学校と博物館の連携を進める研究会

今日の午後は、なにやら堅苦しそうな名前の会議が行われました。
でも・・実際はまったくそんなことはなくて、博物館と学校が連携して効果的な学習成果を上げられるよう、開館以来、定期的に行われている会議です。

今期は特に、大きなお題目があります。それは、毎年行われている学習資料展を大幅にシフトチェンジして、研究会の先生方(小中学校)と学芸員が協働で展示を作っていこうというものです。上の写真は、各分野の学芸員と担当の先生方の打ち合わせ風景です。
生物分野では、小学3年生を対象としたカイコの展示を作ろうということになりました。収蔵庫に先生をご案内して、資料の確認をしています。

先生が見ているのは、

カイコの一生を模型にしたものです。超リアル!何年も前の展示で使用し、しばらく収蔵庫に眠っていました。
これを、小学生向けの展示としてどう展開していくか、これから考えていきます。他の分野もいろいろなアイデアが出ているようです。秋の展示に向けて、みんなで楽しく考えていきたいと思います。
(生物担当学芸員 秋山)

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地質調査日誌2/19 相模原市緑区青山

2月19日,木曜日.晴れ.

今日は仙洞寺山中腹の林道で調査を行いました.天気は良く、気温も暖かく、野外調査日和です。

その前に、道志川の下流部にちょっと気になるところがあったので、まずはそちらへ向かいました。

対岸から確認するだけのつもりでしたが、渡れそうだったので、道志川を渡りました。

渡ってみたところ、目的のものは見つからず。仕方がないので、引き返しましたが、その時にアクシデントが…。
戻ろうとしたら、思っていたより水深が深く、片方の長靴に水が入ってしまいました。来た時と異なるルートで、しかも、最短距離で楽をしようとしたのが間違いでした。暖かいのでつい油断をしてしまいました。この時期の長靴への浸水はかなり辛いです。

気分が少し萎えましたが、この後は、当初の予定通り仙洞寺山林道へ向かいました。長靴での調査は諦めて、運動靴で調査することにしました。靴下は替えがあったので履き替えましたが、ズボンの裾は濡れたままです。

林道は部分的に舗装されており、歩きやすく、運動靴のままでも十分と思っていたら、標高300mを超えてからは路面にも雪が残っていました。

日の当たる場所は雪が溶けていたので、日陰の雪を気をつけながら調査を続けました。

1月28日の調査と同じような礫岩や砂岩が見られました。玉ねぎ状風化も見られました。下の写真のハンマーの先あたりには断層があります。

風化している場所が多く、あまり良い露頭はありませんでした。風化がそれほど進んでいない場所で、砂岩を採集しました。

林道の途中からは、道志川や相模川がつくった河岸段丘を見下ろすことができました。

日陰は寒かったのですが、日向は暖かく、調査しやすい陽気でした。初めに長靴に浸水しなければもっと良かったのですが…。

(地質担当学芸員 河尻)

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職業体験(相模原中等)

火曜日(2/17)から3日間、県立相模原中等教育学校から2年生4名が職業体験に来ていました。
展示室の開閉室や学校利用のお手伝い、専門分野の資料の取り扱いをボランティアさんと行ったりと盛りだくさんの内容で、3日目の今日は午後から植物標本の取り扱いを体験しました。

専門ボランティアの相模原植物調査会の方から指導を受けます。作業の一つ一つに「永久保存させるための理由」があります。
とても前向きに、集中して楽しみながら作業を進めてくれました。

そして最後は恒例、展示解説です。調べたことをよく理解して話しているのがわかりました。

たくさんの職員やボランティアさんたちが博物館で活動していることを理解してもらえたことと思います。
(生物担当学芸員 秋山)

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はく製としてよみがえる

今日はさがみはら動物標本クラブの活動日でした。そして、標本師のAさんが活動日に合わせて、お正月に入手したフクロウの本はく製づくりに来てくれました。

作業の一つ一つ、道具の加工の細部に職人のこだわりがあります。上の写真は支えとして入れる針金の先を研磨して尖らせているところです。こうしてあんこ(はく製の中身)に通す時に型崩れさせないようにするのです。
標本師の手元に、みんなかぶりつきです。

ぺったんこだった羽と皮が、見る見るもとの肉付きを取り戻していきます。

まだ完成ではありません。もう一仕上げですが、それはまた次回の活動日に・・。

はく製としてよみがえったフクロウは、博物館資料として永遠の命が吹き込まれます。
標本師の技に圧倒された一日でした。
(生物担当学芸員 秋山)

