ヤマユリ開花

7月9日、博物館前庭では神奈川県の県花でもある、ヤマユリが咲きました。

ヤマユリの最初の1輪

大きな株と小さな株の2株あり、最初に咲いたのは小さな株の方でした。花は1輪です。
しかし、大きな株の方にはこの数日中に咲きそうなつぼみがふくらんでいます。

次に咲きそうなつぼみ

これだけではありません。この株には合計で9個のつぼみがついているので、満開になると豪華な咲姿を楽しめそうです。

大きな株はつぼみをたくさんつけています

来週後半にはかなりの花が咲き、見ごろになりそうです。すでに上の写真の1輪だけでもほんのり甘い香りが漂っているので、来週、博物館の前庭はヤマユリの花の香に包まれそうです。
(生物担当学芸員)

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マヤラン咲く

7月7日、市内南区の緑地で、マヤランの花を撮影しました。

マヤランの花

マヤランは野生ランの一種ですが、緑色の葉を持ちません。

緑色の部分が無い植物です

なぜ緑色の部分が無いのかというと、光合成する必要が無いためです。光合成をせずにどうやって成長するのかというと、「寄生」です。しかも、ほかの植物に直接寄生するのではなく、植物の根に付いて、その植物と「共生」している菌根菌(きんこんきん)へ寄生するのです。このような植物を、菌従属栄養植物と言います。いわば菌根菌の栄養を横どりする、なかなかしたたかな栄養システムですね。
こちらは博物館の前庭ですが、ミミガタテンナンショウが真っ赤な果実をつけました。

ミミガタテンナンショウの果実

下の写真は、3月に撮影した同じ株の花です。

ミミガタテンナンショウ(今年3月)

梅雨も終盤となり、いろいろな植物が開花したり結実したりしています。
(生物担当学芸員)

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縄文体験キット、新磯小へ行く。

博物館での普及事業の一つに「実物にふれて学ぶ」というものがあります。

当館では学校の授業で活用してもらうために縄文体験キットを用意しています。

本物の縄文土器です!

 

今回は、新磯小学校で行われた体験キットを利用した授業にお邪魔し、活用の様子をみてきました。
6年生の歴史の授業で縄文時代の生活はどんな様子なのか、児童と一緒に考える、という内容でした。

教室の様子

土器を手に熱弁されています。

「縄文人が使っていた道具は?」 先生が問いかけ、児童たちが迷わず「縄文土器!」と元気よく答えます。土器破片もあるので、児童みんなで手に取り、昔の道具であること実感していました。

縄文人が使った石の道具(石皿、磨石)です

その後、石器についても説明し、縄文人が生活していく上で工夫していたことを児童たちはよく理解してくれたようです。単なる社会科の資料集にある土器の写真とはレベルが違います。

今後もこの縄文体験キットなどが、学校の授業で活用されるよう、各小・中学校にPRをしていきたく思います。

縄文体験キット以外にも、他分野でも火縄銃や糸車などいくつか準備していますので、お気軽にご相談ください。

(考古担当学芸員)

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カイコ35日目 すべて繭になりました

給桑開始から35日経った7月5日、すでにカイコはすべて繭になりました。早いものが6月27日から繭を作り始め、最後に1頭だけ残って食べていたのですが、それも6月30日の夜から繭を作りました。これを含めて現在、遅めに蔟(まぶし)に入ったものを展示中です(すでに蛹になっています)。

飼育展示中の繭

早めに作り始めたものは、今晩、熱風乾燥機に入れて乾燥させます。早めに作り始めたものより、遅めの繭の方が若干大きい繭になったようです。

遅めに作り始めた繭は、大きめのものが多いようです

今回は当館のボランティアグループである市民学芸員のメンバーにもご協力いただき、飼ってもらいました。

市民学芸員さんに育ててもらったカイコの繭

トイレットペーパーの芯を半分に切ったものを蔟にして、中できれいに繭を作ってくれました。
繭のうち数個は、乾燥させず成虫にします。来週には成虫を展示する予定です。
(生物担当学芸員)

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博物館休館日の裏側

6月27日(火)と28(水)の2日間、相模原市立博物館は保守点検等のため休館をしていました。
休館日とはいえメンテナンスのためのお休みですので、職員は出勤して館内各所で作業を行います。こうして半年に一回程度、開館中にはなかなか手が行き届かない場所の清掃や修繕、資料の入れ替えなどを実施することで、来館者の皆さまはもちろん、働くスタッフや資料にとっても安全で快適な博物館を保つのです。

