鮮やかな朱色のあの虫は?

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「見慣れない真っ赤な虫がいました!」と、時々問い合わせをいただく昆虫「ヨコヅナサシガメ」。
冬場のミニ観察会では、樹名板の裏に集団でいるところを見せて、参加者を驚かせるネタとして重宝しています。

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この虫、脚の付け根等に赤い斑紋がありますが、背面から見ると、基本的には白と黒のモノトーン。幼虫の時には背面にも赤い斑がありますが、決して「真っ赤」ではありません。ところが、脱皮して成虫になった直後だけ、鮮やかな朱色になります。
朝、出勤途中にこの色の個体を見かけたので写真を撮り、始業後に追加の写真を撮るために同じ場所に来てみると、なんと、今まさに脱皮しようとしている個体がいました。

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ちょっとなんだかわからない形をしています。

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頭や羽根がでてきました。

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脚が出てきて…

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脱皮完了。

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手前が脱皮殼。頭を下にした姿勢で脱皮しました。複眼、口吻、気門の表皮だった糸状のものが見えます。
この間約40分間ほど。
脱皮というのは、無脊椎動物にとって、最も無防備になる時間です。こんなオープンな場所で、明るい時間帯に、よくやるなあ、と思います。
何か、外敵を避けるしくみがあるのかも知れませんね。
などという事を考えたのはその後の事。観察中は脱皮の瞬間の瑞々しい色彩に、ひたすら見とれてしまいました。
ところで、周囲の脱皮殻の数を数えたら12個。成虫は9個体いました。どうやらこの場所で次々に脱皮をしているようです。(学芸班 木村)

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エビネが開花

博物館の敷地内には、エビネがいくつか、ひっそりと植えられています。そのうちの一株が開花しました。ちょっとクマザサやヤブランに負けてしまいそうなのですが・・

今年の花が終わったら、少しまわりをきれいにしてあげないといけませんね。

この株は前庭にあるのでちょっと表示が出しづらく、毎年ひっそりと咲いています。中庭に植えられている株もあるのですが、こちらはようやく花茎が立ち上がってきたところなので、開花までもう1週間近くかかりそうです。中庭で咲いたら、館内でご案内の表示を出そうと考えています。

(生物担当学芸員 秋山)

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「博物館でネット記者デビュー!」開催しました。

当館は、神奈川工科大学情報メディア学科白井研究室との協働事業で「市民が自ら情報を収集し、発信する」様々な試みをしていますが、今回は「展示室をカメラを持って取材して、webで発表しちゃおう!」という企画です。
おかげさまで午前午後合わせて20人以上の方にご参加いただきました。

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簡単な趣旨説明、展示室の確認、取材上の注意事項、プロのフォトグラファーによる写真撮影の指導を受けた後、さあ取材!

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子どもも、大人も、すっかり堂に入ったカメラマンぶりです。

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記者気分を盛り上げる小道具。

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部屋に戻って「プロの写真選択術」の助けを借り、ワークシートを埋め、記事を作成。

さて、その出来栄えはこちらのサイトで!
いつも見慣れている展示ですが、改めて写真にしてみると、ずいぶん印象が違います。これはもしかして、博物館の新たな楽しみ方を発見してしまったかも知れません。そして、皆さんがこんな事を感じながら見ているんだな、ということもよくわかりました。
このイベント、5月3日にも開催します。(第1回 午前10時〜12時、第2回 午後2時30分〜4時30分)詳しくは以下のページをご覧ください。
博物館でネット記者デビュー!#3、#4
ご興味を持った方は、ぜひご参加ください。(学芸班 木村)

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いろんなまが玉ができました。

本日、博物館はイベントがたくさんありました。

そのうち、「オリジナルのまが玉を作ろう!」は担当者もビックリの大盛況でした。

広報もあまり念入りにできなかったので、どのくらい参加していただけるか正直心配だったのですが、それは要らぬ心配でした。

大勢の方に参加してくださいました

この通り後ろに列ができてしまうくらい。

お待たせしてしまった皆さま、ごめんなさい。

 

真剣に色塗り

真剣に色塗り。頑張って!

 

芸術的な勾玉たくさん

とてもカラフルで前衛的な(?)まが玉たち。これをみたら古代の人たちもとても驚くでしょうね。

今日は105個もののまが玉がペンダントやストラップになったのでした。

 

それにしても、ボランティアさんに紐をつけてもらい、首にかけて満面の笑顔で帰っていく小さいお子さんを見ると、こちらも本当に嬉しい気持ちになります。

次回は5月4日に行います。準備したまが玉が無くなり次第終了となりますので、ご希望の方はお早めにお越しください。(考古担当 正)

 

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火星隕石展示中

5月6日まで博物館のロビーで展示している「火星からやって来た隕石」について解説します。

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たいていの隕石では、隕石に含まれる微量の放射線同位元素の半減期から推定される「隕石ができた年代」が、いまから45億6千万年程度と、太陽系誕生のころであるのに対し、火星隕石ではせいぜい13億年前(2億年前というものも)と新しいのです。しかも、単に物質が集まったのではなく、マグマが固まった火成岩の特徴をもっています。
ということは、比較的最近まで、マグマの活動があった天体の一部ということになります。(月は30億年前に活動を停止)

NASAのバイキング探査機が1976年に火星に着陸し、大気の組成も調べました。火星隕石にわずかに含まれる気体(アルゴンなど)の同位体組成が火星大気のそれとよく一致したことなどから、火星から来た隕石であることが確実視されるようになりました。2014年4月現在、火星隕石は132個が見つかっています。

