はやぶさの成果を社会へ(川口淳一郎先生の講演会)

今日は午後から大会議室にたくさんのお客様がご入場されました。
それもそのはず、総合学習センター主催の研究機関等公開講座・宇宙科学研究所コースとして、川口淳一郎先生(宇宙航空研究開発機構シニアフェロー)の講演会が行われたのです。

小惑星探査機はやぶさの成果が意味するもの、そして、そこから導かれる人間形成のヒントなどについて、わかりやすく語りかけてくださいました。

ユーモアあふれる語り口の中に、宇宙探査の最前線を駆け抜けた技術者、研究者としての自負と誇りが垣間見えます。会場を埋めた聴講者のみなさんの表情からも、はやぶさが私たちの社会にもたらした大きな成果を目の当たりにした気がしました。
(生物担当学芸員 秋山)

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HAYABUSA2 RETURN TO THE UNIVERSEまだまだ上映します

昨年12月に打ち上げられた小惑星探査機「はやぶさ2」。先日、初期機能確認を終え、巡航フェーズに移行したという発表がありましたが、

表題は、その「はやぶさ2」をテーマにした全天周映画、当館でも7月から上映を続けています。上映開始からもう半年以上になるので、ここでちょっと内容を紹介したいと思います。

この作品は「はやぶさ」のミッションと帰還を描き、その成果と偉業を世に広めるのに大きな役割を果たした「HAYABUSA BACK TO THE EARTH」と同じ上坂浩光監督によるCG映像です。

前半は「はやぶさ」帰還によりもたらされたもの、そこに込められた人々の想い、そしてその「想い」によって一度頓挫しかけた「はやぶさ2」ミッションが復活する様を描きます。見どころは計画に実質上のゴーサインが出て「はやぶさ」がよみがえる、という設定で「はやぶさ2」のミッション内容と、メカニズムを説明するシーン。頭上いっぱいに「はやぶさ2」の内部構造が広がり、説明とともに徐々に組み上がっていきます。イメージ的には某掃除機のCFのような感じですが、何せテーマが小惑星探査機です。ワクワク感が半端でありません。
個人的に大好きなのは、切り離しカメラや地上探査機のところ。サブ画面には切り離されたカメラ屋地上探査機の視点で見た映像が描かれ、ゆっくりと回転したり、跳ねたり、振動したりしています。ディテール好きの私にはたまらない場面です(マニアック過ぎ?)。

後半は、ロケットの説明です。なぜ宇宙に行くにはロケットが必要なのか、探査機を宇宙に送り出すためにはどれだけ膨大なパワーが求められるのか、感覚的にも非常にわかりやすい映像で説明されます。
そして、圧巻は「はやぶさ2」打ち上げシーン。轟音を上げて空を駆け上がるロケットを間近で空撮したかのような映像は、まさに「見たことがない」CGでしか体験することができない映像です。おまけに「リベットの位置まで再現した」というロケットはは本物としか思えません。
やがて、宇宙空間の静寂につつまれ、切り離される「はやぶさ2」。その先に見えるものは…と、ここはあまりにも作品のテーマに関わるシーンなので、描写は控えましょう。

観終わった後、「はやぶさ」が皆の想いに押されて宇宙に旅立った…そんな感情が、余韻のように残ります。作品中ではしばしば「はやぶさ2」を「はやぶさ」と呼ぶのですが、見ているうちにそれも自然な事に思えるから不思議です。

ところで皆さんは、宇宙に行きたいですか?
私は宇宙空間から地球を見る機会があるなら、ぜひそうしたい、と思いますが、地球を離れて暮らしたいかというと、そうは思いません。
この作品の中では「私達の先祖が小舟で大洋に漕ぎだしたように、人類が宇宙に向かうことは自然なこと」という趣旨のナレーションがあるのですが、確かに好奇心が人類を突き動かしている事には賛成です。しかし、その向かう先は宇宙だけではない、と思っているからです。
地球上にも、まだ知られていない事がたくさんあります。高い山や深い海の底もそうですし、ごく身近な場所でも、ちょっと見方を変えるだけでとてつもなく豊かな世界に変わると思っているからです。そんな場所を捨ててまでどこかに行きたいと思わない、という気持ちが強いのだと思います。
話が大げさになりましたが、この作品を観ると、ちょっぴりそんな事も考えたくなります。

