冬ごもり前の虫さがし

最近めっきり寒くなってきましたが、野外に出ればまだまだ虫を観察することができます。本日(11月10日)は横浜国立大学と横浜市の共催事業として虫の冬ごもりをテーマに観察会が実施され、その講師を担当してきました。
観察会の目的は、虫を観察しながら、虫たちがどうやって越冬するのかを考えることと、虫の越冬場所となる「こも巻き」をつくることです。

原っぱに出発

子どもたちは、さっそくバッタやカマキリを見つけてくれます。

ヒナバッタを発見!

今日のポイントとして事前に説明したのが、「みつけた虫がそのまま冬越しするのか、冬に死んでしまうのか」です。

カマキリの卵のうも…

カマキリは卵のうで冬を越しますね。

ツチイナゴ

バッタのなかまのほとんどは卵で冬を越しますが、こちらのツチイナゴは、成虫で越冬することで有名です。

虫さがしの後は、「こも巻き」を行いました。こも巻きとは伝統的な害虫駆除方法のひとつで、もともとマツの害虫退治のために行われていました。木の幹に藁で作った腹巻きのような「こも」を巻き付けることで、その中に越冬しに集まってきた害虫を「こも」ごと燃やして駆除するという仕組みです。

藁で作られた「こも」をみんなで巻きます

今回はこの仕組みを応用して、駆除はせずに集まってきた虫を観察するのですが、今日はそのための下準備です。みんなで選んだ木に、こもを巻き付けていきます。
実際にこも巻きに入った虫を観察するのは3月の予定です。どんな虫が越冬に使ってくれるか、楽しみですね。

完成したこも巻き

(動物担当学芸員)

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カモの季節

11月9日、市内南区の相模原沈殿池へカモ類の様子を見に行ってきました。すでに100羽以上のカモたちが集まっていて、採食したり、羽づくろいや休息したりしていました。こちらはヒドリガモの群れです。

優雅に浮かんでいるように見えるヒドリガモの群ですが・・

オスは美しい繁殖羽に換わり、のんびり優雅に泳いでいるように見えますが・・実際はかなりピリピリとした緊張感が漂っているのです。それは、これからのシーズン、ペアを形成するためにオス同士が熾烈な争いを繰り広げるからです。しばらく見ていたら、突如、争いが始まりました。

ものすごい形相で争うヒドリガモのオス

メスを挟んでオス同士が激しく衝突しています。動画もご覧ください。

片方のオスがもう一方のオスを追い払って争いが済んだ後、オスとメスがシンクロした動きをしています。どうやらこの2羽はめでたくペアになっていて、そこへ、別のオスがちょっかいを出してきたのでしょう。防衛成功といったところでしょうか。
こちらは渋い色合いの、オカヨシガモのオスです。

オカヨシガモのオス

地味な羽色に見えますが、背面に流れるような模様に見える装飾羽が伸びていて、とても美しい造形です。さらに、翼を広げると・・

翼を広げたオカヨシガモのオス

コントラストの強い羽色が現れます。
これからの季節、開けた水面でカモたちの美しい色合いだけでなく、ペア形成の様子なども観察できます。防寒着をしっかり着込んで、カモの集まる水辺でバードウォッチングしてみてはいかがでしょうか。
(生物担当学芸員)

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【市民学芸員かわら版】伝説の中のさがみはら女子

当館1階情報サービスコーナー入口横が定位置の『市民学芸員かわら版』について、今月から最新第16号の掲示が始まりました。最新号のテーマは、「伝説の中のさがみはら女子」です。

『市民学芸員かわら版』とは、当館の博物館ボランティア「市民学芸員」の情報発信チームが作成する壁新聞です。テーマ選定から情報収集、記事のレイアウトまで全て市民学芸員が行い、自然・歴史・文化に関する様々なトピックスについて、市民目線を取り入れながらわかりやすく紹介しています。

