硬度計修復作業

1月13日(土)にボランティアグループの相模原地質研究会と一緒に鉱物の硬度計の修復作業を行いました。

硬度計といっても硬度(硬さ)を測定する器具や器械ではありません。硬さの基準となる10種類の鉱物を1セットにしたものを硬度計と呼んでいます。一般に使われているのはドイツの鉱物学者モースによって選定された次の鉱物からなるモース硬度計です。

硬度1:滑石(かっせき)、硬度2:石膏(せっこう)、硬度3:方解石(ほうかいせき)、硬度4:蛍石(ほたるいし)、硬度5:燐灰石(りんかいせき)、硬度6:正長石(せいちょうせき)、硬度7:石英(せきえい)、硬度8:トパーズ、硬度9:コランダム、硬度10:ダイヤモンド

今回修復した硬度計は、お茶の水女子大学から寄贈された岩石や鉱物標本に含まれていたもので、昭和初期のものではないかと考えられます。

モース硬度計の外箱

ふたを開けたところ。この硬度計には硬度10のダイヤモンドは含まれていません。

箱が汚れていたり壊れたりしているので、修復作業を行いました。はずすことができるパーツはバラバラにして、ブラシや雑巾で汚れやカビを拭き取りました。

標本の下にあった綿は新しいものと取り替えました。

標本はブラシで擦って、水洗いをしました。

箱のパーツは細かいところまで作り込まれており、全てのパーツに上下左右や裏表があるのですが、ちょっとした違いなのでよく見ないと気がつきません。この箱の組み立てが一番難しく、作業がはかどりませんでした。

箱の部品は細部までこだわって作られており、当時の職人技に感服しました。

鉱物標本の状態はとても良かったので、標本だけを残しておいて、箱は捨てることも考えましたが、丁寧に作られた箱を捨てるのはもったいなく思われたので修復することにしました。

なかなか作業が進みませんが少しずつ修復して、約10セットある硬度計をすべて元の状態に近づけたいと思います。

(地質担当学芸員)

【休館のお知らせ】相模原市立博物館は館内エレベーターの改修工事のため、令和6年2月29日まで休館となります。休館期間中も職員は出勤しております。電話や電子メールなどは通常どおりつながります。また、休館期間の学芸員の活動の様子などはこのブログや、SNSなどで発信してまいります。ご迷惑をおかけしますが、ご理解とご協力をいただきますようお願いします。

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事件現場

1月18日、職員の一人から、駐車場に鳥の羽が散乱していると連絡がありました。早速見に行くと、まだ事件発生からあまり時間が経っていないと思われる現場がありました。

地面に散らばった羽

被害者はキジバトです。加害者は、おそらくオオタカなどのタカ類と推測できます。

キジバトの、翼についている羽(風切羽)

時間があまり経っていないことは、乾燥してフワフワの状態の羽が、まとまって落ちていることからわかります。夜露に濡れた様子は無いので本日の日中であり、極めて軽い羽(体羽)がまとまっていることから、風に飛ばされておらず、事件から間もないことがわかります。
とりあえず目立つ羽を拾い集めました。

すべては拾いきれませんでしたが、目立つ羽は概ね拾い集めました

タカの仲間は、狩りで仕留めた獲物をその場で食べることはあまりありません。お気に入りの食事場所があり、そこまで運びます。その際、運ぶのに邪魔になる、翼に付いた大きな羽や、尾羽を抜き取ってから運びます。そのために、こうした羽が一カ所に散らばることになるのです。一方、ネコなどの哺乳類は羽だけ抜き取るようなことはせず、丸ごと運ぶか、場合によって翼ごと引きちぎったりするため、血痕が残ります。そうしたことから、今回はそのような痕跡が無いため、タカ類の食痕(しょっこん)だと判断できるのです。

