消防車が来た!

といっても、火事ではありません。
博物館ではほぼ毎年、1月26日の「文化財防火デー」の頃に、消防署と合同で訓練を行っているのですが、その下見と打ち合わせのためです。

20131214-174738.jpg
展示室で打ち合わせ。えー、出火場所は…、初期消火は…

20131214-174951.jpg
屋上の下見。ここなら良さそうだね。

20131214-175056.jpg
いきなり消防の車両が3台も駐車場に入ったので、びっくりした方もいらっしゃるかも知れません。
しかし、さらに驚いた事に、今回来た車両は…

20131214-175158.jpg
なんと、特別高度救助隊。愛称「スーパーレスキューはやぶさ」!
マジですか。そんな人たちが来ちゃうんですか。博物館の消防訓練に。
うーん。大人気もなくちょっとわくわくしちゃいました。
博物館は大切な文化財をお預かりしている施設です。もちろん毎日いらっしゃる来館者の皆さんの安全も日頃から考えなければいけません。今までにも増して真剣に訓練に臨まなければ、と思いました。(学芸班 木村)

※特別高度救助隊「スーパーレスキューはやぶさ」について
https://www.city.sagamihara.kanagawa.jp/shoubou/019592.html

※文化財防火デー:昭和24年1月26日に、法隆寺の金堂が炎上し、壁画が焼損したことがきっかけとなって昭和30年に制定されました。全国でこの時期に文化財防火運動が行われています。

カテゴリー: 今日の博物館 | 消防車が来た! はコメントを受け付けていません

ゴミ箱に密航者?(クモ)

20131213-182847.jpg
今日は、市内の方から「家を取り壊すから」という事でいただいた物品の搬入がありました。
こういったケースでは今開催している「学習資料展」に使えるような「昔の暮らし」を子ども達に伝えるモノもたくさんあります。

20131213-183022.jpg
今日搬入したこれ、なんだかご存知でしょうか。
「なつかしい!」という方もいらっしゃるでしょう(私も子どもの頃、この上に乗って遊んだ記憶があります)。
コンクリート製の塵芥箱(ゴミ箱)です。
博物館にも既にあるのですが、蓋が破損しているので、こちらの方が美品(?)です(蓋の破損は私が乗ったせいではありません、念のため)。

ところで、塵芥箱の内部や側面にこんなものが…

20131213-183607.jpg.

ヒラタグモというクモの住居です。
古い建物や神社の石灯篭などでよく見かけます。
「壁銭」と呼ばれることもあるそうで、平たい形をしています。
放射状に伸びている糸は「受信糸」といって、エサが通過するのを察知するセンサーの役割をしています。

20131213-183756.jpg
こんなクモです。体長:メス8-10mm、オス6-7mmと、小ぶりです。(写真はメス幼体)

ところで、住居以外に直径3cmほどのこんなものが…

20131213-184314.jpg

開けて見ずにはいられない性分。開いてみると…

20131213-184451.jpg
むー。このまんじゅうのようなふわふわしたのはどうやら卵のうのようです。
まだ入っているのかどうか…
しばらく様子を見る事にします。

因みに博物館に持ち込まれた資料は、収蔵庫に入る前に「燻蒸」処理をします。
早い話が資料についている虫を殺虫剤でいぶして殺してしまうわけです。
そうしないと、資料を食い荒らす虫が収蔵庫内に侵入してしまう危険があるからですが、このヒラタグモと卵は、どうやら命拾いしたようです。(学芸班 木村)

カテゴリー: 今日の博物館, 学芸員のひとりごと | ゴミ箱に密航者?(クモ) はコメントを受け付けていません

初冬の小倉山

今日は相模原植物調査会照葉樹林調査グループのみなさんと、緑区の小倉山へ植生調査にでかけました。登山道は落ち葉がふりつもり、ふかふかです(こんな歩きやすい道は、じつはあまり歩かなかったのですが・・)。

途中でマゴジャクシ(マンネンタケのなかま)を見つけました。このキノコを見つけると、なんだか得した気分になります。長生きできそう・・。

お目当ての照葉樹林で、このあたりに特異的に見られるスダジイ林の範囲を確定するために、急斜面を登ったり下りたり。結構疲れました。でも、カゴノキの幹の鹿の子模様を見ると、これまたなんとなく得した気分になります。

途中で見つけたテイカカズラのものすごいつる。つる植物好きを自認する私としては、たまらない構図。2本のテイカカズラの巨木(?)がからみあい、迷路のようです。

風は冷たかったのですが、からりとした好天に恵まれ、気持ちの良い調査になりました。

(生物担当学芸員 秋山)

カテゴリー: 学芸員のひとりごと | 初冬の小倉山 はコメントを受け付けていません

ウミガメの骨、続報

先日、市民の方から持ち込まれたウミガメの骨ですが、種類が判明しました。

小田原にある神奈川県立生命の星・地球博物館の松本涼子さんが調べてくださり、アカウミガメであろう、ということになりました。松本さんが参考にということで、同博物館の骨格標本(アカウミガメの組み立て骨格:標本番号KPM-NFR000080)の写真を送ってくださいました。

