T字型の蛾、オカモトトゲエダシャク

先週、博物館のガラスに不思議な蛾がとまっていると教えてもらいました。
採集し、撮影したのがこちら。

T字型の蛾

アルファベットのT、あるい漢字の丁のような形に羽をたたんでいます。

横から

上の写真は、同じ個体を横から見た様子です。

どうなっているのかを詳しく見ると、Tの「横棒」の部分に前翅(まえばね)、「縦棒」の部分に後翅(うしろばね)がそれぞれたたまれています。

前翅と後翅

この変わった蛾は、シャクガの仲間のオカモトトゲエダシャクという種だと教えてもらいました。
早春から成虫が出始める蛾だそうです。春の訪れを感じる、嬉しい出会いでした。
(動物担当学芸員)

カテゴリー: 生きもの・地形・地質 | タグ: , , | T字型の蛾、オカモトトゲエダシャク はコメントを受け付けていません

【3/20~】吉野宿ふじやに令和6年度歴史分野実習生展を出張展示します。

本年度初の試みとして、甲州道中における各都県で唯一現存する本陣建物を有する相模原市と日野市による連携事業「令和6年度 相模原市×日野市 甲州道中本陣連携事業」を実施しました。本事業では、全4回の歴史講座や特別展と本陣見学会、ミニ展示などの様々な企画をとおして、相模原・日野の両市を舞台に甲州道中と本陣を取り巻く歴史文化について発信してまいりました。
当館で開催したミニ展示と歴史講座の様子は、次のリンクからご覧いただけます。(ミニ展示歴史講座①

このブログでも紹介しているとおり、ミニ展示は当館が昨年受け入れた歴史分野の博物館実習生が制作したものです。実習生たちの集大成であるミニ展示「甲州道中と明治天皇巡幸」を、令和7年3月20日(木・祝)から吉野宿ふじやで出張展示します。

ミニ展示の様子

このミニ展示では、明治天皇の「巡幸(=天皇が各地をまわること)」に注目し、相模原市域の甲州道中にもゆかりがある明治13(1880)年の巡幸について取り上げています。
明治5(1872)~同18(1885)年の間、明治天皇によって6度にわたり行われた大規模な巡幸を「六大巡幸」と言います。うち、第4回目となる明治13(1880)年の巡幸では、吉野宿本陣に行在所(=巡幸の際の臨時の滞在場所)が置かれ、6月17日に明治天皇御一行がお昼休憩を取られたという記録が残っています。

パネルや地図を使って紹介しています。

会場の吉野宿ふじやの1階には、今回の出張ミニ展示と関わりが深い「行在所」の立て看板や、「五層楼」と呼ばれた木造5階建ての吉野宿本陣(明治29(1896)年の吉野駅大火により焼失)のミニチュア復元模型などが常設展示されています。ぜひミニ展示と合わせてご覧いただきたいと思います。

行在所(あんざいしょ)の立て看板(常設)

吉野宿本陣の復元模型(常設)

展示期間は6月29日(日)までですが、吉野宿ふじやは土・日・祝日のみ開館のため、開催日にはご注意ください!展示の詳細はこちらからご確認いただけます。

(歴史担当学芸員)

カテゴリー: おしらせ, 吉野宿ふじや, 考古・歴史・民俗 | タグ: , , , , , | 【3/20~】吉野宿ふじやに令和6年度歴史分野実習生展を出張展示します。 はコメントを受け付けていません

ギフチョウの調査

3月22日、市内の生息地で行われたギフチョウの調査に参加してきました。神奈川県の天然記念物であるギフチョウの調査ということで、調査は神奈川県が主催し、特別な許可のもと実施されています。

調査の様子

今回は残念ながらギフチョウを確認することはできませんでした。例年に比べ、成虫の発生が遅れているようです。
ギフチョウが飛んでこないか待つ間、ルリタテハや、ハチの仲間のキンケハラナガツチバチなど、何種かの昆虫を観察することができました。

ルリタテハ

ルリタテハの羽のウラ側

キンケハラナガツチバチ

今回の調査の目的のひとつは、現地における生息状況の確認です。そしてもう一つの重要な目的が、人により他の県から持ち込まれた個体がいないかを確認することです。
市内の生息地とその周辺では、過去に(つい昨年も!)他県産のギフチョウが持ち込まれたことがあります。持ち込まれた他県産のギフチョウが、神奈川にもともと生息していた在来のギフチョウと交雑してしまうと、在来のギフチョウに固有の遺伝子は永遠に失われてしまいます。そのため、他県産の個体がいないかを確認することは、神奈川在来のギフチョウを保全するうえでとても重要です。
博物館では、今後も神奈川在来のギフチョウの保全活動に参加していきたいと思います。
(動物担当学芸員)

カテゴリー: 生きもの・地形・地質 | タグ: , , | ギフチョウの調査 はコメントを受け付けていません

コブシ咲く

二十四節気の春分(今年は3月20日)を過ぎ、日中の日差しの中にも春の陽気が強く感じられるようになりました。博物館前庭のコブシも咲き出しました。

コブシの花(3/22 博物館前庭)