さて現実の「はやぶさ2」は、地球から約3,700万kmの場所にいて、11-12月に実施する「地球スイングバイ」で目的地への軌道に入るための加速を続けています。みなさんもぜひ「HAYABUSA2 RETURN TO THE UNIVERSE」を観て、一緒に応援しましょう。
当館では4月以降も上映を続ける予定です。「相模原に行くのは遠い!」という方もぜひお近くの上映館を探してご覧になることをおすすめします。(学芸班 木村)

ポスターには3月31日まで、とありますが、まだまだやります!

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曇ってしまいました…

今日は、星空観望会でした。天気予報は「曇り」とよくありませんでしたが、残念ながら予報どおり天気がすぐれず、星空は見られませんでした。このような日は、本来見られるはずであった、天体や星座の解説をプラネタリウムで聞いた後、希望のお客様には、天体観測室の大型望遠鏡を見ていただいて解散となります。
 
このような天気にもかかわらず、32名の方が参加下さいました。今回は残念でしたが、毎月開催していますので、また、お越し下さい。お待ちしております。
(学芸班 有田)

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フィールドワークの成果(麻布大野動研発表会)

毎年この時期の楽しみのひとつ、今日は麻布大学野生動物学研究室の卒論・修論発表会が行われました。

高槻成紀教授をトップとして、あくまでもフィールドワークにこだわりを持って研究を展開しています。私はこの研究室のファンを自認し、成果発表の場であるこの発表会を何よりも楽しみにしています。学生さんたちの発表からは、フィールドワーカーとしての素直でシンプルな発想を学術研究へと昇華させる熱意と教育の充実を感じます。休憩時間も、質問者と熱心なディスカッションがあちこちで行われています。

高槻先生は今年度で退官となりますが、野生動物の生き様を、野外で広い視点から把握しようとする理念は、今後も受け継がれていくはずです。発表者と教官のみなさんとの記念撮影です。

研究室の風通しの良さと、指導教官と学生さんたちの信頼関係の強さを感じられる気持ちの良い一日でした。
(生物担当学芸員 秋山)

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博物館のお仕事を見る(共和小)

今日午前中、一番近い小学校である市立共和小学校から6年生7名が来ました。キャリア教育の一環として、仕事の現場を見学する総合的な学習ということで、博物館を選んでくれた生徒さんたちです。博物館の概要をお話しした後、早速仕事の一つを実地でお見せしました。

次の企画展のポスター・チラシの校正戻しです。印刷屋さんは突然の見学者に驚いていましたが、おそらく生徒さんたちが予想していなかった博物館の仕事の一端を見せられたと思います。
続いて、今日はさがみはら動物標本クラブの活動日だったので、ちょっと生々しいはく製製作の現場を見せています。

実物の標本(=死体)を目の前にちょっと緊張気味です。でも、博物館ではなぜこうした標本を集めるのかということを丁寧に説明したので、作業の意味合いなどもしっかり受け止めてくれたようです。
動物の後は植物です。ハーバリウム(植物標本庫)に行って、5万点以上の押し葉標本の収蔵状況や、標本が内包する情報の意味などを説明しています。

生きものや博物館に興味を持っている生徒さんばかりのようで、とても熱心に話を聴いてくれました。
(生物担当学芸員 秋山)

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地質調査日誌3/4 相模原市緑区名倉

3月4日、水曜日。晴れ。

久しぶりに相模原市緑区名倉へ調査に出かけました.
この辺りに分布する凝灰岩のなかまや溶岩を調査しました。これらの岩石は海底火山噴火によりできたものです。

今日は晴れて暖かく、調査するのにちょうど良い陽気です。

暖かさに誘われて、久しぶりに沢に入ってみました。

小さな沢なので、あまり良い露頭はありませんでした。露頭はこんな様子です。

暖かいのはいいのですが、この時期は、花粉症がちょっと辛いです。

(地質担当学芸員 河尻)

