石のステンドグラス2展示解説5/28

相模原市立博物館では企画展「石のステンドグラス2〜偏光顕微鏡の世界〜」を6月25日まで開催中です。普段見ることができない岩石の偏光顕微鏡の世界を楽しんでいただければと思います。

5月28日(日)には展示解説を行いました。

偏光顕微鏡の仕組みを簡単に説明して、展示写真の中から数枚を選んで解説しました。

写真をステンドグラス風に展示したコーナーは、背後からの光で写真をご覧いただいています。実際に偏光顕微鏡を覗いているイメージで写真を展示しました。

岩石を偏光顕微鏡で観察するためには、岩石のプレパラートをつくる必要があります。岩石を厚さ0.03mm、千円札の3分の1の厚さまで薄くします。岩石プレパラートを製作するための道具や工程写真を展示したコーナーも、皆さんの関心が高いです。

 

展示解説は、6月24日(土)、2時〜2時30分にも開催します。

また、6月11日(日)には、実際に岩石プレパラートを偏光顕微鏡で観察するイベント「石を顕微鏡で見てみよう」を開催します。時間は10時〜4時です。この時間内であれば会場に出入り自由ですので、ぜひご参加ください。

(地質担当学芸員)

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博物館で「野鳥の生態」の実習を行いました

5月27日、青山学院大学の一般教養の講座「野鳥の生態」の実習を当館で行いました。
まず、生物担当の学芸員から博物館における標本の意義や役割、展示への利用などについて講義を行い、その後、博物館で収蔵している鳥類標本(本剥製)を使って実習を行いました。

はく製を囲んで実習

標本はその生物の生活の様子や進化の歴史を記録した、情報の宝庫です。今回は、嘴や足の形から食べもので分類したり、図鑑的な分類を試みたりしながら剥製(はくせい)をじっくり観察しました。

担当講師と一緒に分類を検討

名前を知らない鳥を、野鳥の図鑑を使って調べてみると、ここまでいろいろな角度から剥製を観察したからか、かなり正確に種類を落とし込めていました。

図鑑を使って検索中

実習終了後はみなさん気に入った剥製を写真に撮っていました。仕切りも無く間近で見る機会が少ないため、剥製の迫力にみなさん驚いたようです。

撮影タイム

博物館資料が、保管するだけでなく、活用することでさらに価値が高まることを私たちも実感できました。
(生物担当学芸員)

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相模原のゲンジボタルを堪能

5月26日、毎年恒例となっている神奈川県立上溝南高校のホタル観察会が中央区田名地区で行われ、学芸員がお手伝いに行ってきました。高校から歩いてくる生徒のみなさんを待つ間、田んぼに写った夕焼けがとてもきれいでした。

夕焼けがきれいでした

4月に事前学習会を全1年生向けに行ったこともあり、なんと100名以上が参加してくれました。

ゲンジボタル観察の出発時 写っているのは一部の生徒さんたちです

時期としては少し早めのため、数は少なかったのですが、全員がしっかりゲンジボタルを見ることができました。

ゲンジボタル 観察会終了後に撮影

事前学習で、ここのゲンジボタルは餌となるカワニナも含めて外から持ち込まれていない、正真正銘相模原産のホタルであることを、生物多様性の重要性と合わせて説明しました。ホタルを初めて見る生徒も多く、あちらこちらで歓声が上がっていました。
往復ルートの折り返し点で、スマホの画面をこちらへ向けてもらい、人間のホタルになって記念撮影です。

記念撮影はスマホの光で

ゲンジボタルのすむ水路は、農業用水路です。歩きながら大音響のカエルの合唱を聴きながら歩きました。水田耕作あってのホタルの生息環境を感じ取ってもらえたことと思います。
(生物担当学芸員)

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河原探検!河原の石の観察

5月21日に相模原市の大沢公民館主催事業である親子体験教室「親子全力クラブ」の第2回「河原探検」が開催されました。河原の石の観察や石の重さ当てゲームをしました。河原の石の観察では、地質担当学芸員が講師を務めました。

集合場所で全体の流れなどを説明しました。

活動場所に向けて出発!

最初に相模川の河原の石がどこから運搬されてきたのかを説明した後、代表的な石の見分け方などを説明しました。相模川の河原の石は、富士山、関東山地、丹沢山地から流されてきたもので、多くの場合、石を見ればどこから来たかわかります。

相模川の河原について説明。

説明の後は参加者に自由に観察していただきました。親子で対話しながら、熱心に石を探して観察していました。

面白い石、見つけた!

この石は何かな?