まだ上の方の枝が中心の3分咲き程度なので、見上げないと気づきません。

コブシ

足元では、タチツボスミレが咲いていました。

タチツボスミレ

今年は春の草花の開花が遅く、カントウタンポポはまだ咲いていません。それでも、この陽気に煽られるようにこれから順次咲き出してくるでしょう。
(生物担当学芸員)

カテゴリー: 生きもの・地形・地質 | タグ: , | コブシ咲く はコメントを受け付けていません

麻布大学との連携講演会「ヒトとイヌの絆」を開催しました

3月20日、かねてからお知らせしていた麻布大学いのちの博物館との連携記念講演会第2弾「ヒトとイヌの絆 最新研究が示す、特別な関係の現在、過去、未来」を開催しました。

たくさんの方お越しいただきました

講師は同大学獣医学部教授の菊水健史(きくすい たけふみ)さんです。前半は、地球上で初めて家畜化されたイヌが、どのような性質によってヒトとの絆を築いてきたのか、他の動物との決定的な違いは何か、科学的な研究成果をもとに紹介していただきました。

菊水健史さん(麻布大学教授)

さらに、絆を形成している証拠となるホルモンの分泌量から、ヒトとイヌが相互に「幸せ」を感じていることを証明した実験や、オオカミと同一起源とされるイヌが犬種を増やしてきた過程と、その中での和犬の位置づけから、私たちに馴染の深い柴犬の特性が明らかになります。
そして、イヌがヒトとその社会へもたらすウエルビーイングへの効果から、これからの私たちの地域社会がイヌの存在をどのように活用していくことができるのか、そんな社会実験に取り組まれていることが紹介されました。

講演会のポスター

ヒトとイヌという1対1の関係性だけでなく、社会へもたらす効果の大きさに、聴講されたみなさんも大変興味を持たれた様子でした。質疑応答の時間では、会場からの非常に的を得た多くの質問に、菊水先生もお話がしっかり伝わったという感触を得られたようです。
150名近い聴講者のみなさんが、とても満足げな表情で帰途につかれていてました。麻布大学という地元の大学で、こんなすばらしい研究が行われていることを実感できるこの連携記念講演会、これからも続けていきたいと思います。
(生物担当学芸員)

カテゴリー: 今日の博物館, 生きもの・地形・地質 | タグ: | 麻布大学との連携講演会「ヒトとイヌの絆」を開催しました はコメントを受け付けていません

菰巻き(こもまき)の虫観察

虫が動き出すといわれる「啓蟄」が過ぎ、虫たちもそろそろ越冬からあける時期になってきました。
先週、横浜市にある高校と横浜国立大学で、虫たちの冬越し場所として設置した「菰巻き(こもまき)」を開け、中にいる虫を観察するイベントが実施されました。
※横浜国立大学のものは、11月に実施した観察会で設置した菰です。

菰巻き

木にまかれた菰を室内に持ち帰り、藁の中にどんな虫が隠れているか、探していきます。

中の虫を探します

藁の中から出てくる虫たちに、会場は大盛り上がり。
ワラジムシやダンゴムシの数が多く、テントウムシやゴミムシダマシ、ゴキブリのなかまなどの昆虫も混じる、という結果になりました。

たくさんの虫が見つかりました

どの仲間かな?

中には、要注意な虫たちも。
大きなムカデや、マツの害虫であるマツカレハの幼虫(毒のある毛虫)です。

ムカデ

マツカレハ

菰巻きに入る虫たちの観察は動物担当学芸員の私も初めての経験だったので、とても勉強になりました。
(動物担当学芸員)

カテゴリー: 生きもの・地形・地質 | タグ: , , , | 菰巻き(こもまき)の虫観察 はコメントを受け付けていません

ミミガタテンナンショウの芽生え

3月18日、博物館の中庭に植えてあるミミガタテンナンショウが芽生えているのを見つけました。

ミミガタテンナンショウの芽生え(2025年3月18日)

ちなみに昨年のちょうど同じ日に撮影した同じ株の写真があったので比較してみると・・

昨年の同じ日の同じ株(2024年3月18日)

昨年は咲き始めていました。今年はタンポポをはじめとして春の草花の開花が遅く、なかなか咲いてくれませんが、ミミガタテンナンショウはあと数日くらいで花が咲き出しそうです。
ミミガタテンナンショウは神奈川県内の分布が偏っていて、相模川を境に西側の山地や丘陵地では普通に見られますが、東側にはほとんど分布していません。その中で、相模原市の低地の緑地では相模川より東側であるにも関わらず、比較的普通に分布しています。
博物館周辺の樹林にも多いので、これからニョキニョキと咲き出すはずです。
(生物担当学芸員)