これを見ると一目瞭然。アカウミガメの上から4番目の左側の背甲ということになります。背甲とは、背側の甲羅のことで、肋骨や脊椎骨、皮骨などが組み合わさってできています。そして、カメ類の甲羅に特有の鱗板がくっついている部分です。

なぜ4番目ということまでわかるのか、さらに、なぜアカウミガメなのかというのはかなり微妙な難しい形態の特徴から見ているので割愛しますが、ともかく、浜辺で拾われた一片の骨からここまでわかったということが、とても嬉しいですね。

(生物担当学芸員 秋山)

カテゴリー: 学芸員のひとりごと | ウミガメの骨、続報 はコメントを受け付けていません

あかつきトークライブ⑨

本日、さがみはら宇宙の日 金星探査機あかつきトークライブを開催しました。
「ハワイ望遠鏡で金星ウォッチング」をテーマに、岩上直幹(いわがみ・なおもと)さん(東京大学大学院理学系研究科教授、金星探査機あかつき赤外カメラ担当)にご講演をしていただきました。

はじめに、本日現在の金星と金星探査機あかつきの位置関係の確認、そして、ほぼ同じ大きさの地球と金星との相違点(自転の向き、大気組成や気候など)=金星の謎、最後に地上からの分光観測という、難しそうな内容ですが、用意していただいたスライドのほとんどが、過去に小学生を対象にした授業で使用したものとのことで、とても分かりやすいお話しで安心して聞くことができました。

お話しの後は、演示具を用いた金星の満ち欠けの観察や

スライド回折格子を用いた分光遊びの実習です。光源は長蛍光灯・丸蛍光灯・電球・Hg・Ne・Naランプを使用。ほとんど岩上先生にお持ちいただきました。ありがとうございました。
 

 

実際の観測では、分光することで、ガスの種類・量・温度などが分かってくるとのことです。

また、晴天時には、昼間の金星を天体望遠鏡で観察して、演示具で見た欠け具合を確認する予定でしたが、あいにく朝からぶ厚い雲に覆われており、みなさん接眼レンズをのぞき込み、心の目で見ていただきました。

一時、晴れたときに撮影した本日の金星はこちら。

心の目で、こんな姿に見えましたでしょうか?
あかつきトークライブの実体験に基づく実習は、毎回、大人の人たちも、理屈抜きに十分楽しめる内容です。

終了後に、恒例の先生方を囲んでの茶話会(=あかつきカフェ)を楽しみました。ざっくばらんな会話で、気軽に研究者の方々との距離が近くなる、とても大切なひとときです。

さてさて、12月も中ほどになり、あかつきくんときんせいちゃんもクリスマスの装いになりました。

あかつきサンタから一足早い「メリークリスマス!」

(天文担当 有本)

☆次回のあかつきトークライブは第10回目を記念して、あかつきプロジェクトマネージャーの中村正人教授にプロマネならではのテーマでお話をしていただく予定です。こうご期待!!
 平成26年2月11日(火・祝)13時30分~15時30分

カテゴリー: 今日の博物館 | あかつきトークライブ⑨ はコメントを受け付けていません

チャレンジ体験

特別展示室で開催中の学習資料展、今日は市民学芸員さんたちによる「チャレンジ体験コーナー」の実施日でした。

ぶんぶんゴマに好きな色を付けて回してみたり・・

割りばし鉄砲をつくって・・

的当てをしたり・・

乾燥させたミカンの皮を「やげん」で粉にしてみたり・・

石臼でお米をひいて米粉にしたり・・

いろいろな体験ができます。2週間おきに開催しているので、リピーターのお子さんもいらっしゃいます。

時間帯によって、お隣では紙芝居の実演もあります!

自転車の荷台に乗せた、リアルな紙芝居です。

そろそろ外が寒くなってきました。暖かい館内で、いろいろなチャレンジをしてみてはいかがですか?次回は12月22日(日)12時からです!

(生物担当学芸員 秋山)

カテゴリー: 今日の博物館 | チャレンジ体験 はコメントを受け付けていません

巨大な額縁

当館は展示室以外のスペースの壁面にガラスを大きく取り入れているので、外光が館内に入りやすく、明るいのが特徴です。当然、室内から外もよく見えます。建物全体がさまざまな樹木に覆われるように建っているので、今の季節は紅葉した木々をフレーミングして、ガラス壁面が巨大な絵画のようです。正面入り口をちょっと横から見ると・・。

中庭は低木から高木までバランスよく配置され、いつ見てもきれいな景色です。

地階ホワイエに下りて1階を見上げると、建物内部の複雑な曲面と景色が妙にマッチしています。

ここはふだん、一般のお客様が入れないところなのですが、天体観測室へ上がる階段の途中。クヌギの上部がちょうど美しく紅葉していました。

もう間もなく、来週あたりにはこの紅葉も終わりでしょう。その後は館内から、冬木立の作品が鑑賞できそうです。

(生物担当学芸員 秋山)

カテゴリー: 今日の博物館 | 巨大な額縁 はコメントを受け付けていません

なんの骨?