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野みちの春、その2

先日、調査で訪れた県内某所の野みちにちょっとやり残したことがあったので、休館日でしたが、今日も行ってみました。
昨日とは打って変わって穏やかな春の陽気に、テングチョウが元気に飛び回っていました。

成虫のまま越冬して早春から飛び回るので、このチョウを見ると春を実感できます。
水田の脇にはたくさんのセリ。食べ頃ですね。ちょっとつまむと、春の香りがあたりに漂いました。

セリの葉の上を、ナナホシテントウがせわしなく歩き回っていました。

用水の底にいたイモリ。水温も高くなってきたのでしょう。

小鳥たちを観察していたら突然鋭い声を発して飛び去りました。上空低いところをオオタカが飛んだのです。

でも、盛んに2羽が鳴き交わしながら飛んでいたので、小鳥どころではなく、繁殖期の始まりのようです。
今日も春を満喫しました。
(生物担当学芸員 秋山)

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他館からのお客様

今日は、藤沢市にある「湘南台文化センターこども館」から、友の会のみなさんが、見学にいらっしゃいました。
JAXA相模原キャンパスの見学とセットで、友の会としての施設見学はこれが初めてとのこと(会も発足したばかりなのだそうです)。

参加人数は主催者も驚いたという、60人!遠いところからありがとうございました。
まずはエントランスで概要説明。

そこからは2班に分かれて、天文展示室と、天体観測室の見学。
私は天文展示室をご案内しましたが、大勢を相手に少々緊張し、やや舌が回らず失礼しました(実は軽いパニック状態)。

コズミックシアターも、ぎゅうぎゅう。狭くてすみません。

天体観測室は、自慢の40cm望遠鏡で昼間の星をみていただく予定でしたが、あいにくの雨。
望遠鏡のみの見学となりました。
でも熱心に最後まで残って話をきいてくれた子も…プラネタリウムにおくれちゃうよ!

最後に希望者のみ(ほとんど全員だったそうですが)プラネタリウムを観覧。
当館の解説員曰く、「皆さんプラネタリウムの楽しみ方が上手で、楽しく投影できました!」そうです。
さすが、プラネタリウム館の友の会の方々ですね。ご協力ありがとうございます。
これを機会に、また足を運んで頂けるとうれしいです!今度は晴れた日にもぜひどうぞ。(学芸班 木村)

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城山エコミュージアムのつどい

今日は、相模原市緑区の城山公民館で開催された「城山エコミュージアムのつどい」で相模原の地形・地質について話をしてきました。多くの方にご聴講いただきました。


参加された皆さんにはとても熱心に聞いていただきました。また、質疑応答でもいくつか質問が寄せられました。

時間の都合で(私が話しすぎたせいですが)、全ての方のご質問にお答えできなかったので、申し訳なく思っております。

今回の講演を通して、より多くの方が地質学に興味を持っていただければと思います。

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敵(かたき)を知る ミニ観察会

ものものしいタイトルですが、今日の「博物館のまわりのミニ観察会」は、今がピークのスギ花粉を観察しました。
と、その前に、駐車場で春さがし。小さいながら日だまりで咲く花を探してもらいます。

すぐに見つかったのは、オオイヌノフグリ。凜として美しいですね。

さらに、2ミリ程度の大きさしかないタネツケバナの花を見つけてくれた参加者もいました。その後、公用車駐車場に行き、フロントガラスに積もった花粉を採取。花粉対策ゴーグルをしている子も勇気を出して採取してくれています。「敵を知ることも大事」とお母さん。

そして、実習実験室へ場所を移して顕微鏡観察。

これは今日撮影した画像ではありませんが、スギの花粉です。球形で突起が一つあるのが特徴です。

おまけで、夏の花粉症の原因、オオブタクサの花粉です。こちらは博物館の押し葉標本から採取しました。

花粉のアレルギーは、窒素酸化物なども作用している可能性が疑われるなど、必ずしも花粉だけが原因ではないと言われています。しかし、間違いなくその引き金を引く存在ではあります。マスク姿の参加者のみなさんも、敵の姿を食い入るように見つめていました。
(生物担当学芸員 秋山)

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