それでは、博物館の臨時休館中に行うメンテナンス作業について、より具体的に紹介します。

資料入れ替え後の展示ケース

歴史分野では、収蔵庫及び前室(収蔵庫内の環境を一定に保つため、出入口の前に設けた部屋)の全床面清掃のほか、自然・歴史展示室「郷土の歴史」の近世コーナーにある一部の紙資料を入れ替えました。

普段は閉まっている展示ケースの蓋を開けて…

いつでも同じ資料を見られることは常設展示の利点ですが、資料保護の観点からすると劣化につながってしまう場合があります。特に、紙資料は温湿度の変化や光による影響を受けやすいため、こうしてメンテナンス休館のタイミングで資料の入れ替えを行うのです。

当館の歴史資料は、おもに地域の方のご厚意で譲っていただいたものや、お預かりしているものがほとんどです。どのようなものでも、経年による劣化を避けることは難しいですが、資料にとってよりよい環境を整え、末永く後世に伝えると同時に、皆さまの学びに役立てることは、博物館の重要な使命のひとつなのです。
もし、今回入れ替えた中にお気に入りの資料があった方はしばしの間ご覧いただくことができませんが、ぜひ展示替え後の常設展示コーナーにも足を運んでいただければと思います。

(歴史担当学芸員)

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プラネタリウムにタブレット純さん登場!!

タブ純プラネタリウムナイト~銀河に抱かれて~

8月30日、当館のプラネタリウムで、相模原市名誉観光親善大使でタレントのタブレット純さん(相模原市緑区出身)がライブを行います!

 

NHKの「阿佐ヶ谷アパートメント」や文化放送の「大竹まことゴールデンラジオ!」などのレギュラーとして注目されるタブレット純さんは、アンニュイなトークと、類まれな美声、そして昭和歌謡への深い造詣で幅広い年代から支持されています。今回、新曲「銀河に抱かれて」をひっさげての凱旋公演となります。

タブレット純さん

ゲストには元文化放送アナウンサーで現在も同局の「くにまる食堂」のメインパーソナリティを担当する野村邦丸さん(相模原市在住)をお迎えします。美しい歌声とプラネタリウムのコラボレーション、そして楽しいトークをお楽しみください。

野村邦丸さん

なお、チケットはCNプレイガイドのみの取り扱いとなります。ご予約などはこちらをご覧ください。

【タブ純プラネタリウムナイト~銀河に抱かれて~】
日時 令和5年8月30日(水)18時開演(17時30分開場)
料金 4,500
チケット取扱 CNプレイガイド

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カイコ29日目 繭を作り始めています

6月1日から給桑を開始したカイコは、27日~28日にかけて熟蚕となりました。下の写真の左側が熟蚕、右がまだ熟蚕になりきっていないカイコです。色や大きさの違いが明瞭です。熟蚕になると、大きさが少し縮んで黄ばんできます。

左が熟蚕のカイコ、右がまだ熟蚕になりきっていない5齢のカイコです

熟蚕になると、クワを食べずに頭を振り続けます。

熟蚕になって頭を振るカイコ

よく見ると、すでに糸を吐いています。カイコの糸(繊維)は、体内では液体で、空気に触れると固まります。

糸を吐くカイコ

このような状態のカイコは、蔟(まぶし=繭を作らせる場所)へ移します。博物館では、薄いダンボールを切って井桁(いげた)に組んだものを自作して蔟にしています。はじめは落ち着かずに蔟の上を歩き回ってしまいますが、丹念に入れ戻してあげているうちに、繭を作り始めます。蔟の中で糸を吐く様子を見ていると、熟蚕がなぜ頭を上に向けて振っていたのかわかります。このようにしたかったんですね。

蔟に入れたカイコ

繭は作り始めて2日で完成します。

蔟へ入れた直後の状態

上の写真は6月28日の夜、蔟へ入れた直後、下の写真は、翌日の朝の様子です。

半日経った様子

すでに繭の形がうっすら見えています。

すでに繭の形が見えます

この蔟は、博物館のメンテナンス休館(6月27日、28日)から明けた29日、飼育展示でお見せしています。繭が透けて見える状態は、1日の間しか見ることができません。ただし、飼っているカイコの成長には全体で1~3日程度のばらつきがあるため、今週末までこのような状態で繭づくりの様子をお見せすることができそうです。ご来館の際にはぜひじっくりご覧ください。

