野みちをゆけば

今日は休館日でしたが、お隣の町田市からのお仕事で、市内の緑地をいろいろと見て回りました。ふだんよく行く場所もありましたが、町田市民にもほとんど知られていないような北部のいくつかの谷戸へ行くことができました。

その一つのある谷戸には、言葉に表現できないような郷愁を感じさせる「野みち」がありました。

野みちって今、ご近所にありますか?公園の整備された遊歩道とは違います。登山道ともまた違います。「お手々つないで、野みちをゆけば・・。」の野みちです。漠然としていますが、うまく言葉で定義できません。定義したとたんに野みちのイメージが崩れてしまうような気もします。

さて、その野みちをゆくと・・。冬は一日中日陰で気温が低いのでしょう。小さな流れがあり、そこから頭を出した石に、霜が積み上がっていました。

多摩丘陵は地形が複雑で、今もこうした小さな谷戸が縦横に入り組んでいます。耕作放棄地も多いので、今後どう変わっていくかわかりません。でも、初めて来たのにこんなに懐かしい場所・・。すばらしいと思いました。また春になったら訪れてみようと思います。

(生物担当学芸員 秋山)

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木の実、草の実で占う今年の冬鳥

博物館前庭には、真冬に熟す果実がいくつかあります。秋からたわわに実り続けるヤブラン。

そして、お正月を過ぎても真っ赤な果実を重たそうにぶら下げるマンリョウ。

あまり目立たないけど、ヒサカキもたくさんの果実を付けます。

これらの果実は、野鳥たちにとって真冬の貴重な食料に・・、と思いたくなりますが、それならばなぜ今頃こんなたわわに残っているのでしょうか?これらの果実をめぐってとっくに激しい争奪戦が繰り広げられていてもよさそうなのに。

じつは、冬に実る果実の多くは、糖分や脂肪分などを多く含まず、鳥たちにあまり好まれないものがほとんどです。だから真冬の今も、こんなふうに私たちの目を楽しませてくれます。(ただし、ヒサカキは食べてみると結構甘くて、なぜ鳥があまり食べないのかよくわかりません)

ところが、年によってはこうした果実も鳥たちに食べ尽くされることがあります。ほかの果実の実りが悪かったのか、北方の食糧事情が悪く、たくさんの冬鳥が南下してきていたのか。いずれにしても、何年かに一度、博物館でもマンリョウやヤブランをヒヨドリが我を忘れたかのように食べることがあります。

先日登った城山でも、イイギリの果実がどっさりと枝に残っていました。

この冬は、あちこちのバードウォッチャーから「冬鳥が少ない」という話をききます。冬鳥が少ないということは、北方の鳥たちがまだ南下してくる必要がないくらい、あちらの食料事情(果実や種子の実り)がよいということなのでしょう。従って、こちらの食料も逼迫せず、野鳥たちも比較的平穏な冬を過ごしているのかもしれません。おっと、まだ1月なので判断するのは早いですね。年によっては食料事情が良かったために、群の個体数を維持したまま2月から3月に大挙して冬鳥が押し寄せることもあります。そうなると、冬鳥を追いかけるバードウォッチャーも鳥の群に負けず劣らず右往左往することになります。

今年の冬鳥の渡来状況がどんなふうに変化していくのか、まだまだ楽しみです。

(生物担当学芸員 秋山)

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さがみはら宇宙の日「人工衛星を見てみよう!」

今日は毎月恒例の「さがみはら宇宙の日」。今回の話題は「人工衛星を見てみよう!」ということで、当館の山田陽志郎学芸員によるお話しでした。

冒頭からスクリーンに流れている映像にまず驚きます。まるでCG(コンピューターグラフィックス)かと思うような鮮明な「宇宙映像」!すべて実写画像だということで、宇宙での映像、通信技術の進歩には目を見張るものがあります。

話題はさらに、国際宇宙ステーション(ISS)の地上からの観察の方法や、イリジウム社の通信衛星が太陽光を反射して地上からもよく見えるようす(イリジウムフレア)の観測方法、通過地点や時間の情報の入手方法などが紹介されました。

今、こうして宇宙の情報がリアルタイムで入手できる時代の、最先端の天体観測というわけですね!

ちなみに、ISSやイリジウムフレアが相模原で観測できる日は、さがぽんがツイッターで教えてくれています。そちらもぜひどうぞ!

