生きもの観察初め

ヒマさえあれば、というより、スキあらば自然観察、生きもの観察をしてしまうのが、生きもの屋の習性です。
元日でしたが、ちょっと出かけた先の海岸でバードウォッチングをしました。
その前に、河口の河原をネコがなにやら怪しげな動きをしています。

何を狙っているのかと思ったら・・

ずいぶん大物を狙っていたんですね。しかしさすがにアオサギは一定の距離を保ちながら軽くいなしている感じでした。
上空からジュリリという声のする方を見ると、イワツバメです。このあたりは越冬しているようです。

河口から海岸へ出ると、消波ブロックの先の荒れ気味の海面にカワウやユリカモメが群れています。魚の群でもいるのでしょうか。

上空を飛ぶウミネコです。

そろそろ帰ろうかなと思って漁港の中を見回したら・・

ハジロカイツブリの群がいました。ちょっとラッキー!雪の降る中、短時間でしたが、2015年元旦さい先の良い生きもの観察のスタートとなりました!
(生物担当学芸員 秋山)

カテゴリー: 学芸員のひとりごと | 生きもの観察初め はコメントを受け付けていません

明けましておめでとうございます

新年明けましておめでとうございます!
本年も当ブログともども相模原市立博物館をよろしくお願いします。写真は、あまり関係ありませんが、相模湾のお正月の景色です。

今年の初仕事は、19時からのエフエムさがみの番組です。もちろん、録音ですが…。相模原の自然についてお話しました。
博物館の営業は、1月4日からです!
(生物担当学芸員 秋山)

カテゴリー: 学芸員のひとりごと | 明けましておめでとうございます はコメントを受け付けていません

大晦日

博物館は年末年始休(1/3まで)に入っていますが、どうも自然観察はお休みがないようで・・
ある林道を走っていて出会ったコジュケイたち。

彼らには年末も年始もありません。
ふと見上げると、月が昇っていました。はやく帰らないと家族にしかられてしまいます。

家路につきつつ、未練がましく振り向くと美しい大山。今年の見納めです。

明日もまた生きものたちを眺めつつ、新年を迎えようと思います。
みなさま今年もこのブログをご覧いただきありがとうございました。来年もぼちぼちとアップしていきますので、よろしくお願いいたします。
(生物担当学芸員 秋山)

カテゴリー: 学芸員のひとりごと | 大晦日 はコメントを受け付けていません

標本つくりおさめ

今日は動物標本づくりの日。今年のつくり納めです。
その前に、若いメンバーたちが、ある機関で不要になった自然系の図書や雑誌を引き取って山分けしています。

まさしく宝の山!こうして本を大切に思ってくれるのはとても嬉しいですね。それにしても、みなさん、しまう場所はあるのかな・・?
さて、今日はスペシャルゲストが!!ドイツで動物標本作製の専門学校を出て、標本師として博物館で働いてきたAさんが来てくれたのです。

みんな、ゴッドハンドをくらいつくように見ています。手順も、一つ一つの技も、生きものの姿を正確に、永久にとどめるための理にかなった方法です。決して特別な道具や薬品などを使うわけではありません。それでも、たった半日ほどで仕上がった本はく製は、生きている時の姿が自然に、完璧に再現されていました(まだ完全に乾燥していないので完成品の写真は掲載していません)。
これからもまた時間のある時に来ていただけるそうで、標本づくりのメンバーも大喜びでした。
来年もまた、博物館の資料充実のために楽しくがんばっていこうと思います!
(生物担当学芸員 秋山)

カテゴリー: 今日の博物館 | 標本つくりおさめ はコメントを受け付けていません

市民学芸員紙芝居クラブ教育長と面会!!

「第15回手づくり紙芝居コンクール」(主催:紙芝居文化推進協議会)において、博物館市民学芸員紙芝居クラブが応募した作品『呼ばわり山』が特別賞「神奈川県立図書館長賞」に選ばれたことについて、本日教育長に報告に伺いました。

今回のコンクールは、全国・海外から332点(ジュニアの部217点、一般の部115点)の応募があり、絵と脚本から総合的に審査され、優秀賞15点(ジュニアの部8点、一般の部7点)が選ばれました。
『呼ばわり山』は優秀賞には選ばれませんでしたが、本年度から新設された特別賞「神奈川県立図書館長賞」に選出されました。特別賞受賞作品は1作品のみです。
この作品は相模原市内の「新田稲荷神社の呼ばわり山」伝説をもとに作られた作品で、相模原の昔の暮しや土地の由来を紹介しながら、最後には現代の最新技術を駆使した「小惑星探査機はやぶさ」とのつながりでまとめられた相模原への郷土愛にあふれた作品です。


紙芝居クラブ代表の柿澤さんが受賞の報告と紙芝居の実演を行いました。実演では教育長をはじめ、小野澤教育局長、小山生涯学習部長や教育総務室の方など多くの方にご観覧をいただき、大きな拍手を受けました。


