相模原のヒバリは・・

今日は午後、環境情報センターで自然環境観察員の調査結果を考察するワークショップがありました。今年度の全体調査テーマはヒバリ。昨年の春から初夏にかけて、鳴き声の聞こえた場所やその環境などを記録していただいた結果を見ながら、考察をします。

平成15年度と20年度に行われた調査と、傾向としては同じであることや、畑など農地の多い場所、河川のある場所で多く鳴き声が記録されています。そして、人口密集地や市街地では記録されていないこと、特に小田急線沿線は記録が少ないことが注目されました。
相模原市の鳥としてシンボル化されているヒバリですが、市内でも分布傾向に顕著な特徴があることが明らかになりました。さらに、ヒバリと同じように自然環境観察員の調査で行われている、ある植物と分布傾向が酷似していることもわかりました。さてその植物は・・。これは、この考察を整理して掲載される年次報告書が刊行されてからのお楽しみです。
(生物担当学芸員 秋山)

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クモの冬越し

寒い日が続き、通勤途中に鳥以外の動物の姿を見ることはなくなりました。
でも時折、朝の斜めの光に照らされて、細いクモの糸が揺らめいている事があります。冬の最中でも、寒さが緩んだ日には活動しているクモがいる証拠です。
糸の行方を追っても、なかなかその主にたどりつけないので、越冬していそうな場所を直接覗く事にしました。一番手頃なのは、博物館敷地内の木につけてある樹名板の裏です。

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いました。キンイロエビグモ(たぶん)。

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フクログモ類(ムナアカフクログモ?)

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オニグモ(ヤエンオニグモ?)。

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3種は同じ樹名板にいました。まだ幼体なので、捕まえても種名の確定はムリでしょう。このままそっとしておく事にします。
まわりの白いものは、恐らくアリグモやフクログモ類が越冬している繭状の袋です。
思いの外、色々な種類に出会えました。このまま無事に冬を越してほしいものです。(学芸班 木村)

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中学生職業体験

昨日から中学生3名が職業体験に来ています。 今日の午後からは地質分野で資料整理をしてもらいました。

昨年の10月、相模原地質研究会の皆さんと一緒に採集した石老山礫岩の礫資料の整理をしてもらいました。

一つ一つチャック付きの袋に入れて、

袋に通し番号を記入しました。

採集した岩石を博物館資料とするためには欠かせない作業です。また、今後の調査研究を進める上でも大切です。一人で行うと大変な作業なので、とても助かりました。

(地質担当学芸員 河尻)

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小倉山の巨木

今日は前の晩にうっすら積もった雪の小倉山で調査です。朝はさすがに寒く、白い息を吐きながら登山道を登ります。

この地域では珍しい、特徴的な照葉樹林の植生調査を行ったのですが、周辺の植生に比べて、ほとんど人の手が入っていない成熟した樹林であることが、いろいろなことからわかります。たとえば、こうしたきょ巨大なつる植物が大木に壮大なからみつき方をしていることもその一つ。

モミの木にからみついたフジです。根もとは15センチ以上の直径がありました。

そして圧巻は、ヤマザクラと思われるサクラの巨木。直径は80センチ以上!こんな巨木が尾根沿いに何本もあります。

ほかにもスダジイやカゴノキ、ウラジロガシなどの大木があります。巨木調査ではないのですが、この特徴的な常緑広葉樹林の実態を把握するため、これから本格的な春を迎えるまでに、何回かに分けて調査していきたいと思っています。

(生物担当学芸員 秋山)

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「はやぶさ」も来た消防訓練

今日は朝から「文化財防火デー」に因んだ消防訓練が行われました。
表題はもちろん、小惑星探査機ではなく「特別高度救助隊」の事です。

1階の情報サービスコーナーから出火した想定で、初期消火、避難誘導、文化財搬出、などの内容です。
今回はやや規模が大きめの訓練になるので「市民学芸員」の皆さんに声をかけたところ、避難役として参加していただくことが出来ました(ある職員は「逃げ遅れる役」をお願いします、と言っていましたが…)。

機材の説明を受ける市民学芸員の皆さん。


本番さながらの緊迫した動き。

はしご車による屋上からの救助訓練は初めてです。

高い!

でも本当はここまで伸びるそうです。

3階からも3人救助されました。

最後は講評です。1月26日の「文化財防火デー」の由来を改めて確認し、博物館のような施設で働く人は、特に心構えを持って日頃より災害に備えてほしい、とのお話をいただきました。

訓練後、AEDの研修も実施しました。
何事もやってみないと細かい事がわかりません。いろいろと質問も出て、良い研修になりました。「予め備えておく」事の大切さを改めて感じました。(学芸班 木村)

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まだやります!チャレンジ体験

今日は今年2回めのチャレンジ体験コーナー開催日でした。始まるのは12:00からですが、午前中から準備作業。

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その日によって来館者の動向も違うようで、今日は朝から盛況でした。

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割り箸鉄砲のコーナーの人だかり。

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輪投げ。

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履物体験。

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蚊帳。

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紙芝居。

子どもたちは何でも楽しんでいるようです。

この「チャレンジ体験」は、「学習資料展」の会場で、月2回のペースで開催しています。

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ところで、こちらは大人の方に人気の展示。「市域の小学校・中学校一覧」地図。市民学芸員の力作です。

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そして、展示を使って問題を出し合うご家族。なるほど、そういう使い方もありましたか…楽しそうですね!
「学習資料展」は2月23日(日)まで、次回「チャレンジ体験コーナー」は2月2日(日)の開催です。ぜひご来場ください!(学芸班 木村)
学習資料展詳細:http://www.remus.dti.ne.jp/~sagami/30-02tenjiannai-tokubetu.htm

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食べられ始めてます!