『市民学芸員かわら版』第16号「伝説の中のさがみはら女子」

今回の「伝説の中のさがみはら女子」は、多数のドラマ・映画に出演し、女優業でも幅広く活動されているモデルの冨永 愛(とみなが あい)さん、パリオリンピックの金メダル獲得が記憶に新しいスケートボードの吉沢 恋(よしざわ ここ)選手、相模原市がホームタウンの女子プロサッカーチーム「ノジマステラ神奈川相模原」といった、近年活躍が目覚ましい本市ゆかりの女性たちに着想を得てテーマとしたとのこと。

「美女谷の照手姫」、「隠れ里の折花姫」、「くしかわ姫と櫛」、「おぎんさんの恋」、「日金沢(ひがんざわ)の照手姫」、「村人を救った照姫」、「お花さんと一遍さん」の7つのお話をイラストと写真付きで紹介しています。情報発信チームメンバーによる、各伝承の女性たちをイメージしたかわいらしいイラストは必見です。

市民学芸員・画の“おぎんさん”(「おぎんさんの恋」より)

それぞれの伝承地は市内マップでご確認いただけますので、お話を読んでから実際に行ってみて「伝説の中のさがみはら女子」に思いを馳せるのもいいかもしれません。
ご来館の際は、『市民学芸員かわら版』最新号をぜひご覧ください。

(歴史担当学芸員)

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3色のイモムシ(写真あり)

11月に入って少し秋らしくなってきた博物館周辺の樹林地ですが、その中にクサギの木が生えています。果実をジョウビタキが食べていたことを先日のブログでもお伝えしました。そのクサギに、巨大なイモムシがついていました。

クロメンガタスズメの幼虫(緑色タイプ)

クロメンガタスズメの幼虫です。成虫も大きなガ(蛾)で、胸部背面の人面のような模様が特徴です。4年前のこのブログでも紹介しました。
幼虫の食草はナス科だけでなく、クサギも、ということで探したところ、結構たくさん見つかりました。チョウやガのイモムシは、同じ種類でも緑色や茶色など変異のあるものが多いのですが、クロメンガタスズメも緑色タイプのほか、黄色タイプと茶色タイプが知られています。今回は、樹林地内で実施していた鳥類調査の合間に3色とも見ることができました。こちらは黄色タイプです。

クロメンガタスズメの幼虫(黄色タイプ)奥は緑色タイプ

そして、少し離れた場所で調査の参加者が茶色タイプも発見!

クロメンガタスズメの幼虫(茶色タイプ)

同じ種なのにこれだけの色違いがあるのは驚きです。よく見ると、特に茶色タイプは表面の様子もかなり違っています。
それでも、共通なのは尾角(腹部最後部背面の突起)です。トゲトゲしてくるりとカールしています。

3色共通の尾角

なんともインパクトのあるイモムシです。博物館周辺でかなり発生していることがわかったので、次は成虫も探してみようと思います。
(生物担当学芸員)

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【R6学習資料展】全3回の関連イベントが終了しました!

昨日とは打って変わってよく晴れた日曜日、令和6年度学習資料展の最後の関連イベントを実施しました。

現在、当館では博物館ボランティア「市民学芸員」との協働による秋季企画展 学習資料展「相模原70年と学校給食のあゆみ」を開催していますが、展示とあわせてお楽しみいただける関連イベントも会期中に企画しました。もちろん、運営は市民学芸員総出で行います。

イベントに向け、朝から市民学芸員が準備をしました。

イベントは全部で3種類。恒例のぶんぶんゴマ、市民学芸員「紙芝居クラブ」による食育紙芝居、相模原市食育推進マスコットキャラクター「サガピー」のぬいぐるみとの記念撮影です。会期中に全3回実施し、11月3日(日)が最終回となりました。

1日2回公演の食育紙芝居では、演者である紙芝居クラブのメンバーと、観に来てくれた子どもたちの元気な掛け合いが聞こえました。荷台に木枠が載った自転車を囲む昔ながらのスタイルで、野菜の種類や大豆を加工してできた食品など、紙芝居をとおして「食」について学んでいただけたようです。

紙をめくってお話が進みます。次はどんな場面かな…?