教育長からは相模原の民話を題材にしたことの素晴らしさや、絵の上手さなどをお褒めいただき、これからも新しい題材で紙芝居を作製し、子どもたちを喜ばせてほしいとあたたかいエールをいただきました。

去る11月30日(土)に県立青少年センターにおいて行われた授賞式の様子。ここでも「はやぶさ」キャップをかぶって上演しました。

市民学芸員紙芝居クラブによる紙芝居の実演は、現在開催中の「学習資料展」の関連事業として行っている「チャレンジ体験コーナー」でご覧いただくこともできます。興味のある方は是非ご参加ください。

「チャレンジ体験コーナー」実施日や実施時間については学習資料展のリンクでご確認ください。なお、紙芝居は「チャレンジ体験コーナー」開催日の12:10と14:15の2回行います。(学芸班 指導主事 渡辺)

カテゴリー: おしらせ | 市民学芸員紙芝居クラブ教育長と面会!! はコメントを受け付けていません

横須賀市Ingress体験ツアー

12月19日のブログで紹介した、横須賀市のIngressを活用した観光振興の取り組み、体験ツアーがあるとの事で、参加させていただきました。
もちろん博物館と神奈川工科大学情報メディア学科白井研究室との協働事業「相模Ingress部」の活動の参考にするためです。
横須賀中央駅で、こんなプラカードでお出迎え。

IMG_1540.JPG
まわりはどうやら顔見知りの上級プレイヤーらしく、会話の意味からしてよくわからず、いきなりのアウェー感にやや引き気味になりましたが、まあ、慣れないジャンルなので仕方ありません。

IMG_1541.JPG
さすが観光振興。あの「海軍カレー」のお店にも既に関連メニューが(…ちょっと違うゲーム関連のメニューも充実しているようですが)。

IMG_1547.JPG

IMG_1548.JPG
イベントは各自ゲームをプレイしながら移動し、この企画の目玉である猿島に渡り、同じように島内を巡って帰って来る、という流れ。
このゲーム、スマホなどの画面を見ながら、地図上に表示される「ポータル」というポイントをまわるのが基本です。そういった意味では「文化財めぐり」などと親和性があると以前に書きましたが、例えば、

IMG_1542.JPG
今回のお気に入りのポータルです(猿島にあります)。多分みんなが「その場所に行きたい!」と思える場所。
ただ、こういう風にタイトルだけで訴求力がある例は希少です。
やっぱり説明をきちんと書いておかないと、博物館的な使い方はできないなあ、と思いました。また、ゲームに熱中してしまうと、肝心の場所そのものを見ないで、スマホの画面だけ見ながら先へ進みがちになる事。これも博物館的には悩ましいところです。

IMG_1543-2.JPG
猿島の後に「記念艦三笠」見学があったのですが、最初に簡単な説明をしていただきました。これだけで、ここにあるものの事がわかります。説明と組み合わせるというのは、案外基本かも知れません。

IMG_1544-0.JPG
実は「三笠」の中では企画展をやっていて、これが、ある個人の方が製作された軍艦模型のコレクション。プラモデルではなく、全くの手作り、同縮尺のものが約200隻というものでした。

IMG_1546.JPG
参加者の皆さんも、あまりの精巧さにしばし展示の前から離れませんでした。やはりモノのチカラは絶大だなあ、とまたしても実感。

総じて考えると、博物館とIngress、親和性はありますが、活用するにはやるべき事が色々ありそうです。

今回は観光振興のイベントでしたが、運営の仕方を含め、大変参考になりました。
それにしても横須賀市商業観光課の皆さん、職員の方々自らがプレイヤーで「これで観光振興できるね!」という自発的アイディアから展開してきたとの事、今日のイベントにもそんなアットホームな雰囲気が漂っていて、最初のアウェー感もいつの間にか消え去り、最後まで楽しむ事ができました。色々とお気遣いいただき、本当にありがとうございました。(学芸班 木村)
※「相模Ingress部」では1月4日にイベントを開催します。詳しくはこちらのURLをご覧ください。

