駐車場に珊瑚の枝?

今、博物館の駐車場の一画にこんなものがたくさん落ちてます。

赤くて、なんだか珊瑚の枝のようです。
正体は、クマノミズキの花柄です。初夏に純白の花をつけていたクマノミズキが熟して、柄ごと落ちた跡です。若い実がついたまま落ちたものもありました。

若いカラスがしょっちゅうやってきては果実を食べています。
ところで、クマノミズキに葉も花もたいへんよく似たミズキという木があります。下の写真は、ミズキです。

こちらがクマノミズキです。駐車場に隣同士で立っています。違いがわかりますか?

とてもよく似ているのですが、決定的な違いがあります。クマノミズキの枝は、一カ所から2本ずつ出ている「対生」という付き方です。それに対して、ミズキは1本ずつ出る「互生」です。ほかにも、冬芽の違いもありますが、この時期はあまり目立たない部分ですね。
そしてもう1点。花の咲く時期がだいぶ違います。ミズキはクマノミズキよりも1カ月ほど早く、もうとっくに果実は熟して落ちた後です。果実や花柄だけではまったく区別がつかないのですが、この時期に落ちている瑞々しいものは、クマノミズキだとわかるのです。
(生物担当学芸員 秋山)

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今日もジョロウグモ

一昨日撮った写真なのですが、歩いていると、目の隅にやけにごちゃごちゃした感じのジョロウグモが見えました。

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近づいてよく見ると、オスメスが交接しているところでした。近くにはメスが最終脱皮した殻もあります。

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クモの場合、オスの触肢の先端がスポイト状の器官(「パルプ」と呼びます)になっており、一旦、体外に出した精液をここに吸い取って保持する事から「交尾」ではなくこのように呼ぶ習慣があるようです。
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アップにしてみると、触肢の先端がメスの腹部に刺さっているように見えます。通常、パルプは複雑な形をしており、それがメスの外雌器とかみ合う事で、他種との交雑を防いでいる事が多いのですが、ジョロウグモのパルプは比較的単純な形をしています。こんな風に先端だけ刺さっているように見えるのは、その事と関係あるのかも知れません。そろそろ繁殖のシーズンですので、機会があればもっと細かく観察してみたいと思います。(学芸班 木村)

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植物の和名におもうこと オトコエシ

博物館お隣の樹林地に今、ちょっと目立つ花が咲いています。
オトコエシです。

林下で純白の花序を真上に向け、すくっと立つ姿には清楚で凜とした趣があり、お気に入りの花のひとつです。

ところで、オトコエシときいて、もっとよく知られた花の名を思い出すことでしょう。オミナエシです。

秋の七草の一つとして、名実共に野草界のスーパースターです。漢字はよくオミナエシが女郎花、オトコエシが男郎花と当てられます。
植物和名で頭にオトコ(オ)とオンナ(メ)と対比的につけられた名前があれば、オトコは花や全草が大きめ、オンナは小さめの意味です。同じようにカラスとスズメ、オニとヒメなどがあります。
性別で大小を表すことの是非はともかく、オトコエシとオミナエシに関してはどうもこの対比がしっくりきません。オトコエシは茎が太くてがっしりとして男性的・・と図鑑には書かれますが、草原性のオミナエシの方が大きくボサボサと育つことが多いように思います。花弁の色もオミナエシは強い黄色で攻撃的な色合いに見えます。
あまり深読みするとよからぬ方向へ話が進みそうなのでやめますが、いずれにしても、私個人的には燦々と日に当たって輝くオミナエシよりも、林下にそっとたたずむオトコエシの方が、好みの花です。
(生物担当学芸員 秋山)

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お得なボランティア会議

今日は隔月で開催している博物館のボランティア連絡調整会議の日でした。いよいよ「学びの収穫祭」が2カ月後となり、発表エントリーの状況や、準備の手はずなどについて話し合いました。
で、そういった事務的な話はパッパと済ませて、お楽しみはミニレクチャーです。今日は「博物館の組織と仕事」として、企画情報班の佐々木総括副主幹から博物館の沿革や組織体系などについてレクチャーがありました(すいません、写真を撮り忘れました)。ふだん接点がほとんどない職員による組織のお話でしたが、博物館では意外とたくさんの人が働いているということがわかってここでまず「へぇ!」
そして、普段まず立ち入ることの無い場所へ。コントロール室です。

ここは館内の空調を制御する監視システムの心臓部です。管理を請け負っている業者さんから説明を聞き、続いて機械室へ。

巨大なボイラーやら配管が所狭しと設置されているようすに、みなさん驚いていました。
続いて、あさってからオープンの「尾崎咢堂没後60年展 ~咢堂と支策の人びと~」の準備状況を見学。

一足先の観覧に、ここでもみなさん興味津々。
ボランティア活動に携わるみなさんへのサービスという側面もあるこの会議、ボランティアグループに参加されている方なら誰でも出席できます。博物館のボランティア活動のようすは、11月15日(土)、16日(日)の両日実施される「学びの収穫祭」で一同に披露されます。ぜひそちらへお越しいただき、活動をのぞいてみてください!そして、ご興味のある方は参加してみてください!
(生物担当学芸員 秋山)