さがぽんツイッターはこのブログの上の方に最新のつぶやきが表示されています。

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(生物担当学芸員 秋山)

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休日の津久井城址城山

今日は県立津久井湖城山公園の城山に登ってきました。

登り初めてすぐに振り返ると、丹沢の斜面には天へと駆け上る白馬の雪形が。丹沢の上にだけ雲がかかっていたのでちょっとコントラストが悪いのですが・・。

穏やかな冬晴れの青空の下、鷹射場からは手前に橋本、遙か遠くには東京方面が見通せます。

望遠レンズでのぞくと、新宿副都心の右側に東京スカイツリーがうっすら見えます。

昨年8月11日に落雷で焼け落ちてしまった大スギは、たたずまいも落ち着いてきました。あちらこちらの窪みや割れ目に小銭が投げ込まれていて、巨樹を敬う純粋な信仰心を見た気がしました。

パークセンターまで降りてくると、上空にはノスリが輪を描いていました。

(生物担当学芸員 秋山)

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地質調査日誌1/10 岩殿山

1月10日、金曜日。晴れ。

この冬一番の冷え込みの中、大月市の岩殿山へ調査に出かけました。岩殿山は相模原市にある石老山と同じような礫岩でできています。

桂川に架かる橋から見た岩殿山です。右側、電線のあたりが山頂です。

登山道の入口から中腹までは安山岩が分布しています。

中腹の丸山公園あたりからは礫岩が分布しています。石老山をつくっている礫岩とよく似ています。

岩殿山は戦国時代の城跡で、山頂は烽火台として使われていたようです。岩殿山の標高は634m!スカイツリーと同じ高さです。

かつての烽火台は、今は無線の中継基地。今も昔も利用のされ方はほとんど変わっていません。

山頂付近から見た大月市街と富士山。桂川の河岸段丘上に発達した大月の街が良く見渡せます。

山頂から少し戻って、尾根伝いにさらに北を目指します。この先も礫岩が続きます。

途中、岩場を伝ったり、登ったりするクサリ場が2箇所あります。

巻き道もついているので、迷わずそちらを選んだら、巻き道の方も結構、急斜面を下る道でした。

「稚児落とし」と呼ばれる礫岩の断崖絶壁。登山道はこの絶壁の上を通ります。幅がかなりあるので、崖の端に近づかなければそれほど危険ではありません。しかし、柵も手すりも無いので、端に寄りすぎると落ちる可能性があります。道床にも礫岩が見られるのですが、観察に夢中になって落ちると生きて帰れないので、観察もそこそこにして通り過ぎました。

山から下りたところを流れている浅利川の河床にも礫岩が露出していました。川沿いの方が岩石の露出も良く、観察しやすいので、このまま調査を続けたくなりましたが、時間も装備の無いので、簡単に観察するだけにとどめました。機会があればまた訪れたいところです。

最後に浅利川の川砂を採集。この上流にはかつて金鉱山があったので、砂金が含まれているかも?

今日歩いた行程に露出していた岩石はほとんど礫岩で、礫岩を堪能した1日でした。

(地質担当学芸員 河尻)

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霜柱、急成長。

今朝は急に冷え込んだせいか、博物館のまわりで、そこいらじゅうに霜柱が立っていました。
それも12月23日のブログで書いたような「地面の下」ではなく、まるで草のようにびっしり生えてます。

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こちらは土や石ころを頭に乗せたままニョキニョキ。

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植物っぽい生え方。
同じ現象でも、その時々の条件によって、違った見え方がして面白いですね。(学芸班 木村)

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ボランティア連絡調整会議を開催しました

今日の午後は、ボランティア連絡調整会議を開催しました。“連絡調整会議”なんていうとちょっといかめしい響きですが、この会議の主な目的は「学びの収穫祭」の企画推進、準備と、ボランティアグループ間の交流です。今年度から、当館のボランティアグループに所属する方ならどなたでもご参加いただけます。

なぜ「どなたでも」なんて間口を広げているのかというと、毎回、ちょっとしたイベントがあるからです。今回は昨年11月の学びの収穫祭の反省会を行った後、木村学芸員による研修参加報告がありました。

昨秋、国立科学博物館が実施した学芸員向け研修会のようすを、写真を交えてご紹介しました。そして、現在開催中の学習資料展の企画から列品、イベント運営などに関わる市民学芸員のみなさんが、展示のご苦労や工夫された点などを現場でお話ししてくださいました。

そして最後に、力仕事も。学びの収穫祭の展示発表がエントランスに残されていましたが、これを撤収しました。なんと、ものの15分くらいで終了!手際の良さに職員も脱帽でした。

もともとは事務的な会議だったのですが、今はボランティアのみなさんが何かしら楽しんだり学んだりできるよう、職員も工夫しています。2カ月に1度の内輪の会議、次は3月です。ボランティアのみなさん、お忘れなく!