カテゴリー: 学芸員のひとりごと | 横須賀市Ingress体験ツアー はコメントを受け付けていません

がんばる葉

この写真、小さい画面だとちょっとヘンな構図に見えますね。博物館正面入り口から中庭を撮影した写真です。

落葉樹であるコナラに、まだたくさん葉がついて残っています。中庭は風も弱いし、まだ落ちずにいられるのかな?と前庭へ出てみると・・

こちらにも、葉がたくさん残っている木がありました。すっかり丸坊主になっている木もあるので、この差はどうやら、風当たりなどとはちょっと違う理由がありそうです。

葉が落ちるのは、じつは風などの外的な力が主な理由ではありません。もちろん、引き金を引くことはあるのですが、ちょっとやそっとの風で、健康な葉が落ちることはまずありません。秋の終わりに落葉樹の葉が落ちるのは、葉柄の付け根と枝の間に「離層」と呼ばれるシャッターのようなものができるためです。低温や日照時間の減少で光合成の効率が落ちて、残った糖分や色素などを養分として枝の方へ移動させて、さあ、葉っぱはもう店じまい・・となったところで離層が形成されます。
もうとっくに紅葉も終わっているのに、こうして枝に残っている葉は、何かの原因で離層の形成が遅れているのか、弱いのでしょう。種類によっては、カシワのように春先まで葉が残る性質を持つ木もあります。でも、コナラは基本的にもう落ちていてよいはずです。なぜ離層の形成が弱いのかは・・わかりません。
こんなふうに古い葉がついたままでは、来年の新葉が出ないのでは・・と心配されるかもしれませんが、ご無用です。新芽は古い葉の付け根のちょっと上にできますし、じつはすでに、冬芽として新しい芽が出ています。

葉の落ちた跡から葉は出ないんですね。この冬芽はこのままじっと冬を堪えて、春に芽吹きます。その頃にはさすがに今年の葉は落ちているはずです。
(生物担当学芸員 秋山)

カテゴリー: 学芸員のひとりごと | がんばる葉 はコメントを受け付けていません

かしわ餅?

この写真を見て、「違うよ!これは○○餅だよ!」と思わずつぶやいた方は、おそらく西日本のご出身だと思われます。

○○の部分には、ばら、あるいはさんきらいなどの言葉が入ります。
先週土曜日、ボランティアグループである相模原植物調査会の月例会がありました。12月の月例会はいつも、みなさんが持ち寄るお菓子とお茶で納会をやるのですが、会員のお一人がわざわざ取り寄せて持ってきてくれたものです。
かしわ餅はあん入りのお餅をカシワの葉で包んだものですが、カシワが自生していない西日本では、サルトリイバラの葉で包んだものを端午の節句の時に食べるそうです。さんきらいとは、サルトリイバラの俗称です(本来さんきらいは、中国原産のドブクリョウを指す別名のようですが・・)。ちなみにこのさんきらい餅は、西日本では春や初夏に限らず和菓子店で売られているとのことです。ものすごーく美味しい和菓子でした!
(生物担当学芸員 秋山)

カテゴリー: 学芸員のひとりごと | かしわ餅? はコメントを受け付けていません

ジョロウグモの卵

確か、最初にブログに書いたのがこのネタだったと思うのですが、そろそろ成体のシーズンも終わりなので、卵のう探しでもするか…と、博物館の周りを見て歩いたのですが、これが全然見つかりません。
今年はそこそこ個体数がいたのに、皆、高い位置に産卵したのか、それとも思いの外、卵が育たなかったのか…
そんな事を考えながらふと足元を見ると、腹部が大きくふくらんだメスが、寒くて身動きできないでいました。このままだと間違いなく、卵を産まずに死んでしまいます。

IMG_1509.JPG
この卵不足の折、なんとももったいない話。もしかして暖かい室内に連れて行けば、産卵するだろうか?と、思いついて、飼育容器に入れたのが12月19日の事。

IMG_1510.JPG
慣れない場所で、居心地悪そうです。
そして、今日(12月21日)に見ると、見事、卵のうができあがっていました。

IMG_1511.JPG
野外で見るのとはちょっと感じが違う気がしますが、卵もちゃんと入っているようです。恐らく数百個はあるでしょう。
母グモはすっかりお腹が細くなって、同じ個体とは思えない体型変化です。
予定ではこの卵のうは屋外に出して観察するつもりでしたが、容器の壁に産んでしまいました。おまけに母グモがガードしています(ジョロウグモってそんな事したっけ?)。
ちょっと妙な事になりましたが、しばらく様子を見ようと思います。(学芸班 木村)

カテゴリー: 学芸員のひとりごと | ジョロウグモの卵 はコメントを受け付けていません

砂を顕微鏡で見てみよう

今日は「砂を顕微鏡で見てみよう」を開催しました。
日本各地の砂を顕微鏡で観察し,実物入りの砂カードを作成しました.
また,福島県豊間海岸の鳴り砂の音も聞いていただきました.

まずは,始まる前にカード作りの打ち合わせです.

会場の様子です.多くの方に楽しんでいただきました.

博物館のボランティアグループ相模原地質研究会と相模原青陵高校地球惑星科学部の皆さんにご協力いただきました。

参加された方は熱心に顕微鏡をのぞいていました。

砂カード,作成中.

砂カードの出来上がり!

鳴き砂の体験コーナー.高校生による手書きのキャプションがかわいいですね.

乳鉢に入れた鳴き砂を乳棒で押すと,キュッキュッと音が鳴ります.

川や海岸,砂はいろいろなところで見られますが,顕微鏡で見る機会はあまりありません.砂の違った一面を見ることができ,皆さん,興味を引かれた様子でした.

(地質担当学芸員 河尻)

 

カテゴリー: 今日の博物館 | 砂を顕微鏡で見てみよう はコメントを受け付けていません