キジバト

館内に持ち帰り、翼の羽と尾羽だけ抜き出して並べてみました(並べ方はかなり適当で、必ずしも順番に並んではいません)。

翼の羽(上)と尾羽(下)を並べたところ

尾羽はすべて(12枚)ありましたが、翼の方は、特に初列風切(しょれつかざきり)の一番外側の大きな羽が両翼ともありませんでした。尾羽はあっさり抜ける構造になっている一方、風切羽は筋肉に埋め込まれるように付いているため抜くのにそれなりに力が必要です。外側の大きな羽は抜きにくかったのかもしれません。
野生動物のこうした痕跡をフィールドサインと呼びます。いろいろなことを想像しながらフィールドサインを観察するのはとても楽しいですね。
(生物担当学芸員)

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【きょうは何の日?】毎月19日は「食育の日」

「食育」とは、様々な経験を通じて“食”に関する知識と選択する力を身につけることです。このブログをご覧の皆さまは、日頃の食事についてどのくらい意識されているでしょうか?

毎月19日は「食育の日」として、国・地方公共団体・関係団体などが協力して食育の普及に取り組むことが食育推進基本計画で定められています。
ちなみに、諸説ある食育の日の由来はなんと語呂合わせで、食育の「食(しょく)」がそれぞれ「しょ→初→1」「く→9」と読めるから、また「育(いく)」が「19」を連想させるからとのことです。語呂合わせ以外だと、「食育推進会議」の第1回目が2005(平成17)年10月19日に開催されたことにも由来します。

本日1月19日は今月の食育の日ということで、当館の所蔵資料紹介を交えて“食育”のお話をしたいと思います。

相模原市食育推進マスコットキャラクター サガピー

相模原市のホームページでは食育に関するページが設けられており、本市の取り組みや相模原市食育推進マスコットキャラクターの“サガピー”が紹介されています。その中で、行事食や郷土料理を知ることで、食に関する興味を深め、食に関わる人への感謝の心を育むことが期待できるとあることから、本市の郷土料理・酒まんじゅうの関連資料を紹介します。

酒まんじゅうの包み紙

これは、市域(当時は津久井郡相模湖町)の和菓子屋さんの包み紙です。中央の「酒まんじゅう」という文字とともに縁起の良いモチーフが印字されています。お店で買った酒まんじゅうなどがこの袋に入れて手渡されていたのでしょう。いつ頃のものか正確な年代はわかりませんが、記載されている電話番号などから、少なくとも全国的に自動電話交換機に移行する1979(昭和54)年より前のものと思われます。
なお、酒まんじゅう作りについては以前のブログで紹介しており、市ホームページにもレシピが公開されているので、ご興味がある方はぜひ挑戦してみてください。「まんじゅう笊(ざる)」などの酒まんじゅう作りに関係する道具もこちらで紹介しています。

続いて、本市の特産品を知ることも食育につながるため、相模川の名物・鮎(あゆ)にちなんだ「鮎せんべい」の掛け紙を紹介します。

鮎せんべいの掛け紙(落ち着いたトーンのもの)

鮎せんべいの掛け紙(色鮮やかなもの)

こちらは津久井地域の和菓子屋さんのもので、デザイン違いが2種類あります。鮎といえば、例年6月になると漁が解禁される相模川の夏の風物詩です。泳いでいる鮎の姿が涼し気ですね。この「鮎せんべい」は、鮎をかたどったものなのか、鮎を原材料に用いたのか、掛け紙からだけでは定かではありませんが、現在でも市内で鮎せんべいを取り扱う別のお店があるようです。
この掛け紙と酒まんじゅうの包み紙は、昨年開催した市史ミニ展示でお馴染みの本市出身の郷土史家・鈴木重光氏コレクションから紹介しました。

最後はちょっと強引かもしれませんが、食料保存の歴史を知ることも食育の一環ということで、こちらの資料を紹介します。

氷冷蔵庫(昭和前期)

当館自然・歴史展示室「地域の変貌」コーナーにある昭和前期の氷冷蔵庫です。今や現役で使われていたところを見たことがある方もかなり少ないのではないでしょうか。
せっかくなので、特別に扉を開けてみましょう!