昨日、博物館へ市民の方が骨を持ってこられました。なんでも、相模川河口の砂浜で拾われたそうです。

みょうに長方形、そして、断面がきれいに割れています。正直言って骨は皆目わかりません。ましてや海のものとなればなおさら・・。よほどきれいに原型をとどめている頭骨でもなければ、見当もつきません。海で拾ったということは、海棲哺乳類?しかし哺乳類でこんな平べったい骨、見たことないし・・。

今日、たまたま博物館へ用事で来ていた同業者のS君に写真を見せたところ、「ウミガメですよ」と即答。なんでも、高校時代にウミガメの解剖を「やらされた」ことがあるとか。同時に、問い合わせをしていた別の博物館の学芸員からも「ウミガメでしょう」とのメールが入りました。背甲のパーツで、なるほど、肋骨と癒着している部分がわかります。板チョコを割ったようなきれいな断面も、甲羅と言われれば納得です。

博物館学芸員の大切な財産のひとつは、人のつながりです。展示資料の貸し借りはもちろんですが、どうしても、専門外の質問相談にお答えしなくてはいけないことが多々あります。そんな時、ネットワークを駆使してカバーするのも私たちのテクニックです。そして自分自身も勉強になり、スッキリと質問された方に連絡差し上げることができるというわけです。メデタシメデタシ。

(生物担当学芸員 秋山)

カテゴリー: 学芸員のひとりごと | なんの骨? はコメントを受け付けていません

グラデーション

博物館お隣の樹林地の林床です。

完全に地面が隠れるくらいの落ち葉がつもりました。ふかふかして気持ちいい!

枝に付いてる落葉樹の葉は、もうだいぶ鮮やかさを失いつつあります。渋い色合いで、これはこれでなかなかいい色です。真っ先に紅葉していたツタですが、あまり伸びていない若い株はまだこれから紅葉するものもあります。

見事なグラデーション。まだまだ葉っぱの色を楽しめます!

(生物担当学芸員 秋山)

カテゴリー: 学芸員のひとりごと | グラデーション はコメントを受け付けていません

公開講演会「宇宙にいのちを探す」

本日、日本アストロバイオロジー・ネットワーク主催、相模原市教育委員会共催で博物館を会場にして公開講演会「宇宙にいのちを探す」を開催しました。
宇宙における生命の起源、進化、分布及び未来を探求する学問「アストロバイオロジー(宇宙生物学)」という新しい研究分野ですが、一番乗りは、千葉県から片道2時間をかけて8時30分に博物館に到着された女性でした。受付開始の13時の時点で60人ほどが並ばれ、第一部は179人、第二部は107人の方々にご参加いただきました。一般の方々の興味関心が高いと改めて実感しました。

■第一部は『リレー講演会』
各分野の最先端で活躍中の気鋭の研究者の方々が、各20分間のリレー形式でお話しをつなぎました。

「謎の深海生物にさぐる宇宙生命の可能性」
  長沼 毅(広島大学大学院生物圏科学研究科)
「宇宙生物学とクマムシと私」
  堀川大樹(パリ第5大学・フランス国立医学研究機構)
「火星での生命探査計画」
  山岸明彦(東京薬科大学生命科学部、JAXA宇宙科学研究所・学際科学研究系客員)
「太陽系外惑星と宇宙における生命」
  田村元秀(東京大学大学院理学研究科)
「正しい宇宙人の探し方 ~SETIの話~」
  鳴沢真也(兵庫県立大学 西はりま天文台)

タイトルだけでも、何だかワクワクとしてきませんか?

講演に続き、JAXA宇宙科学研究所の矢野創さんがコーディネーターとなって、パネルディスカッション「深海から深宇宙まで~生命の兆候を見出すには~」を行いました。5名の講演者にJAMSTECの高井研さんが加わって、おもしろ楽しいお話しを聞くことができました。

■第二部は、全天周映画「ETERNAL RETURN -いのちを継ぐもの-」特別上映でした。
この映画の監修者のひとり、高井研さんによる解説付きで、観覧後も、たくさんの方々から質問が寄せられていました。

第一部のリレー講演会の様子はJAXA相模原チャンネルによりインターネット配信しました。すでに、視聴できるようにアーカイブ化されていますので、本日、参加できなかった方、聞き漏らした方、ぜひご覧ください。

(天文担当 有本)

カテゴリー: 今日の博物館 | 公開講演会「宇宙にいのちを探す」 はコメントを受け付けていません