ぶんぶんゴマのコーナーでは、お子さまのみならず保護者の方も一緒になって色を塗ったり、できあがったコマを回したりと楽しまれている様子でした。

上手く回すと名前のとおり「ブーン、ブーン」といい音がします。

そして、多くの来場者に大人気だった「サガピー」のぬいぐるみも、一緒に記念撮影ができるのはこの日がラスト。ということで、市民学芸員の皆さんも記念に1枚。

とってもかわいい!ぬいぐるみの「サガピー」が大人気でした。

フォトスポット自体は会期中常設していますので、ご来場時はぜひこちらで記念撮影していただきたいと思います。このほか、以前ブログで紹介した野菜折り紙黒電話の体験コーナーも最終日までお楽しみいただけます。

野菜折り紙体験コーナー

黒電話の体験コーナー

全3回の学習資料展関連イベントでは、なんと延べ1,000人以上にご参加いただきました。お越しいただいた皆さま、本当にありがとうございました。

9月に始まった学習資料展も、気づけば残すところあと1週間です。相模原市市制施行70周年を祝した本企画を、どうぞお見逃しなく!

(歴史担当学芸員)

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JAXA相模原キャンパス特別公開 現地開催が終了しました!

11月2日、JAXA相模原キャンパスの特別公開、現地開催が行われました。
10時30分からプラネタリウムで行われた宇宙科学研究所長の國中均さんによる講演「日本の宇宙研究について〜有利なこと、不利なこと、最も重要なこと、を考えてみる〜」は、日本の航空機開発の黎明期にさかのぼるJAXAの歴史を紐解きつつ、惑星探査の現在と将来を展望する深く壮大な内容でした。

國中所長のお話に聴き入りました

この後も「小型月着陸実証機 SLIM スペシャル トークショー」が行われ、集まったJAXAファンが熱心に聴き入りました。
エントランスでは「女子中高大生向け 進路で将来どうなるの?私の進路と今の研究」と題したトークショーが行われました。現在の日本の理工系の男女比や、そこから見えてくる問題点などが解説された後、JAXAで活躍中の女性研究者が登壇し、ご自身の研究や、これから研究者を目指す若者へのエールを送りました。

理系研究者を目指す若い女性を中心に熱心な質疑が交わされました

終了後も聴講者の質問に丁寧に答えている姿が印象的でした。
大会議室では2室に分けられたスペースで、それぞれ「小型月着陸実証機SLIM VR体験」と、タカラトミーと当館学芸員がご案内するSORA-Q(Flagship Model)体験会が行われました。

VR体験

SORA-Q(Flagship Model)体験

さらに、2階の実習実験室では、宇宙教育センターによる「かさ袋ロケット」工作のワークショップが行われました。作ったロケットを早速月へ向けて飛ばす企画、大人気でした。

コスチュームもバッチリ決めて月へ!

あいにくのお天気でしたが、1年で一番来館者の多い日、今年もたくさんの笑顔であふれる1日が終わりました。
明日の特別公開はすべてオンライン開催となります。詳しくはこちらをご覧ください。

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令和6年度 川原石のふしぎ〜自分だけのお気に入りの石図鑑をつくろう〜

10月26日(土)に開催された相模原市教育委員会の旧石器ハテナ館主催の「川原石のふしぎ〜自分だけのお気に入りの石図鑑をつくろう〜」で講師を務めました。相模川の川原の岩石でオリジナルの図鑑を作成するイベントです。

旧石器ハテナ館でイベントの概要を説明した後、近くの相模川の川原へ移動しました。

川原では初めに相模川の流れと川原の様子を観察しました。

相模川の川原で見られる代表的な岩石の説明をした後で、図鑑作成用の岩石を採集しました。

旧石器ハテナ館に戻り、岩石図鑑を作成しました。箱の中に木工用ボンドで岩石を貼り付けて作っていきます。相模川や山々をイメージした絵を描いたりして、参加された皆さんは思い思いに楽しみながらオリジナルの図鑑を作っていました。

岩石にはいろいろな種類があることや相模川の川原でも多くの種類の岩石が見られることをご理解いただけたようです。今回のイベントを通して岩石や地質学に興味を持っていただければと思います。

(地質担当学芸員)

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本日はJAXA特別公開!!