開けると中には…?(※通常は開くことができません。)

中に入っているのは美味しそうな本物のスイカ…ではなく、食品サンプルです。また、上段に入っている透明な塊が氷を再現したものです。電気冷蔵庫が普及する前は氷の力で食べ物を新鮮に保存していたことを伝えるため、小学校の来館学習などではこうして特別に中を開けて見せることがあります。そうすると、開けた瞬間は決まって児童の皆さんの元気な歓声が上がる、当館の人気資料のひとつです。

現代では技術の進歩や交通網の発達によって、氷冷蔵庫の時代よりも長く食材の鮮度を保つことができるようになりました。また、食に対する様々な研究が進み、わたしたちをとりまく環境の中で食事の選択肢も増えました。
「食育の日」をきっかけに“食”への関心を高め、美味しく健康的に日々の食事をいただきましょう。

(歴史担当学芸員)

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オシドリの求愛

市内南区下溝の相模原沈殿池では今、オシドリの“華麗なる争い”が見られています。
オシドリをはじめとして、カモの仲間の多くは越冬地でつがいとなる相手を獲得しなくてはいけません。一般には春から夏にかけて美しい繁殖羽になる他の野鳥と真逆ですが、夏が短い北方で繁殖するカモ類の戦略なのでしょう。
さて、オシドリのオスはどのようにメスを獲得するのでしょうか。まず、オスが水面に浮かぶメスの前に回り込みます。

メス(左)の前へ回り込もうとするオス

すると、オスは首を伸ばして頭を少し下に傾けます、頭の飾り羽を膨らませて強調しているのでしょう。もちろん、翼の銀杏羽(いちょうばね)もピンと立てます。この動作を何度も繰り返します。

「キメ」のポーズ! しかしメスはそしらぬ顔・・

オシドリのオスが持つ、きらびやかな色彩と飾り羽がここで最大限に強調されるのですが、人間から見るとちょっとユーモラスです。1羽のオスがそんな風にしていると、当然、周りのオスも黙ってはいられません。次々のやってきてメスを取り囲みます。

複数のオスが取り囲んでポーズを決めます

メスは迷惑そう?にそっぽを向くのですが、オスは必死です。他のオスを追い払ったりしながら、懸命にダンスを続けます。
そのうち、こうしたオス同士の攻防を見て見ぬふりをしているメスも、ダンスのうまさか、飾り羽の大きさか、はたまた他のオスより強そうか・・判断基準はわかりませんが、1羽のオスとペアになります。そうすると2羽が連れ添って泳ぐようになります。優雅なその様子が仲の良い夫婦を指す「おしどり夫婦」の言葉になったのでしょう。
近くではウメも花盛りを迎えようとしていて、寒風の中にも春が近づいていることを感じさせてくれます。

ウメの花

蛇足になりますが、オシドリのオスが毎年、こうして求愛合戦を繰り広げるということは・・オシドリのつがい関係は1年限り、というか、メスが産卵を終えると解消されます。抱卵・育雛はメスのみが行い、オスは関与しません。そんな生態を知ってしまうと、おしどり夫婦という言葉も安易に使えなくなってしまいますね。
(生物担当学芸員)

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【終了しました】遺跡の現地公開を行います!