巨大な隕石が火星に衝突したときの衝撃で、火星から宇宙空間に放り出された岩石が数百万年、数千万年と太陽をまわり続け、ついに地球と出会い落下したものが火星隕石と見られています。地球上の物体を惑星間空間に飛ばすには、物体に秒速約11kmという猛スピードを与えなければなりませんが、火星では約5kmですみます。火星隕石には、ものすごい
衝撃が加わった痕跡も見つかっており、コンピューターによる数値実験でも、火星から地球に隕石がやってくることが可能であるとわかりました。

火星隕石が火星のどこからやってきたのか、という研究も行われています。2014年3月6日、アメリカの科学誌Science のオンライン版に、「火星隕石の大部分を占めるシャーゴッタイトは、火星のモハベ・クレーター(直径58km)ができたとき、宇宙空間に弾き飛ばされた」という論文が発表されました。
隕石の鉱物組成(カンラン石や輝石に富む)や年代がこのクレーターとよく一致したということです。鉱物組成や年代の正確さについては反論もあるようですが、火星で直接サンプルを採らないとはっきりしたことはわからないかもしれません。(天文担当学芸員 山田)

※この隕石はJAXA宇宙科学研究所を通じて東京大学の三河内岳先生からお借りしているものです。

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卵の安否(クサグモ)

昨年9月から気にかけていたクサグモの卵のう(クサグモの卵のうゆりかごは強し )、どうも変化が見られないので、これは寄生蜂にでもやられたか、と心配になり、中を開けて確認する事にしました。

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これが、卵のう。ちょっと見ただけでは脱出孔も見当たりません。蜂じゃないとすると、発生がうまくいかなかっのか…

ハサミで切り開いてよーく見ると…

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卵の残骸のまわりにピンクがかった色の脱皮殻がたくさんありました。

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低倍率の顕微鏡を覗いてパチリ。なんとなく脚がたくさんついた殻のような物が見えます。

どうやら無事、孵化して卵のうから出ていったようです。
周囲にはクサグモの網は見当たらないのですが、どこに行ったのでしょう?今度は探す楽しみができました。(学芸班 木村)

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一年で一番華やかな春の森

今日は恒例の「博物館のまわりのミニ観察会」です。博物館お隣の樹林地が一年で一番華やかな季節ということで、今回はとにかくじっくりと春の花を観察しました。

遊歩道沿いにフデリンドウを観察。季節の良さもあって、今日は20人近い方にご参加いただきました。

途中、花だけではお子さんたちが満足しないかな・・と思っていたら、参加者のお一人が地面をもぞもぞと動くものを発見!アカスジキンカメムシの幼虫でした。透明の入れ物に入れてじっくり観察。「人の顔みたいな模様」「かわいいよ」いろんな声が飛び交います。

最後は地べたにはいつくばって咲くキランソウを観察。

「この花の別名は・・地獄の釜のフタです・・この花をガバッと抜き取ると、地獄のフタあいちゃうんだよ~!」

「ウソだよねぇ、おじさん!」

ちょっと不安げなお子さんの問いかけに

「おじさんはやったことはないからねー、試してごらん、写真撮って上げるから」

「やだっ!」

そんなやりとりをしつつ、楽しい観察会となりました。ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました。

(生物担当学芸員 秋山)

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ダジック・アース

ダジック・アース」ってご存知ですか?
簡単に言うと「球状のスクリーンに、地球や惑星などの画像を投影するためのソフト」です。
今度、博物館の企画展で使いたいと考えているのですが、今日、試しに映してみました。
実はこのセット、お向かいのJAXAからの借用物で、広報画像を撮りたいとの事で一緒に作業をしました。

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おー、きれいに映ってます。

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おー。

しばらく展示したいくらいですが、良い設置方法を思いつけず、今日のところは撤収しました。

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アポロ宇宙船を持ち上げる巨人…ではありません。スクリーンを側面から見ると、こんな形をしています。
うーん。なんとかエントランスで展示したいなあ。(学芸班 木村)

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ミニ展示「究極のカブト・クワガタ」スタート!

閉館間際の博物館特別展示室脇で、若者がなにやら展示ケースに頭を突っ込んで作業をしています。

展示しているのはこのようなもの。あ、昆虫標本か!

いやいや、よく見てください!と言ってもわかりませんよね。じつはこれ、紙でできているんです!こちらはもうちょっと紙の質感も出ているかな・・

こちらはちょっとペーパークラフトのテイストを強くした作品。それにしても、リアルなことに変わりありません。

この展示のタイトルは「究極のカブト・クワガタ 中島波樹がつくる紙の生きものたち1」というものです。ここに展示されている甲虫たちはすべて、市内在住の若い造形作家、中島波樹さんによる造形作品なのです。とにかくリアル!展示ケース1つだけのほんとうに小さな展示ですが、ケースの中は「波樹ワールド」全開です!

どれだけすごい作品なのかは、ぜひ実物をご覧ください。展示は6月29日(日)までです。じつは中島さんは、恐竜などほかの生きものも得意だとか・・。その2、その3と続くといいですね!

(生物担当学芸員 秋山)

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まが玉作ってみませんか~?

来る4月29日(祝)、5月4日(日)の二日、午前10時から午後3時まで、

ワークショップ「オリジナルのまが玉を作ろう!」を開催します。

焼いた粘土でできているまが玉に、アクリル絵の具で自由に色や模様を付け、ひもや飾りを付けて根付けやペンダントにします。

参加は無料です。

これは試作品。

こんなのもいかがですか?

また、今日は、中心となって活動してくださっている相模原縄文研究会の皆さんが、下ごしらえと試作を行っています。

焼き上がったものをヤスリで削り、穴空け。

どうすれば作りやすいか、試行錯誤です。

事前の申し込みなどは必要ありませんので、皆さん是非お気軽にご参加下さい。(考古担当 正)

 

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