(生物担当学芸員 秋山)

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今日は東京で講義

今日はいつもとちょっとちがう場所でお話ししてきました。

板橋区にある東京家政大学の学芸員課程のゲスト講師として、地域博物館の活動を紹介してきました。

「カイコをめぐる郷土の学習」と題した講義は、このブログでもたびたびお伝えしているカイコを用いた生きもの・郷土・農業などの多面的な学習のようすが話の中心です。さらに当館のボランティアのみなさんの活発な活動について、学びの収穫祭のようすやボランティアコーディネートの重要性などを交えて紹介しました。おまけとして、学芸員を目指す上での心構えなどもお話ししてきました。

準備はそれなりに時間もかかりますが、話す方も、こうした場で伝えるべきことを整理してまとめていくと、自分がふだんやっている活動を体系化し、見つめ直すよい機会になります。

嬉しかったのは、相模原市内から通っている学生さんがいたことと、相模原の隣町から通っている学生さんは、昨日わざわざ当館を見学に訪れた上で、講義をきいてくれたことです。帰宅ラッシュの電車にも気分良く揺られて帰ることができました。

(生物担当学芸員 秋山)

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月出、月没

今年は19年ぶりに元日が新月と重なることもあり、その前後の月の満ち欠けの様子を撮影しました。(※画像クリックで拡大表示)

■平成25年12月29日(月齢25.8)
 午前3時24分 「土星とのツーショットに魅了」

■平成25年12月30日(月齢26.8)
 午前4時8分 「ビルに寄り添うように」 スマイル~(^_^)

■平成25年12月31日(月齢27.8)
 午前5時9分 「のぼる赤い月」 さらに薄っぺらに、、、

 ※地平線すれすれだと、大気の影響で全体的につぶれた楕円形になってしまいます。大気の揺らぎで、輪郭が歪んでいます。

 午前5時17分 「大きく見える月」

 ※仰角2度くらいにのぼり、輪郭の歪みが減少してきました。色も変化。

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ちなみに、月の欠けて暗くなっている部分もぼんやりと見えるのは、太陽の光を地球が反射し、月の夜の部分を照らしている「地球照」(ちきゅうしょう)という現象によるものです。つまり、地球に照らされて光っているのです。
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平成26年1月2日(月齢0.9)
 午後5時17分 「金星とのツーショット」

 ※何とか雲の切れ間に2天体を確認できました。

☆おまけ
 飛行機が接近

 ※ときどき、こんなワクワクする場面に遭遇します。これも楽しみの一つです。

早起き、夜更かしの不規則な生活をするには、年末年始の休みしかないと思い決行!!
天体写真を撮影することにおいてのみ有効活用できました(^_^;)

(天文担当 有本)

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年末年始のISSパス

年末年始の休み中に、日没後の空を若田宇宙飛行士搭乗中のISS(国際宇宙ステーション)が通過していく様子を撮りましたので、まとめてアップします。[※画像クリックで拡大表示]

※ISSは条件がそろえば、日の出前と日没後の2時間ほどの間に、太陽光を反射して明るい光の点となって、音もなく すーっ と移動していくイメージで地上から肉眼で見ることができます。

☆平成25年12月28日『おうし座プレアデス星団(すばる)の脇を通過』(10秒露光)

 ■おまけ
  ピント合わせをしていたところに飛行機が通過。(5秒露光)
  
 ※飛行機は、主翼先端の航空灯(左:赤色、右:緑色)や胴体下部の衝突防止灯(赤色のフラッシュ)、翼端の白色ストロボライトの点滅が特徴的です。ISSとの違いが分かりますね。

☆平成26年1月1日『平成26年最初のISSパス』 大山上空を通過(4秒露光)

若田宇宙飛行士は、今年5月14日(予定)までの長期滞在中です。
ISSパスを見かけましたら、「若田さんガンバって!」と声援を送りましょう。
目視予想情報は、JAXAのホームページ 「きぼう」を見よう で提供されていますので、参考にしてください。
あっ!! そうそう、、、さがぽんも、Twitter でお知らせしてくれていますので、ご利用ください。

(天文担当 有本)

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