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全国科学館連携協議会国内研修

以前、似たようなタイトルで「関東ブロック会議」というのを紹介しましたが、今回は全国規模の研修会。静岡科学館「る・く・る」で2月15日(日)・16日(月)に開催されました。
現在「る・く・る」では「しずおか自然体験ミュージアム~みて・きいて・さわって・おいしく!?自然を楽しむ企画展~ 」を開催中です(2月22日(日)まで)。


会場を深海、森、水辺、山などのゾーンに分け、体験しながら静岡について学ぶ企画展で、実験コーナーあり、水槽の生き物あり、動物の剥製あり、はたまた富士山の形をした滑り台や、富士山頂の気温体験コーナーまで盛り沢山の内容です。一角に特産品のコーナーも有り、特産品をテーマにトークライブを開いていたり、楽しい展示でした。

会場視察の次は事例発表。今回のテーマは「ユニークな実験ショー」。発表はそれぞれ工夫をこらしたものばかり。


残念ながら当館では実験ショーというのはあまり開催する機会がないのですが、「見せ方」「ひきつけ方」という点で、非常に参考になりました。
こういった事例発表は、館によってはそのまま使える材料もあり、情報交換の場として非常に有効です。

2日目は東海大学海洋科学博物館と自然史博物館視察。
ここは日本ではじめてカクレクマノミ(アニメキャラにもなった、あの魚です)の繁殖に世界で初めて成功した施設だそうで、いたるところにクマノミがいました。


ちいさいのがこんなふうにうじゃうじゃ。


もちろん、研究施設ですのでいたずらに増やしているわけではありません。水槽にはいつ産卵したか、いつ孵化したかなどがメモされています。
こうした強みがあると、他の館と動物を融通し合うこともできて良いのだそうです。

また、駿河湾を中心にさまざまな標本を所有しており、特に保存が大変な大型の標本を研究するために訪れる人も結構いるのだそうです。展示室にも様々な標本(駿河湾の特徴である深海生物が多いようです)が展示されています。

この海洋科学博物館が「魚の博物館」とすると、隣接する自然史博物館は「恐竜の博物館」。

展示室には大型の恐竜骨格が所狭しと並んでいます。
これに合わせて設計したのではなく、元々あった建物に展示物を入れたため、搬入や展示には大変苦労したそうです。

 

こちらはマンモス。牙が天井につきそうな、絶妙なポーズで展示されています。


実はこれらの骨格はレプリカなのですが、現生の生物と違い、絶滅した生物は、たまたま見つかった化石が研究対象になります。従ってそう簡単に誰もが現物を調べるというわけにはいきません。「正確に作られたレプリカは、本物と同じ意味があるのです」と、力説されていました。
まったくそのとおりで、分野や研究対象によって「本物」の意味も違ってきます。こういった事が実感できるのも、自分の職場とは違ったタイプの博物館の視察だからといえます。

こちらは現代の風景。かなりの部分を手作りしているそうです。

普段事務に追われる事が多く、外になかなか出られないのですが、たまたま日程が合ったので参加した研修は、実り多いものでした。この経験を自分の館に生かせればと思います。


これは少し時間に余裕があるからと案内して頂いた三保の松原でのひとコマです。富士山がきれいに見えて、皆、思わず写真を撮っていました。私自身も写真を撮りながら富士山がこんなに近くで毎日見える、というのはどんな感じなのだろう、とふと考えていました。今回、開催館スタッフの皆さんの地域への愛情をいろいろな面で強く感じたのですが、もしかしたら富士山というシンボルが地域愛を育てるのに一役買っているのかもしれないな、と思います。(学芸班 木村)

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このままでいいのか!!外来種問題 Part.2

今日は小田原の神奈川県立生命の星・地球博物館で行われた表記のシンポジウムに参加してきました。

この参加者の数が、関心の高さを示しているとともに、主催の酒匂川水系の環境を考える会のポテンシャルの高さを感じます。

昆虫や植物、魚類などの外来種問題を概観する中で、野鳥の外来種問題の難しさなどについてお話ししてきました。
神奈川県は生物相のインベントリー調査が突出しているだけに、外来種問題もシビアに対処していかなくてはなりません。こうしたシンポジウムが外来種問題について考える大きな一歩となることを強く願っています。
(生物担当学芸員 秋山)