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休日に谷津干潟

今日は振替休日をいただいて、気心知れた仲間と千葉県の谷津干潟へ行ってきました。東京湾の埋め立て地に残された奇跡の野鳥の楽園は、マンションや住宅地、高速道路などに囲まれています。純粋にバードウォッチングに徹すると気合いを入れて周回しました。

四半世紀前なら迷鳥としてバードウォッチャーの憧れだったセイタカシギです。

今は近隣で繁殖が確認され、谷津干潟では定番の野鳥です。それにしても、優雅なことこの上ない鳥です。

アオサギは求愛?ちょっかいを出しつ、出されつ・・

エリマキシギの背の羽はなぜ反り返るのかわかりませんが、下を向くと必ずバサッと立っていました。

行き帰りは首都高でちょこちょこと渋滞に当たりましたが、気持ちの良い潮風に当たりながらリフレッシュしました!
(生物担当学芸員 秋山)

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ジョロウグモは一妻多夫?

暑い夏も過ぎ、いよいよ秋の気配です。
博物館周辺のジョロウグモも、繁殖の準備に入っています。

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こんな風にオスがメスの網に侵入して、メスが最終脱皮をするのを待っています。

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こちらは1頭のメスの網にに3頭のオスが入り込んでいます。
通常、ジョロウグモはオスの方が小さいのですが、これはどれがオスでどれがメスかわからないくらい大きさの差がありません。

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こちらもオスが3頭ですが、メスが大きめです。
このうちメスと交尾するのは1頭だけ。オス同士の争いでは体が大きい方が有利なようですが、捕食者対策としては体サイズが小さい方が有利との研究もあり、なかなか大きくなるのも善し悪しのようです。
そういえば、今年はメスのサイズが小さいような気がします。栄養状態がよくないのでしょうか。冬を越す卵の数に影響が出そうでちょっと気になります。(学芸班 木村)

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植物学教室「花の観察と植物画」2日目

今日も朝10時から16時まで、植物画をとおして植物のつくりや美しさを学ぶ教室を実施しました。昨日に引き続いての教室なので
受講者のみなさんも朝からがっちりと集中して取り組みました。

こちらが「一度、筆を置きましょう」と言わないと休憩も取らないくらいの集中ぶりです。それもそのはずで、家にいたら、こんなに長い時間植物と向き合ったり、絵を描く事なんてなかなかできません。貴重な集中の時間を楽しみます。
教室の最後に、できあがった絵に簡易のマットをのせて、お互いの作品を見て回りました。

苦労がわかるだけに、誰の、どの作品もほんとうに輝いて見えます。
たとえば、カキ。質感や果実の重量感がよく出ています。

フヨウはオペラと呼ばれるピンクの花の色合いに苦労しました。

ご指導くださった植物画家の豊田路子さんの的確なご指導もあり、植物画としてしっかりとまとめ上げることができました。終了時、みなさんの充実した顔つきがそれを物語っていました。大切なことは、今回揃えていただいた画材を眠らせないことですね!受講生のみなさんにはこれからも植物画に親しんでいただきたいと願っています。
(生物担当学芸員 秋山)

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「咢堂と支策の人びと」準備中!

夏季企画展が終わった特別展示室では、「尾崎咢堂没後60年展 ~咢堂と支策の人びと~」の準備が着々と進行中です。

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「尾崎行雄を全国に発信する会」の皆さんも…

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実習生も作業に参加しています。

今回の展示では、尾崎咢堂ゆかりの地である、伊勢、軽井沢、銚子などからも資料を借用してきています。さて、どんな風に仕上がるでしょう。9月13日(土)を楽しみにお待ちください。(学芸班 木村)

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生物学教室「花の観察と植物画」

毎年恒例となった植物学教室「花の観察と植物画」は、今日が第1日目です。植物画の初心者向けに、植物画家の豊田路子さんが直接ご指導くださる贅沢な教室です。

午前中にじっくりと鉛筆でデッサンします。この教室で使う透明水彩絵の具は、最後まで鉛筆の線が残ります。そのため、慎重に、なおかつ正確に植物の形を写し取らなくてはいけません。

午後からは彩色です。透明水彩を初めて使う方がほとんどなので、色の薄い部分、明るい部分の表現に苦労します。

それでも、みなさんしっかりと植物画を描いてくださいました。私がいきなりその絵を見せられたとして、正確に種類を言い当てられるレベルです。シンプルですが、それが植物画の第一条件と言えます。一日目として、これはすごいことですね!
今日は草本を描いていただきましたが、明日の課題は木本です。どんな作品が仕上がるか、楽しみです!
(生物担当学芸員 秋山)

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地質分野博物館実習終了

地質分野の博物館実習は本日,無事終了しました.

今日は,昨日完成させた薄片の顕微鏡写真の展示パネル作成しました.

撮影装置を使って顕微鏡写真を撮影します.

パソコンで文字を入れてパネルを作ります.

額に入れて出来上がり!

写真は博物館2階の喫茶室に展示してあります.

地質分野の実習生二人は,大学では生物学の専攻で,申込時は地質分野希望ではありませんでしたが,一生懸命,頑張ってくれました.この先,今回の地質分野の実習のような経験をする機会はあまり無いでしょう.貴重な時間を過ごせたのではないかと思います.

(地質担当学芸員 河尻)

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