質問も多く、みなさん熱心に観察していました。

河原の石の観察の後は、石の重さ当てゲームです。750gと1kgだと思う石を拾ってきて、実際に重さを測ってどれだけ750gと1kgに近いかを競います。

持っただけで石の重さの見当をつけるのは至難の業です。

このゲームはかなり難しく、それぞれの重さにつき、一人3回まで挑戦できるのですが、ドンピシャの重さの石を拾った参加者はいませんでした。ピタリ賞はいなかったので、一番近い重さの石を拾ってきた家族が優勝となりました。大沢公民館の方が750gちょうどの石を拾いましたが、スタッフなので審査の対象外で、ピタリ賞はもらえませんでした。

楽しみながら観察やゲームをして、石とたっぷり触れ合った半日でした。参加者の皆さんは、石に対する見方が変わり、石に興味を持っていただけたようです。

(地質担当学芸員)

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学芸員の技術を学ぶ

5月20日、青山学院大学相模原キャンパスの学生さんたちが、当館で実習を行いました。これは学芸員コース(学芸員資格を取得するためのカリキュラム)の一環で、博物館で日常的に行われている作業の一端を学ぶためのものです。今回は、掛軸(かけじく)の扱い方と資料の梱包(こんぽう)を実際に体験してもらいました。
掛軸の扱いは、本物の掛軸を桐箱から出して、矢筈(やはず)という道具を使って壁にかけ、それをまた外して巻き取ります。

学芸員が見本を見せます

歴史担当の学芸員から指導を受けますが、掛軸は本物(登録資料ではありませんが、肉筆の日本画が軸装されたもの)です。緊張の面持ちで扱っています。

ちょっと緊張しています

特に巻き取る際、軸が片側に寄って、いわゆる“たけのこ巻き”になってしまうこともしばしばです。

巻き取りが一番難しい

悪戦苦闘しながらも、みなさん丁寧に扱ってくれました。
資料の梱包では、資料を梱包して箱に収めるところまでやってもらいました。枕と呼ばれるクッション材を資料に巻き、箱の中で遊びがないように固定します。

二人一組の作業です

他にも、時間の関係で見てもらうだけでしたが、鳥のはく製のようにクッションを巻けないものの梱包の方法や、展示の際に資料を固定する方法を紹介しました。

資料の固定の方法や道具もいろいろ

終了後、オプションで希望者に収蔵庫の見学を用意していたのですが、全員が参加してくれました。博物館の専門業務の一端を学んだ学生のみなさんは、学芸員課程の最後に実施する「博物館実習」に向けた準備と心構えができたのではないかと思います。
(生物担当学芸員)

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勝坂遺跡で講演会を行いました。

5月14日、相模原市南区磯部にある勝坂遺跡で講演をしてきました。これは市文化財保護課の事業で遺跡講演会の講師として依頼があったものです。

内容は、前半に勝坂遺跡の座学、後半は勝坂遺跡公園管理棟に展示中の土器、石器の解説をし、さらに屋外に復元されている敷石住居や竪穴住居を紹介しました。

縄文時代中期の環状集落を説明 勝坂遺跡も環状集落です

講演では、大正15年の大山柏博士による発掘調査や、1970年代の遺跡周辺の開発と史跡指定、2000年代の遺跡公園としての整備など、今まであった勝坂遺跡の調査史を振り返り、縄文時代中期の集落が今日まで良好に保存されていることを紹介しました。

続いて、展示中の土器・石器の解説です。すべて勝坂遺跡から出土したもので、土器の古さや文様の特徴、石器の用途など、道具から分かる縄文人の生活をお話ししました。

縄文土器を解説中

史跡勝坂遺跡公園での講演会なので、外にある敷石住居(しきいしじゅうきょ)、竪穴住居(たてあなじゅうきょ)についても解説しました。雨が降りそうでしたが、雨が降る前に解説を終えることができました。

敷石住居を説明中。上屋(うわや)は復元されていません。

復元された竪穴住居の説明

これらの3軒の住居は実際に発掘調査を行い、柱穴や住居の床面など、住居復元のための情報を集めたものです。また復元する位置も実際に住居があった位置に合わせています。

史跡勝坂遺跡は相模原市を代表する史跡であり、その重要性を継続して伝えていくことが重要と考えます。勝坂遺跡で伝えるべき重要なことは多くあり、機会を捉え、より面白く、より分かりやすく発信していきたく思います。
(考古担当学芸員)

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広田小学校で遺跡のお話

4月27日に相模原市緑区にある広田小学校で、縄文時代の遺跡について、お話ししてきました。

6年生の先生からご相談いただき、昔の暮らし、特に広田小学校の周りにある遺跡を紹介して欲しいとのことでした。

太枠で囲まれた範囲が遺跡であり、255が広田小学校です。

授業では、市内の遺跡や広田小学校の近くの遺跡を紹介し、縄文時代が今から何年前なのか概説を行いました。その後、遺跡から出土した縄文土器や石器を実際に触ってもらいました。

市内の遺跡を説明中

触ってもらうための、土器・石器

遠慮せず、どんどん触って!

