害虫調査

今日は休館日ですが,害虫調査と殺虫剤散布の立ち会いのために出勤しました.

相模原市立博物館では夏の間だけ,博物館資料に影響を与える害虫が発生していないか調査しています.

粘着シートを床に置いて,床面を移動する虫を等を捕まえます.この中にエサは入っていません.

これは,飛んで移動する虫用の粘着シートです.中に特定の虫が好きなにおいを出す薬剤が入っています.その薬剤でおびき寄せて捕まえます.

粘着シートの設置に加えて,今日は大型収蔵庫,実習実験室,市民研究室に殺虫剤を散布しました.実習実験室と市民研究室は普段は使用しているので,休館日にしか作業ができません.
実習実験室と市民研究室は,標本整理をしたり,日常的に収蔵庫に出入りする学芸員が普段使っている部屋です.そこから収蔵庫に虫を持ち込まないよう,殺虫剤を散布しました.

大切な博物館資料が損なわれないよう,日頃から対策を講じています.

(地質担当学芸員 河尻)

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陣馬山でタカの渡り

今日は早朝に相模原を出て、一路、藤野方面へ。目指すは陣馬山。
目的は、この時期だけに見られるタカの渡りの調査です。でも、もちろんそれだけではなく、途中の登山道で今年は発生量が多いと評判のキノコも堪能しました。まずはタマゴタケ。タマゴタケの卵から頭を出したところです。

これは種類不明。ヤマドリタケのなかまですが、メロンパンのようにも見え、リクガメのようでもあり・・。

こちらは猛毒のニガクリタケ。

キノコではありませんが、山頂近くではシモバシラ(シソ科)の花が満開。この付近のものは、色がうっすら桃色でとても美しいです。

そして、山頂。9時20分頃到着して、早速観察開始。今日は週間天気予報が徐々に好転して、素晴らしいタカの渡り日和です。

こんな日は、高い空まで一気に上昇して渡っていきます。だから、写真を撮るにはちょっときつかったけど・・

上の写真のハチクマとサシバを合わせて、100羽以上が渡っていきました!それはそれは、すばらしい光景でした。
最後に、参加してくれた光明学園相模原高校理科研究部(とそのOB)のみなさんと、記念撮影。

秋の山を満喫した一日でした。
(生物担当学芸員 秋山)

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サトヒメグモ

メス3.6-4.0mm、オス2.5-2.8mm都市部から山地まで広く分布するクモです。軒先やフェンスなどの人工物でも見られます。
他のクモの網に侵入して、網の主を捕食する習性を持ちます。昨日のブログで、オオヒメグモを襲っていると書いたものの、きちんと紹介しなかったので、改めて紹介します。

写真はその時の個体でメスの幼体。体長はまだ2mmにもなりません。この小ささで、自分より大きな相手を襲うのですから、すごいものです。(学芸班 木村)

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フェンスの上の生存競争(クモ)

お向かいのJAXA相模原キャンパスのフェンスには、結構たくさんのクモが生息しているのですが、先日ふと見たオオヒメグモの網に変なものが…

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黒っぽいのがオオヒメグモ、うしろの方にぼんやり見える白っぽいのが…

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チリイソウロウグモの卵のうです。

かわいそうに、これから卵を産んでもこのチリイソウロウの子どもたちの餌食になってしまうんだな…でもこのオオヒメグモ、小さいな。卵産めるかな、などと考えていました。

そして今日、念のためもう一回写真を撮りました。
老眼のせいか、デジカメの液晶画面に映るクモの輪郭がくっきり見えません。
とにかく「ピントはこの辺か?」という感じで写真を数枚撮り、パソコンで拡大すると…

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な、なんと別なクモに食われているではありませんか!
サトヒメグモという、同じヒメグモの仲間です。
(因みにチリイソウロウグモもヒメグモ科ですが…)
ピント合わない気がしたのは、よけいな物がくっついていたせいもあるようです。
それにしてもフェンスの上の小さな網の上で、こんな熾烈な争いが繰り広げられていたとは…本当にびっくりです。(学芸班 木村)

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ヒルガオ科の純白

博物館の樹林地側の駐車場フェンスには、さまざまなつる植物がからみついています。さながらつる植物の見本園。ざっと見て10種類あります。

そんな中で、ちょっとクローズアップすると、同じような形の葉っぱだけど、なんとなく違うつる植物が隣り合って絡んでいます。

右の黄緑色の葉は、オニドコロというヤマノイモ科の植物です。左は、私の好きなヒルガオ科の一種、マメアサガオです。形は似ていますが、葉脈の出方が全く違います。
マメアサガオは、アサガオやヒルガオと比べるとだいぶ小さな花で、直径1.5センチほどです。

花が小さくて、正面から見ると五角形の角がとがっているので、ヒルガオというよりキキョウを連想します。でも、果実を見るとヒルガオ科ということがわかります。

畑にはびこるとちょっとやっかいな外来雑草ですが、こうしてじっくり見ると、なかなか清楚で美しい花です。
(生物担当学芸員 秋山)

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秋の花粉症原因植物

昨日行った相模原植物調査会の野外調査では、たくさんの花粉が舞っていました。もちろん、抗アレルギー薬を飲んで調査に臨んだわけですが、それでも途中はくしゃみ連発でした。秋の花粉症に見舞われている方への情報ということで、原因植物をご紹介します。まずは、ヨモギです。

路傍や未舗装の駐車場、植込みなど、どこにでも生えています。春先は草餅の材料として重宝されますが、この季節はアレルゲンになります。続いて、オオブタクサ。

こちらは花序のアップです。ブタクサと呼ばれますが、ほんとうのブタクサは現在、減少傾向にあってあまり見られない外来植物です。こちらのオオブタクサは、あちらこちらで見られます。

次に、カナムグラです。

アレルゲンとなる草本植物に外来のものが多い中で、ヨモギとカナムグラは在来植物です。まさに花粉を飛ばさんとしている雄花です。

ちなみに私は個人的に、このカナムグラの茎にも弱いです。茎に密生する細かなトゲ・・

これが皮膚つくと、ちょっと腫れます。調査でブッシュをかき分けたりすることも多いのですが、うっかり腕まくりなどして入るとたいへんです。天敵かも。
花粉症の方には余計なお世話!という写真ばかりかもしれませんが、敵を知ることも大切、ということでアップしました。
(生物担当学芸員 秋山)

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地質調査日誌9/16 熊本県球磨村

9月16日,火曜日.晴れ.