11月2日(土)、3日(日)はJAXA相模原キャンパス特別公開です!2日は現地開催、3日はオンラインのみでの開催となります。現地開催の本日は、当館にも全部で7つの公開ブースを設置、様々なイベントが行われます。
なんといっても、12月からプラネタリウムの改修工事が行われるため、光学式投影機のヘリオスとしては最後の特別公開です。穏やかに出番を待っています。

ヘリオス

10時30分から、このプラネタリウム会場で宇宙科学研究所長の國中均教授の特別講演などが行われ、午後は通常の投影もあります。
博物館エントランスや・・

ずらりと椅子が・・

大会議室・・

大人気間違いなし・・

2階実習実験室も、準備万端!

実習実験室

なにが行われるか、詳しくはこちらをご覧ください。
あいにくのお天気ですが、1年に1度の大イベント、お気をつけてご来場ください!

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クサギの果実を食べたのは

10月30日、博物館お隣の樹林地でクサギの果実がきれいに熟していました。

クサギの果実

萼片(がくへん)が星形に開いて赤くなり、そこに黒紫色に熟した果実を配置して目立たせるというすばらしい造形です。なぜそんなことをするのかというと、鳥に果実が食べごろだと知らせるためです。
果たして今朝、博物館駐車場近くで鳴いていたジョウビタキが食べているところを目撃されました。

ジョウビタキ(オス)

クサギの目的達成です。下の写真は10月31日の同じ木の様子です。

ほとんどの果実が食べられていました

ジョウビタキは関東地方では代表的な冬鳥です。着実に季節は進んでいます。カラスウリも真っ赤に熟しています。

カラスウリの果実

そうかと思うと、まだ滞在している夏鳥もいます。10月31日に見かけたキビタキです。

キビタキ(オス)

博物館周辺に多いミズキの果実などを食べて、長旅に備えているのでしょう。
夏鳥と冬鳥が同時に見られるこの時期は、森の中もちょっと賑やかです。
(生物担当学芸員)

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歴史講座「相模国甲州道中と小原宿本陣」を開催しました【お知らせあり】

このブログでも以前お知らせしたとおり、10月20日(日)に第1回目の甲州道中歴史講座を開催しました。本歴史講座は、甲州道中における各都県で唯一本陣建物が現存する日野市と相模原市との連携事業の一環として実施しているものです。

「相模国(さがみのくに)甲州道中と小原宿本陣」と題した第1回は、相模原市史や津久井町史、城山町史など多くの自治体史編さんに携わった市史資料調査員の原 和之さんを講師に迎え、おもに本市域の甲州道中と小原宿本陣についてお話しいただきました。

第1回の講師を務めた原 和之さん

まずは江戸時代の旅や街道がどういったものだったのかを浮世絵などからよみ解き、甲州道中と市域の4か宿(小原・与瀬・吉野・関野)の体制、そして小原の宿場町の様相と本陣について、マクロからミクロへ視点を移して進められました。

皆さん熱心に参加されています。

この日は、地域にお住まいの方、五街道や甲州道中について学んでいる方、古道に興味がある方など、様々なきっかけで参加された皆さまにお越しいただきました。
終会後も質問のために講師のもとを訪れた参加者の列ができ、とても勉強熱心な様子がうかがえました。ご都合がつく方は、次回以降もご参加いただけますと幸いです。

第2回に予定しているテーマは「武蔵国(むさしのくに)甲州道中と日野宿本陣」で、日野市ふるさと文化財課課長で学芸員の金野 啓史さんに講師を務めていただきます。どうぞお楽しみに!

日野宿本陣の式台から庭園を望む(当館学芸員撮影)

また、本連携事業の一つにも位置づけられている日野市立新選組のふるさと歴史館特別展「甲州道中日野宿と本陣」が10月26日(土)から始まりました。日野宿と日野宿本陣の歴史や、昨年実施された本陣の建造物調査の成果も紹介されますので、ぜひ足をお運びいただきたいと思います。
日野市立新選組のふるさと歴史館特別展の詳細はこちらをご確認ください。

(歴史担当学芸員)

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