スギ林内の逸出種?

今日は緑区のある沢へ、春真っ先に咲く植物の調査に行きました。まだ少し、雪が残る道を沢へ下ります。

目的はこの花。セリバオウレンです。純白の小さな花をすくっと立てた茎の先に2、3個ずつ付けています。

じつはこの花、分布上は神奈川県には無いことになっていて、県内で散発的に見つかるものは、スギ林内に植えられた逸出品と考えられています(神奈川県植物誌2001)。つまり、外来種です。でも、あまりにも清楚なこのキンポウゲ科の花は、外来種と一言で片付けたくない美しさを漂わせています。

さて、緑区の山中にも春は着実にやってきています。
クマシデの冬芽は間もなく萌芽。

スギ花粉症の方、ごめんなさい(私も花粉症ですが・・)。赤く咲き誇るスギの花。たっぷり花粉をつけています。

雪で出控えていたため、ひさしぶりの野外調査、じっくりと早春を楽しむことができました。
(生物担当学芸員 秋山)

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カイコってすごい!市立大野台中央小学校から

今日は市内の大野台中央小学校の3年生のみなさんが、昨秋取り組んだカイコの飼育について学習のまとめをするというので伺いました。私は飼い始めの時に授業に行き、繭人形をつくる時にも1度、伺いました。なので3年生のみなさんとも顔なじみ。学習発表をそっと後ろから聴くつもりで行ったら、3年生全員が集まってくれていて、みなさんからたくさんのお礼の言葉や感想をいただきました。大感激!

いや、お礼を言わなければいけないのはこちらの方で、カイコをかわいがって一所懸命育ててくれて、しかもすばらしい学習成果にまとめてくれました。

カイコを飼う上で私が一番理解してほしいことは、カイコを飼うということが「農作業」であり、農作業とは「命に責任を持つ仕事」ということです。それがしっかりと頭に入っていてくれたようです。

最後には、3年3組のみなさんからたくさんの成果をいただきました。

これは、この5月くらいからまた始まるカイコの飼育展示の時に、一緒に展示したいと思います。カイコを飼うことで気付いたこと、わかったこと、繭になったら中身を殺してしまうことへの迷いなどが正直に綴られています。3年生の学習段階ではちょっと難しいかな、と思っていたこともしっかりと受け止めてくれていて、本当に驚きました。

カイコってすごい!大野台中央小3年生のみなさんから、改めて教わりました。ありがとうございます!

(生物担当学芸員 秋山)

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子ども会で団体見学

今日は愛川町子ども会連絡協議会という団体が、見学に来ました。
もともとは、先月予定していたもので、学習資料展を見たり「チャレンジ体験」に参加したりというプログラムを組んでいたのですが、大雪で延期になってしまい、今日の来館になりました。
それでも、朝、JAXAを見学した後に博物館に来て、簡単なガイダンスの後にプラネタリウムを見て、午後は天体観測室の大きな望遠鏡で昼間の星を見たり、大会議室で天文担当学芸員から人工衛星の話を聞いたりと、結構盛りだくさんな内容になったようです。
JAXAとあわせて「宇宙たっぷり」なプログラム、子どもたちにとっても記憶に残るイベントだったのではないでしょうか。

昼間の星、見えましたか?

大会議室で簡単な講義。質問タイムには「ホワイトホール」についてたずねた子がいたそうです…よく知ってますね!

こうした団体利用は、事前のご相談次第で実現可能です。博物館の利用の仕方としてちょっと覚えておくとおトクかもしれませんね。(学芸班 木村)

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…春、遠からじ

このごろ、日によってはまだまだ寒いことがりますが、ようやく暖かな日が増えてきたような気がします。
今朝、通勤路で植え込みをよーく見ながら歩いていると、あちらこちらにクモが流した糸が光っていました。


アジサイの芽の先から延びるクモの糸。残念ながら糸を流した主の姿はありません。
ウグイスの声も聞こえてきました。そういえばだいぶ前からシジュウカラのさえずりは聞こえていましたが、ウグイスは初めてです。かなりはっきり「ホケキョ」と言っています。

林を囲むフェンスには、直径5cmほどの円網にちょこんと占座したマルゴミグモ。体長2mmほどなのでまだ幼体ですが、生まれたてでもありません。どこかで冬をやり過ごしていたのでしょう。
どうやら「遠からじ」ではなく「もう春」なのかもしれませんね。(学芸班 木村)

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城山エコミュージアムにて

今日午前中はすばらしいお天気の中、緑区小松にある「城山自然の家」で城山エコミュージアム自然部会のみなさんに、自然観察会の進め方についてお話ししてきました。せっかくのお天気だし、小松というすばらしい里山の景観が残る場所なので、実際に野外を歩いて自然観察もしました。

水田の脇の水たまりでみなさんが見ているのは・・

ヤマアカガエルの卵塊です。手ですくってみると、だらっとしてちょっとつぶつぶがはっきりしない感じ・・。まさしくヤマアカガエル!

ちょっと視線を上げたら、ウスタビガの繭。

「羽化した成虫はどこから出てくると思いますか?」とクイズを出して、答えをお見せすると、みなさん「おおっ!」。この繭はもう羽化殻(成虫が出たあと)ですが、上の合わさった部分を両脇から押すと、がま口のようにぱっくりと割れます。やっぱり、発見がなくちゃ、ということで、楽しくノンビリと谷戸を歩きました。

(生物担当学芸員 秋山)

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「エターナル・リターン」にブーム到来?

