市民目線で展示替え

今日は常設展示の展示替え検討会。
といっても物々しい会議ではなく、市民学芸員の有志の皆さんに「ここが見づらい」「解説はこうしたら良いんじゃないか」「こんな工夫をしたら?」と、ざっくばらんに意見を交わしてもらう、ミーティングです。

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グループに分かれて討論中。
もちろん、意見を出すだけでなく、持ち前のバイタリティをいかして「すぐにできる事ならやってみよう」という姿勢で、建設的な意見が飛び交っています。

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現場のチェック。「この字の大きさは何ポイントかな?」

意見を聞いていると、博物館で働いていると慣れっこになってしまっている事が、いかに目の肥えた来館者にはストレスとなっているか、よくわかります。
正直言って、職員にとっては「耳が痛い!」事の連続です。気付くと嫌な汗をかいている事すらあります。でも同時にわくわくもします(いじめられて喜んでいるのではありません)。
利用者の目線が入る事で、面白いもの、わかりやすいものが出来るのでは、という期待感が膨らむからです。
とはいえ、初めての試みなので、この先試行錯誤が続くでしょう。それを皆で楽しみながら、結果にたどりつければいいなあ、と思います。(学芸班 木村)

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求愛の結末(ネコハグモ)

通勤途中のミニ観察、今朝はネコハグモの求愛行動でした。

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オスが第一脚を振動させて、さかんにメスの気を引こうとしています。

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お!

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おお!!

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カップル成立か。

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あれ?

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メスは天幕状の隠れ家に引っ込んでしまいました。
ご愁傷さま。
ふと、オスに感情移入している自分に気づく瞬間でした。(学芸班 木村)

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博物館の未来をさぐる

なんだか大仰なタイトルですが・・・
これは昨日、横浜情報文化センターで行われた神奈川県博物館協会主催のシンポジウムのタイトルです。

私もパネリストとして登壇しました。当館が現在、ボランティアのみなさんと共に、資料収集保存、調査研究、展示教育普及の各段階にわたり博物館活動を展開していることについて、相模原植物調査会を例に報告しました。さすがに登壇していたのであまり写真はないのですが、私以外のパネリストのお話、大変興味深かったです。

明治大学平和教育登戸研究所資料館からは、「決して語られなかった歴史」を掘り起こし、それを保存、公開にこぎ着けたことの端緒に、高校生による聞き取り調査があったというお話がありました。当時の陸軍関係者が秘密と葛藤とともに戦後を過ごし、それを子ども世代には話せなかったけれど、孫世代の若者たちには伝えなくてはと、意を決して話してくれたという逸話にとても感動しました。
また、県立金沢文庫からは、ちょうど今、収蔵している重要文化財の一部にカビが発生し、臨時閉館、展示も延期して対処しているお話があり、その赤裸々で真摯な報告は身につまされる思いで聴きましたた。ほかにも多くの刺激的なお話、そしてディスカッションがあり、あっという間の3時間でした。

横浜は秋晴れ。終了後も関係者と「反省会」で熱く博物館のこれからについて語り合いました。神奈川で博物館の仕事をしていることに、誇りと希望を感じた一日でした。
(生物担当学芸員 秋山)

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ひっつきむしでミニ観察会

今日は恒例、博物館のまわりのミニ観察会を行いました。今日のお題は、ひっつきむし!
そこで、ひっつきむしを効率的に採集するために特殊な器具を用意しました。

特製!ひっつきむし採集器!買うと高いです!
どこにも売ってませんが・・。
さて、これで草むらをガサゴソやると・・

参加者のみなさんから、おおー!と歓声をいただきました。この採集器で採ったひっつきむしを観察します。キンミズヒキ、ヌスビトハギ、イノコヅチなど・・

そして、今日採集したものではないのですが、ひっつきむしの代表選手、オナモミも登場です。これは、先日、三浦半島でとってきたイガオナモミです。

なぜ楊子に突き刺してあるのかというと、こんなゲームをやるためです。

タオルを張った板で、ひっつきむしダーツ!大人も楽しい!

途中で見つけたツクツクボウシや、モグラの穴もちょっと覗いたりして、楽しく観察できました!

(生物担当学芸員 秋山)

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ワキグロサツマノミダマシはかなり鈍い?

今朝の通勤路、いつものようにクモを見ながら歩いていましたが、なぜかワキグロサツマノミダマシが多かったようです。

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特に珍しい種ではないのですが、発見した事があります。
普通、円網を張る種は、人間が触れたりすると、糸を伝って逃げる、落下する、網を揺らす、などの行動をとります。このクモはどうするのだろうとふと気になり、触ってみました。

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このとおり、動きません。
片手でカメラを持って液晶画面を覗きながらなので、かなりぎこちく接近して触ったのですが、まるで逃げようとしません。
試しに別の個体でも試してみましたが、同じでした。
こんな事で良いのでしょうか?と思いましたが、それでも「珍しくない」と言われるくらい繁栄しているのだから、これで良いのでしょう。
ちょっとしたイタズラですが、また機会があったらやってみようと思います。何か違う反応があるかもしれません。(学芸班 木村)

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地質調査日誌9/26 相模原市緑区日連篠原川

9月26日,金曜日.晴れ.

今日は相模原市緑区牧野の篠原川へ資料採集に出かけました.

今日の目的は石老山礫岩です.この礫岩は約600万年前にやや深い海でたまった石ころが固められてできました.

石老山礫岩の形成過程を調べるため,礫をいくつか採集しました.

川沿いは木陰が多く,涼しかったです.風はもう秋の気配です.
さわやかな空気の中,気持ちよく資料を採集することができました.