6年生の児童全員が初めての体験なので、持ち方をレクチャーした後に触ってもらいました。この土器、石器は触ってもらうことを前提とて準備したものです。

また、今回は担任の先生と相談し、「一番好きな土器はどれかな?」と児童に考えてもらい、さらに時間がある児童にはイラストを描いてもらいました。
これはなんとなく土器を見るのではなく「好きな土器」として自分の考えを出してもらい、土器、石器をよく観てもらうことが目的です。さらにイラストとなると、ただ触るだけでは表現できず、どんな形なのか意識しないとできません。ちなみに、考古担当学芸員もいっぱい作図しています。考古学の基本は「観察」であり、博物館資料全体にも当てはまります。

今回は実物を通じて、遺跡を身近に感じてもらう良い機会になりました。幅広い年代の方に遺跡の重要性や面白さを伝えるために、今後も取り組んでいきます。
(考古担当学芸員)

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生きものミニサロン「木や草についているヘンなものを見てみよう!」を実施しました

5月20日、毎月恒例の生きものミニサロンを実施しました。この日は国際博物館の日2023「博物館探検隊!」を開催中で様々なイベントが企画され、たくさんの来館者をお迎えしていました。そんな中、生きものミニサロンもいつもより少し多めのみなさんとスタート。

エントランスに集合してスタート

今回のテーマは「木や草についているヘンなものを見てみよう!」です。早速、カイコの飼育のために植えているクワの木のまわりへ。まずは参加者のみなさんに生きものを探していただきました。

クワの木を囲んでみんなで観察

次々に??となるものが見つかります。まずはこちらです。

葉の裏に白いもじゃもじゃ・・

葉の裏に白い毛のようなものがもじゃもじゃ。
お配りしたルーペでじっくり見ていただきます。時折「ギャー」という声も・・

大人の参加者も恐々観察

よく観察するとモゾモゾ動き、さらによく見ると脚も!

モゾモゾ動いていました

この虫は、春のミニサロンの定番、クワキジラミです。クワの葉の汁を吸って生活します。成虫はこちらです。

クワキジラミの成虫

成虫を見ていた参加者から「バナナムシみたい!」と。そうです!バナナムシ(ツマグロオオヨコバイ)と同じくカメムシ目の昆虫なのです。すばらしい観察眼ですね。
さらにこんな虫を見つけてくれた人も。

大きな幼虫

こちらはテントウムシの仲間の幼虫です。他の葉の、クワキジラミのそばでも何匹か見つけました。これがどんな成虫になるのか説明すると、みなさん興味津々でした。成虫が見つかったらまたこのブログで紹介します。
1本のクワの木でみっちり30分観察していただき終了しました。終了後、駐車場のそばでヤモリを見つけてくれた親子も!

終了後もヤモリを観察

来月のミニサロンは6月17日(土)12時からです。お楽しみに!

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ウンモンスズメ

5月18日、市内でこんな蛾を見つけました!

中央区のマンションの壁で発見!ウンモンスズメ

ウンモンスズメです。スズメガの仲間は、シャープな印象のフォルムもさることながら、色合いや模様の美しいものが多いのです。このウンモンスズメも、抹茶色の渋みが際立つ模様です。

ウンモンスズメ プラスチックケースに入れて撮影

明るい場所で撮影すると、少し翅(はね)がかすれてしまっているようですが、それもまたこの模様の渋さを深めているように感じます。
決して珍しい蛾ではないのですが、ウンモンスズメを見つけるととても嬉しくてたくさん写真を撮ってしまいます。

ところで、相模原市立博物館ではインスタグラムの公式アカウントを開設しています。こうした生きものや、展示で使用している美しい写真などを、ほぼ毎日更新しています。ぜひフォローしてみてください。

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特定外来生物 オオキンケイギクの調査

エコパークさがみはらが主催する自然環境観察員制度に、博物館は毎年協力して調査を実施しています。今年の全体調査のテーマは、「オオキンケイギクの分布調査」です。
オオキンケイギクは、在来の生態系や人に対して悪影響を及ぼす可能性のある外来生物の飼育や栽培、移動などを規制することを定めた特定外来生物法により、特定外来生物に指定されています。そのオオキンケイギクの分布状況を把握することを目的とした調査で、市域全域(丹沢山地などを除く)を対象としています。
5月16日、緑区へ調査へ行きました。博物館周辺などでは、かつて国道などに群生が見られたものの、現在は特定外来生物であるという認識が定着してきたのか、抜き取られていてあまり見かけなくなりました。しかし、津久井地域では道沿いでちらほらと見られました。

オオキンケイギク

一見するとコスモスと形が似た美しい花です。しかし、旺盛な繁殖力で、またたくまに分布を広げます。
特定外来生物に指定された種は、生きた状態での移動が禁止されているため、見つけても抜いたりはせず、記録にとどめます。

道沿いに咲くオオキンケイギク

緑区の青山や牧野、鳥屋など5カ所の幹線道路沿いで確認しました。
途中、オオキンケイギクに負けないくらい鮮やかな黄色をまとったキビタキに出会いました。

キビタキ(オス)

軽やかに美しくさえずっていました。こちらは在来の夏鳥なので、安心して声と姿を楽しむことができますね。
(生物担当学芸員)

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