先日、木の実草の実のようすから冬鳥の食糧事情がわかるという記事を書きました。その時はまだ「どちらかというと不人気な」木の実がたわわに残っていました。

今朝、通勤途中の庭木のトキワサンザシ(通称ピラカンサ)に、ムクドリの群が舞い降りているのが見えました。近づいたらムクドリは飛び去ってしまいましたが・・。

冬に庭で真っ赤に実り、春まで実が食べられずに残ることもあるトキワサンザシは、「不人気木の実」の代表格と言えます。上の写真ではまだ果実がたっぷりと残っていますが、真下の地面には、啄み痕のある実がたくさん落ちていました。

さては、北方の木の実が食べ尽くされて、小鳥たちの群が南下してきている可能性があります。今年はちょっと遅めですが、冬鳥の季節到来かも。

そんなことを考えながら展示室の開室をしていたら、中庭のガラスから「ゴンッ」と音がしました。嫌な予感がして近づくと、

メジロが地面でうずくまっています。ガラスに衝突してしまったのでしょう。

博物館はガラス壁面が多いので、たまにこうして落鳥してしまう鳥がいます。このメジロは、出血も無いし、自立しているのでまだ望みがあります。脳しんとうを起こしたのでしょう。5分ほどじっとしていましたが、フッと思い出したように無事、飛び去りました。よかったよかった。この時期は、猛禽に追われてぶつかる鳥もいます。お互い食べ物探しに懸命なんですね。私たちには想像もつかないような厳しい冬を生きている野生動物たちに、頭が下がります。

(生物担当学芸員 秋山)

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プラネタリウム、メンテ完了!

1月14日から3日間続いた、プラネタリウムの定期保守が、無事終わりました。
作業風景を見に行くと…

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おお、これはヘリオス君の脱皮殻ではないですか(「ヘリオス」というのはプラネタリウムの機種名です)。
こうしてカバーを外してクリーニングや点検、ランプの交換などを行う事で、平成7年の開館以来、美しい星空を投影しつづけてきました。

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全天周映画を映し出すプロジェクターも点検・整備したので、明日からはまた万全の態勢で投影を始められます。ちょうど新番組「 X線で探る熱き宇宙~すざくからASTRO-Hへ~」も始まります。どうぞ「ピカピカの星空と映像」を楽しみにご来館ください。(学芸班 木村)

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夜みちをゆけば

昨日は野みちでしたが、今日はとあるお山の夜みちを歩きました。といっても、まだ日没間もない時間に歩き始めて、観察ポイントで待ちます。手には赤セロファンを貼ったライト。

目的はコレ。ムササビです。

ねぐらにしている巣箱から出巣するところを待ちました。いつもよりちょっと時間がかかりましたが、周りからは、先に別の巣穴から出巣した個体の「ギャ」とか「クール」といった声が聞こえます。それにつられるように、するするっと巣箱から出て、サッと滑空して餌場へと去って行きました。

月が明るい夜、あやしげな若者たちプラスおじさんがライトを持ってにやにやしながら探索。寒くて全身がかじかんでいましたが、なんとも楽しい夜みち歩きでした。

(生物担当学芸員 秋山)

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ミーティングの後にミニ研修

今日は、ボランティアグループ「市民学芸員」の定例ミーティングがありました。
このところのミーティングの盛り上がりには、担当としてもワクワクしたり、たじたじとなったり、息の抜けない良い緊張が続いているのですが、先月は「スキルアップのための研修をやって欲しい」とのリクエストをいただきました。
そこで、まずはすぐに出来る事からと、ミーティングの後に常設展示の解説を聞いてもらう事にしました。

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以前、全体を流して見た事はあるので、今度はより深く、1分野に限って、その分野の担当による解説です。

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考古分野だけの解説でしたが、やや端折りつつ、40分ほどかかりました。
やってみると、これがなかなか面白い。端で聞いている私も専門外なので、結構勉強になります(覚えていられるかは別にして)。
考えてみれば、余程強い要望がなければ、1分野だけでこんなに長く解説はしません。普通の展示解説でこれ程の情報を押し付けられたら、展示室を全部見終わる頃にはヘトヘトになってしまうでしょう。ピンポイントで「深く」やってみる事で「必要な情報をどう展示するか」を考える効果もあり、
参加された皆さんも、新鮮な経験だったのではないでしょうか。
私もすっかりこれに味をしめたので(?)これからも機会を見て、同じような試みを続けていこうと思います。(学芸班 木村)

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