現地公開は27日に予定どおり行われ、盛況のうちに終了しました。

現在、古淵鵜野森公園の西側で発掘調査を実施しています。
これは旧東清掃事業所の解体に伴うもので、古代の住まいが発見され、
同じ時代に使われたと考えられる土器破片も多く出土しています。

遺跡の発掘調査の状況について、1月27日(土)に現地公開を行います。

鵜野森柏木北遺跡 現地公開チラシ

鵜野森柏木北遺跡 現地公開チラシ

申込不要、無料で参加できます。現地公開の時間は午後1時30分から午後3時まで。
雨天中止(雪の場合も同様)。足元が悪い場合もありますので、歩きやすい服装でお越しください。
※公共交通機関をご利用ください。

当日は実際にみつかった住まいや土器の解説を行います。
さらに平成15年に付近を発掘調査した時の出土品も展示し、解説します。

遺跡の発掘調査を見学できる貴重な機会ですので、ぜひお越しください。
(考古担当学芸員)

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津久井湖城山公園で自然観察会

1月13日(土)、市内緑区の神奈川県立津久井湖城山公園で自然観察会「鳥たちのくらしを探ろう」(主催:公益財団法人神奈川県公園協会)が行われ、当館学芸員がご案内しました。同公園根小屋地区の研修棟内で本日の見どころを簡単にレクチャーした後、早速外へ出て、まずは双眼鏡の使い方の説明です。

外で双眼鏡の説明

双眼鏡の基本設定だけでなく、双眼鏡を使いつつ、基本はまず肉眼で見て、それから双眼鏡を使うといった野鳥観察の基本も最初にお話ししてから出発しました。
公園内の「御屋敷跡」へ上がると、芝生の上でセグロセキレイとハクセキレイを同時に観察できる幸運なシチュエーションに遭遇。

セグロセキレイ

よく似た両種の識別をじっくりと確認できました。

ハクセキレイ

さらに展望広場へ上がると、遠くにイカルが見えました。

イカル(別の日に撮影)

この日はイカルが群れで行ったり来たりしていて、この後、軽やかな鳴き声も聞くことができました。
突然、上空にタカの仲間が!

ツミの幼鳥が上空を飛びました

ツミの若鳥です。速いスピードで旋回してから飛び去りました。でも、ほとんどの方が観察できて、タカの旋回のカッコよさに歓声が上がりました。
終盤の注目種は、ジョウビタキのメスです。

ジョウビタキのメス(別の日に撮影)

かわいらしい姿に、こちらもみなさん大喜び。

お天気に恵まれて快適な探鳥

午前中の短い時間でしたが、合計で20種以上の野鳥を見聞きすることができました。
この日は午後からお天気が急転して少し雪も降ったりしましたが、午前中は快晴で絶好の探鳥日よりとなりました。
(生物担当学芸員)

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色とりどりの冬の果実

二十四節気の小寒(しょうかん:1月6日~)も半分を過ぎ、1月20日からの大寒(だいかん)に向け、真冬らしい気温の日が続いています。そんな中、博物館周辺の木々もすっかり休眠状態のように見えます。が・・よく目を凝らすと、意外と鮮やかな色合いを見つけることができます。真冬の果実は、けっこう色とりどりなのです。
こちらはマンリョウです。

マンリョウ

常緑の葉の下に隠れるように実っています。
個人的にお気に入りは、お正月の投稿でも紹介したジャノヒゲの果実です。

ジャノヒゲ

こちらも、株の根もと付近の低い位置に実るため、ふさふさと広がった葉をめくらないと見つけられません。こんなに鮮やかな色なのに、隠すように実るのはなぜでしょうか。

トキリマメは、お豆の部分は真っ黒なのですが、鞘が赤く染まり、果実を目立たせています。こうした色のコントラストによって存在を強調することを、二色効果と呼びます。

トキリマメ

こちらはヤブランで、黒紫色に実っています。二色効果はありませんが、スッと伸びた茎にたくさん実るので、それなりに目立ちます。

ヤブラン

さらに、ケヤキの高い位置にこんもり茂る半寄生植物のヤドリギは、黄金色に実っています。上のヤブランとともに、冬鳥のヒレンジャクが好んで食べる果実です。

ヤドリギ

ヒレンジャクは、ヤブランよりもヤドリギの方を好むようで、周辺のヤドリギを食べつくすと、ヤブランを食べ出します。博物館周辺ではヤドリギは株数が少ないのですが、ヤブランはたくさんあります。そのため、越冬期の終盤になってから滞在しています。