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ツミの朝食

【お知らせ】博物館は設備等メンテナンスのため6月27日、28日は休館となっていますが、6月29日から再開し、通常どおり開館します。

6月28日朝、通勤途中に博物館の駐車場を歩いていると、上からはらりと鳥の羽根が落ちてきました。

地面に落ちてきたシジュウカラの羽根

シジュウカラの羽根です。続いてフワフワと他の羽根も落ちてきました。上から落ちてきたということは・・頭上の枝に、ツミがいました。
ツミは国内で最小の猛禽類です。捕まえたシジュウカラの羽根を枝上でむしっていたのはオスでした。

博物館の近くに仕掛けたセンサーカメラに写ったツミのオス

シジュウカラ

オスはヒヨドリほどの大きさしかありませんが(雌は一回り大きく、ハトより少し小さいくらい)、やっぱりタカの仲間、精悍な顔つきをしています。獲物をつかんだまま飛び去って行きました。お気に入りの場所で朝食をとるのでしょう。
地面に落ちていた羽根を拾い集めて、館内で並べてみました。尾羽は7枚でした(全部で12枚あります)。

尾羽 12枚あるうちの7枚を拾いました

翼の風切羽は、左側だけ6枚でした。

左の翼の風切羽

拾い損ねたのか、人に見られていたので早めに持ち運んでいったのか。思ったより少ない数でした。ツミなど鳥を捕まえることが多いタカは、大きめの羽根をその場でむしり取ってから食事場所へ運びます。朝からちょっと面白い観察ができて、幸運でした。
(生物担当学芸員)

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カイコ27日目 いよいよ熟蚕へ

【おしらせ】6月27日(火)と28日(水)は館内設備のメンテナンスのため、臨時休館中です。

給桑開始から27日目の6月27日、5齢の8日目になり、いよいよカイコは熟蚕(じゅくさん=繭を作り始める状態)になりつつあります。熟蚕のカイコを見分けるには、まずは色、そして動きです。

左が熟蚕になりつつあるカイコ

これまで真っ白かったカイコの体が、5齢7日目あたりからなんとなく黄色っぽく、薄汚れた感じになります。そして、良きの隅の方へ行って頭を振るようになります。

熟蚕のカイコ 容器の隅で頭を振っています

このタイミングで、蔟(まぶし=繭を作らせる場所)へ移します。
まだモリモリ食べているカイコもいますが、一旦繭を作り始めたカイコは、もう二度とクワを食べません。養蚕のクライマックスがもうすぐそこです。
(生物担当学芸員)

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教室を飛び出して…

6月25日(日)、中央大学の学芸員課程で学ぶ学生の皆さんが、学外実習として来館しました。
学芸員になるための資格を取得するには、文部科学省令で定める博物館に関する科目の単位を修得する必要があり、その中の一つに「博物館実習」があります。今回は、1週間以上にもわたる実習を控えた学生さんが、それに先立ち博物館の現場を学ぶ目的で見学実習を実施しました。

当館の概要を説明しています。

まずは、当館の学芸員が館の運営体制や歴史、活動内容などについて講義を行いました。再来年の令和7年には開館30周年を迎える当館が、これまでどのように資料を収集し、適切に保存してきたのか、また、調査・研究した成果がどのように生かされてきたのか、展示や講座以外にも学芸員はどんな仕事をしているのか、博物館活動に欠かすことができないボランティアの皆さんの紹介なども踏まえて説明しました。

空調機械室。これぞ博物館の裏側!

その後は2班に分かれ、上層と下層を交代しながらバックヤードや収蔵庫をお見せしました。先日、国際博物館の日イベントで実施したバックヤードツアーと概ね見学する場所は同じではありますが、今回の対象は学芸員の資格取得を目指す学生さんということで、やや専門的な内容も織り交ぜながら案内を担当する学芸員が解説しました。

収蔵の仕方にも意味がある!担当学芸員が熱く語ります。

教室の中だけでは学ぶことができない博物館の現場に、皆さん一生懸命メモを取ったり、じっくり観察したりしていました。見学後に質疑応答を行いましたが、複数名の学生さんから質問があったことからも熱心に学ぶ姿勢が伝わりました。
この見学実習で経験したことが、今後の博物館実習や資格取得のための勉強に生かされることを期待しています。

(歴史担当学芸員)

【おしらせ】6月27日(火)と28日(水)は、館内設備のメンテナンスのため臨時休館となります。

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