カタクリの里

「カタクリの里」と検索すると、いろいろな地域のいろいろな場所がヒットします。
でも、私が一番好きなのは、ここです。緑区某所のカタクリの里。今日の午前中、訪ねてきました。

個人のお宅が裏山をこの時期だけ開放しているのですが、むかしのカタクリの群生地はこんな感じだったんだろうな、と思わせる、とても自然な状態が保たれた里山です。半日陰の北向き斜面に適度な密度でカタクリが、そしてユリワサビやヤマエンゴサク、ヒメニラなどが同居しています。時折木もれびが当たると、花被が妖しく輝きます。

地主さんご夫妻がご高齢になり、今年は看板も出さず、知っている人だけに来てもらえればとお庭でご近所のみなさんなどがお茶を飲んでいました。地元の方に愛されるカタクリの里の春は、もう間もなく過ぎ去ろうとしています。
(生物担当学芸員 秋山)

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今年も見逃した?

写真は、3月23日(月)自宅付近の公園の風景です。

植え込みの上に特徴的な糸の束が…

ジグモの子どもたちが歩きまわったあとです。

根元には確かにジグモの巣がありました。

春先の暖かく晴れた日に、ジグモの子は巣から出てきて高い所に登り、腹部を高く掲げ糸を流します。そして上昇気流をつかまえると、漂う糸にぶら下がって空中に浮かび、拡散していくのです(これを「バルーニング」と言います)。

そのバルーニングをする前に、たくさんの子グモたちが糸を引きながら行列で行ったり来たりするので、冒頭の写真のような糸の束ができるのです。

本当はその様子を見たくて、いつも探しながら歩いているのですが、なかなか出会えません。今年も見逃してしまったようです。

今回見かけた糸は、さらに高い木の上の方までのびていました。子グモたちはうんと高い所から旅立って行ったようです。どうか新天地で無事定着して欲しいものです。(学芸班 木村)

 

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地質調査日誌3/25 相模原市緑区名倉

3月25日、水曜日。晴れ。

今日も相模原市緑区名倉へ調査に出かけました.

山の緑が戻りつつあります。

海底火山噴火によってできた、凝灰岩や溶岩を調査しました。

沢の最上流部は露頭がないので、露頭を求めて急斜面を登りました。

登るのはいいのですが、この急斜面を下るのは危険なので、そのまま斜面を登り尾根に出ました。尾根伝いに行けばハイキングコースに出られるので、帰りはハイキングコースを利用して戻りました。

暑くもなく寒くもなく、野外調査にはちょうどいい季節ですね。

(地質担当学芸員 河尻)

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津久井の山の香り

1階エントランスの正面に本日、木製の展示パネル台が登場しました。

博物館の展示器具類では、こうした木製で表面加工のしていないものはちょっと珍しいですね。じつはこれ、使われている材がすべて津久井産材なのです。緑区津久井地域で育ったスギを使用しています。

顔を近づけると、ほのかにスギ材の良い香りがします。
季節と共に移ろう中庭の自然についてスポット的に解説パネルを設置していこうと考えています。
なお、この展示器具は製作費の一部に「暮らし潤いさがみはら寄附金」を充てています。
(生物担当学芸員 秋山)

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雪男が立ち上がる

先日、中庭のヤブレガサの芽生えをお伝えしましたが、今日見てみると・・・

しっかりと毛むくじゃらの芽が伸びてきています。まるで雪男!
近くには展葉しはじめた葉もあります。

春の足の速さには改めて驚かされます。
前庭のコブシはもう上の方からどんどん咲いています。手が届くところのつぼみはこれから開くところです。

街路樹ではコブシもハクモクレンも満開のところがありますね。自然を相手に仕事をしていると、春は焦るばかりで落ち着かない季節です。
(生物担当学芸員 秋山)

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木の枝にとりついたオレンジ色の物体

今日はいろいろなイベントが折り重なって駐車場は常にたくさんの車が出入りしています。そんな中、職員から「駐車場の木にオレンジ色のヘンなものがついている」と連絡がありました。さては・・と見に行くと

やっぱり!暖かくなってきたこの時期によく見られるもので、木の切り株や虫に開けられた穴などを中心に広がります。写真の木はミズキで、わりと最近剪定したものです。ミズキはその名のとおり、枝を剪定したりすると、地中から吸い上げた水分が切り口からしたたり落ちるほど水気の多い木です。その水の中には糖分などが含まれるため、カビや酵母などのエサとなります。こうして白く泡のようになったものが、いわゆる「樹液酵母」です。しかし、問題の木にとりついているものはすでに蛍光色とも言えるようなオレンジ色です。