地質学会の巡検に参加しました.私が参加したのは熊本県球磨村周辺の岩石を見学するコースです.

前日まで鹿児島大学で行われた室内発表の期間中は3日間とも雨が降っていましたが,この日は晴れてくれました.暑かったです.

球磨川の清流.気持ちのいい風景です.

約2億年前の石灰岩です.2枚貝化石(白い破片状の部分)が密集しています.この場所は熊本県の天然記念物に指定されているので,岩石を採集することはできません.ハンマーでたたいてもいけません.写真に写っているハンマーは物差し代わりに置いたものです.

約2億年前の海底火山の噴出でできた枕状溶岩.枕状溶岩は海底でマグマが噴出した証拠です.

こちらは約2億年前の火山島とその周囲の珊瑚礁が,約1億5千万年前に崩落したものが固まってできた岩石です.火山島を形成していた溶岩と珊瑚礁が岩石となった石灰岩の破片がごちゃ混ぜになっています.

案内者の方々のおかげで,十分に岩石を観察し,充実した時を過ごすことができました.この場を借りて,お礼申し上げます.ありがとうございました.

(地質担当学芸員 河尻)

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秋の河原と湿地を歩く

今日は久しぶりに、相模原植物調査会の野外調査会を実施しました。夏の間は博物館の事業が詰まっていたり、酷暑による体調管理が難しいわりに、植物的にはそれほど成果があがらないため、まとまって出かける調査会はお休みしているのです。さて、秋の第1弾は、注目のこの植物を探しに行きました。

数年前にハチオウジアザミとして発表された、新種のアザミです。相模原市内にも生育が確認されていて、これから花期を迎えます。市内某所の湿地を探したところ、これまで両性花をつける株はまとまった数が見つかっていたのですが、今回初めて雌株を確認できました。上の写真がその花です。これはハッキリ言って珍しい!
上場の滑り出しに気をよくして、この時期に咲くもう一つの珍種を求めて場所を移動。緑区の相模川の河原です。

どこにでもある、メドハギに見えます。メドハギなら、ほんとうになんでもない雑草なのですが、上の花はちょっと違います。何が違うかというと・・下の葉は、ふつうのメドハギです。

そして次の葉は、シベリアメドハギと言います。何が違うのでしょうか。

葉脈に注目します。側脈がすなおに葉縁に流れるメドハギに対して、下のシベリアメドハギは、あみだくじのように複雑に枝分かれしています。ほかにも、茎の色合いなどいくつかの違いがありますが、花に関してはほとんど違いがありません。しかし私たち植物マニアは、こんなところの違いを見つけて喜んでいるわけです。我ながら・・ヘンですね。ちなみにシベリアメドハギは、県内ではこの河原以外でほとんど見ることがありません。隠れた珍種です。
さて、河原にはこれも玄人好みのイネ科の植物、ナルコビエが咲いていました。どこがいいのかというと上手く説明できないのですが、なんだかかわいい植物です。

まだ若いスズメウリの果実がぶらさがっていました。これもかわいい!

今日は市内近傍での調査ということもあり、いつもより多くのメンバーが調査に参加しました。

秋とはいえ蒸し暑い一日だったので、早めに切り上げて帰途につきました。
(生物担当学芸員 秋山)

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ギンメッキゴミグモの変な網

先日見かけたギンメッキゴミグモの網。
なんだか横糸が少なくて、小さな変な網です。糸そのものも太く白く見えます。
実は、これ、脱皮直前につくる網なのです。
脱皮の途中で何かハプニングが起きても、クモは何もできません。
そこで、大事な足場が壊れることのないように、こうした網をつくるのだと考えられています。
実は寄生蜂がクモに寄生して、いよいよ蛹になる、というときもこのタイプの網をクモにつくらせるのだそうですが、この写真の個体はまだ幼体なので脱皮のための網と考えてよいでしょう。

因みにこれが同じ日に撮った別の個体の網。
風が強かったのでぶれぶれですが、ギンメッキゴミグモの網の雰囲気が出ているので敢えて(?)掲載します。ぜんぜん違うのがわかっていただけると思います。
脱皮というのは節足動物の宿命ですが、その際のリスクを減らす工夫、というのがあるのですね。(学芸班 木村)

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どんぐりころころ


今朝の博物館の正面入り口前の風景。
石の舗装の上にはどんぐりがいっぱいです。

駐車場からやってきた子どもや親子づれが、ここで歓声をを上げます。
「あ、どんぐりがいっぱい!」
中には樹名板をみながら「クヌギだね!」といっている親子もいます。
時々枝から実が落ちてきて「かつん!」と地面に当たる音が聞こえます。
それを見ていた子が「本当にころころころがったよ!」と叫びます。
車道をはさんだ向かい側にもクヌギがあって、博物館からJAXA相模原キャンパスに歩いていく子どもたちが「どんぐりころころ~」と、歌っています。

今日はむずかしい話はぬきにしましょう。
丸くて大きいクヌギのどんぐりは、本当に人気者です。(学芸班 木村)

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