マックス!

カイコは5齢になってからもう4日。どさっと葉っぱを山盛りにしておいても、数時間後にはこのありさま・・

かつて、養蚕農家の方々が5齢の1週間は家族が交替で24時間態勢で給桑していたというのがよくわかります。出荷をするわけではないので、博物館ではそこまではやりませんが、昼間はできるだけ絶え間なく食べられるよう、まめに給桑します。博物館に植えてあるクワではとうとう足りなくて、知り合いの畑の良質なクワを車でとりに行っています。大きさもマックス!

体を伸ばして食べているときは、約8センチあります。食べるぶんだけ大きくなって、見ていて気持ちがいいですね!

あと2日から3日ほどで熟蚕となり、繭をつくりはじめます。

(生物担当学芸員 秋山)

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生きもの好きな人同士

今日は午後3時から1時間ほど、特別展示室で開催中の松橋利光写真展「相模原の生きもの、見つけた!」の会場に、松橋さんご本人が来室されました。即席のサイン会も!

作品の前で、「これはこんなふうに水中にカメラを入れて、手探りみたいな感じで撮影して・・」と解説。

やっぱり生きものが好きな人同士、次々と生きものの名前が飛び出して話題が尽きません。

短い時間でしたが、楽しい交流となりました。

(生物担当学芸員 秋山)

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ヤリグモ!


それほど珍しいクモではありません。昨年7月28日にも紹介した「クモを襲うクモ」です。
網の中にいる、という事は、すでに主は食べられてしまった模様。
向こうにそれらしき残骸が見えます。

網の形からすると、どうやらジョロウグモの幼体が犠牲になったようです。
体長数ミリメートルですが、食う、食われるの関係を目の当たりにすると、厳しい世界だなあ、と感じます。正直、こんなやつに食われたくないです。(学芸班 木村)

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隠れ帯の主

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クモの円網につけられた、白い帯。
「隠れ帯」「白帯(はくたい)」などと呼ばれていて、特徴的な隠れ帯は、種類を見分ける目安にもなります。
写真はまさに「帯」と言うべき形をしていますが、網の主はウズグモの仲間(多分カタハリウズグモと思いますが、見分けが難しいので、断定せずにおきます)。

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あれ?ウズグモって渦巻き状の隠れ帯じゃなかったっけ?と思ったら、クモをそれなりにご存知の方。実はこんな形も珍しくありませんし、全く隠れ帯がついていない事もあります。

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これが、典型的なウズグモ類の隠れ帯。確かに渦巻き状です。
でも、この個体も「あれ?」なのは、網の傾き。図鑑などではウズグモ類の網は「水平円網」と書かれています。

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これはむしろ、垂直に近いですね。おかげで普通は撮りにくい、背面からの写真が撮れました。
野外で観察をしていると、決まりきったことしかできそうにないクモが、意外に柔軟性に富んだ行動をとっている事がわかり、図鑑や書物で得るのとは違った楽しみがあります。(学芸班 木村)

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地面の上の星

今日、6月13日は「はやぶさの日」です。2010年のこの日、小惑星探査機はやぶさが大気圏に再突入し、小惑星イトカワの微粒子をのせたカプセルを無事地球へ持ち帰りました。博物館では6月15日までを「はやぶさ週間」とし、はやぶさの日の今日は、なんとプラネタリウム全回無料上映を行います!観覧には整理券が必要ですので、詳しくはリンクをご覧ください。

さて、そんな梅雨の合間の晴れた朝、通勤途中に博物館お隣の樹林地を歩いていたら、地面に星がたくさん落ちていました。

近づいてよく見ると・・

アカメガシワの雄花でした。はやぶさの日を記念して・・というわけではありませんが、なんだか得した気分になりました。
ちょっと手前の草地では、フシゲチガヤが久しぶりの朝日を謳歌するかのようにキラキラと揺れていました。

清々しい朝です!
(生物担当学芸員 秋山)

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中学生職業体験 黄鉄鉱洗い出し

今日は午後から,職業体験で博物館に来ている中学生に黄鉄鉱の洗い出し作業をしてもらいました.

粘土状の石膏の中に含まれている黄鉄鉱を洗い出しました.この石膏は今年の2月に秦野市の渋沢鉱山から採集したものです.

洗い出す前の粘土状の石膏はこんな感じです.