最近、プラネタリウムに小さな異変が起きています。
全天周映画「ETERNAL RETURN〜いのちを継ぐもの〜」を観に来る方が、なんとなく増えているようなのです。
以前にもご紹介しましたが、この映画、宇宙の誕生から生命の誕生を、ある「おじいちゃん」と孫娘のストーリーを絡めながら描いた壮大な作品です。
私としては、かなりオススメな映画なのですが、なかなか観てくださる方が少なくて、残念に思っていました。
ところが、先日は団体予約でもないのに100人近く入った日がありましたし、今日は近隣の高校が団体で見に来ました。
ここへ来て、ようやく良さが伝わってきたのかな?と勝手に期待を膨らませています。
ただ、上映期間は3月いっぱいです。その間、あと十回程度しか上映の機会はありません。このまま「幻のブーム」に終わってしまうのでしょうか。
それではあまりに残念なので、もう一度ここで宣伝しておきたいと思います。「みなさん、観るなら今です!この機会をお見逃しなく!!」(学芸班 木村)

プラネタリウムスケジュールはこちら

ETERNAL RETURN〜いのちを継ぐもの〜 公式サイトはこちら

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低い雲の魅力

雲好きは「景色」として美しい雲ももちろん好きなのですが、手の届きそうなくらい低い雲、それも、上空が不安定でちょっと荒れた雲も好きです。たとえば今朝の雲。

北西側に見た空には怪しげな層積雲がたれこめて、ところどころ波状雲や乳房雲が発達しかけていました。このまま発達するかと期待していたのですが、時間が進むにつれてあっさりとなだらかになって消えてしまいました。そのかわり、博物館の天体観測室に上がってみたら・・

JAXAにふりそそぐ、薄明光線が!なんだか神々しいですね。

(生物担当学芸員 秋山)

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ボランティア会議で震災直後のようすを語る

今日午後は定例のボランティア連絡調整会議が行われました。
この会議では、事務的な連絡、伝達の後、職員などによるミニレクチャーが用意されています。今回はおととい3年目を迎えた東日本大震災に関連して、発災から1週間後の岩手県大船渡市のようすをふりかえりました。

なぜ大船渡市かというと、銀河連邦の一員として、相模原市では大船渡市への集中的な支援をいち早く表明し、災害支援隊として職員を派遣したからです。その中に当館から秋山が参加したというわけで、発災約1週間後の3月19日から24日まで、主に救援物資の集積所で仕分けや搬出、在庫管理などにあたりました。そして、支援活動の合間に撮影した被災地のようすをボランティアのみなさんへご紹介しました。

今思えば、ということがいろいろとあり、何度か展示にしたり、公民館などでお話させていただいたりしましたが、少し時間が経って改めて振り返ることで、私自身の節目とすることもできました。ただやはり、写真を見て思い出す光景やその場の雰囲気はとても生々しく、記憶は少しも薄れていないことに自分でも驚きました。

お話の中では使いませんでしたが、この写真を見て思い出したこと・・。

炊き出しのおにぎりの味です。味というか、その冷たさと言ったほうが正確でしょうか。活動中は、おにぎりとカップ麺が定番の昼食でした。ライフラインが復旧していない中、大量のご飯を炊くのは大変なご苦労だったと思います。冷たくても、ありがたかった。暖かい汁と冷たいおにぎりの対比。ありがたくて、おいしくて、でもちょっと切ない記憶がよみがえりました。

(生物担当学芸員 秋山)

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明け方のISSパス

本日(3/12)、うっすらと霞がかった明け方の空を南南西から東北東の経路で、サッカー場1面ほどの大きさの国際宇宙ステーション(ISS)が400km上空を光の点となって通過する様子が見られました。
[※画像クリックで拡大表示]

☆『さそり座アンタレスの脇を通過』(5秒露光)

 ※アンタレスまでの距離=550光年(天文年鑑2014年版)
  アンタレスから放たれた光が550年かけて、ようやく地球に届いています。
  今、見ているのはアンタレスの昔の姿です。
 ※ジュバまでの距離=490光年(天文年鑑2014年版)

☆『わし座アルタイルの脇を通過』(8秒露光)

 ※アルタイルまでの距離=16.7光年(天文年鑑2014年版)

ISSの目視予想情報は、JAXAのホームページ 「きぼう」を見よう で提供されていますので、参考にしてください。また、さがぽんも、Twitter でお知らせしてくれていますので、こちらもぜひご利用ください。

3月9日夕方(日本時間)に第39代目のISS船長に就任にした若田宇宙飛行士は、今年5月14日(予定)まで 長期滞在 、活躍中です。
ISSパスを見かけましたら、「若田さんガンバって!」と声援を送りましょう。

(天文担当 有本)

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立ち上がる春

度重なる大雪に、春らしからぬ低温にと、待っているときに限って季節は足踏みをするものです。でも今朝、通勤途中に博物館お隣の樹林地をちょっと探したら・・。

フデリンドウが小さな葉と茎、そしてさらに小さな花芽を伸ばしかけていました。大きさ1.5センチほど。毎年4月初旬から3週間くらい、私たちの目を楽しませてくれるフデリンドウも、さすがに今年はちょっと遅めの開花になるかもしれません。それでも、こんな小さな体を地面からぐいと立ち上げている姿を見ていたら、なんだか胸がいっぱいになりました。

今日3月11日は、3年前から特別な日になってしまいました。でも、時間が止まることはないし、季節ももちろん進みます。自然の動きに取り残されないよう、フデリンドウの成長をしばらく見届けようと思います。

(生物担当学芸員 秋山)

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