(地質担当学芸員 河尻)

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クサグモの卵のう再び

2013年9月26日の投稿で紹介したクサグモの卵のう。
なんと、ほとんど同じ場所に今年も卵のうか…

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2014年9月10日に撮影したものですが、外側のシートが薄くて、卵のうの幾何学な形と、ガードしている母グモが透けて見えます。ここで生まれ育った個体でしょうか?もしそうだと、なんだかちょっと嬉しい気がします。

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9月23日に見てみると、外側のシートがコンパクトになり、中がよく見えなくなりました。まるで寒さに備えているようです。この卵のうも無事に冬を越して欲しいものです。(学芸班 木村)

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三浦海岸を歩く

今日は休館日。休みを利用して、5年ほど前から気になって探している植物を求めて三浦海岸を歩きました。
時折雨がぱらつく不安定なお天気でしたが、湿度の高い風がなんとなく心地よい秋の海辺です。

内陸の相模原では見られない海浜性の植物が目立ちます。ハマエンドウです。

この花の深い青がとても好きです。
そして、ハマカンゾウ。常時吹きすさぶ強風をものともせずに咲いています。海をバックに・・。

こちらは海浜性の植物ではありませんが、イガオナモミです。

今、この外来植物が三浦の海岸を席巻しています。相模原でもよく見られるオオオナモミとの違いはこれ。

ご丁寧に、トゲにまた細かいトゲがびっしり。念入りですね。
このほかにも、特定外来生物にも指定されているアレチウリもはびっこっていて、ちょっと落ち着かなくなる風景でした。それが影響しているかどうかわかりませんが、探していた絶滅危惧植物の方はさっぱり影も形もありません。やっぱり消滅してしまったのでしょうか。
なんとなくすっきりしない心持ちで帰途につきました。
(生物担当学芸員 秋山)

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さがみはら宇宙の日「彗星と小惑星」

2014年9月23日(祝)の「さがみはら宇宙の日」は、当館学芸員による講演でした。

演題は『彗星と小惑星』。彗星とはどのような天体なのか、ヘール・ボップ彗星やハレー彗星、ホームズ彗星、マクノート彗星、アイソン彗星などの、具体例とともに、観察時のヒントもまじえながら解説。べテラン観測家デイビッド・レビーさんの言葉「彗星はネコのよう。尻尾もあれば、気ままにふるまう」のとおり、明るさなど、彗星の活動を予報するのは難しいことが強調されました。

彗星の理解が深まりそうな現象が2つ年内に起こります。まず、10月20日未明に起こる「サイディング・スプリング彗星と火星の大接近」です。地球‐月間の3分の1の距離まで、火星に彗星が接近するため、火星のまわりをまわる5つの探査機や、火星面に降りている探査機2つがこの機会に彗星観測を行う予定です。そして、11月11日に予定されているのが、ヨーロッパの探査機によるチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星の核への着陸。
2004年の打ち上げから10年もかけてようやく、この彗星にたどりついたロゼッタ探査機から、着陸機「フィレ」が切り離され、同彗星への着陸が試みられます。世界初の試みで、成功すれば彗星の表面や内部構造についての貴重なデータが得られそうで、こちらもたいへん楽しみ。彗星表面のパノラマ画像撮影も予定されています。

小惑星の話では、まず小惑星発見の歴史から始まり、次いで小惑星を調査しているドーン探査機の話題に移りました。
ロシアに落下した隕石や地球に接近した小惑星の例から、地球接近小惑星の危険性が解説されました。次々に発見される地球接近小惑星には、今後も目が離せません。国連でも地球接近天体対策に取り組んでいるというところで、今回の講演は終了しましたが、参加者からの質問が続き、いつしか予定時間を20分もオーバー。ホットな講演会となりました。(天文担当学芸員 山田[講演も本人])

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妖しく美しく

今日はすばらしい秋晴れの祝日ですが・・このところの出張や休みシフトの関係で机の上には処理しなくてはいけない書類が山積みに・・室内仕事に追われています。
そんな中、一昨日(9/21)の陣馬山の写真を整理していて、改めて菌類の美しさに見とれてしまいました。ブログでお伝えしなかった写真を少しご紹介します。まずは、ハナホウキタケ(と思われるもの)。

先手を打って白状しますが、キノコの識別は困難を極めます。シロウトが子実体(肉眼的に見える、いわゆるキノコ)だけ見て判断できるものではありません。まして、食毒についてなんて、怖くてコメントできません。
ということで、その美しさを愛でるにとどめます。種名も間違えているかもしれませんが、大きくは外れていないだろうということでご容赦ください。
続いてヤマドリダケのなかま。

一昨日のブログでもご紹介しましたが、開いたものと、この幼菌が同じものかどうかもわかりません。でも、なんだかおとぎ話の世界から飛び出してきたようなキノコです。
そして、こちらはキノコではありませんが・・

殺虫カビの一種、白きょう病菌に侵されたセミ(ツクツクボウシ?)です。このボーベリアと呼ばれるカビは、昆虫の表面のキチン質を溶かして体内に入り込んで宿主の昆虫を殺し、死体を養分に成長します。冬虫夏草と呼ばれることもありますが、目に見える大きさの「キノコ」の部分を持たないため、ふつうは冬虫夏草に含めません。
断続的に降水と晴天が繰り返されるこの時期、多くの種類の菌類が発生します。今年は特に当たり年との声がきこえてきます。まだまだ妖しくも美しい世界を楽しめそうです。
(生物担当学芸員 秋山)

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