しかも、水滴の流れ落ちる部分に沿ってヒダ状のものが発達しています。これはスライム・フラックスというそうで、言わば樹液のカビです。したたり落ちた水滴も同じようなコロニーを形成しています。

自然林などでもよく見られる現象ですが、色が色だけにちょっと異様ですね。
(生物担当学芸員 秋山)

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本年度最後の「星空観望会」でしたが…

予報も良くありませんでしたが、最終回は残念ながら曇りとなってしまい、「星空観望」はできませんでした。それにも関わらず、97名のお客様がお越し下さいました。「星空観望」は実施できませんでしたが、その代わりに、プラネタリウム内で、「星空案内」と、「観望天体の話」を行いました。

その後は希望者のみで、天気が良ければ使う予定であった、天体観測室の口径40cmの大型望遠鏡の見学を行いました。初めて見る方は、その大きさや、普段は見られない望遠鏡の中などをのぞけて、楽しめたのではないでしょうか?

本日の「星空観望会」をもって、本年度は全て終了となりました。

残念ながら、天気の良くない日もありましたが、お蔭様を持ちまして、大きな事故も無く、無事に終了することができました。

来年度は、4月10日(金)が、最初の「星空観望会」となります。平成27年度は全て、「事前申込制」となりますのでご注意下さい。また、4月4日(土)には、「皆既月食を見よう」も開催します。詳細については、下記をご覧下さい。

平成27年度「星空観望会」

皆既月食を見よう
皆様のお越しをお待ちしております。(学芸班 有田)

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イイお顔

昨日の調査の時に見たイイお顔!
まずは、ニホンカナヘビ。

まだ冬眠から覚めて間もない若い個体です。暖かかったとは言え、彼らにとって活発に動くにはまだ寒かったのでしょう。じっくり写真を撮らせてくれました。それにしても、寝起きとは思えないくらい顔つきがきりっとしていますね。
そしてもう一つ、シラキの葉痕です。

間もなく頭の冬芽が芽吹くと、このお顔は新しい葉の陰に隠れてしまいます。
こんな写真が撮れるのも、早春ならではですね。
(生物担当学芸員 秋山)

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メガネドヨウさんじゃないですか

天体観測室に上がる階段。中二階の踊り場からふと外を見ると、小さなクモが網を張って鎮座していました。

水槽の上野あたりにクモが小さく写っています(この写真では見えないほど小さいです)。ちなに見この水槽の中にはジョロウグモの卵があります。

まだ本格的に春でもないし、冬でも時々みられるナカムラオニグモであろう、と思いつつ、まあブログにでも書くか、とカメラを持って近づくと、「??」なんか模様が違う。

写真に撮ってびっくり。あれ?メガネドヨウグモじゃないですか?
水辺のクモとばかり思っていたので、なぜこんな建物の、しかも中二階の窓なんかに造網しているのか、謎。
まあ、いるんだから仕方がありません。ちょっと面白い事例として心に留めておくことにします。ひょっとしてこれからも水辺っぽい生き物が他にも見つかるんじゃないかと密かに期待しつつ…(学芸班 木村)

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歩けば春に当たる

この季節、ただ歩いているだけで、春に遭遇します。今日は緑区某所へ、来年度から本格的に始まるやもしれない絶滅危惧植物の保全研究の現場へ、下見と地主さんへのご挨拶に出かけました。展示の準備など日程的にちょっときつかったのですが、無理をして出たかいがありました。

チョウジザクラが満開。低地の植栽のサクラよりも一足早く咲く可憐な花です。
そして、キクザキイチゲも咲き始めていました。早春植物のトップバッターですね。

まだ咲いていないと思っていたオカオグルマも。

少し足をのばした休耕田には、ヤマアカガエルの卵塊やオタマジャクシがわんさかいました。まだゼリーにしがみついて離れたくなさそうなふ化直後のオタマです。

尾芽胚期(いわゆるダルマ胚)の卵も。産卵から4、5日程度でしょうか。水温がまだ冷たいので、これでもゆっくりな方ですが、わずかな期間で尾芽胚期、オタマジャクシへと成長します。生命の神秘ですね。

まだまだ春を見つけてきたのですが、載せきれないのでまた後日・・。
(生物担当学芸員 秋山)

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