなっているジョロウグモを捕獲したところ、卵を産んでしまった事を以前に書きましたが、卵のうがついている水槽は屋外に出す機会を逸したまま館内に置いてありました。
先日、プラネタリウムのスタッフから「クモの卵のうになんか赤いつぶつぶが透けて見えます」と教えられ「あ、いかん、孵化してしまった!」と慌てて屋外に持ちだしました。
野生状態からすると1ヶ月早い感じがします。
幸い、外気温も高くなり、寒さにやられる心配はなさそうですが、果たして無事に育つのかどうか…しばらく注目していたいと思います。

今日は既に卵嚢の外に出ている個体も多く、ちょっと失礼して写真撮影を…

赤い「つぶつぶ」は子グモの腹部の色。既に卵のう内で1回脱皮した姿のはずですが、この後分散していく時は違う体色なので、もう1回脱皮するのでしょうか。
それにしても頼りない姿。これがあのジョロウグモになるとは、体型も違うし、ちょっと信じられません。(学芸班 木村)

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アマナ

早春植物の中でも個人的になぜか特に好きな花がこれです。

アマナです。日当たりの良い堤防の法面や畦、雑木林の縁などに咲きます。咲き終わるとあっという間に結実して、地上部は消えてしまいます。しかも、花は日が当たっていないと開きません。今日は絶好の撮影日よりです。資料調査の道すがら、写真を撮ってきました。
同じ場所では、イチリンソウが間もなく開花。中には待っていれば咲くんじゃないか?と思うくらいに膨らんだつぼみもありました。

さらにその帰り道、先日行ったカタクリの里へ。花は盛りを迎えていました。

ちなみにカタクリを真下から見上げると、なんだか絵に描いたような模様です。

近くには、直径3ミリほどの極小の早春植物、ヒメニラも咲いていました。

明日からお天気は下り坂とか・・。年度末なので慌ただしかったのですが、今日のうちに撮影できてよかったです。
(生物担当学芸員 秋山)

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最後のミニ観察会

なんて書くとちょっと大げさですが、「博物館のまわりのミニ観察会」という名で実施するのは今月が最後となりました。来月からは、「生きものだいすきミニサロン」と題して、ミニレクチャーやミニ観察会など、よりバラエティに富んだ内容で実施していく予定です。
さて、今日午前中、最終回のミニ観察会はポカポカ陽気の中で行われました。みなさんが注目している視線の先には・・

先日このブログでもご紹介したミズキの幹にできた樹液のカビです。

一部分を切り取ってじっくり観察・・おそるおそる触ってみました。「ひんやりしてる!」「ぶにょぶにょ!」「おいしそう」反応はさまざまです。

続いて樹林に入り、ミミガタテンナンショウを取り囲んで見ているのは・・

雄花の付け根の小さな穴です。この穴の意味と、雌花には無い怖ろしい理由をご説明しました。

今日はなにやら妖しげなものばかり見てきたので、最後にこの樹林の名物、フデリンドウ探しです。昨日はどうにか痛々しく咲いている一輪を見つけたのですが・・・

ありました!しっかりときれいに咲いている株です。目のいい参加者のお子さんがさらにいくつも見つけてくれました。フデリンドウの春到来です!フデリンドウ(は小さすぎて見えないけど)と一緒に記念撮影。

4年間にわたって実施してきたミニ観察会を無事に楽しく終了しました。
(生物担当学芸員 秋山)

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