これを少量,蒸発皿にとって,黄鉄鉱を洗い出します.

洗い出した黄鉄鉱です.大きくても2mm程度ですが,薄い金色をした黄鉄鉱がたくさん含まれていました.

(地質担当学芸員 河尻)

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食べる食べる!カイコは終齢に

博物館で飼育中のカイコは、今朝までに半数以上が脱皮をして、いよいよ終齢(5齢)になりました。脱皮殻も大きい!

ちょっとクロスしていて見づらいのですが、右が5齢、左が4齢で眠のカイコです。頭の大きさが違いますね。

この大きな頭で、食べるスピードと量が格段に上がりました。ものすごい勢いで食べています。養蚕をされていたおうちの方が懐かしそうにお話しされる「食べる音が雨音のように響いた」という食べる音も聞こえます。さすがに雨音ほどではありませんが・・。

これからが勝負です!大きな繭にするには、ここでしっかり食べさせることが必要です。
ところで、クワを採っていたら、こんなものが葉の上にいました。

キボシカミキリです。成虫はクワの葉を食べ、幼虫はクワの幹を穿孔(せんこう)するので、まぎれもなくクワの害虫です。博物館のクワの木にも、いくつか穴が空いています。なんて悪そうな顔!

といっても、私はクワコにしてもキボシカミキリにしても、どうも憎めません。なんだか、クワを好きな物同士の親近感なのか・・カミキリの方は私に対してそんなこと露ほども感じていないと思いますが・・。このキボシカミキリも、写真を撮ってそのままそっとしておきました。甘いかなあ、幹をボロボロにされちゃうかなあ。まあそうしたら、また新しいクワの木を植えればいいですね!
(生物担当学芸員 秋山)

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緊急告知!写真展会場に松橋さんが来ます!(6/14)

ご好評いただいております開催中の松橋利光写真展「相模原の生きもの、見つけた!」の会場に、松橋さんご本人が来られます。6月14日(土)15時~16時です!

もちろん、サインもオッケーです!

ぜひご来場ください!

(生物担当学芸員 秋山)

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花の話題を2つ

今朝、通勤途中にポツリポツリと降り出した雨の下でこんな植物を見つけました。

なにやら不思議な植物です。どこが花やら葉っぱやら・・でも、ちゃんと顔を見ると・・

ウラシマソウやテンナンショウのなかまだということがわかります。カラスビシャクと言います。別名ハンゲ。れっきとした在来の野草です。サトイモ科の野草としてはめずらしく、日なたを好みます。ハンゲ(半夏)は二十四節気の間に置かれた雑節の一つですが、夏至から11日目、田んぼの畦にハンゲが咲く頃、田植えの終わりだよ、という意味なのだそうです。写真の株は、ちょっと季節的には早すぎましたが、趣のある名前ですね。
ところで、もうひとつ花の話題です。少し前のことですが、緑区のとある林内で見つけた花です。

ムヨウランという菌従属栄養植物です。菌従属~と堅苦しいカテゴリーですが、かつては腐生植物と呼ばれていました。菌類に寄生する植物という意味です。でも、そんなことよりも、じつはこのムヨウラン、正式な記録としては県内初のようです。

高尾山には有名な産地があるので、県内で出るとしたら相模原市内かな、と推測されてきました。また、これまでも生育のウワサはあったのですが、少なくとも県内の標本記録はこれまでありませんでした。県内初記録を相模原市内で見つけるというのは、やっぱり気持ちがいいですね。
(生物担当学芸員 秋山)

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標本が活躍しました

今日は麻布大学獣医学部の野生動物学セミナーに参加してきました。今回は、いつも当館の冷凍標本のはく製化処理をしてくれている清水海渡さんが演者として登壇したからです。題して「標本と語り合う-死体からみえてくること-」

たくさんの学生さん、高校生、市民のみなさんが聴講に来られていました。講演終了後にはいろいろなはく製を手にとって見ることができました。

この中には、当館で作られたものも含まれています。ホンモノならではの情報量の多さはもちろん、手に取ったときの質感や重さなど、実物の放つインパクトを感じていただきました。

博物館は「実物主義」です。あくまでも実物を中心とした資料収集と調査研究を行います。時代の流れとそのスピードに乗れていないと思うようなこともしばしばですが、今日は改めて、そこにこだわる意味を再確認できました。

(生物担当学芸員 秋山)

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