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珍しい鳥

今日、さがみはら動物標本クラブのS氏から連絡が来ました。
「よくわからないカモメが弱って保護されたんですけど」
写真を送ってもらったら・・

なんと、ミツユビカモメという相模原では大変珍しい(初めての)カモメでした。
後指(第1指)が極端に短いのでこのような名前がついています。

S氏はすぐに、厚木にある県の自然環境保全センターへ持ち込み、保護してもらったそうです。翼の骨が折れているとのことだったので、野生復帰は難しいかもしれませんね。私は博物館の用事でどうしても見に行かれなかったのですが、相模原で初めて、県内でも内陸では非常に珍しい記録なので、ちょっとドキドキしました。
(生物担当学芸員 秋山)

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寒川で探鳥会

今日は毎年恒例となっていますが、寒川町環境課主催の野鳥観察会(探鳥会)のお手伝いに行ってきました。

ここ何週間かの休日でも1、2を争う良いお天気!しかも、風もほとんど無くてぽかぽか。富士山も美しく裾野を広げています(写真の中央奥)。

そんなコンディションの良さに輪をかけてすばらしかったのが、初っぱなからこんな鳥のお出まし・・

タゲリです。毎年観察していますが、今年は特に近い位置で観察できました。しかも、参加者全員が望遠鏡でゆっくりと!4羽が日なたぼっこをするように冬の田んぼで休息していました(写真は、望遠鏡にコンデジを押しつけて撮ったものです)。参加者のみなさんに、「これがあたりまえだと思わないでくださいね!相当ラッキーなシチュエーションだし、そもそも他の地域でこんな確実にタゲリを見ることなんてできませんよ」と強調しておきました。
さらに、ふだんは上空高いところを見上げて観察していたノスリが、なぜか畑に降りていました。若い個体です。こちらもじっくり観察。

さらにさらに、ドバトの群が慌てて飛んだので、さてはと思い目をこらすと、オオタカ!成鳥の美しい個体が、ご丁寧に私たちの頭の上を飛び去っていきました。
あまりのお天気の良さに、ヒバリがさえずっていました。風は冷たくても、着実に春は近づいています。
(生物担当学芸員 秋山)

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公園の池にカイツブリ

通勤途中で時々寄り道する公園にちょっとした池があります…もともと大きな沼地だったところを埋め立てて作った場所なので「ちょっとした」なんていうと罰が当たりそうですが…それはとにかく、その池に小さなカモがいます。

まるでカルガモの子どもか?というような小さなカモですが、れっきとした大人です。名前は「カイツブリ」。
たぶん名前くらいは聞いたことがあるという方も多いのではないかと思います。
このカモには特技があります。

潜水です。カイツブリは水にもぐって小魚や昆虫類などの動物性の餌をとります(カモの仲間には、潜水して餌をとる種が結構います)。

もぐった後には波紋が広がるばかり。

しばらく経つと、ちょっと離れた場所にひょっこり現れます。

見ていて飽きません。

昨年の秋ぐらいから、ここにいるのに気付いていたのですが、他所に移動する様子がありません。
よほどこの場所が気に入ってしまったのでしょうか。今日もひょこひょこ首をうごかす独特の動作をしながら、池をのんきに泳ぎまわっていました。(学芸班 木村)

※この記事を掲載後「カイツブリはカモとは違う分類群なので、文章がおかしいのでは」というご指摘をいただきました。おっしゃるとおりで、単に「カモのような形をした水鳥」くらいの意味で「カモ」という単語を使っています。そのつもりでお読みいただければと思います。
この一件で、自分が得意な生物(クモ類)以外では、うっかりこういう不用意なことをやってしまうという事を改めて自覚しました。以後、気をつけなければと自戒しています。(木村)

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春が待ち遠しい!

一年で一番寒い季節だから、そんなことあたりまえなのですが・・
博物館で一番セキュリティレベルの高い空間、特別収蔵庫で静かに春を待つ作品群があります。

市内在住の生物細密画家、松原巖樹さんの原画作品です。
4月18日から開催予定の春季企画展「図鑑の生きものいろいろ!松原巖樹生物細密画原画展」に出展される原画の一部を開梱し、作品ごとの詳しい大きさなどのチェックを行いました。
生きものたちの自然な姿と、科学的に正確な描写が両立した作品群、自然の造形美に息を呑みます。まだ詳細は発表になっておりませんが、来月にはホームページ上などで詳しくお知らせいたします。春を待ち遠しく感じる理由がまた一つ!お楽しみに!
(生物担当学芸員 秋山)

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