ヒレンジャク(2021年冬に撮影)

ヒレンジャクは毎年飛来するとは限らず、むしろ飛来する年の方が少ないのですが、ここ数年は連続で博物館周辺にもやってきています。今年の冬は来てくれるでしょうか。
(生物担当学芸員)

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2023年プレイバックパート2

年末に「2023年を振り返る!」と題したブログを書いたところなのですが、まだまだ語り尽くせぬあれやこれやがありますので、いくつかの思い出を共有させてください。

まずは1月。
相模原市ゆかりのバンド[Alexandros] (アレキサンドロス)が相模女子大学グリーンホールで凱旋ライブを行うこととなり、市をあげて盛り上げるなか(市の各課が所管する公式アカウントのアカウント名にカッコ([]←これです)をつける等々。市選挙管理委員会等が運営する「アップくん」は今もカッコ付き)、博物館では数年前にメンバーのみなさんにいただいたサインを期間限定で展示しました。多くのファンのみなさんが記念撮影されていました。
今年の秋には市内で野外フェスを行う予定があるとのこと。詳しくはこちら。楽しみなお知らせですね!

サイン展示の様子



そして夏のある日。
虫をテーマにした荻野目洋子さんの冠番組が市内で撮影をするにあたり、博物館に協力の依頼があり、市内の公園などでの撮影に同行させていただきました。
荻野目さんにはサインをいただき、番組の放送にあわせてミニ展示とともにみなさまにお披露目をしました。

ミニ展示の様子

その番組は今もYouTubeで公開されているようですので、ぜひご覧ください。市内でロケを行ったのは2回。第一回目はこちら。二回目はこちら。相模原市の新たな魅力を感じられそうです!

また、夏のある日には、少女漫画雑誌「りぼん」の漫画家、木下ほのかさんが来館されました。
ちょうど夏の期間に、中学校の天文部を舞台にした少女漫画「レオと三日月」をテーマにしたミニ展示を実施していたからです。
レオと三日月仕様の「さがみん」イラスト入りの記念撮影用パネルなど、こちらも多くのファンのみなさんの注目の的でした。
11月はJAXA相模原キャンパス特別公開が開催され、博物館のミュージアムショップでは、その日程に合わせて、ザクⅡ図案の「ガンダムマンホールメダル」の販売を開始しました。
12月は相模原市の広報番組「ぞっこん!相模原」で、淵野辺駅周辺のマンホール特集が組まれ、博物館にあるデザインマンホールや、館内でマンホールカードを配布していることなどが紹介されました。
メダルとカード、いずれも3月1日から販売や配布を再開しますので、入手希望の方は、どうぞいましばらくお待ちください。

また、嬉しいニュースも二つありました。

一つ目は、当館学芸員も関わっている市内の高校の研究発表が文部科学大臣賞を受賞したこと(1月11日号のタウンニュースでも紹介されました!)。昨年11月に開催した「学びの収穫祭」でも発表したものです。

二つ目は、例年開催されている「宇宙の日」記念 作文絵画コンテストにおいて、当館の最優秀作として全国審査に進んだ作品が、作文部門の日本宇宙少年団理事長賞を受賞したことです!※作品はこちらからお読みいただけます。

当館への宇宙の日作文絵画コンテスト応募作品の中からの受賞作は、例年、年明けからお披露目していますが、今年度も再開館にあわせ、3月いっぱいはエントランスで展示する予定です。みなさんの力作、どうぞお楽しみに!

