着々と

昨日、相模川へ調査へ行ったついでに、カワラノギクの保全圃場に立ち寄りました。昨年咲いたたくさんの株が種子を実らせて、青空をバックに黄金色の綿毛をなびかせています。

これからぽろぽろと種子が落ちて、条件さえ良ければ4月には発芽するはずです。
足下には、今年咲くであろう、越冬株がしっかりと立ち上がっています。

そのあとに行った、対岸の愛川町の雑木林。

林内から見ても視界はすっかり青空へと抜けています。でも、それぞれの枝先には休眠芽(冬芽)がしっかりと準備されているはず。着々と次の季節への準備は進んでいます。
(生物担当学芸員 秋山)

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全国科学館連携協議会関東ブロック会議

長い名前ですが、今日、博物館でそういう会議が開かれました。
参加者は全天周映画「HAYABUSA 2 RETURN TO THE UNIVERSE」を観た後、JAXA相模原キャンパスを見学、資料の借用方法のレクチャーを受けました。

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こういうメニューだと判っていて参加している皆さんなので当たり前なのですが、近辺の科学館・博物館関係者の方に「HAYABUSA 2」も、JAXA相模原キャンパス見学も初めてという方が結構いるので意外な気がしました。知らないうちに自分の常識を作ってしまっているものだと実感しました。

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もちろん博物館の展示室もご案内。

この後の会議ではそれぞれの館が抱える問題や、関東ブロックとして取り組める事項について話し合いましたが、なるほど、それぞれに話をしていただくとやはり参考になります。短い時間でしたが、実りある会議となりました。情報交換自体が既に連携なのだ、と気付いたのも収穫でした。

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こんな風に複数の館が情報を共有する事でお互いにレベルアップして、それがより多くの利用者に還元できれば良いなと思います。(学芸班 木村)

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交流は続く

昨日、博物館の仕事を終えて横浜へ駆けつけました。ドイツから来日された日本文学研究者のDr.ハイケさんにお会いするためです。
3年前、文部科学省の交流事業でドイツへの派遣団に加わり、2週間、ベルリンとラインラント地方の博物館、美術館をたくさん巡りました。そのようすは現地からこのブログへもアップしましたが、その時の現地通訳として大変お世話になったのが、ハイケさんです。知性にあふれ、謙虚で誠実なお人柄は、昨年までの3次にわたった日独交流派遣団の全員からの尊敬を集める方です。

今回はドイツの企業の日本法人へ、異文化コミュニケーションの講師として来日され、朝から夜までみっちりと日本人社員へ研修を行うため来日されたとか。その合間をぬって私たち派遣団メンバーのために時間をさいてくださいました。
日独双方の派遣団の交流はこうして今も続き、これからさらに大きな花を咲かせることになるかもしれないと感じたひとときでした。
(生物担当学芸員 秋山)

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タイムリーなチャレンジ体験はいかが?

今日はたくさんのボランティアさんたちが博物館の2階で活動していました。みなさんいろいろな作業をしていましたが、お帰りになったあとふと喫茶室をのぞくと、大きなテーブルの上に・・

折り紙のおひなさまでした!

これは、市民学芸員のみなさんによる作品です。じつは、このおひなさまの折り方を教えてくれるイベントがあります!
学習資料展のチャレンジ体験コーナーです。次回は今週末の1月25日(日)。2月にも2回実施するので、そのどれかに来ていただくと、ひな祭りに間に合うタイムリーな折り紙を体験できます。また、1月25日は年に一回の恒例となっている繭うさぎ人形づくりのワークショップもあります。どちらも市民学芸員のみなさんがやさしく教えてくれます。詳しくはイベントカレンダーをご覧いただき、ぜひお気軽にご参加ください!
(生物担当学芸員 秋山)

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思い込みは禁物

先日、博物館の前の木立をいつものように眺めながら、何か生き物(私の場合、それはほぼクモを意味するのですが)はいないかなーと考えていると、何やら見慣れたものが視界に入りました。

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こ、これはジョロウグモの卵のうではないですか!
何を慌てているのかというと「ジョロウグモは木の幹に卵のうをつくる」というのが常識で、こんなのは初めて見たからです。
ある程度知っている生き物だと「大体こんなところにいる」というイメージができていて、探す時には大いにヒントになるのですが、それを過信していると時々こんな風に裏切られます。
またしても「謙虚に観察しなくては」と、思い知らされました。ん?なんか一つ前のAさんの記事に似てるぞ?!と思った方、それだけ大切な事なのだと思ってご容赦ください。決してパクリではありません。(学芸班 木村)

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越年草

博物館お隣の樹林地はいま、きれいに草刈りがされて地面まで冬の日射しがふりそそいでいます。そんな中、ふと地面を見ると、フデリンドウの芽生えが出ています!こんなに早く!?