カテゴリー: 生きもの・地形・地質 | タグ: | ミミガタテンナンショウの芽生え はコメントを受け付けていません

生きものミニサロン「顕微鏡でスギの花粉を見てやろう!」を実施しました

3月15日、毎月恒例の生きものミニサロンを実施しました。
今回のテーマは「顕微鏡でスギの花粉を見てやろう!」です。花粉症の原因物質として社会的な問題となっているスギ花粉ですが、実際にそれがどのような形をしているのか見たことのある人は少ないようなので、顕微鏡で観察をしてみました。まずは、花粉の採集です。博物館に停めてある公用車のフロントガラスに、セロハンテープをくっつけるだけ。

 

フロントガラスに新鮮な?花粉がたくさんついています

軽く貼り付けます

それを、スライドグラスの大きさに切ってパンチで穴をあけたボール紙に貼り付けます。

スライドグラスの代わりのダンボール紙に貼り付けます

そして、顕微鏡へのせます。はじめはピント合わせなどに慣れないため苦戦していましたが、次第にバッチリ合わせられるようになりました。

見えた!

スギの花粉は球形で、パピラと呼ばれる突起が一つあるのが特徴です。そして、フロントガラスにつもっている時には黄色っぽく見えましたが、顕微鏡で見ると透明です。

スギの花粉 大きさは約40マイクロメートル

みなさん、しっかりと観察して、スギ花粉の“正体”をつかむことができました。慣れたところで、博物館お隣の樹林内でなぜか咲いていたヒメリュウキンカ(園芸種)の花粉も見てみました。スギと違い、黄色くてラグビーボールのような形をしています。参加者のお一人は、「お米みたいな形!」と言っていました。

ヒメリュウキンカの花粉

花粉以外にも、ミズキの切り株に染み出た樹液が発酵した、スライム・フラックスと呼ばれる菌類のコロニーが見られたので、これもしっかり観察。

ペリペリとめくる、勇気あるお子さんも

においをかいだお子さんが、ミカンみたいなにおいがする!と教えてくれました。

ちょっと甘いにおいがしました

最後に、今日の観察のポイントを紹介した「こんな観察ししたね!カード」を配布しました。

こんな観察したね!カード

【参加者のみなさまへのお詫び】このカードのスギ花粉の解説文で、「1つの雌花から約40万粒の花粉が・・」と書いてしまいましたが「雄花から約40万粒」が正解です。サポートスタッフのヨシ君が見つけて指摘してくれました。お詫びして訂正します。

さて、今年度の生きものミニサロンは今回が最終となりますが、来年度も引き続き、第三土曜日を中心に実施する予定です(数回、第三以外の実施となります)。お楽しみに!
(生物担当学芸員)

カテゴリー: 今日の博物館, 生きもの・地形・地質 | タグ: , , | 生きものミニサロン「顕微鏡でスギの花粉を見てやろう!」を実施しました はコメントを受け付けていません

キブシが開花

3月14日、博物館お隣の樹林でキブシが開花しているのを確認しました。

開花したキブシ

キブシは春一番に木に咲く花の一つです。かんざしのような形の花がとてもかわいらしいですね。

かんざしのように連なって咲きます

まだつぼみの方が多いので、これからしばらく楽しめそうです。
キブシと名前が似ていますが、こちらのコブシはまだつぼみのままです。真冬に比べるとだいぶ大きくなってきたので、間もなく開花となるでしょう。

コブシのつぼみ

週末はまた気温が下がる予報ですが、ひとたび開花が進むと後戻りすることはありませんので、見逃さないよう気を付けようと思います。
(生物担当学芸員)

カテゴリー: 生きもの・地形・地質 | タグ: , | キブシが開花 はコメントを受け付けていません

相模原市立博物館の開館30周年記念ロゴが決定しました!

相模原市立博物館にとって、本年は特別な年です。平成7(1995)、相模原市中央区高根の地にオープンした当館は、令和7(2025)年11月20日をもって開館30年を迎えます。

平成7(1995)年、開館当初の相模原市立博物館(当館所蔵)

次年度の令和7年度からは本格的に開館30周年記念事業が動き出すため、日々様々な準備を進めているところですが、このたび、当館の開館30周年を象徴するロゴマークが決定したことをここに報告いたします!

相模原市立博物館開館30周年記念ロゴマーク

ロゴマークをデザインしていただいたikedariさんのコメントを紹介します。

ikedariさん:博物館の特徴である円筒の建物を「0」の部分に落とし込んだロゴデザインです。「3」はふたつの円筒が交差する形で描きました。この交差する円筒は、「人文」「自然」という2つの分野が交わる「博物館という場所」を表現しています。カラーリングはそれぞれ黄土色=地面・土、緑=自然、青=空・宇宙をイメージしています。

とても素敵に仕上げていただいたこちらのロゴマークは、開館30周年記念事業に関する刊行物・制作物や当館の各SNS等、様々な場面で広く活用します。
このブログをご覧の皆さまにも、ぜひ当館の開館30周年をご一緒に盛り上げていただきたいと思います。

現在計画中の開館30周年記念事業についても、詳細をホームページ等で順次お知らせいたしますので、どうぞ楽しみにお待ちください!

(歴史担当学芸員)

カテゴリー: おしらせ, 報告 | タグ: | 相模原市立博物館の開館30周年記念ロゴが決定しました! はコメントを受け付けていません