(館長)

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【きょうは何の日?】毎月12日は「パンの日」

誰しも一度はこのような質問をされたことがあるのではないでしょうか。
「朝食はパン派?ごはん派?」

‟食の欧米化”と言われるようになって久しいですが、農林水産省の『食生活・ライフスタイル調査~令和4年度~ 調査報告書』の「主食の種類の構成比」によると、3食全体で「米食」が40%と最も多く、次いで「パン食」が16%、そして「その他」が15%、「麺類」が12%と続いており、わたしたち日本人にはお米の人気が根強いようですね。

「パンの日」は、パン食の普及活動を行うパン食普及協会が毎月12日に定めたものです。では、なぜ毎月12日かというと、4月12日が日本のパン発祥の「パンの記念日」であることにちなみ、全国のパン屋さんがより一層のサービスに努めるよう「パンの日」も制定されたようです。

ちなみに、日本人で初めて本格的にパン製造を行ったとされる人物が、相模原市の天然記念物(植物)として登録されている「江川ヒノキ」でお馴染み、津久井の御林(おはやし)にゆかりがある伊豆国(いずのくに)韮山(にらやま)の代官・江川太郎左衛門英龍(ひでたつ)です。
幕末、日本の隣国である清とイギリスの間で勃発したアヘン戦争(1840年 ~ 1842年)に、江戸幕府は危機感を募らせました。そこで海防に関心を寄せていた江川太郎左衛門は、手軽で持ち運びやすく、保存性も高いパンに注目し、製パン技術者を邸宅に呼んで兵糧(ひょうろう)としてのパン作りを試みました。その記念すべき第1号が焼き上がったのが1842(天保13)年4月12日のことです。

それでは「パンの日」にちなみ、パンに関連する当館の所蔵資料を紹介したいと思います。
まずは、一昨年の令和4年度学習資料展でも展示した「給食の食品サンプル」です。

昭和30年代の給食の食品サンプル

1974(昭和49)年の給食の食品サンプル

写真はそれぞれ昭和30年代(上)と1974(昭和49)年(下)の給食を再現した食品サンプルで、ご覧になる方の世代によって懐かしさや目新しさなど、違った印象を受けるのではないでしょうか?
鯨肉や脱脂粉乳(だっしふんにゅう)、瓶に入った牛乳を令和の給食で見ることはないかもしれませんが、コッペパンやロールパンはわたしたちが食べている現在のものと大きく変わらないように見えます。本物そっくりの精巧な再現で、とても美味しそうですね。

続いて、当館の自然・歴史展示室「地域の変貌」コーナーから「パン焼器」(昭和20年代)です。

パン焼器(昭和20年代)

これは、1940年代の戦時中から終戦直後の食糧難の時代、練った小麦粉を火にかけて焼き、自家製パンを作るために使用された調理用具です。
相模原市域ではいくつか見られる資料ですが、同じ神奈川県内でも厚木市や平塚市などの南部水田地帯では確認された例がないと言われています。理由は定かではありませんが、相模原市域では水利が悪く稲作が盛んでなかったことや、終戦後に旧帝国陸軍の施設が米軍に接収され、アメリカの文化が流入したことなどが影響したと考えられています。

パンの日にお知らせしたい、意外にも歴史が深い相模原のパン食のお話でした。

(歴史担当学芸員)

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縄文土器を集めて・・・

1月10日は新年あけて初の相模原縄文研究会(当館で活動するボランティア)の活動日でした。

当館は現在エレベータ改修に伴う臨時休館のため、特別展示室が使用されていません。
そこで、寄贈された縄文土器を並べて作業を行いました。いつも活動している実習実験室より広く、「土器の仲間集め」がはかどります。

文様をもとに似た土器を集めます。

 

 

仲間がおおよそ集まったら接合作業をします。
以下は接合した例です。ほかにも多く接合しています。

 

 

遺跡から出土した土器は仲間集めを経て、元々の形状に復元されます。
いろんな文様があって似たものは多いのですが、ピタリと接合するものはなかなかありません。地道な作業ですが、考古担当学芸員も縄文研究会のみなさんと一緒に楽しんで取り組んでいます。
(考古担当学芸員)

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