まずいなあ、今年はなにか気象条件でもおかしかったのかな、雪でも積もったら枯れちゃうかな、などと焦っていたら・・
里山管理をされているボランティアさんから「フデリンドウは越年草だから今芽生えていて正解」とひとこと。なんたることでしょう!十何年ここのフデリンドウを観察してきて、いつもは「フデリンドウ、咲くかな?」と3月くらいから観察を始めていました。だから、冬にはもう芽生えていたなんて気がつきませんでした。考えてみれば、早春植物なのであたりまえです。
まだまだ観察力が足りません。
(生物担当学芸員 秋山)

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天使の跳躍

今日は休館日でしたが(最近この書き出しが多いですね・・)、宮ヶ瀬へ野鳥の調査に行ってきました。そこで見た天使。

バードウォッチャーなら誰もが、目の前に現れるとあまりの可愛らしさにとろけてしまう鳥、エナガです。せわしなく枝から枝へとうつりながら採食中、偶然撮れたカットです。

こんななんでもない仕草なのに、これまた可愛い!!
エナガだけではせっかく撮影したほかの鳥に申し訳ないので、これまた美しすぎるジョウビタキも。

日本では冬鳥の代表選手のようにさえ言われてきた本種も、近年、山梨県の山間部などで繁殖しているのが発見されています。そのうち留鳥として定着するのでしょうか。
野鳥の世界、いろいろとおもしろいですね!
(生物担当学芸員 秋山)

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戦のあと

このブログにたびたび登場するネナシカズラですが、先日、相模川の河原でこんな光景を見ました。

昨年の夏から秋に大繁茂したネナシカズラの、なれの果てです。アカメガシワなど、あたりの灌木や草本にところ構わず巻き付いて寄生していたようです。畳2畳ぶんくらいの広さを完全に覆い尽くしています。すさまじい繁殖力。

こうして果実が実っているので、また来年も同じ光景が繰り返されるのか・・。
でも、この規模で繁殖したあとは、だんだんと規模が小さくなり、いつの間にか消えてしまうことがよくあります。覆われた寄主の植物が枯れたり株の勢いがなくなれば、当然寄生している方も安泰ではありません。
刹那的な繁殖のようすに、やっぱりなんだか心惹かれてしまいます。
(生物担当学芸員 秋山)

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博物館で平和学習

昨日(1月15日)の事ですが、中学生が団体で来館しました。
平日ですので、もちろん授業の一環です。この時期、小学校はよく来るのですが、中学校はあまり見かけません。
実は、修学旅行の行き先が広島なので、事前学習のために博物館で開催中の「ながさき 戦争・原爆被災展」、学習資料展「戦争と生活」を見に来たのだそうです。
博物館を平和教育に使っていただけるとは、大変嬉しい事です。普段あまり取り扱わない戦争を扱った展示ですが、やってみてよかったと実感がわきました。

見ていて決して明るい気持ちになれる展示ではありませんし、職員の説明からも戦争の悲惨さが十分すぎるほど伝わったのではないかと思います。どうかその気持ちから目を背けず、修学旅行で心に残る体験をしてきて欲しいと思います。
この「ながさき 戦争・原爆被災展」は2月1日(日)までです。長崎市の原爆資料館所蔵の資料を見る良い機会ですので、ぜひご覧ください。また、学習資料展関連で昔の遊びや紙芝居を体験できるイベント「チャレンジ体験」も月2回程度開催していますので、どうぞお子様連れでもご来館きださい。(学芸班 木村)

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メンテの日

床に並べられたこれ、なんだかわかりますか?よく見れば、「ああ!」と思われると思います。

答えは、火災報知器のベル(手前)と、非常ボタンのカバーです。
今日は祝日翌日なので、休館日でした。でも、駐車場にはたくさんの車があるし、館内もたくさんの人が動き回っていました。休館日にしかできない作業である、火災報知器や大型シャッター、プラネタリウム機器などの点検、交換、修理が行われていたのです。

収蔵庫にもたくさんの火災報知器や感知器、消火栓があるため、学芸員が立ち会います。
合間に、天体観測テラスから雲一つ無い丹沢の遠景をパチリ。

空調機械室では、なんだか配管マニアの方に喜ばれそうなものをパチリ。

時折こうして、ふだんあまり入らないような場所に行くと、館内の設備やまわりの風景など見直すよい機会になります。その記憶が、後で思わぬところで役立つこともあります。設備関係の図面などこんな時しか見ることはありませんし、「あの展示で使った台、どこにしまったっけ?」「ああ、○○収蔵庫で××をのせるのに使ってたよ」などなど。館内観察の一日でもありました。
(生物担当学芸員 秋山)

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